特集 2013年1月8日

謎の芋、「菊芋」を食べる

ショウガじゃないんです。
ショウガじゃないんです。
以前、茨城県のつくば駅を利用した際に、構内のお店で大量のショウガが売られていた。
「つくば市ってショウガで有名だったかな?」と思い、よくよく見てみるとそれはショウガではなく「菊芋」という初めて見る種の芋だったのだ。
1985年生まれ。生物を五感で楽しむことが生きがい。好きな芸能人は城島茂。(動画インタビュー)

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つくば駅の様子がちょっとおかしい

それから数年の時を経て、「そういえばあの芋ってどんな味なんだろう?」と思い立ち、再びつくば駅へと向かった。
こちらがそのお店。
こちらがそのお店。
つくば市およびその周辺の名産品を販売しているようなのだが、ところどころがなんかおかしい。
なんか可愛らしい漫画調のイラストが。
なんか可愛らしい漫画調のイラストが。
これが噂の「萌え」というやつか。
そういえばこれ、はじめてつくば駅を利用した当時から貼ってあったわ…。もう四年くらい前だと思うんだけど。
バラの花のポップにも。
バラの花のポップにも。
店頭で販売されている生花にもやたら本格的なイラストが。既存のキャラクターなのか、はたまた店員さんが書いているのか。
いずれにせよこのお店はこういう戦略で攻める方針のようだ。
「愛の、スイーツ。」句点の打ち方がエロい。
「愛の、スイーツ。」句点の打ち方がエロい。
このお店の広告だけではない。構内のコンビニに併設されているお土産コーナーにも、ややニッチな層を狙い撃ちにする商品が。イケメンのスマイルがまぶしいこちらの「純愛つくば」なるお菓子はつくば駅のお土産ランキング第二位らしい。試しに購入して食べてみたが、餅にチョコレートペーストを包んだ和洋折衷のお菓子で、とても美味しかった。
驚いたことにこの純愛つくばに限らず、こういった漫画調のイラストを前面に押し出したお土産がいくつも販売されていた。つくばはどこへ向かっているのか。
あっ、そういう…。
あっ、そういう…。
不思議に思っていると目に入ったつくばエクスプレスの運賃表。終点は秋葉原だった。
学園都市つくばとジャパニーズカルチャーの聖地秋葉原を最短45分で結ぶつくばエクスプレスはさっそく、つくば市の文化面に革命をもたらし始めているようだった。

やっぱりショウガにそっくり

かなりお話が脱線してしまった。目当ては芋だ。菊芋だ。早速店頭に並ぶバスケットを覗くと。
あった。
あった。
よかった、今回も売られていた。皮のまま調理できるという説明もある。
ヤーコンも!
ヤーコンも!
珍芋仲間のヤーコンもある。次はこれを買いに来よう。
左がショウガ、右が菊芋。
左がショウガ、右が菊芋。
さて、上の写真の右側に映っているのが今回購入した菊芋である。見れば見るほどショウガに似ている。ぱっと見ただけでは芋とは思えない。
が、実際にショウガ(写真左側)と並べてみると、全体的に角ばっている点などの差異が見えてくる。
左がショウガ、右が菊芋の断面。
左がショウガ、右が菊芋の断面。
輪切りにしてみると違いがはっきりする。ショウガは黄色みがかっているが、菊芋は白くみずみずしい。見た目には梨の果肉のような印象を受ける。
実際、生でかじってみたところ、シャキシャキしゃりしゃりとしていて、梨を少しだけ硬くしたような食感であった。味は意外にもほんのり甘く、少し土の香りがした。健康的で素朴なおやつという感じで、なかなか美味しかった。
生の状態でこの味なら、調理しても良い結果が出そうだ。

芋っぽくない

とりあえず蒸かしてみました。
とりあえず蒸かしてみました。
生でかじっておきながら今更こんなことを言うのもどうかと思うが、素材の味をしっかり味わうべく、まずはとりあえずふかし芋にしてみた。
トロトロになった。
トロトロになった。
手に取った瞬間に違和感を覚える。柔らかいのだ。
同じように蒸かしたサツマイモやジャガイモと比較するとかなり頼りない。かじってみても他の芋類のようなホクホクした食感は無い。とろっとしていて煮込んだ玉ねぎのようだ。甘みも玉ねぎのそれを思い起こさせる。蒸かしただけでこんなに甘くなるのか…。

こう書くと、いかにこの菊芋が他の芋たちと一線を画した存在であるか想像できると思う。強いてその味を他の芋で例えるなら、甘みはサツマイモに近いが、香りは山芋のムカゴに近いといった印象である。
きんぴら菊芋
きんぴら菊芋
生でかじった食感がシャキシャキしていたので、「きんぴらにしたらレンコンみたいでおいしいかも…」と思い立って作ったきんぴら菊芋。
しかし、予想とはだいぶ異なるものが完成した。しなっとしていて思っていたほどシャキシャキしないのだ。熱を加える時間が長すぎたのかもしれない。
ふかし芋に比べると多少ホクホクはするが、かなり水気が強く、柔らかい仕上がりだ。やはりほんのり甘くておいしく、こういうきんぴらもアリだなと思った。
菊芋チップス。
菊芋チップス。
店頭の広告曰く、「揚げてもよし」とのことだったのでポテトチップスを作ってみた。
ポテトチップスにしてもなお、柔らかい。焦げる寸前まで揚げてもくにゃくにゃの食感。ジャガイモなどに比べて水気が多すぎるため、ポテトチップスには向いていないようだ。今度は丸揚げにしてみよう。味もやはり甘みが強く、玉ねぎっぽい。芋風味の玉ねぎだ。

新しい食材は料理の終着点が見えない

食材のレポートとしてこんなことを書くのはかなりまずいのだが、結局今回は「これが正解!」と自信を持って推せる菊芋の料理法に辿り着けなかった。はっきり言ってなめていた。「しょせん芋は芋。料理法なんていくらでもあるさ。」と高をくくっていたのだ。
しかし、味も食感も、「芋」というジャンルで扱うには新しすぎた。面白い食材だったのに、その活かし方を見いだせなかったのは悔しい。
だが素材の味自体は良いので、地道に研究を重ねるか、料理のセンスに富んだ人が扱えばおいしいものができることは間違いないだろう。また、そういうレシピが公開されれば、食材として日本中に広く普及する日も近いだろう。応援してるぞ!頑張れ、菊芋!!
菊芋の隣で売られていた発酵肥料。プレゼントに肥料という新機軸。
菊芋の隣で売られていた発酵肥料。プレゼントに肥料という新機軸。
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