発掘
手品の道具集めは小学2年生の時から始まった。
今41なのでかれこれ30年以上になる。
私のコレクション歴の中でも特に歴史が古い。
ものすごい中途半端な手品コレクション。
私は中途半端に物を集めてしまう癖がある。
「集める」というより「気付けば集まってた」という感じ。
コレクションもその道一筋、脇目も振らず徹底して集めた物は良いものだが、私の場合は中途半端で、その上捨てるのも苦手。処分しようと思って手に取ったつもりがいつの間にか見入ってしまい、「もう少し取っておこうかな…」と言ってまた箱に収めるのがお馴染みのパターンだ。
つい先日も、
「収納スペースも手狭になったことだし、いい加減手品道具処分するか!」
と思い立って箱を開いたところ、やけに古いのが出てきた。
右上に55.4と書いてある。昭和55年4月のだ。
日本奇術連盟(JMA)という老舗メーカーの昭和55年(1980年)のカタログが出てきた。親父がデパートでもらってきてくれたもので、猛烈な懐かしさが込み上げてきた。
小学生だった当時、これを隅から隅まで読んだのだ。
持ってるものに印が付いている。と言っても小学生の財力では値段の安いもの数点だけ。カタログは値段の安い順に並んでいる。
なぜか各ページ毎に合計金額を書いた斎藤少年。
36番の「鎖手錠」がすごく欲しかった。その頃テレビでは引田天功(初代)が脱出する系のマジックをよくしていて、私のような子供たちに影響を与えた。
白かったスポンジウサギ
上のカタログにも載ってる手品道具のひとつ、「仲の良いウサギ」があった。買ったのはカタログと同時期、昭和55年前後だと思う。古めかしさが半端じゃない。
時代を感じさせるレトロなデザイン。
手品用品としては定番中の定番。ウサギのカタチのやわらかいスポンジが、手の中で増えたり消えたりする。
が、箱をいじっていたら中から粉が…
開けてびっくり
ポロポロのミイラみたいなウサギ(だったもの)が出てきた。
真っ白なスポンジのウサギだったのが、指で軽く押しただけで粉になる塊と化していた。30年ってこんなに長い時間だったのか…と浦島太郎のラストシーンのような気分になった。
たった30年前だが古文書のような古めかしさ
昭和55年なんてつい最近…と思っていたが、
説明書が思ってた以上に古くて驚いた。
「テーブルマジック(食卓奇術)」と書いてある。
ビンツケ油か飯粒を糊として使えと書いてあったり…
「マヂック」と書いてあったり。もっとも、この古めかしさは日本奇術連盟だったからかもしれないが…。
ウサギ以外の道具は
その他の道具も見ていこう。
が、先に言うと仲の良いウサギほど劇的に変化をしていたものはなかった。
「えにしの糸」という手品道具。
真っ赤だったフサフサが、オレンジのモサモサと化していた。
これは親父が東京のデパートで実演販売してるのを見て、これはすごいと買ってきてくれたものだ。実演販売を見てない自分的にはわりと「ふーん」な手品道具だった。
初めて買った手品道具
小2の時、初めて買ってもらった手品道具、自分が手品好きとなるきっかけなった物も出てきた。
「ダーク大和のたのしいマジックセットNo.1」。4つの手品道具とステッキが付いていた。が、紛失。実家にもまだ幾つかあるので、そちらに置いてきたかもしれない。
ダーク大和って誰だろう?と思って調べてみると、
「奇術界の玉三郎のニックネームで知られる。」(
wikipediaより)とあった。弟子が14人もいたというから相当偉大なマジシャンだったのだろう。(そしてお弟子さんの名前は全員「ダーク○○」)
セット内容。(DPZライターの大北さんにちょっと似てるな…と思いつつ眺める)
これに入っていた4つの手品はいずれも小学生でも簡単にできるもので、クラスのお楽しみ会などで発表し好評を博した。友達も何人か手品道具を買ったりして、ちょっとした手品ブームが来ていた。
特にこの壺はなかなかいい手品だったが、残念ながら今回見当たらなかった。
駄菓子屋で買った手品道具
昔、駄菓子屋などでよく見かけた手品道具もあった。
今だと100円ショップに行けばあるんだろうか?
マジックギロチン。懐かしい~と言う人も多いんじゃないだろうか。
これは当時、友達の90%くらい(主観)がタネを知ってるほどで、有名すぎて手品としては役に立たなかった。
が、ひょっとするとジェネレーションによっては見たことないかもしれないので動画をアップしてみる。
こんな手品。指を切らずにポッキーだけをスパッと切る。
かみさんに見せたら
「今なんか見えた!」
とか言っていたが、あまり目を凝らさないように見てほしい。
マジックプリンター。こちらも駄菓子屋で購入。
これも駄菓子屋にぶら下がってる系手品道具。
同じく友達全員タネを知ってる感じだったが、一応動画をアップしておこう。
千円札を無価値にするマジック。(本当は白い紙をお札に変えるマジックだが間違えた)
手品道具を選ぶ基準
昔、秋葉原の駅前でよく手品の実演販売をやっていた。それをつい立ち寄って見てしまい、見れば必ず欲しくなって幾つもそこで買った。
ケースに入ったサイコロの目を当てる手品。何度でも繰り返し見せられる。
「う~ん、急に目が読めなくなった。」と言ってフタを開けると中には小さなサイコロがジャラジャラ。これには心底驚いて、即座に「そ、それください!!」と購入。
手品の道具は、買うとガッカリするパターンが多い。
タネを知る前はものすごい超不思議現象に見えたものが、タネを知った途端、「なんだこんなことか」と思ってしまうからだ。中身も物だけ見ると値段に見合ってないことが多い。
が、それを誰かにやって見せて友達が何人も驚く様子を見て、後からじわじわと「これは買って正解だったな」と思えるようになる。が、本当に買って良かったと思えたアイテムは数少ない。
ものすごく巧妙にできてるコインマジックの道具。巧妙過ぎて今では仕掛けがあるコインだったか本物のコインだったかわからなくなってしまった。
自分が買った中で今までで一番良かったのは、6色のカードから相手がひっくり返したカードを当てるという手品。一見地味で、第一印象はあまり不思議でない手品だったが、何度でも繰り返しでき、さらに相手に道具を渡して気が済むまで調べさせることができた。そして誰も秘密を見破られない。じわじわと不思議さがにじみ出てくる手品だった。 ( あまりにも気に入ったので「これはいいよ!」と言ってマジック好きの人にあげてしまった)
が、こういう手品道具は稀で、たいていは
・準備が必要で、1回やったら裏で準備しないともう一度できない。
・道具を相手に渡したらタネがばれる。
あるいは相手に道具を渡す時は仕掛けが無いダミーの道具とすり替えて渡すとか。が、そういうテクニックは自分にはない。
これもまぁまぁ繰り返しOKで道具も調べさせることができる。
どんな手品かは動画で。(が、これはあまり何度も繰り返すとバレる)
タネが分かればそれだけで満足
ここからはわりと最近。(と言っても7年前か)
手品をやる機会もなければ、そういう場を作ろうという気もさらさらない。が、つい手品売り場だけは一応チェックしてしまう。
パラパラまんがのようにトランプをめくると絵が動いてカードを当てるだって?!ウソだろ?
これなどは演じる・演じないに関係なく、とにかく仕掛けをしりたくて購入した。
相手がどのカードを選んでもパラパラまんがで当てることができる。すごいアイデアだ。
物を宙に浮かせる現象は昔からある古典マジックだが…
説明を読むと、私が知ってる仕掛けではどうにも不可能な現象が書かれている。ダメだまったくわからない…と、タネを確かめるべく購入。。
ちなみにこれらはタネを知っただけで満足してしまい、まったく一度も試したことがない。
YouTubeマジシャン
ところで今回、YouTube用に久々にやってみたが
・失敗しても何度でもやり直せる。
・ダメな部分をカットできる。
・観客から「もう一回やって」と言われることがない。
・もちろん「道具渡して」とも言われない。
・見られると困るアングルから見られる心配もない。
と、とてもやりやすいことに気がついた。
逆に言うと上記が手品を演じる際に難しく、私などが端から諦めてしまうポイントだ。
これ、やってみるとなんだか気分がいいので、せっかくなのでもう少しお見せしよう。
ハサミで切った美女が復活。 (モバイルイリュージョン)
チラリズムマジック。(じろじろ見られたくない部分は一瞬で…)
いやそもそも動画だったら編集もできるし、合成も使えばどんな超常現象でも再現できるから!という話もあるが、そこは気にしないでおこう。 。
鎖手錠買おうかな…
というわけで、処分しようと思って開いた手品道具だったが、やっぱり捨てるのが惜しくなってしまったどころか、新たにネットで面白そうな手品道具を物色している始末なのであった。
当時はピカピカだったであろう昭和54年の10円玉も入ってた。