特集 2013年2月6日

店の顔のはず!フラッグシップそば

店を代表するそば、のはずなんですが…。
店を代表するそば、のはずなんですが…。
立ち食いそば屋に行くと、その店の名前を冠した「○○そば」とか「特選××そば」といった名前のそばがある。普通、店名をつけるくらいだから代表するメニューといっていいはず。いわば「フラッグシップそば」!そのイメージで考えると最高級なメニューな感じがするけれど、いざ頼んでみるとどうも違う気がする…。いや、まあ食ってみよう。
1972年佐賀県生まれのオトナ向け仕事多数のフリーライター。世間の埋もれた在野武将的スゴ玉の話を聞くのが大好き。何事もほどほどに浅く広く、がモットー。

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フラッグシップそばとは何か?

まず軽く今回定義した「フラッグシップそば」について説明しておこうか。たとえば東京都内ではおなじみの立ち食いそば「富士そば」。もちろん天ぷらそばやきつねそばといった定番メニューもあるけれど、オリジナルメニューもある。その代表格が「特撰富士そば」だ。
富士そばオブ富士そば。
富士そばオブ富士そば。
さらに肉富士もある。
さらに肉富士もある。
赤富士まで出た。ホクサイ!
赤富士まで出た。ホクサイ!
オリジナルメニューというか「独自のトッピング組み合わせ」てことだけども。ちなみに「特撰富士そば」はきつね+たぬき(天かす)+カニカマ+わかめ+玉子だ。

肉・天ぷらといったエース級はいないけど、信頼の中堅どころで固めたチーム、て感じだ。攻めというより守りが堅い感じ、それが特撰富士そば。ええもちろん主観ですけども。

こういう店の名前を冠したメニューってそば屋には結構あるんですよね。で、ふと考えてみると、うどん屋にそういうのあったっけ?最近讃岐うどん流行ってるけど、お店のはなまるうどんに「はなまるうどん」というメニューはない。あとCoCo壱番屋に「ココイチカレー」なんてメニューもない。ハンバーガーだと…「ビックマック」は正しいフラッグシップメニューだな。

まあお店の看板メニューに店の名前をつけなきゃいけないルールなんてのはないので、おかしい話ではない。コーヒー店の看板は普通「ブレンド」だろうけど、わざわざ○○ブレンド、とか店名つけないしね。ただ、やたら店名をつけたがるそば屋が不思議なのだ。
吉そば(代々木)
では店名をつけたフラッグシップそばとはどんなそばなのか?何軒か回ったので紹介したい。まずは天ぷらが売りの「吉そば」。こちらには「特製吉そば」というメニューがある。何かすごい天ぷらでも乗ってるのかと思ったら…。
代々木駅前のお店に来てみました。
代々木駅前のお店に来てみました。
天ぷらかな…あれ、意外なトッピング。
天ぷらかな…あれ、意外なトッピング。
つゆで天かすがグジュッていくのは嫌いではない。
つゆで天かすがグジュッていくのは嫌いではない。
玉子+わかめ+たぬきというシンプルなトッピングで特製爆誕! 天ぷらと玉子で「天たま」なんて言い方するけど、まさに最チープな天たま!具だけ食べちゃった後みたいだ。でもたしかにひとつひとつの具は肉とか天ぷらみたいなパンチ力はなくてもチームワークでお腹いっぱい。
かのや(新宿)
続いてはJR新宿駅近くの「かのや」。こちらで「特選かのやそば」を頼んでみました。こちらだときつねvsたぬき!
讃岐うどんも生そばもいける贅沢さ。
讃岐うどんも生そばもいける贅沢さ。
おお、とろろがちょっと新鮮です。
おお、とろろがちょっと新鮮です。
天かすのタイプも違うなあ。
天かすのタイプも違うなあ。
こちらの「特選かのやそば」はきつね+たぬき+わかめ+とろろ+ほうれん草。カマボコも足して6種類、箸をガッと差し込むたびに新しいフレーバー…でなくて、味が楽しめるのもいい。特に甘いあぶらあげと、そばへと絡みつきまた違った食感を与えるとろろがグッドですな。
信州そば本陣(新宿)
続いては同じ新宿駅近くの「信州そば本陣」。こちらはストレートに「本陣そば」。券売機の左上にデンとあることからも推しっぷりがわかる。
JR新宿駅内なので常連な人多し。メニューも多いし。
JR新宿駅内なので常連な人多し。メニューも多いし。
一推しが本陣、二推しがソーセージ天?
一推しが本陣、二推しがソーセージ天?
きつね+たぬき+わかめ+玉子+山菜。
きつね+たぬき+わかめ+玉子+山菜。
山菜が入ってるところが信州ぽさを醸し出してる気がします。長野は一度しか行ったことないんですが。

それにしてもたぬき・玉子・わかめの鉄板率!各店とも「天ぷらとかもいいけど、もっとウチのこのトッピングを味わってほしい…」と思ってるんでしょうか。あれ、フラッグシップなのになんでそんなに弱気なの?

そもそも周りの立ち食いそば好きに聞くとこの手のフラッグシップそばって「食べたことない」て人多いんですよねえ。自分の周りが「トッピングは天ぷらか肉だろ!」てな食べ盛りの中年男性ばっかりなもんで。実際そば屋でも普通はてんぷら系が前に推されてるしなあ。
まあプッシュされるならこっちだよね。
まあプッシュされるならこっちだよね。
店名がつけられるほどのメニューなのに、それほどプッシュもされない…。どういう位置づけなんだ、フラッグシップそば。特にたぬきとわかめと玉子たちよ。当社が一推しなトッピングのブレンドの妙をお楽しみください、という意味なのか。
小諸そば(秋葉原)
しかし、中にはぜんぜん違うタイプのフラッグシップそばもある。たとえば都内チェーンの「小諸そば」のメニュー「小諸そば」はここまでのフラッグシップとはまったく違う。
秋葉原のお店で食してみました。
秋葉原のお店で食してみました。
載ってるのはまさかのとろろ。あとのりとほうれん草。
載ってるのはまさかのとろろ。あとのりとほうれん草。
玉子もうずら玉子ですね。
玉子もうずら玉子ですね。
ここまでとは全く違うとろろメインのそば!冬に食べるにはぴったりという感じですが、フラッグシップだけに年中メニュー。しかも「温かい」のみ。なぜ「とろろそば」ではなく「小諸そば」になったのか…。そういえばコレ、チェーン好きのバイブル漫画「めしばな刑事タチバナ」にも出てたなあ。
京橋恵み屋(京橋)
続いてのフラッグシップそばは「京橋恵み屋」。今回唯一のノー券売機、しかし基本は椅子なしのリアル立ち食い店。夜は立ち飲みも出来ます。
店頭にメニューが…。おや?
店頭にメニューが…。おや?
そばの種類としての店名を冠した「恵みそば」がある。
そばの種類としての店名を冠した「恵みそば」がある。
こちらは「恵みそば」「ダッタンそば」「田舎そば」の三種類のそばがあり、それを注文する形のお店。こちらの恵みそばはその時期の美味しいそばの実をブレンドして作ったという十割蕎麦で、ここまでのトッピングによるフラッグシップ化を計るというより、まさしくコーヒーのオリジナルブレンドに近いですね。

恵みそばを頼むと出てきたのはこちらのもりそば。冬だろうと麺を味わうならやっぱもりですな。
ここまでのそばと比較するといたってシンプル。
ここまでのそばと比較するといたってシンプル。
ちなみにこれ普通盛りです。けっこう山!
ちなみにこれ普通盛りです。けっこう山!
細めの麺をズルッといただくと…美味い!ここまでトッピング系ばっかだっただけに、そばの味と食感がしっかり。しかもこの量の多さが絶妙。これはシンプルにしてフラッグシップの価値ありだなあ。
よもだそば(日本橋)
そして最後に来たのは日本橋の「よもだそば」。上の「恵み屋」からふらふら歩いてみつけたんですが…。
都内2軒あるお店。初めて入りました。
都内2軒あるお店。初めて入りました。
あ、でも「よもだそば」はないのか…。
あ、でも「よもだそば」はないのか…。
でも「よもだカレー」はある。
でも「よもだカレー」はある。
そば屋なのにあるのは「フラッグシップカレー」。なんで?でもとりあえず「よもだカレーと半たぬきセット」を頼んでみた。まあいわゆる「そば屋っぽいカレー」が出てくるのかな?それがやって来たのはまさかのインドカレー!
知らずに頼むとスパイシーな香りに驚かされる。
知らずに頼むとスパイシーな香りに驚かされる。
チキンも普通そば屋に出てくるやつじゃない。
チキンも普通そば屋に出てくるやつじゃない。
いやあ、これは驚いた…しかも皿の感じこそ普通の「そば屋のカレー皿」だけども、味は間違いなくインドカレーでしっかり辛くてスパイシー。うまいうまい。しかし立ち食いでインドカレーってなんか違和感あるなあ…。でも帰りがけに看板を見返したら納得した。
そういう店だったのか。じゃあ仕方ない!
そういう店だったのか。じゃあ仕方ない!
そば屋のフラッグシップメニューもいろいろだなあ。しかし一軒くらい「立ち食いなのに1000円くらいするフラッグシップメニュー」とかあるかと思ったら、そういうのは見あたらなかった。見たこともないよな天ぷらとかドカドカ入ってるの。まあ立ち食いにそういうお高いヤツ求めてないけどね!

冷たいそばの方が好きなので早く暖かくなれ!
冷たいそばの方が好きなので早く暖かくなれ!

普段食べないメニューを食べるのもいい

フラッグシップそば定番のわかめ・玉子・たぬき。この中でわかめは特に普段食べることがないので、すっかりわかめ充になりました。そそういえば最近立ち食いそば屋に「ゲソ天」の波が来てる気がします。
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