お金が無くてもクリスマスには浮かれたい
今年は退職のゴタゴタで花見もスルーし、仕事を辞めてからはゴールデンウィークどころが毎日がお休みで、お盆に帰省することもなく引きこもり、ふと気付けば世間はクリスマスなう。
先月末に、友人と「たまには集まって騒ぎたいね」というメールをやりとりしている時、ついうっかり「そろそろ蚊も出ないだろうし、バーベキューとかどうだろう」という一文を送ってしまったところ、「俺は忘年会のつもりで話をしていたんだけど?」と冷静な返事が返ってきた。
うん、わかってる。12月になった瞬間に寒波がきたので、冬が来たことは理解した。
しかし、確かにこれはちょっとまずい。ひとまずリハビリ的な意味も込めてクリスマスを人並みに体感しておきたい。これはあれだ。治療行為だ。
何かあった時、僕はここにいる。
「工作で困ったら東急ハンズに聞け」というのが、デイリーポータルZの大原則である。
そして、ハンズと同じぐらい僕の中で基本になっているのが「お金が無くて、でも何か作りたい時にはシモジマに行け」なのだ。手芸用品や展示用什器は元より文房具に工作素材まで、なんでもあってなんでも安い。ビバ、シモジマ。
無職なのでお金はないが、クリスマスはしたい。そうか、ならばシモジマに行け。
ほら、クリスマスがあったよ!
ありがとう、シモジマ。
お店に入った瞬間に目の前に広がる「ザ・クリスマス」。ちょっとぐらい気分が沈んでいても、ここにくれば強制的にハッピー気分だ。
そして、さすがにお金がない人の味方、シモジマである。1000円で小さめのクリスマスツリーと、さらに飾り付けをいくつか購入して、お釣りまで来た。
これで僕も自宅できちんとクリスマスを体感できるというものだ。
ありもので作ろうクリスマスツリー
ハンズは何でもあるが、1000円でお釣りが来るクリスマス気分までは置いてないだろう。
早速、自室で購入してきたクリスマスツリーを組み立てる。
ツリーを単品で購入しようとしたら、シモジマの店員さんに「それだけだと飾りが何もないですよ」と言われ、慌てて追加購入した飾りがいま、ちまちまと装着されていく。
緑のツリーに赤い実と金色に塗られた松ぼっくり。鉄板のクリスマスカラー…だけど、このままではちょっと寂しい。
よし、クリスマス完成!これでよし!
…と思ったが、これではちょっと物足りないような気もする。飾り付けが少ないというか、シンプル過ぎるような。せっかくのクリスマスだ、まだもっとハデに浮かれ気分でもいいだろう。
とはいえ、今からもう一回シモジマまで行くのも手間だし、なにより、せっかく「1000円で済んだ!」と喜んでいたところに追加で資本を投入するのは気分が良くない。
実は僕はオモチャみたいなバカっぽい文房具のコレクターで、コレクションの文房具を見せびらかすために
こういうサイトまでやっている。そしていまツリーを組み立てている部屋は、文房具のコレクション保管部屋でもあるのだ。バカっぽい文房具には事欠かない。
ここはひとつ、あるものでなんとか解決しよう!
このボールペン、使えそうだ。
文房具コレクションの棚、検索中。だいたい3000点ぐらいあります。
電飾はボールペンで
10分ほどコレクション棚をがさごそとあさっていると、なんとなくクリスマスツリーに使えるんじゃないか的な文房具をピックアップすることが出来た。
クリスマスっぽい文房具の数々
自分でコレクションしておきながら何だが、正直、うちの棚からこれだけの量のサンタクロースが出てくるとは思わなかった。意識して購入したつもりもなかったのだが、やはりそれだけ世界はサンタクロースであふれていると言うことだろうか。飽和サンタクロース状態だ。
クリップがスイッチになっています。電源オンで
ライトが明滅しながら高速で回転します。
前頁で「使えそうだ」と出してきたボールペンは、軸の後ろに光りながら回転するギミックがついている。
買ってきたクリスマスツリーが寂しいなと思ったのは、この手の電飾がついてないのが大きな要因ではないかと推測してのチョイスである。こういうのがいくつかあればハデな浮かれツリーが作れるはずだ。
電飾ペンは少し探せば文房具屋や雑貨屋で簡単に見つかるもので、バリエーションも多い。
拳を固めたサンタクロースボールペン
身体が光ります。ホタルとサンタの合成生物。
サンタクロースの背中のボタンを押すとパンチを繰り出す『パンチギミックボールペン』ですが、さらに胴体からぼんやりと発光する。
トナカイの赤鼻などに頼ることなく、自らの力で発光するサンタクロース。いろいろな要素を盛り込まないと、サンタクロース文房具の業界も厳しいようだ。
「やあやあ良い子の君たち、プレゼントは何が欲しいのかな」
「悪い子はいねがぁッ!!」
発光サンタボールペン、他にもまだあった。というか、なんにせよ光る必要があったとしても、そこだけは光らせてはいかんだろう。そこを光らせてしまったら、あなたはサンタではなく、怪人だ。
ちなみに、ボールペンの発光ギミックの大多数はペン先がスイッチになっていて、文字を書くためにペン先を紙に押し当てると光る、というもの。そこで、ペンを発光させながらツリーに吊って飾るためにはちょっとだけ工夫が必要だ。
ホットボンドを絞り出して、樹脂の玉を作って
で、それをペン先に押し当ててテープで固定すれば、発光キープ!
固まったホットボンドはグッと押し当ててもペン先を傷めない程度には柔らかく、かつスイッチを固定するのに程良い硬さなのだ。大きさも自由自在に作れて便利。
コレクターとは、他の役には立たないこんな感じのノウハウの塊なのだ。
もっといっぱい飾っていこう
光るボールペンばかり飾っても面白味に欠けるので、光らなくてボールペンじゃなくて、でもクリスマスツリーに飾ると良さげっぽい文房具も色々と出してみた。
クリスマスツリー飾り・クリップの部
クリスマス仕様のゼムクリップと、クリスマス仕様じゃないけどなんとなく飾ったら可愛いかもと思ったダブルクリップ。
ゼムクリップは『D-Clips』という変形クリップのシリーズで、色々な動物のカタチがあるが、この時期はやはりサンタ・ツリー・トナカイのクリスマスセットが、ツリーに飾るのにはありがたい。
クリスマスツリー飾り・のりの部
クリスマスには全く何の関係もないが、小さくて色もクリアで可愛いテープ糊を使ってみたい。ツリーに飾ったらうっかりクリスマスっぽく見えるのではないかというチャレンジメニューだ。
クリスマスツリー飾り・ハサミの部
ハート型のグリップがかわいいハサミ。サイズ的にツリーのてっぺんにくくりつけたら丁度いいのではないかと思ってのチャレンジ。いや、冷静に考えたら文房具でツリーの飾り付けをするって、それ自体がチャレンジだった。
もののついでに、携帯電話のストラップにもなる超小型のハサミも飾ってしまおう。
クリスマスツリー飾り・メモの部
こちらはドンピシャにクリスマス仕様の伝言メモ。シーズン商品はやはりハズレがない。
これは『ku・ru・ru』という伝言メモで、くるりと巻いて使うことで立体オブジェが作れるというものだ。
こんな感じで欲しいプレゼントを書いて
くるっと一回転巻けば
窓の向こうから雪だるまが覗いてる、クリスマス飾りの完成。
これなどは、まさに今回のツリー作りのための文房具と言ってよいだろう。
テープ糊やハサミを飾ろうとして些か怪しいムードになってきたが、このクリスマシーな伝言メモでばっちり取り戻せるだろう。よし、勝った。勝ちましたよ皆さん。
いよいよクリスマスのお出ましだ
飾りは準備できた。あとはもうツリーに吊り下げていくだけである。
おそらく、一番大事なポイントは「文房具をクリスマスツリーに飾っている」というのを忘れて作業することだろう。実際、作業中に何度か自分がやっていることの無意味さを思い出して、心がしんなり曲がることがあった。
せっかく浮かれ気分を味わうためにやっているのだから、とにかく楽しくやり遂げたい。心が痛むのはやった後からでいい。
結束用の針金は、ケースに針金カッターがついてるものがオススメ。
輪っかにした針金をテープで留めるだけ。
あとは枝にどんどん引っかけていけばOK。
クリスマスなクリップも枝に引っかけていく。
クリップはそのままぶっすりと枝に通せばいいだろうと思ったのだが、やってみるとトナカイやサンタが「モズのはやにえ」みたいになって、あまりビジュアルがよろしくなかった。仕方ないので、他と同じく針金の輪っかを貼り付けて飾ることにした。
これは光らないサンタボールペン。
この人は手が自由に動くので、枝にしがみついてもらった。
小さいハサミ。飾ってみると意外とかわいいかもしれない。
ツリーの先端にハート型ハサミ。これもなんとなくイケそうな気がしてきた。
飾っていって分かったのは、「これを飾ってクリスマスっぽくなるか」というのは全くの杞憂だったということ。
たとえハサミだろうと糊だろうとツリーに飾ってしまえば違和感ゼロ。たぶん鏡餅でもしめ縄でも、なんでもツリーからぶらさがっていたらクリスマスになるに違いない。クリスマスツリー最強説。
嘘だと思うなら、次の写真を見ていただきたい。
これが文房具クリスマスツリーだ
オンマウスで、使用している文房具をカウントします。
どうだろう、これはもう間違いなくクリスマスではないか。しかも相当に浮かれてるヤツだ。松ぼっくり以外は全部文房具なのに浮かれツリー。
むしろちょっと浮かれすぎというか、ボリュームが出過ぎてツリーの許容量を若干オーバーしてしまったような気もするが、そのオーバー分だけお祭りっぽい雰囲気も出たので良いかという感じ。
あと、クリスマスツリーに数字が重なるとなんでもアドベントカレンダーっぽく見えるということも今回発見した。単に文房具の数を数えてるだけなのに。
あちこちに見切れているサンタクロース群。
電飾とクリップサンタ。
トナカイと、その背後に忍び寄る怪人。
結果として、文房具でクリスマスはお祝いできる、ということで問題無さそうだ。
ただ、あまりにも大量に吊しすぎたせいで、サンタが木になってるかのように見える、という点だけはマズかったかもしれない。今後はもうちょっとサンタを減らすなりしてバランスを取った方が良さそうだ。