東京はジュースが安い
都内に行くたび思うのだが、東京はジュースが安い。
特価100円で売る自動販売機が、郊外に比べて格段に多いのだ。
はちきれんばかりの威勢で迫る、「全品100円」
最近思ったのだが、この100円の自販機、置いてある場所に法則性がある気がする。駅前ではなく、駅から少し離れたあたりの路地裏で見ることが多いのだ。
駅前だと自販機は、必ず120円。
ということは、これ、100円自販機の位置をたどっていくと、駅を中心にきれいな円を描くんじゃないだろうか。
100円自販機に関する仮説の浮上である。
試しに土地勘のある秋葉原駅で観察してみた。
なぜ秋葉原に土地勘があるのかは聞かないで下さい。黒歴史です。
秋葉原でさっそく100円自販機、発見!!
スタート地点はヨドバシアキバ。
とりあえず南東方向に向かい、ぶらぶらと道を歩いているとそれらしきものが目の前に見えてきた。
おお! これはもしかして!
ペットボトルまで全部100円。太っ腹!!
まずは1つ目の100円自販機である。うれしい。
子供の頃みたいにジュースがワンコインで買えるのだ。お釣りが全部10円玉になってイライラすることも無い。
僕の予想が正しければ、ここから100円自販機をたどって、駅を取り囲むように一周できるはずである。駅を左に見ながら一周してみよう。
第2自販機、発見!
第3自販機、発見。
いい感じだ。いいー感じに、駅から遠巻きの位置に100円自販機が見つかる。
ちなみに、100円自販機には、分かりやすく「100円
」の貼り紙がされていることが多いのだけど、第3自販機は装飾が無く、ただ淡々と100円で売っている自販機だ。こういうタイプは珍しい。
さあ続いて線路の向こう側、電気街で探す。
強い法則性を示す、秋葉原の100円自販機
第4自販機はアニメショップの横。秋葉原ぽい!
第4自販機があったのは、駅から伸びる細い通り道である。
この道、駅から第4自販機までは120円の自販機しかないが、この自販機が現われてから先は、100円自販機がせきを切ったように大量に出現する。
次の角(赤印)まで行くと、100円自販機が大量発生!!
これはすごい!
僕の仮説、「駅からの距離で決まる説」は、けっこういい線いっているかもしれない!
電気街側でもこの説は証明されるのだろうか。さらに電気街の中心部へと分け入っていく!
何かの行列。ぐっと秋葉原らしくなる電気街方面。
完成! 100円自販機の輪!
第5自販機、線路ガードそば。
第6自販機、「肉の万世」の駐車場内。
続々と発見である!
特にこの「肉の万世」(有名な肉屋)の中に100円自販機があったのは、かなりの感激だった。
ここ。道に背を向けて立っているので分かりにくい。
秋葉原の外れに近い場所なので、ちょっと閑散とするのだが、僕の仮説ではこの付近にあるはず!と探したら、予想通りに見つかったので、我ながら驚いた。
同じビルなのに、表通り側にある自販機は120円だったので、自販機界の凄絶な価格戦略のかけひきを感じる。
さて、ここまで見つかった自販機を全部地図に表してみよう。
駅を中心にして、おおむね半径200mぐらいの円が描ける。
ほぼ仮説通りで、非常に気持ちがいい。
ところでこの日、右下あたりのこの部分を観察してくるのを忘れた。
今このへんをgoogleストリートビューで見てみて、100円自販機を発見できないだろうか。
あったら、仮説からの予測が正しかったことになり、この仮説はもはや科学的法則と言ってもいいことになる。
より大きな地図で 100円自販機8 を表示
うわ、あった! 100円自販機あった!
すごい、あったあった!
まったく予想通りの位置に、100円自販機の発見である。
「全ては私の法則と計算通りだぁーー!!」という、万有引力を発見したニュートンもかくや、という喜びが脳内をかけめぐる。
ひゃっほう!俺って天才かっ!?
というわけで、ごほっ、ごほっ……、以上の観察を元に
「秋葉原では200m歩くとジュースが100円になる」
の法則を、わたくし加藤は提唱したします!
(学会で聴衆から、割れんばかりの拍手喝采)
得した20円で、コーヒーをMサイズにできる!
市ヶ谷駅、3方向で探す
市ヶ谷駅は、まあまあ乗り換えのある駅だが、秋葉原駅に比べると路線数も少なく、規模もだいぶ小さい。
いきなりあった。
拍子抜けするぐらい近くにあった。駅の南側の真裏である。
秋葉原と比較するとありえない感じだが、発見してしまったのはしょうがないので北側に向かう。
北側も、いきなりあった。
調査にならない。100円自販機が近すぎである。
市ヶ谷は、駅前に予備校が多いせいだろうか。
駅から橋を渡って最初にあった自販機が100円、しかも珍しいコカコーラ社の100円自販機だった。
豆知識ですが、コカコーラ社の100円自販機はレア。
メインストリートである東側に100円自販機はあまり無くて、ちょっと遠くまで探すことになったが、地図にすると下のようになる。
より大きな地図で 市ヶ谷4 を表示
市ヶ谷でも円の半径は200m。秋葉原とほぼ同じ!
市ヶ谷駅は、意外と町はずれにある感じの駅なので、この3点の中心部あたりの方が、むしろ中心ぽいと言ってもいいかもしれない。100円自販機の位置から街の中心が見えてくる、と考えることもできる。
でも描きたいのは、やはり駅を中心とした円だ。3か所目として、次は最も期待できる駅、渋谷駅に向かった。
ぼくが渋谷駅に期待する、3つの理由
渋谷駅ではきれいな円をかける自信がある!
渋谷駅を選んだのには3つの理由がある。
一つ目は、圧倒的なターミナル駅としての存在感だ。
あらためて書き出してみると、渋谷ってこんなに電車あったのか、というぐらいに通っている。
ここまでの2駅を圧倒するターミナルぶり!
より大きな地図で 渋谷1 を表示
実際の「渋谷駅」って、この青塗りの部分、って感じじゃないですか。
どこまでが駅だか分からない巨大要塞みたいな新宿や、バナナみたいに縦長の池袋に比べて、渋谷駅は駅の領域が明確で、形も整っている。これならきれいに取り囲みやすい。
三つ目には、駅に向けて全ての通りが集中しているところである。
より大きな地図で 渋谷2 を表示
わりときれいな放射線状に街が作られています。
渋谷駅では、駅を中心に道がきれいな放射状を描いて流れてくる。これは渋谷が、名前の通り「谷の底」だからと思うのだが、このおかげでそれぞれの道から1つずつ100円自販機を探せる。
このように絶好の条件がそろっている渋谷駅だ。
さあ高鳴る胸の鼓動とともに、100円自販機を探しに行こう!
渋谷でも法則どおりに見つかる!
第1自販機、明治通り北。
第2自販機、宮益坂
第3自販機、青山通り。
100円自販機を見つけるコツ
渋谷でも、秋葉原と同じようにどんどん見つかる。
というか、僕が慣れてきたのも、あるかもしれない。
慣れると道を見た瞬間に、ありそう!と思えてくる。
例えば、第2自販機のあった宮益坂。
慣れた人にはいかにも渋谷!!といった風景。
こういう表通りにはあまり無い。
ここから路地を一本曲がると、遠くに駐車場と自販機がセットで見える。
お、あれは怪しい!!
こういうパターンは、ほぼ間違いない。
この駐車場に設定してある自販機には特に100円のものが多い。
次の第4自販機も、駐車場に併設型でした。
この調子でどんどん見つけて、がんがん20円得をしていきたいと思う。
驚きの80円自販機、あらわる!
明治通りにある第5自販機、からの……
第6自販機!!おどろきの80円!!
80円自販機があったのは、駅にほど近い駐車場である。100円でお釣りが出る自販機なんて、大学の紙パックジュースしか見たことないが、今は渋谷の駅前で80円だ。
この自販機、ストリートビューで見ると存在していないので、わりと最近に設置されたものだろう。
自販機の価格破壊は急進行している。
ダンス教室前の、第7自販機。群れる若者。
第8自販機、21世紀と思えぬ昭和感。
第9自販機、何だかこじんまり。
ところで110円自販機はあるのか?
ここまで記事を読んできて、こう思った人はいないだろうか。
「じゃあ110円自販機は無いの?」と。
そう、実は探していると、110円自販機もたまに発見できる。
100円を見慣れると、中途半端な感が否めない110円自販機。
場所はだいたい、100円ゾーンと120円ゾーンの間ぐらいにあるが、地図上に円を描けるほど多くは無い。
そのかわりに、100円自販機を探してる最中に110円に出会うと、「そろそろ100円が近づいてきたな」と察することができる。
そういう意味では、スウィートスポット(熟したバナナの皮に出てくる黒い点)のようなものと思っていいかもしれない。
バスケットボールストリートで見つからない。
第10自販機、もとウェンディーズの跡地
第10自販機を発見したのち、渋谷の中心街とも言えるバスケットボールストリート(旧・渋谷センター街)に向かったが、これがなかなか見つからなかった。
センター街は、オシャレな名前に生まれ変わりました。
バスケットボールストリートは、細い路地も多いので、100円自販機には絶好の場所である。無いということはないはずだ。
しかし探す範囲を外に外にと広げても見つからず、人混みをかき分けるのも疲れたので、思いきって駅に近づいて探してみた。
渋谷ロフトの裏にあった。第11自販機。
これまで見たことも無いような真っ黄色の、怪しい自販機である。まわりの風景も含めて、なんだか東南アジアの国の首都みたいな写真になった
僕の思う東南アジアぽさ→「無造作な室外機の配置」
さて、最後の公園通りで100円自販機を見つけて、円を完成させたい。
第12自販機。もうすっかり日が暮れた。
おお、なかなかいい感じに円が描ける!
半径は約350m、秋葉原よりもちょっと広い。ただこれは駅が大きい分と言えるかもしれない。
そして円の中心にあるのは、渋谷ハチ公である。これも渋谷の中心、のイメージにほぼ合致する。
秋葉原で観察された法則は、渋谷でもほぼ同様に観察されると言っていいだろう。
では最後にもう一度、皆さんの前で発表させていただきたい。
「渋谷では、ハチ公から350m歩くと、ジュースが100円になります!」
(学会会場から割れんばかりの拍手、巻き起こる!)
以上、一日かけて自販機を探して回ったが、渋谷で12本の道全てに100円自販機が見つかったのには感動した。100円化の波は着実に進んでいる。
この自販機100円化はここ2~3年気になっていたのだが、ストリートビューを見ると、写っていない自販機の方も多いので、最近の現象なのだろう。
80円自販機すら見られるようになってきた今、この先の動きにも注目していきたい。
この20円安くしてる人、よく見ました。ありがとう。