特集 2012年10月11日

Gジャンの袖はどのくらい切ればかっこいいのか

あなたはどの長さ?
あなたはどの長さ?
ワイルドスギちゃんを筆頭にデニムの服を着ると人気者になれることが発覚した昨今、デニムに注目が集まることは必然である。

ジージャンとジーパンの丈を短くしていったら、どこか奇跡的にかっこいい組み合わせのポイントがあるのではないか。シミュレーションしてみよう。
1986年埼玉生まれ、埼玉育ち。大学ではコミュニケーション論を学ぶ。しかし社会に出るためのコミュニケーション力は養えず悲しむ。インドに行ったことがある。NHKのドラマに出たことがある(エキストラで)。(動画インタビュー)

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上下デニムは難しい

というわけで僕も近所の古着屋に足を運んだ。無論、ジージャンジーパンの上下を買うためだ。幸いにもジージャンもジーパンもそんなに高くない値段で売られていた。
買ってきた!
買ってきた!
しかしはたと気づく。上下デニムを一緒に買うと、店の人に「あ、こいつは上下このデニム着るんだな。ワイルドスギちゃんだな」と思われる懸念がある。

僕は「ハー、違いますし? そんなことしませんし? 売られてるものを買うだけですし? 戦場で兵士が敵を殺すのは当然なのと同じように、店で私が上下デニムを買うのは当然ですし?」という顔で状況を切り抜けた。
まあ、着るんですけどね
まあ、着るんですけどね
実際着てみると野暮ったい。上下デニムは難しいと言われるのも頷ける。かっこいいデニムの着こなしには何が必要なのか。やはり袖と裾の長さだろう。そうでないと始まらない。

上のように丈の調節をしないのは野暮ったい。買ったばかりの学生服のようだ。かといって袖なしホットパンツ状態の上下デニムはさすがにお笑い芸人のコスチュームのようだ。

おそらくその中間に最もオシャレな着こなし均衡点が存在するはずだ。そして均衡点の候補は以下のようになるだろう。
裾と袖の長さのすべて
裾と袖の長さのすべて

シミュレーションで証明しよう、かっこいい丈

測った長さではなく割合で区切ってみた。0分、3分、5分、…、とありそうなもの考えてみただけで、袖は5パターン、裾は7パターンあった。掛け算すれば組み合わせは35パターン。

もっと細かく区切っていけば可能性は無限大だが、今回はこの35パターンでどれが一番かっこいいのかシミュレーションしてみることにした。
ちなみにGジャンは今回はじめて買った
ちなみにGジャンは今回はじめて買った
数年前あった激安ジーンズってもうないんですね
数年前あった激安ジーンズってもうないんですね
シミュレーションとして袖と裾の長さのパターンを調べるためにそれぞれを切っていく。同じ物をたくさん買うことはできないので、合成する。
これがシミュレーションのイメージ図
これがシミュレーションのイメージ図
袖5パターン、裾7パターンをそれぞれ撮影していく。12回着替えることになるので結構たいへんだ。

繰り返しの作業にはなるが緊張感を失ってはいけない。用意した服は一着セットしかないので、間違って切ると取り返しがつかないからだ。

あと作業場所が渋谷ヒカリエなので羞恥心とも戦う必要がある。
買ったジーンズをハサミで切るという作業がアホっぽい
買ったジーンズをハサミで切るという作業がアホっぽい
そしてこの格好も異常。明らかに迷い込んでここにいる
そしてこの格好も異常。明らかに迷い込んでここにいる
袖を短くするのでタンクトップを着てきたわけだが、これにハサミで切って半ズボン化したジーパンを合わせるのが、この渋谷ヒカリエという場所には似つかわしくない。

平日昼なので人は少なめとは言っても恥ずかしい。すれ違う誰もが目を逸らすので、異空間から迷い込んだ人のような気分になっていた。

アホっぽいが少しだけ頭も使う

全てがアホっぽい単調作業だと思われると嫌なので、ちょっと苦労した点も紹介しておこう。

それはジーパンの裾を切っていった最後、ホットパンツ化する作業だ。ここ以前までの切り方は直線で切っていけばいいのに、ここだけはその手法だとうまくいかない。

経験者から言わせてもらうと、穿いたまま印を付ける(もしくは切ってしまう)のがいいだろう。みんなでこの知識をシェアしよう。
このように直線で切ると股の橋渡し部分まで切ってしまうことが分かるだろうか
このように直線で切ると股の橋渡し部分まで切ってしまうことが分かるだろうか
穿いたまま印をつけることにした
穿いたまま印をつけることにした
どうすればいいのか。

経験者から言わせてもらうと、穿いたまま印を付ける(もしくは切ってしまう)のがいいだろう。みんなでこの知識をシェアしよう。
細かい調整を手伝ってもらっている一コマ。はみ出している赤パンは高校時代の体操服です。
細かい調整を手伝ってもらっている一コマ。はみ出している赤パンは高校時代の体操服です。

作業の末に

こうしてひとつひとつ切って撮影する作業は終わった。あとは合成するだけだ(これが大変なのだが…)。

バラバラにしてしまったジーパンとジージャンは、床に並べてみるとなんだかそれはそれでかっこ良く見えた。こういう構造の敵ロボット、いる。
中央がワイルド、それ以外ワイルドじゃない部分
中央がワイルド、それ以外ワイルドじゃない部分
ガンダムに出てくるズゴックのようでもある
ガンダムに出てくるズゴックのようでもある
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果てしなき作業の果てに

家に持ち帰った写真から上半身下半身をそれぞれ切り抜き、合成し、表にはめていく…という作業を延々と繰り返してゆく。地味で時間がかかる作業だ。腰も痛む。
でもみんなの笑顔の為なら苦にならないよね。
でもみんなの笑顔の為なら苦にならないよね。
そうした苦労の末に完成したのが以下の表だ。
表中の「そで」と「すそ」がひらがななのは、僕が「袖」と「裾」の読み方を一瞬で判断できないからです。
表中の「そで」と「すそ」がひらがななのは、僕が「袖」と「裾」の読み方を一瞬で判断できないからです。
こうしてみるとカレンダーのようである。満ち欠けがあるので月齢表つきのカレンダーだろうか。右下に行くほど欠けていく。

たぶんこんな情報を見る機会はそうそうないはずなので、「見える化」と記した。間違ってはいないと思う。

さて主観にはなってしまうけれども、ベスト・オブ・ザ・かっこいい組み合わせを決めよう。

ベストはコレだ! 「そで3すそ7 スタイル」

どことなくヨーヨーが上手そうだ
どことなくヨーヨーが上手そうだ
デニム生地でも半袖にすると割りとふつうのシャツのようで、軽く着ている風にみえる。写真のマジックだろうか。

対するジーンズはバランスを取って七分丈に。少し短いほうが野暮ったさが薄れる気がする。ひざは出ないくらいがいいだろう。

夏は暑く冬は寒そうな格好だがファッションは我慢と言うし、これこそオシャレなのでは、と思う。

中途半端は一番良くない

せっかくなのでワーストも選んでみよう。これを読んでいる方も、ジーンズを切るときは以下の点に注意して欲しい。
デニムだけが溶ける沼で四つん這いになった人
デニムだけが溶ける沼で四つん這いになった人
先ず目が行くのはホットパンツ並みに切ったジーパンだ。切りすぎてポケットの袋が出ている。女の子が履いているショートパンツに無くはないがここまで丸出しではない。

そしてジャケットの方は、中途半端に袖を残しちゃったものだから具合が悪い。袖を全部切れば吹っ切れてバランスが取れただろう。ワイルドではない。

あと写真の補正の具合うまくいかず、上半身と下半身の肌の色が違って気持ち悪い。
良くない例の別ポーズバージョン
良くない例の別ポーズバージョン

コンパクト版も用意しましたよ

最後にそで&すそ表の別バージョンも紹介しよう。(最後に持ってきたのはこんなうっとおしい表を2つ連続で出すのが忍びなかったからである。)

先ほどの棒立ちとは違い、かっこいいポーズな上にコンパクトになっている。この表も併せてジーンズを切る参考にして欲しい。
ダイナミックなポーズのせいで、すこし印象が変わるかもしれません
ダイナミックなポーズのせいで、すこし印象が変わるかもしれません

ホットパンツは呪いの装備

今回、僕はホットパンツ的なものを初めて履いた。いつもと違う格好をするのは楽しいものだが、あれはちょっと辛かった。

ホットパンツの短さに切る前の段階の短パンスタイルではまったく平気だったのに、カットした途端猛烈に緊張し始めた。スカートを履くくらい緊張したのではないか。そして疲れた。

RPGで出てくる呪いのかかった装備、まさにアレを連想した。
呪いの短パンのマイナス効果をカバーするために、鎧を売って防御力の高い兜を装備した勇者
呪いの短パンのマイナス効果をカバーするために、鎧を売って防御力の高い兜を装備した勇者
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