特集 2012年10月10日

参加するとキャベツがもらえるラリーに出場

見渡す限りのキャベツ
見渡す限りのキャベツ
関東地方屈指の野菜の産地、群馬県嬬恋村。特産品として何と言ってもキャベツが有名だ。

また、嬬恋村は日本のモータースポーツ発祥の地とも言われている。これはあまり知られていないと思う。

そんな嬬恋村ならではのイベントが行われることを知った。その名も「嬬恋村キャベツラリー」。参加するとキャベツが1個もらえるらしい。なんだかよく分からないけど、とりあえず楽しそうだ。

というわけで、出場してきました。
1974年東京生まれ。最近、史上初と思う「ダムライター」を名乗りはじめましたが特になにも変化はありません。著書に写真集「ダム」「車両基地」など。
(動画インタビュー)

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キャベツとモータースポーツの聖地

高原野菜の産地、嬬恋村。のどかな農村地帯というイメージからは想像もつかないけど、ここは日本のモータースポーツ発祥の地でもあるという。

先日のF1日本GPでの小林可夢偉選手の表彰台も、ずっとずっと元をたどれば、鈴鹿でも富士でもなく、嬬恋村に行き着くのだ(本当か?)。
ここが日本モータースポーツの聖地!(説得力なし)
ここが日本モータースポーツの聖地!(説得力なし)
昭和30年代、当時大小さまざまなメーカーが林立していたオートバイのレースがこの地で行われ、それをステップに多くの選手やメーカーが世界に羽ばたいていった。

ホンダやスズキ、ヤマハといった、いまや世界を代表するオートバイメーカーも、このレースでしのぎを削っていたらしい。

そんな嬬恋村で開催されるキャベツラリー。僕もこれを足がかりに世界に打って出たい、と意気込んで、スタート地点である嬬恋村役場にやってきた。
ラリーのスタート地点、嬬恋村役場
ラリーのスタート地点、嬬恋村役場
そんな聖地で行われるラリーである。まわりはモンスターマシンを揃えたそうそうたるメンバーが並ぶ…ということもなく、ふつうの役場の駐車場だった。
錚々たる参加車両が並ぶスタート地点...というのはウソで
錚々たる参加車両が並ぶスタート地点...というのはウソで
ふつうの役所の駐車場
ふつうの役所の駐車場
実は、ラリーとは言っても悪路を猛スピードで駆け抜けるものではなく、全体の走り方が書かれた指示書、そして目印と曲がるポイントだけ書かれたコマ図を頼りに、クイズに答えながらチェックポイントをめぐる、というオリエンテーリングに近いイベントなのだ。

書類一式は事前にホームページからダウンロードできる。
全体の走り方が書かれた指示書
全体の走り方が書かれた指示書
交差点とチェックポイントが描かれたコマ図
交差点とチェックポイントが描かれたコマ図
コマ図は記号で描かれている
コマ図は記号で描かれている
クイズの問題&解答用紙
クイズの問題&解答用紙
公道を走るので、もちろん法定速度遵守。これなら誰でも安心である。

スタート地点は役場の駐車場の12番と13番の間とのこと。線でも引いてあるのかと思ったら目印も何もなく、役場の人のものと思われる車が停まっていた。こちらはこれからラリーのスタートなのに、駐車場いつも通りすぎ!
ラリーのスタート地点とは思えないいつも通りさ
ラリーのスタート地点とは思えないいつも通りさ
続々とスタートしていくほかの参加者…もまったく見当たらず、ひとり寂しくスタート地点にスタンバイ。車の走行距離メーターをゼロにセットし、誰の声援もないなか、最初のチェックポイントに向けてスタートした。
誰に見守られることなくスタート
誰に見守られることなくスタート

競技開始!

いちど走り出してしまうと、あと頼りになるのは記号と矢印で描かれたコマ図だけである。ある程度先のポイントまで頭に叩き込んでおかないと、あっという間にコースが分からなくなってしまう。コマ図は地図ではなく、それぞれが繋がっていない交差点の簡略図なので、一度コースをミスしてしまうと戻るのは至難の業である。
ミスコースに気づいて慌てて戻った様子のGPSログ
ミスコースに気づいて慌てて戻った様子のGPSログ
一緒に参加してくれる人が助手席にいるなら、コマ図を見ながらナビをしてもらうことができる。しかしこの場合でも、事前にコマ図の見方をお互いよく確認しておかないと「曲がれと言った」「言ってない」でケンカになること間違いなし。そういう困難を乗り越えるのもラリーなのだ(てきとう)。
しかしそんな困難もケアしてくれるチェックポイントも用意されている
しかしそんな困難もケアしてくれるチェックポイントも用意されている
ヒートした心を冷たい風に当ててクールダウンさせるのだ
ヒートした心を冷たい風に当ててクールダウンさせるのだ
ここでは妻のほかに三角点も大事にしろと書いてあった
ここでは妻のほかに三角点も大事にしろと書いてあった
さて、順調に走っていても気を抜いてはいけない。コースのところどころにはクイズの答えや手がかりがあるのだ。それらを見逃さず、クイズにも答えていかなければならない。
たとえばこの建物は何でしょう?とか(近づくと何なのか書いてある)
たとえばこの建物は何でしょう?とか(近づくと何なのか書いてある)
こういう標識も見逃さずチェックしなければならない
こういう標識も見逃さずチェックしなければならない
いや、クイズに答えなくても完走はできるのだけど、タイムを競うイベントでもないので、ただコマ図通りに走るだけではやや物足りない。

しかし、そこにクイズが加わると一瞬たりとも気を抜けなくなる。コマ図で次の進路を確認し、クイズの問題を頭に入れ、それらしき答えを見つけたら書き込む、という作業が必要になる。息つく暇もないけど、楽しい。
景色もすごい
景色もすごい
そして道中は風光明媚。森を抜ける一本道、山沿いを走るワインディング、一面のキャベツ畑の間を通る道など、いい景色のオンパレードだ。
気持ちのいい一本道
気持ちのいい一本道
こんな地元の人以外通らないような道にも導かれる
こんな地元の人以外通らないような道にも導かれる
キャベツ畑の中の道もコースだ
キャベツ畑の中の道もコースだ
全行程の半分はキャベツ畑を見ながらのドライブ
全行程の半分はキャベツ畑を見ながらのドライブ
キャベツ畑の中では、近所のスーパーでも売られている「嬬恋キャベツ」が今まさに収穫されている光景も見ることができた。きっと明日か明後日にはウチの近くの店にもやって来るのだろう。今日ウチにも1個やってくるけど。
収穫されて箱詰めされたばかり
収穫されて箱詰めされたばかり
出荷を待つ箱入りキャベツ
出荷を待つ箱入りキャベツ

キャベツゲット!

そうして、コマ図を見間違えてミスコースしたり、クイズの答えを探して走り回ったりしながら、スタートからおよそ3時間で、ゴール地点手前にある最後のチェックポイント、農産物直売所に到着。ここでホームページからダウンロードした引換券を渡せば、ついにキャベツ1個がもらえるのだ!
キャベツ引き換えポイントに到着!
キャベツ引き換えポイントに到着!
と言うことは、自宅からここに直行してもキャベツはもらえるということか。
ついにキャベツをゲット!
ついにキャベツをゲット!
ものすごく大きくて重い、つまりうまそう
ものすごく大きくて重い、つまりうまそう
せっかくなのでトウモロコシを1袋(100円)買ったら、その何倍ものおまけをつけてくれた
せっかくなのでトウモロコシを1袋(100円)買ったら、その何倍ものおまけをつけてくれた
いやいや、このラリーに参加して嬬恋村の魅力を満喫したからこそのありがたみである。こうやってイベントの価値観を参加者に委ねるあたりもローカルな感じがしていいと思う。

必死に走ってきたけど、道中ではほかの出場者をまったく見かけることがなく「ひょっとしてこれ、僕しかやってないんじゃ…」と思っていた不安も、ここでようやく同じコマ図を持った人に遭遇して解消。キャベツを引き換えるときに聞いたら、今日は少ないけど、休日は多くの人が参加していたようだ。
ゴール地点は郷土資料館で、最後のクイズは浅間山噴火による生存者数を調べよというキャベツより重いテーマ
ゴール地点は郷土資料館で、最後のクイズは浅間山噴火による生存者数を調べよというキャベツより重いテーマ
クイズの解答は、事務局に送ると上位5名に名産の高原野菜詰め合わせが贈られるらしい。

発表はまだだけど、これも楽しみに待ちたいと思う。

嬬恋村好きになりました

キャベツの産地である、という以外にこれといって自分の中で印象のなかった嬬恋村。村内を一周するラリーをしてみて、1日で村の虜になってしまった。

これ、いろんな地域で応用できると思うので、ぜひ地元の特産をネタに、各地で開催してほしいと思う。
家に帰ってさっそくキャベツとコーンの味噌ラーメンを作った。野菜はシャキシャキでした
家に帰ってさっそくキャベツとコーンの味噌ラーメンを作った。野菜はシャキシャキでした

嬬恋村キャベツラリーホームページ
(今年の開催は終了しています)

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