特集 2013年1月28日

別物?「チーズ鱈」と「チータラ」の違い

よくよく見ると、不可解な点がある
よくよく見ると、不可解な点がある
魚のすり身シートでチーズを挟んだ細長い珍味があるだろう。「ああ、チーズ鱈ね」と思った方もいるだろうし、「チータラのことでしょ」と思った方もいると思う。 そして、ここまで読んで何の違和感も感じない方も多いのではないだろうか。それは、チーズ鱈とチータラとを特に区別していないからだと思う。

私もつい先日までそうだった。しかし、よくよく観察したところ、気づいたことがあったのだ。
1973年東京生まれ。今は埼玉県暮らし。写真は勝手にキャベツ太郎になったときのもので、こういう髪型というわけではなく、脳がむき出しになってるわけでもありません。→「俺がキャベツ太郎だ!」

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よくよく見ると違うものたち

「チーズ鱈」と「チータラ」。ロングセラーゆえすっかり当たり前の存在となったが、改めてよく見てみよう。
同じものだと認識してる人も多いと思う
同じものだと認識してる人も多いと思う
中には「『チーズ鱈』を略して言った愛称が『チータラ』」と認識している人もいるのではないだろうか。しかし写真の通り、別のものとして販売されている。

そこで出てきそうなのが「似たような食べ物だけどメーカーが違う」という考え。
メーカーは共になとり
メーカーは共になとり
見た目も変わらない
見た目も変わらない
ありそうな考えだが、製造元は両方「なとり」。いわゆる類似品の類ではないのだ。

ではこの2つは同じものなのか。詳しく確認するために、裏面の表示を見てみよう。
チータラ
チータラ
チーズ鱈
チーズ鱈
注目するのは「原材料名」の欄。最初にあるナチュラルチーズは共通だが、その次にあるものが違う。チータラが「魚肉すり身(たら、ホッケ)」であるのに対して、チーズ鱈は「鱈すり身」とシンプル。

表の上にある囲みも、チータラが「魚肉のシート部分に…」と始まるのに対して、チーズ鱈は「鱈のシート部分に…」となっている。
ここでも「魚のすり身」
ここでも「魚のすり身」
こちらは「鱈のすり身」
こちらは「鱈のすり身」
製品の説明文でも、きっちりと書き分けてある。商品名は共になとりの登録商標とのことだが、チーズ鱈の方が番号が若いので、こちらの方が先に発売した商品なのだろう。
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2つとも同じ店で買ったが、100g当たりの値段はチーズ鱈の方が100円も高かった。それを踏まえて、実際に食べて味を比べてみる。

…やっぱりチーズ鱈の方がうまい!となればよかったのだが、家族に協力してもらい、どちらか明かさず食べてみたところ、さっぱり当たらない。個人的には安いチータラの方で十分なのかもしれない。

「言われてみたら別物」と意外に感じがちな食品は他にもあると思う。
漢字の有無が違う
漢字の有無が違う
「サクマドロップス」と「サクマ式ドロップス」だ。商品名としては「式」があるかないかの違いがある。
いくつか違いが読み取れる
いくつか違いが読み取れる
名前以外には、まずメーカーの違いがある。サクマドロップスは「サクマ製菓株式会社」、サクマ式ドロップスは「佐久間製菓株式会社」が作っている。

社名や商品名は、裁判などを経て現在の状況にあるようだ(参照)。では中身はどうだろうか。
各味1人ずつ、整列!
各味1人ずつ、整列!
「サクマ」が鮮やかなのに対して、「サクマ式」は粉っぽいという違いがある。あくまで推測だが、見た目の美しさと、くっつきづらさと、優先させた点が違うのかもしれない。

2列に並べたうち1列目の味は、左からイチゴ・レモン・オレンジ・パイン・リンゴ・ハッカで共通。色味からも読み取れるが、2列目の2つの味が違う。
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方向性が違うラインナップ。フルーツを貫くサクマに対し、チョコという異端を入れてきたサクマ式。苦手な子供も多そうなハッカは両方に入ってるので、そこをポイントにして選べないのも留意点だ。

また別の角度から違いがあるものもある。
右に行くほどカロリーが低い
右に行くほどカロリーが低い
ハーフやライトという言葉からもわかるように、カロリーに違いがある3つのマヨネーズ。何気なくそう思う人も多いと思う。
カロリーは表面のふれこみ通り
カロリーは表面のふれこみ通り
「キューピーマヨネーズ」と比べて、「キューピーハーフ」はカロリーが半分、「キューピーライト」は約4分の1。パッケージの表面にそう書いてあることは、栄養成分表示を見てもしっかり確認できる。

商品のアピールポイントなので、ここまでは誰でもわかっていると思う。
それぞれの「名称」に注目
それぞれの「名称」に注目
法律で定められている「食品表示」の部分をよく見てみよう。それぞれ違う商品なので、原材料が違うのは当たり前だが、その上にある表示の1行目「名称」の部分も違っているではないか。

「マヨネーズ」はストレートに「マヨネーズ」。それに対して「ハーフ」は「サラダクリーミードレッシング」というわかったようなわからないような名前。「ライト」は「半固体状ドレッシング」と、これまた聞き慣れない言葉だ。
特に考えずどれもマヨネーズだと思っていたが、正しくマヨネーズを名乗っているのは1つだけ。規格の違いは農林水産省のページに載せてある資料で確認できる。(参照)
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細かい違いはさらにたくさんあるが、大まかなところではこういうことになる。改めてマヨネーズは油が65%以上という割合にドキドキさせられる。

同様の違いとして、こんな例もある。
かつおぶし…だよね
かつおぶし…だよね
個人的には両方とも、これまでずっと何も意識せず「かつおぶし」と呼んできたものだ。こちらも食品表示をよく見ると、違いがあるのがわかる。
なんかややこしいぞ
なんかややこしいぞ
先の写真で左側の「かつおパック」は名称が「かつお削りぶし」で、右側の「ソフトけずり」は「かつおかれぶし削りぶし」となっている。

そう言われてもピンと来ない。交代に読んでいると早口言葉のようにも思えてくる。

さらには原材料名も「かつおのふし」と「かつおのかれぶし」と異なっている。ここにポイントがありそうだ。調べてまとめると、こういうことになる。
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手間がかかっている分、一般的にかれぶしの方が高級品。今回のものも内容量はほぼ同じだが、値段は「ソフトけずり」の方が1.5倍ほど高かった。

表示はないが、同じ食べ物でもよく見ると違いのあるものもある。
共に「マイク」という名のポップコーン
共に「マイク」という名のポップコーン
同じ会社が出している同じ名前のポップコーン。味つけがバター醤油とキャラメルという違いがある。それはわかるのだが、袋を開けてみると味付け以外の違いが漂ってくる。
なんか違うぞコーン
なんか違うぞコーン
左の方はよく見る普通のポップコーンという感じであるのに対し、右のは少々違う気がするのではないだろうか。妙にコロコロしているのだ。
弾けっぷりがずいぶん違う
弾けっぷりがずいぶん違う
それぞれから違いのよくわかる形の粒を取り出してみた。左の方は「バタフライ型」と呼ばれるタイプで、こちらの方をよく見かけると思う。

右のは「マッシュルーム型」。この商品のように、キャラメルなどのコーティングタイプの味付けをする際に選ばれることが多いようだ。

形を確認した上で食べると、確かに食感も違う。まさに「豆」知識だ。

最後に比べてみるのはロングセラーのこの商品。
安心のおいしさの定番品
安心のおいしさの定番品
森永製菓の「チョイス」と「ムーンライト」。チョイスは1937年に発売、ムーンライトでも1969年だから、ずいぶん長い間立派に生き残っている商品だ。

しかしこの2つ、パッケージをよく見ると不思議なことに気づくのだ。
共通する「ビスケット森永」の表示
共通する「ビスケット森永」の表示
でもムーンライトの方は「森永クッキー」
でもムーンライトの方は「森永クッキー」
両方の箱で「ビスケットは森永」とアピールしているのが確認できる。別の部分でもチョイスには「森永ビスケット」と書いてあるので問題ないのだが、ムーンライトには「森永クッキー」とあるではないか。

共にビスケットであるように読めつつ、よく見ると片方にはクッキーの表示。どういうことだろうか。
食品表示欄でも違ってる
食品表示欄でも違ってる
食品表示の「名称」を確認してみる。ここでもチョイスはビスケットであるのに対し、ムーンライトはクッキー。何か基準があって分類してると推測できるが、ではなぜ両方に「ビスケットは森永」の表示があるのか。

この謎については、メーカーである森永製菓のサイトに解説があった。ビスケットとクッキーは同じ意味であるが、菓子業界では糖分や油分が多めで手作り風のものをクッキーと呼んでもよいという決まりがあるらしい。(参照)
クッキーである右側の方が手作り風…なのか
クッキーである右側の方が手作り風…なのか
さらに詳しい定義は、「全国ビスケット協会」という一般社団法人が、自主規制ルールとして定めた公正競争規約の中にあった。(参照)
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細かい違いは他にも定義があるが、大まかなところではこういうことになる。

そういうことで、「ビスケットは森永」の表示がありつつクッキーを名乗るのは矛盾しない、というわけだ。

キューピー3兄弟は微妙に色が違う
キューピー3兄弟は微妙に色が違う
よくよく調べると、同じように思っていた食品にも、意外な違いがあることがわかった今回の考察。今後、商品選びの参考にすることもあるかもしれない。

キューピーのドレッシング3種を食べ比べてみると、個人的には脂質の割合が最も高いマヨネーズが一番好み。やっぱり油の魅力には抗いがたいと改めて感じた。
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