先ごろ、新しい文学形式として提唱した「書き出し小説」。
初回の募集にも関わらず、応募作は実に千通を超え、諸君らのなみなみならぬ期待と気概に、熱い感動を覚えた次第である。
今回厳選したのは16作品。
どれも書き出し小説の精神にのっとり、短いセンテンスの中に心躍らせる予感と、ほのかな余韻を内包している。
それでは早速、書き出し作家たちの秀作をご覧いただきたい。
初回の募集にも関わらず、応募作は実に千通を超え、諸君らのなみなみならぬ期待と気概に、熱い感動を覚えた次第である。
今回厳選したのは16作品。
どれも書き出し小説の精神にのっとり、短いセンテンスの中に心躍らせる予感と、ほのかな余韻を内包している。
それでは早速、書き出し作家たちの秀作をご覧いただきたい。
朝顔は咲かなかったし、君は来なかった。
スエヒロ
スエヒロ
情景と感情が見事に一致。早朝を選んだことでクリアな叙情性が出た。
美大のヌードモデルとして、父はネクタイを外した。
白田まこ
白田まこ
父の静かな覚悟を感じる。娘の視点というアイデアがよい。
義父とは初めから趣味が合った。
ウユニ塩子
ウユニ塩子
義父との繋がりにどこか不穏な匂いが漂う。
「あ、肉まんを考えた人か。」そう思ったときにはもう、滝つぼが眼前に迫っていた。
エイミー
エイミー
滝つぼに至るまで危機感は無かったのか？
日が昇るまで、まだ数時間の余裕がある時刻。森の中で蛹の背が割れた。
山本アヒコ
山本アヒコ
森に差し込む月光までが浮かぶ秀逸な描写。
スタジアムが歓声に包まれた。プラカードを先頭に「未亡人チーム」が入場する。
オビワン背伸び
オビワン背伸び
やはり喪服姿なのだろうか。敵チームも気になる。
団体名が連なる、歓迎看板の白い文字は水性ペンキで書かれており、その文字を水で綺麗に洗い流すのが現在の私の仕事である。
菅原 aka $.U.Z.Y.
菅原 aka $.U.Z.Y.
この仕事が小説で取り上げられるのは史上初かもしれない。
「好きでうっ！」噛んだ。私はその少女がとてもいとおしくなった。
通りすがりの紳士
通りすがりの紳士
ドジっ娘である。いとおしい。
空中に浮いたナポリタンのフォークが、凶器だった。
こめ
こめ
本格食品サンプルミステリ。
「いいね、これリビングに置きたい」彼が座ると、ソファーの脚が折れて売り場の外へ転がっていった。
ひっぽう
ひっぽう
「売り場の外へ」が効いている。見送る彼女も好ましい。
木彫りの熊が睨んでいる。黒い瞳で私を見ている。
小笠原石英
小笠原石英
まだテレビの上に熊が置けたブラウン管時代の話である。
5、6、7、8、3、1、6、6、、夢中で押している電話番号は50桁目に突入していた。
ジャスティスＫ
ジャスティスＫ
夢中過ぎである。
三角コーンかと思った。駐車場にマトリョーシカが五体、背の順に並んでいる。
xissa
xissa
ホラーとシュールが融合した不気味な光景。
彼女は花の様に微笑むと、男の原付から、ネジを１つだけ外した。
TOKUNAGA
TOKUNAGA
彼女は天性の悪魔か？それとも原付の男に要因が？
空が青くて惨めだ。チヨ子はレモン色の拳銃をタァンと撃ち鳴らした。
佐藤歯科
佐藤歯科
戦前モダニズムの雰囲気が漂う異色作。
股間が猛烈に痒い。しかし今は止まることができない。
よっつー
よっつー
なぜこの作品を選んだのか自分でも分からない。
以上が今回選出された、秀作16作品である。
初回と言うこともあり、選考は非常に困難であった。
書き出し小説はいまだはじまったばかり、発展途上の文学である。
投稿者にとっても、私にとっても、その初手が手探りになることはいたしかたないことであろう。
しかし上記の作品を見ても分かる通り、作品のレヴェルはおしなべて高く、またそのジャンルは多岐に渡っている。
正当な私小説風があれば、ギャグものあり、恋愛ものあり、ラノベ、ミステリ風から、野心的な実験作もある。
このジャンルを超えた「なんでもあり感」が、書き出し小説の魅力と言えよう。
アプローチは違えど、理想は同じ。
いかにその凝縮した文章で、読み手の想像力を刺激するかである。
惜しくも選に漏れたものの、他にも優秀な作品は数多くあった。
選考は意識的にジャンルの偏りがないよう心掛けたので、選外の因は質というより、たぶんに運が作用されたことを了承されたい。
懲りずに投稿して頂ければ幸いである。
たとえ一文でも、己の文章がひとの心に響く歓びは格別である。
今後とも諸君からの、創意あふれる作品に期待する。
次回、締め切りは11月10日正午十二時まで。
発表は同月13日を予定している。
以下の投稿フォームに必要事項を記入し、応募されたし！
初回と言うこともあり、選考は非常に困難であった。
書き出し小説はいまだはじまったばかり、発展途上の文学である。
投稿者にとっても、私にとっても、その初手が手探りになることはいたしかたないことであろう。
しかし上記の作品を見ても分かる通り、作品のレヴェルはおしなべて高く、またそのジャンルは多岐に渡っている。
正当な私小説風があれば、ギャグものあり、恋愛ものあり、ラノベ、ミステリ風から、野心的な実験作もある。
このジャンルを超えた「なんでもあり感」が、書き出し小説の魅力と言えよう。
アプローチは違えど、理想は同じ。
いかにその凝縮した文章で、読み手の想像力を刺激するかである。
惜しくも選に漏れたものの、他にも優秀な作品は数多くあった。
選考は意識的にジャンルの偏りがないよう心掛けたので、選外の因は質というより、たぶんに運が作用されたことを了承されたい。
懲りずに投稿して頂ければ幸いである。
たとえ一文でも、己の文章がひとの心に響く歓びは格別である。
今後とも諸君からの、創意あふれる作品に期待する。
次回、締め切りは11月10日正午十二時まで。
発表は同月13日を予定している。
以下の投稿フォームに必要事項を記入し、応募されたし！
（最終選考者）
田中テルー/TL125/風間/桂木みお/ponkuz/yohiyo/宇佐美/黒夜行/ただの県民/時化杢/飯田まさか/四足商会/照り焼きビーフン/まろ/ねぎしろ/lollisoni/東雲長閑/蒼井 汁/タドロック/黄色い薬味/たろう/fuugo/atomic0930/ponkuz
