さて、こんな特徴を持つユポ紙。いったいどんな経緯で作られたものなのか? 製造元のユポ・コーポレーションさんに聞いてみました。
「もともと、折れても元に戻らない紙を作ろうとしていたわけではないんですよ。森林資源を守る目的と、耐水性や強度の高い紙を……ということで、木材などのパルプを使用せずに作られた紙なんです。原材料はゴミ袋などにも使われているポリプロピレンなので、どちらかというとフィルムに近いのですが、特殊な加工を施して筆記がしやすいようにしています」
――それじゃ、投票用紙に採用された経緯というのは……?
「普通の紙ですと折り曲げることによって繊維が切れてしまうので元に戻らないのですが、ユポは繊維を使っていませんので元の形に戻る性質があります。そこで、折り曲げて投票箱に入れても中で自然と開くから開票作業がやりやすい……ということから採用されることになったようです」
――投票用紙以外だとどんな用途に使われているんですか?
「耐水性や強度が高いので、屋外に掲示される選挙ポスターなどにも使われていますね。他には耐水性を求められるステッカーやラベルなど……要は紙なので、本当に様々なところに使われていますよ」
――丈夫さなどもそうなんですけど、ボク、あの書き心地と手触りの良さがすごく好きで……。
「木材パルプなどを使う紙と違って、表面を特殊加工しているので、書き味や触った感じが調整しやすい、というのもあるかもしれませんね」