特集 2013年2月2日

忍法パノラマ分身の術

デジタル忍術だって簡単。そう、iPhoneならね。
デジタル忍術だって簡単。そう、iPhoneならね。
去年秋に携帯をiPhoneにした。話には聞いていたがiPhoneのカメラは写りが非常に良い。昼食のラーメンを撮ったり、驚異的な長さの鼻毛が抜けた時の証拠写真に使うにはオーバースペック過ぎるぐらいだ。
特に気に入ったのはiPhoneを動かして撮るパノラマ撮影なのだが、撮影してる最中にふと気付いたことがある。動いているものを撮ると、妙な写り方をしたり、消えてしまったりするのだ。
これで、もしかしたらアレができるのではなかろうか。
1973年京都生まれ。色物文具愛好家、文具ライター。小学生の頃、勉強も運動も見た目も普通の人間がクラスでちやほやされるにはどうすれば良いかを考え抜いた結果「面白い文具を自慢する」という結論に辿り着き、そのまま今に至る。(動画インタビュー)

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> 個人サイト イロブン Twitter:tech_k

パノラマで変な画像撮りの術

ちなみにパノラマ撮影というのは、iPhoneを矢印の向きに水平移動させながら撮影する。
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画面の矢印の通りiPhoneを左から右に移動させるのだが、この矢印をタップすると逆方向(右から左へ)のパノラマが取れるようになる。今回の撮影中に発見したTIPSだ。

このパノラマで「動いてるものを撮ると妙な映り方をしたり消えたり」と言われても、どういうことだか分からないと思う。
実例として、こんな感じ。車通りのそこそこある道路を撮影してみた。
消えた例。路肩に止まっている車以外はほぼ消えた。
消えた例。路肩に止まっている車以外はほぼ消えた。
ここまできれいに消せたのは奇跡の一枚に近いが、うまくやれば一応こんな感じで撮れる。
こちらは妙な映り方の例
こちらは妙な映り方の例
車の速度やiPhoneの動かし方にもよるが、動いてるものはだいたいこんな感じで写る。ワンボックスがメルセデスのスマートになったり、チョロQになったり、なんかよくわからない四角になったりする。

パノラマ撮影モードでは、iPhoneを平行移動させながら撮影していき、一瞬前の画像といま現在の画像を比較しながら合成しているんだと思う。
で、前後の画像の間で食い違っている部分は互いに補足しているので、動いているモノが無かったことにされたり寸詰まったりするのだろう。

分身の術の原理説明の術

…というような事は実のところどうでも良くて、この仕組みを使えばアレが出来るじゃないかという話がしたいのだ。
移動してるところは写らず、一瞬止まれば写る。そう、これはまさに『分身の術』の原理ではないか。
分身の術イメージ図
分身の術イメージ図
原著が手元にないのでうろ覚えで恐縮だが、白土三平の『サスケ』においての分身の術は、高速で移動→一瞬だけ動きを止める→またすかさず移動する、を繰り返す。すると動きを止めたところだけ残像が残るので、目の錯覚で分身して見える、というものだった。

しかし、そんな忍者の身体能力に頼らなくても分身の術は可能なのだ。そう、iPhoneならね。

分身メカ購入の術

…という企画を昨年末に思いついていたのだが、それを実現するには少し問題があった。
人手が足りなかったのだ。友人に「分身の術をするから撮影手伝って」と頼むには年末年始が慌ただしすぎた。
かといって、自分でiPhoneを手で動かしてパノラマ撮影しながら、かつ自分がそこに写る、というのはエクストリームに過ぎる。というかそれが可能だとしたら、もう分身の術、出来てるだろう。

困っていたところ、知人のカメラマンさんから面白いものを教えてもらった。スマートフォン専用の『360度パノラマ撮影雲台』というやつで、スイッチを押せば電動でぐるーりと回転してくれるのだ。
電動パノラマ雲台。真ん中の白いスイッチを押すと回転する。
電動パノラマ雲台。真ん中の白いスイッチを押すと回転する。

これを三脚に据え付けてiPhoneを載せれば、パノラマ撮影はこいつにお任せできそうだ。これはありがたい。
そんな特殊な機材は高いんじゃないかと思ったが、Amazonで1980円だった。これまたありがたい。

忍者であると押し通す術

というわけで、天気の良い日を選んで分身することにした。
忍者です
忍者です
分身するからには、やはり忍者である必要性がある。
当サイトにおいては、過去にさくらいさんが忍者衣装の自作という記事を書いておられた。
あの偉大なチャレンジから僕が学んだことは「ギリギリそれっぽく見えてさえいれば、あとはメンタルでなんとかなる」ということ。
自信を持て。いま僕は忍者だ。
忍者、自宅マンションの屋上で分身撮影用の機材設営中。
忍者、自宅マンションの屋上で分身撮影用の機材設営中。
段ボール製のレンズ位置確認用矢印は自作(これが結構役立った)
段ボール製のレンズ位置確認用矢印は自作(これが結構役立った)
準備にあまり時間をかけると、自分が忍者であると信じる心がしわしわと崩れてきそうなので、急いで分身を開始する。
というか、今この記事を書きながら写真を確認しているのだが、正味の話、撮影中なぜ自分がこの格好を忍者と言い張れたのかよくわからない。自分のメンタルの強さに驚きを隠せないでいる。
眉毛の辺りに強い自信を感じる。我ながらどうかしてた。
眉毛の辺りに強い自信を感じる。我ながらどうかしてた。

いよいよ分身の術の術

電動で回転するカメラのレンズに向かって忍者っぽいポーズをとって一時停止、そしてレンズを追い越すように素早く移動して、またポーズ、を繰り返す。現代版分身の術が、これだ。
結局30分ほどで心が折れたので、そこまでで撮影できた僕の分身を見ていただきたい。
結局30分ほどで心が折れたので、そこまでで撮影できた僕の分身を見ていただきたい。
結局30分ほどで心が折れたので、そこまでで撮影できた僕の分身を見ていただきたい。
iPhoneパノラマの回転角は240°なので、電動雲台がそれだけ回転するうちに何回レンズの前に立てるかが勝負である。これが意外と難しく、タイミングよくレンズを追い越せないと妙な写り方をしてしまうのだ。
何回かやっているとコツがつかめてきて、3体分身ならまず失敗はしなくなってきた。
4体分身の術その1
4体分身の術その1
4体分身をやろうとすると少し焦りが出るのか、忍者と忍者の間に何か妙なパーツがはさまったりするようになる。が、なんかそれも忍術っぽいので悪くないかもしれない。
4体分身の術その2
4体分身の術その2
間で身体がぼんやり消えているが、これまた忍術に見えないこともない。その辺は強気で押し切ろうと思う。これは忍術だ。
5体分身の術
5体分身の術
結局のところ今回の挑戦で達成できた最大の分身数はこの5体分身だった。撮影中はもうちょっと増やせるかなと思ったのだが、いま写真を見ると忍者と忍者の間がけっこう詰まっている。分身渋滞だ。この辺りが限界かもしれない。

腕も伸びるよ!
腕も伸びるよ!

iPhoneのパノラマは分身に使わなくても、超広角の写真が撮れるのですごく便利だ。上下に振ればスカイツリーの根元からてっぺんまで一気に撮影することもできるのだ。

あと、腕をカメラの回転に合わせて動かせば「ゴムゴムのあれ」みたいな写真も撮れるので、みんなもっとパノラめばいいと思う。
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