特集 2013年1月10日

選挙カーのラジコンを作ってみた

こういうのあってもいいよなぁ
こういうのあってもいいよなぁ
選挙カーのラジコンがあってもいいんじゃないか?
そんなことを思ったので、作ってみた。
鳥取県出身。東京都中央区在住。フリーライター(自称)。境界や境目がとてもきになる。尊敬する人はバッハ。(動画インタビュー)

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選挙カーの思い出

子供の頃、選挙がはじまって町に選挙カーがウロウロしだすと、ぼくはワクワクしていた。
選挙カーに乗ってる人は、手をふると必ずふり返してくれるので大好きだった。
必ず手をふってくれる
必ず手をふってくれる
遠くから選挙カーの声が聞こえてきたら、まっさきに家を飛び出して手をふっていた。

とくに「小さなご声援、ありがとうございます!」なんて言われたりなんかしたらもう、深夜ラジオで投稿が読まれたぐらいのうれしさはあった。

子供に選挙カーのかっこよさを伝える

誰にでもわけへだてなく接する(選挙中は)博愛主義を体現したような選挙カーは、かっこいい。

とうぜん、子供も好きなはずだ。

息子(7歳)に「選挙カーってかっこいいよね?」とたずねたところ「え?選挙カー?うーん」という煮え切らない答えが返ってきた。
うーん
うーん
そうか、まだかっっこよさがわからぬか。ではラジコンの選挙カーを作ってその良さを教えてしんぜよう。

救急車を改造してあげる

救急車って英語でアンビュランスって言うのかー
救急車って英語でアンビュランスって言うのかー
息子は選挙カーをあまり見たことが無いからそのかっこよさがわからないのだ。たぶん。ラジコンで選挙カーを作って、それで遊べば選挙カーのかっこよさに開眼するはずだ。
パソコンで看板部分を制作
パソコンで看板部分を制作
ビックカメラでいちばん安かった救急車のラジコンを買ってきて、そのラジコンに看板を付けて選挙カーに改造したい。

パソコンで看板の部分を制作し、プリンタで打ち出したものを、厚紙に貼り付ける。とくに難しい作業ではない。
すぐにできた
すぐにできた
はい完成
はい完成
看板の中のガムテープが見苦しいこと以外は、けっこう本物っぽくできて自分でも驚いた。
なんだか楽しくなってきた。いやー、工作って楽しいですね。

子供もあっさりかっこよさを認める

完成した選挙カーを見せながら、息子に改めて「どう? 選挙カーかっこいいでしょ?」ときいてみた。

息子は満面の笑みで「うん、うん! かっこいい、かっこいい! はやく遊びたい!!」と、興奮気味に答えてぼくからラジコンを奪い取った。
はやく遊びたい!
はやく遊びたい!
ただラジコンで遊びたいだけのような気もしないでもないが、わかってくれたと思いたい。お父さんはうれしい。

しかも、息子から看板の上に人形を乗せたいという積極的な提案があった。

確かに、あそこに人が乗って演説することもある。わかった、乗せてあげよう。
ジャジャーン
ジャジャーン
警官と清掃員。これしかなかったので仕方がない、まあ、このへんはおおめに見ていただいて、お許し願いたい。

意外とはずかしいぞこれ

さっそくこのラジコンを外で走らせてみたい。あいにく雨が降っていたので、近所の公園の屋根のある場所で走らせてみる。
わーい
わーい
ところが「自分の名前を書いたラジコンを人前で走らせる」と「はずかしい」という、思いもよらなかった感情がむくむくと頭をもたげてきた。

ネットで署名記事を書いているくせに、いまさら何を言うかとお思いの方もいらっしゃるかもしれない。

しかし、ネットで実名を出すのと、立候補もしてないのにラジコンに自分の名前を書いて公園を走らすのではずいぶん違う。
見つめつつも無視する都会の子供たち
見つめつつも無視する都会の子供たち
近所の子供も明らかに「この親子、おかしなラジコン走らせてるなー」という眼差しで一定の距離を保ったまま近づいてくることはない。さすが都会の子、警戒心の強さはプレーリードッグに勝るとも劣らない。

子供に冷たい目で見られると、はずかしさをこえて、かなしみさえ漂ってくる。
もう、よかろうて……
もう、よかろうて……
小林秀雄は「モオツァルトのかなしみは疾走する。涙は追いつけない」と言ったそうだけど、自分の名前をラジコンで走らせても、かなしみは疾走するということがわかった。

もうちょっと、タフで野性的な選挙カーがあってもいい

はずかしさを超え、かなしみさえ感じてしまったぼくの選挙カー。一体なにが失敗だったのか?

思うに、ベースにした救急車が悪かったのかもしれない。
病人やけが人を運ぶという、陰陽で言えば陰の属性を持った車両をベースにしたのがまずかった。

選挙活動という陽気で健康的な雰囲気には不釣り合いだったのかもしれない。
悪路に挑戦するも
悪路に挑戦するも
立ち往生
立ち往生
ためしに、樹の根元や茂みを走らせてみようとしたところ、疾走するどころか悪路に負けて立ち往生してしまった。

こんなとき、どんな悪路でもぐいぐい進む、もっとタフで野性的な選挙カーがあれば、かなしみなんて吹き飛んでしまうのではないか?

ということで、タフで野性的な選挙カーを作った。
ジャジャジャーン
ジャジャジャーン
ぼくは車にあまり詳しくないのでよくわからないが、これたしかハマーっていう車じゃないだろうか? これだけ車高が高ければどんな悪路でもへっちゃらなはずだ。

ペットみたいな感じになってきた

さっそく悪路の多い公園に行って、選挙カーを走らせてみた。

悪路にも強くなったぼくの選挙カーは凸凹の多い草むらや石畳を物ともせず、元気に駆けまわる。
凹凸の多い石畳を疾走するハマー選挙カー
凹凸の多い石畳を疾走するハマー選挙カー
選挙カーと戯れる子供
選挙カーと戯れる子供
選挙カーに興味を示す女の子
選挙カーに興味を示す女の子
選挙カーのラジコンと一緒に息子が駆けまわる。

こんなシーンどこかでみたことある……そうだ、子供と一緒に飼い犬を散歩させにきた日曜日のお父さんだ。
鼻デカ写真
鼻デカ写真
そう思ってよく見ると、選挙カーがなんだかパグ犬みたいに見えてきた。あれ……かわいいかもしれない。
根っこを超えるぞ!
根っこを超えるぞ!
うんしょ、うんしょ。
うんしょ、うんしょ。
ガー(ハマって動けなくなった)
ガー(ハマって動けなくなった)
んもー、しょうがないやつだ。

結論「選挙カーはかわいい」

ほのぼのホームビデオみたいになった
ほのぼのホームビデオみたいになった
息子に選挙カーのかっこよさを教えるつもりで作りはじめた選挙カーのラジコンだったが、実際に作って走らせてみると「かっこいい」から、はずかしさやかなしさを乗り越えて、まさかの「かわいい」の地平に到達してしまった。

ぼくの名前を背負って懸命に木の切り株を乗り越えようとする姿は、じつに健気で愛くるしい。

しつけのできていない飼い犬のことをはじたり、愛嬌を振りまいているにもかかわらず無視されるかなしさ、そしてかわいさは犬も選挙カーも一緒なのだ。
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