特集 2012年11月3日

小切手で始まる金持ちライフ

金持ちとは小切手なのです!
金持ちとは小切手なのです!
世の中カード社会である。金持ちはゴールドカードやプラチナカード、ブラックカードなどを持ち歩いているのだろう。しかし、私はそんな社会に否を唱えたい。

本当の金持ちとは「小切手」だと思うのだ。基本的には誰でも持てるクレジットカードとは違い、一般ピープルには縁がなさそうなものだ。金持ちとは小切手なのだ。小切手さえ持っていれば金持ちなのだ。ということで、小切手で生活してみたいと思う。
1985年福岡生まれ。思い立ったが吉日で行動しています。地味なファッションと言われることが多いので、派手なメガネを買おうと思っています。(動画インタビュー)

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金持ちとは小切手

海外旅行にパスポート、オシャレな大人にモレスキン、サラサラヘアーにハーバルエッセンス、のような方程式が世の中には存在する。「金持ちに小切手」もまた世の中の試験に出ない方程式である。カードでは演出できない金持ち感が小切手にはあると思う。
現金では演出できない金持ち感が小切手にはある
現金では演出できない金持ち感が小切手にはある
ドラマなどを見ていても、「ここに好きな金額を書け」と言い小切手を出すシーンがある。カードでは成立しない自分がお金持ちであることを表現する方法だ。ブラックカードを出して、「僕は金持ちだ!」では、高級感がない。本当の金持ちとは小切手なのだ。
ぜひお金持ちになりたい。地主だから
ぜひお金持ちになりたい。地主だから
僕の名前は「地主」と言う。金持ちになるべくして生まれたと思う。名前から考えると絶対にそうだ。駅から徒歩30分のワンルームに住む地主など神は求めていないはず。名前から考えても、僕こそ小切手で生活するべきだと思う。神に選ばれし者なのだ。
小切手を買いに出かけた
小切手を買いに出かけた
ということで、小切手を買いに出かけたけれど100均には売っていなかった。縁がなさすぎてどこに売っているのか検討も付かなかったのだ。地主なのに。「領収書」みたいな感じで「小切手」と書かれた束が売っていると思ったのに。仕方がないのでキチンと調べてみると小切手は銀行らしい。言われてみれば確かにそうだ。
銀行に行きます!
銀行に行きます!

緊張という名の階

僕が口座を持っている三菱東京UFJ銀行に小切手を作りに出かけた。銀行の方に「小切手を作りたい」と少し照れながら伝えると、いつも使うATMがある一階ではなく、ゆったりとしたソファーのある階に通され、急に緊張感が高まった。ATMの「ピッ、ピッ」という音が届かない早朝の駅前みたいに静かな階なのだ。
ただし人気の階みたい
ただし人気の階みたい
この階では小切手だけでなく、印鑑の変更や住宅ローンの相談などをしているそうだ。普段ATMしか使わない僕には縁がなかった階。クラシックのようなリラックスができる音楽がかかっていて、テレビではカードローンのCMが流れている。そのCMは僕が必要としそうな内容だったので、少しホッとした気がする。
ちなみに舐められてはいけないと、黒いアナログの時計をつけてきた
ちなみに舐められてはいけないと、黒いアナログの時計をつけてきた

小切手作り

小切手について銀行の方に話を聞いた。そこで分かったことは、僕が思い描いていた「ここに好きな金額を書け」という小切手は僕では作れないという現実だった。これは当座預金を持っている人限定の話らしい。じゃ、僕もそれを作ります! 心の中では張り切って、でも実際は小声で言ったのだけれど、審査があったりで作れないそうだ。
ちなみに普段付けている時計はこれです!
ちなみに普段付けている時計はこれです!
では、小切手はムリなのかと思うと「預金小切手」なる小切手は誰でも作れるそうだ。僕の思っていた小切手との決定的な違いは、最初から金額が書かれていることである。たとえば、100万円とか1000万円とかと端から書かれているらしいのだ。しかし判子も審査もなしでその場で作れるという利点がある。
ということで、作ります
ということで、作ります
預金小切手は、大金を持って行くのが大変な時に活躍するそうだ。たとえば車を買うとか、家を建てるとか。なるほど~と思い、「僕も作ります」と外車を買いますのようなテンションで答えた。

金額を聞かれたので、2万円です、と素直に伝えると、それだと作らない方がいいかもしれないですね、と説得された。優しく、とても理にかなった説得だった。というのも手数料がかかるそうなのだ。840円も。
申込書に2万円と書き込んだ
申込書に2万円と書き込んだ

手数料は同じ

多くの人が預金小切手を作るときは、もっと大きな金額で作るのだそうだ。僕とは0の数が2、3個違う。最大の理由は手数料がかかるから。2万円でも1000万円でも、手数料は同じ840円。1000万円の手数料840円は誤差の範囲な気がするけれど、2万円の840円はグリコに於いてのオマケのような強大な存在感を示す。
でも申し込みました!(番号札)
でも申し込みました!(番号札)
しかし手数料を気にしている時点でお金持ちではない。ということで「ええい、ままよ」と人生でまだ3回くらいしか言っていない勢いをつける言葉と共に小切手を作った。だって地主だもの。小切手くらい持っていないと。待ち時間を含めて1時間ほどで完成したと思う。1時間で金持ちへ。手っ取り早い道のりである。
これが、
これが、
これになりました
これになりました

小切手のある生活

2万円を小切手にした。早くも満足感である。一般ピープルは2万円と言えば、どんなに少なくても1万円札が2枚である。しかし地主は違う。2万円だけれど一枚。なぜなら小切手だから。初めて自分の名前がしっくり来ている。地主とはやはり小切手である。
額に飾った
額に飾った
せっかくなので飾った。地主の部屋を彩るのはやはり金である。しかし現金では品がない。そこで小切手だ。部屋に高級感が生み出されている。だって小切手だもの。一般ピープルはまず飾らない。だって手数料が840円もかかるんだもん。地主である僕ですら、小切手を作った日は少し凹んでいたのだ。だって840円だ。
小切手の周りは生活観がすごいけれど!
小切手の周りは生活観がすごいけれど!

小切手を使う

地主としては飾るだけでなく、実際に使い、世の中の景気をよくしたいとも思う。お金は使うためにあるのだ。小切手になったからと言って例外ではない。もうばら撒くような感覚で使いたいと思う。
編集部安藤さんに小切手を渡す
編集部安藤さんに小切手を渡す
ヒラヒラ~
ヒラヒラ~
必死
必死
撮影をお願いした編集部の安藤さんが、何をどう勘違いした結果か知らないけれど、ヒラヒラ~と僕の小切手を街へと解き放った。地主としてはそういうお金の使い方はありだけれども、違うのだ。ダメなのだ。僕のお金なのだ。名前だけで僕は本当は地主ではないのだ。実家は借家だ。
とりあえず350円のお弁当を小切手で買おう
とりあえず350円のお弁当を小切手で買おう

小切手を使いこなそう

とはいえ、小切手で気が大きくなっているのも事実だ。とりあえずお腹を満たそうとお弁当屋さんで「小切手で買えますか?」と夏はブルゴーニュに旅行に行きました、のようなテンションで聞いた。「ムリです」とのことだった。素早い回答だ。
結局、現金で買った
結局、現金で買った
次は券売機を訪れた。やっぱり小切手所持者でもたまには松屋的なものを食べたくなるのだ。もちろん支払いは小切手。地主レベルになると松屋でも小切手なのだ。だって小切手のために2万円を使ったので、現金がほとんどないのだ。
ムリだった
ムリだった
「ふ~ん、小切手って使えないんだ~小切手って。小切手しか持ってないのに~」と思いながら券売機の前を静かに去った。小切手を持つ日本中の地主に合わせて小切手対応券売機が世の中に並べばと思う。小切手が使えれば便利なのにな~と人生初の地主らしいことを思いながら、次はコンビニに向かった。
銀行が近場にあるコンビニだから使えるのではという理論
銀行が近場にあるコンビニだから使えるのではという理論
あっさり「ムリです」とのこと
あっさり「ムリです」とのこと
ムリだった。やっぱりムリなのだ。たとえ僕が好きなジャスミン茶でも小切手では買えないのだ。小切手所持者には住みにくい世の中である。ちなみに店員さんの遊びのない「ムリです」と言う答えに、「すみません」と答えた。

確かに考えてみれば、スーパーなどでカードで買い物をする人を見ることはあっても、小切手で買い物をする人は見たことがない。小切手の普及率は現在のPHSより低いのだと思う。ちなみに僕はPHSも所有している。
大切だからずっと握り締めていた
大切だからずっと握り締めていた

デパートへ

さすがに無理があったのかもしれない。小切手を持った地主が350円や100円のものを買おうとしたのは。もっと高いものを買わねばならないのだ。だって小切手を持った地主だもの。一般ピープルと同じではいけないのだ。
ということで高級なお店に
ということで高級なお店に
小切手を持ってデパートにある有名ブランドのお店に足を運んだ。地主としてはこのようなものを買わねばならないと思う。

と思って、並んだ指輪を見ると30万、50万、100万と「ちょっと待って」という品々だった。オレの月収の何カ月分! と心の中がお祭状態になっていた。中にはオレの年収の何年分というものもあった。
値札の桁を2~3回数えたけれど間違いなく僕の小切手とは0の数が違った
値札の桁を2~3回数えたけれど間違いなく僕の小切手とは0の数が違った
2万円では全然足りない。それ以外は小銭くらいしか持っていないので何も買うことはできない。でも、せっかくなので「小切手って使えたりしますかね?」と一応胸を張って、「今年のボジョレーも楽しみですね」のような雰囲気を出しながら、店員さんに聞いてみた。

「ちょっと待ってくださいね」と店員さんは電話で使えるかどうかを確認してくれた。とてもいい人だ。とはいえ、金額的に全然足りないので僕は使えないという答えを期待している。
全然足りないじゃん、と緊張感がすごかった
全然足りないじゃん、と緊張感がすごかった
結果は「使える」だった。さすが高級なお店だ。小切手でお金を払い、お店側でそれを換金して、その確認が取れてから商品を後日配送してくれるそうだ。すこし面倒だ。そのためか、小切手で買い物する人はほとんどいないようだった。
なるたけ額面が店員さんい見えないようにしていた
なるたけ額面が店員さんい見えないようにしていた
正直な話、2万円くらいの指輪があれば買ってもいいかな、と思っていた。でも、全然足りない。店員さんに「いくらの小切手ですか?」と聞かれ、「今日は使えるか否かの確認だけで」と言い、なるべく早足でお店を出た。

アクセサリーのことなどほとんど分からない僕でも、カッコいい、かわいいがハッキリと分かる品の数々だった。でも、小切手では買えない。厳密には買えるけれど僕の小切手では金額的に買えない。本当の地主を目指して頑張ろうと思った瞬間だった。
上のレベルを知ったためか、その後は小切手の扱いが雑だった!
上のレベルを知ったためか、その後は小切手の扱いが雑だった!

小切手は飾る物!

小切手を貰った方は、そのまま銀行に行けば換金できるそうだ。僕の生活レベルで換金と言えば、やらないのだけれどパチンコに近い。しかし世の中には小切手を換金する人たちもいるのだ。世界は広い。ちなみにその後の小切手が、せっかくだからと再び額に入れて飾っている。その辺りだけ若干明るい気がする。しばらくは換金せずに840円分は堪能しようと思っている。
本当の僕はこの金額あたりが躊躇なしで買えるギリギリラインですよ!
本当の僕はこの金額あたりが躊躇なしで買えるギリギリラインですよ!
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