特集 2012年10月26日

人生ゲームを面白くする方法

人生をゲームに例える…みたいな比喩ではありません。
人生をゲームに例える…みたいな比喩ではありません。
人生ゲームを知らない人はいないだろう。
日本で最も有名なゲーム。ボードゲームと聞いて真っ先に思い浮かべる人も少なくないはずだ。私も子供の頃、憬れのゲームだった。

が、その知名度とは裏腹に、やってみると意外なほど面白くない。ただルーレットを回し出目に従って進むだけで、駆け引きも無ければ考えどころも無い。ひたすら運だけのゲームなのだ。が、ボードゲームは電子ゲームと違い、気に入らなければ自分たちでルールを作って遊ぶこともできる。そこで、どうしたら人生ゲームをもっと面白くできるか考えてみることにした。
長崎より九州のローカルネタを中心にリポートしてます。1971年生まれ。茨城県つくば市出身。2001年より長崎在住。ベルマークを捨てると罵声を浴びせられるという大変厳しい家庭環境で暮らしています。

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The Game of Life

日本で絶大な知名度を誇っているので、てっきり日本で作られたゲームかと思ってたが、メーカーのホームページを見たら元は海外からの輸入ゲームであると書いてあった。

そういえばたしかに、私が子供の頃の人生ゲームは箱にでっかく「LIFE」と書いてあったり株券などが英語で書かれていて、随所にアメリカンな雰囲気が漂っていた。お札もドルだし(これは今も変わらず)。
箱にはハスブロー社(アメリカの玩具メーカー)のマークも。
箱にはハスブロー社(アメリカの玩具メーカー)のマークも。

魅力溢れる盤面

冒頭で「意外なほど面白くない」と書いたが、まずは良いところから書こう。

人生ゲームの盤面はとても魅力なアイテムに満ちあふれている。私も子供の頃に「スゲー!!」と思ったし、うちの子供もグイグイ引き込まれていた。
1) 懐かしいルーレット。
1) 懐かしいルーレット。
2) 立体的な山。
2) 立体的な山。
3) 立体的な家。
3) 立体的な家。
4) そして人生ゲームと言えばこの車
4) そして人生ゲームと言えばこの車
5) こんなただのピンなのに家族が増えると妙に嬉しい。
5) こんなただのピンなのに家族が増えると妙に嬉しい。

低いゲーム性

次にダメな点を書こう。
どの点が私にとって「面白くない」か?

1) ルーレットの出目に従って進むだけで、選択肢がほとんどない。つまりただの運ゲー。
2) 作戦を考えたり、対戦相手と駆け引きをしたり、どうやったら勝てるかロジックを考えるといった、いわゆる“ゲーム性”が一切ない。
3) そのくせマスごとにお金の出し入れがあって、しょっちゅうお札を数えなければならず面倒臭い。
頻繁にお札を数え出し入れする。指先がカサカサしてるとツラい。
頻繁にお札を数え出し入れする。指先がカサカサしてるとツラい。
どの職業に就くかはその後の金回りを大きく左右する重大局面だが…
どの職業に就くかはその後の金回りを大きく左右する重大局面だが…
スタート直後のルーレット(=運)によってあっさり決まる。
スタート直後のルーレット(=運)によってあっさり決まる。
とはいえ、子供はけっこう楽しんでやっていた。
完全に運なので大人とやっても勝てるところが逆に良いようだ。またお金が増えた、家族が増えたといったできごとを純粋に楽しんでいる。(半ばままごと的に)

そういう点ではいいゲームでもある。
が、しかし大人が付き合わされてる感は否めない。
贅沢な願いかもしれないが、ボードゲーム好きの大人として、やはりもう少し大人も楽しめるゲーム性がほしいと思う。
子供はすごくエンジョイしてた。
子供はすごくエンジョイしてた。
というわけで、どうやったら人生ゲームがもっと面白くなるだろうか?と考え始めた。

要素を足してみる

結論を書く前に、試行錯誤の様子を少し書いておこうと思う。 (結論だけ見たいかたは次のページへどうぞ)
「寿命」と「名声」という要素を入れてみたらどうだろうか?
「寿命」と「名声」という要素を入れてみたらどうだろうか?
最初に思いついたのは、「寿命」と「名声」という2つの要素を加えてみることだった。

【寿命】
・最初に各自25粒ほどの石を「寿命」として持つ。
・ルーレットを1回まわす毎に寿命をひとつ減らす。
・ルーレットの出目が気にくわない時は、寿命をもうひとつ減らせばやり直すことができる。
・寿命が0になったら、ゲーム半ばであっても死亡。

つまり、命を削ることで運命を変えることができるというルール。「ここは頑張りどころだ!」と思ったらゴリゴリ命を削って狙った数字が出るまでルーレットを回し直していい。が、それによってゴールまで辿り着けなくなるかもしれない。また職業にスポーツ選手を選んだ人は2個ずつ寿命を減らし、もう限界だと思ったら引退すれば1個ずつに戻る。

【名声】
・人生ゲームは最後にお金をたくさん持っていた人が勝つゲームだが、それをお金ではなく「名声」にする。
・その方が教育的ではないかと。
・ただし名声はお金でも買えるようにするので実質的にはそれほど変わらない。
・貧乏だけど名声はけっこう持ってるとか、いくつかの条件を満たすと名声が一挙に手に入るとか、ゲーム性が上がるのではないかと…。


が結論から言うと、これらのアイデアはあまり良くなかった。

まず「寿命」は、ただでさえマスに止まる度にお金の出入りがあって面倒なところに、さらにもうひと手間処理が加わり、テンポが悪くなる感じがした。

また「名声」を入れるには「名声:+1」といったマス目をところどころに用意する必要があるが、人生ゲームのハチャメチャなマスを見てたらそんなことは無意味に思えてきた。
「エベレスト登頂」とか「オーロラを見る」といった文言の前に、「名声:+1」とか入れる作業はいささか地味すぎる。
「エベレスト登頂」とか「オーロラを見る」といった文言の前に、「名声:+1」とか入れる作業はいささか地味すぎる。
「飼い猫が5万ドル拾ってきた」なんてマスもあるが…
「飼い猫が5万ドル拾ってきた」なんてマスもあるが…
5万ドルというのは、ゲーム内で買える一番高い家と同じ値段。どんな猫だよ。
5万ドルというのは、ゲーム内で買える一番高い家と同じ値段。どんな猫だよ。
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また家は、ゴール時に購入価格の5倍の価値として計上されるのだが、なぜか別荘はお金を払わせられるだけで、プラスになることは何もない。こういった不条理が山ほどあるのが人生だ。
結婚のマスは全員必ずストップすることになってる。リアリティに欠ける。
結婚のマスは全員必ずストップすることになってる。リアリティに欠ける。
結婚のマスが強制ストップになってるのも非現実的だ。現実はそこになかなか止まれない人も、端から止まる気がない人だっているだろう。そして現実の結婚はお金を払うマスだ。(もっとも、細かい部分を現実に近づけたところでゲームが楽しくなるわけではないのでこれはこれでいいが)
数少ない選択肢である保険と株券。が、買った方がいいものとそうでないものがハッキリしておりあまり選択肢になってない。
数少ない選択肢である保険と株券。が、買った方がいいものとそうでないものがハッキリしておりあまり選択肢になってない。

人と交わることで考えが昇華

その後、すっかりわからなくなった私は、ボードゲーム仲間のところに人生ゲームを持って行き、どうすれば面白くなるか相談に乗ってもらった。

やはり人と話し合うことで、無駄な部分が取り払われ考えがシンプルにまとまっていく。
「ウボンゴー!」
「ウボンゴー!」
そうしてある程度カタチとしてまとまったのが次のページで紹介する方法である。

同乗者を生け贄に捧げる

もったいぶって3ページ目に書いたわりに酷いルールである。

1) 同乗者を生け贄に捧げることでルーレットの振り直しができる。

ゲーム中何度も使えるものではないが、いざという時に子供や妻を車から降ろすことで運命を変えることができる。これにより、ひたすらルーレットの出目に従うだけだった人生ゲームに、ジレンマを伴う判断が加わったわけだ。
子供が生まれるマスは全部で5つしかないから大変貴重。
子供が生まれるマスは全部で5つしかないから大変貴重。
振り直しの権利が一気に2コ得られる貴重なマス。
振り直しの権利が一気に2コ得られる貴重なマス。
それと、このゲームはスタート順が早い方が圧倒的有利なので、そこも少し是正したい。

2) 初期所持金に1000ドルずつハンデをつける

1番手3,000ドル、2番手4,000ドル、3番手5,000ドル、4番手6,000ドルといった具合。これでもまだまだハンデとして足りないかもしれないが、何も無いよりはマシだろう。

また少しでもプレイヤーが自分で選べる場面を増やすため、

3)分かれ道でどちらに進むかはルーレットではなく自分で選べる

とした。
分かれ道は考えて決められるようにした。
分かれ道は考えて決められるようにした。
それとこれはけっこう重要。

4) 付属の紙のお札の代わりに分厚いポーカーチップを使う

ポーカーチップは適度な重さもあるので触り心地がいい。これによりプレイアビリティが格段に向上した。
薄いぺらぺらの札を数えるのは苦痛だったが、厚みのあるポーカーチップを使うことで劇的に改善。
薄いぺらぺらの札を数えるのは苦痛だったが、厚みのあるポーカーチップを使うことで劇的に改善。

~ プレイ記 ~

5人でプレイ。
5人でプレイ。
私の職業はパティシエ。
子供も一人授かり、軽快に進んでいたが…
ガーン!!
ガーン!!
職を失い、貧乏ロードまっしぐら。
ここで子供を生け贄に捧げてルーレットを振り直せばよかったが、その権利を使わなかった。だって子供大事やし。
風で5万ドルも飛ぶかよ!
風で5万ドルも飛ぶかよ!
さらに、5万ドルが吹き飛ばされるというマスにも止まる。この時5万ドルも持ってなかったので負債を抱えるはめになる。風で飛ばされるために借金するって理屈がまったく通ってないが、そういう不条理を楽しむゲームなのだろう。
人生を狂わす危険なマス。
人生を狂わす危険なマス。
サプライズな破産をプレゼント。
サプライズな破産をプレゼント。
私以外のプレイヤーたちは、巧みに家族を犠牲にして危機を回避していた。
セレブな奥さんを追い出して危機を回避した人もいた。
セレブな奥さんを追い出して危機を回避した人もいた。
ゴールまで子供がいた人はゼロ。独身でゴールした車も2台あった。人生っぽい。
ゴールまで子供がいた人はゼロ。独身でゴールした車も2台あった。人生っぽい。
ゲーム中1、2回訪れる決定的な危機を、振り直しによって回避するか否かはかなり大きく影響する。それをうまく使えなかった私がダントツのラスだった。

ぜひやってみてください

次々に人がいなくなるシュールさは、家族で楽しむゲームから随分遠いところに行ってしまったが、大人同士のプレイでもちゃんと考えどころがあって非常に面白かった。スタート時に3人乗ったところから始れば、序盤から選択肢が広がり一段と面白くなるだろう。

…と思ったが、もしかするとこういったルールを考えること自体がボードゲームの楽しみ方なのかもしれない。
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