特集 2012年10月8日

新幹線を真下から見られる場所がある

こんな景色も見られます。
こんな景色も見られます。
先日たまたま河川敷の遊歩道を歩いていたら、新幹線の高架の近くに出た。

ちょうどその時である、バリバリバリ!という轟音と共にすぐ近くを新幹線が走り抜けていったのだ。

あの衝撃が忘れられなくて、もう一度行ってみた。
1975年愛知県生まれ。行く先々で「うちの会社にはいないタイプだよね」と言われるが、本人はそんなこともないと思っている。(動画インタビュー)

前の記事:サーモンを乗せる寿司革命

> 個人サイト むかない安藤 Twitter

新幹線は日常を走っている

先日、河川敷のグラウンドで野球の試合を見ていたときのことである。野球の試合にも飽きてきたので近くをぶらぶら散歩していると、遠くから何か大きな音が近づいてくるのだ。

ゴゴゴゴゴ…

はじめは雷だと思っていた。

バババババ…

徐々に近づいてくるではないか。河川敷の空気が震える。何かものすごく大きな力が猛スピードでこちらに向かってくるような感じなのだ。

なんだ!
新幹線だった。
新幹線だった。
近くを新幹線が通り過ぎていった。

普段何気なく乗っている新幹線だが外から見ると、しかも全速で走っている姿を近くで見ると、これはちょっとすごいぞ。
場所としてはこんな感じの、のどかなところです。
場所としてはこんな感じの、のどかなところです。
考えてみたら何トンもある鉄の塊が何百人もの人を乗せて何百キロもの速さで移動しているのだ(不確かな数字ばかりですみません)。このくらいの衝撃があって当然なのかもしれない。

これ、もっと近くで感じることはできないのだろうか。

そう思って新幹線の走っていた高架のふもと目指して、行けるところまで歩いてみた。
そしたら真下まで来られた。警官が二人、腰をかがめて歩いてくるのが見える。
そしたら真下まで来られた。警官が二人、腰をかがめて歩いてくるのが見える。
新幹線の高架は河川敷の遊歩道とものすごく近くで交差していた。まっすぐ歩くと頭がひっかかる高さである。手が届くどころじゃない、腰をかがめないと歩けないのだ。
下にもぐるとこんな感じ。
下にもぐるとこんな感じ。
ここからならば真下から走る新幹線を見上げられるんじゃないだろうか。
待ってみることに。時刻表とか持ってきたらよかった。
待ってみることに。時刻表とか持ってきたらよかった。

裏鉄、という新ジャンル

撮り鉄、乗り鉄、鉄道好きにもいろいろあると聞くが、さながら裏鉄である。電車を裏から見て型番いえるようになったらたぶん裏鉄の第一人者を名乗れるだろう。

さて、頭のすぐ上を新幹線が駆け抜けるというのはどのくらいの衝撃なのだろうか。ワクワクしながらその時を待った。
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裏、というこだわり

余談だが、学生の頃友人がコタツを布団ごとひっくり返していたことがある。

何をしているのか聞くと「辱めているのだ」と。

ふむ。

当時は深すぎてついていけなかったのだが、今ならちょっとわかる。電車もコタツも、普段すまし顔で僕たちを受け入れてはいるが、裏から見たら別の顔が見られるのかもしれないだろう。

裏鉄はそこを見るのだ。

真下から見ると線路はこうなっている。
真下から見ると線路はこうなっている。
高架を下から見ていきなり驚かされた。なんと線路の間から空が見えるのだ。スカスカである。大丈夫か。

しかしこういう場所って全国にたくさんあるのだろうか、そしてもしかしたら鉄道マニアのあいだではすでに裏は一ジャンルとなっているのではないか。

心配になって一通り調べてみたが、それらしき人は出てこなかった。すでに鉄道の裏に注目している人、いましたら互いに遠くから存在を意識しあいましょう。
高架の下の草むらにはシュシュが落ちていた。裏を見ながら髪をほどいたか。
高架の下の草むらにはシュシュが落ちていた。裏を見ながら髪をほどいたか。

来る

そのときである。なんとなく場の空気が変わった気がした。

バババババ…ジョジョジョジョジョ…

音は次第に大きくなり、あたりを振動が支配する。
音を頼りに真下から震える枕木にピントを合わせる。
音を頼りに真下から震える枕木にピントを合わせる。
ドドドドド…

遠くからものすごいパワーが近づいてくるのがわかる。

アニメみたいな表現だが、本当に感じるのだ。ものすごい大きな物量がものすごいスピードで近づいてくるんだから、特殊な能力がなくても何か感じて当たり前なのかもしれない。
ドドドドドオオオオオ…
ドドドドドオオオオオ…
来た!

ジョギャアアアアアアアアーーーーー!

さすが真下、ものすごい衝撃である。線路と自分との間には金網があるとはいえ、手を伸ばせば届きそうな距離だ。そんな場所を生の新幹線がものがすごいスピードで通り抜ける。これは裏ファンならずとも興奮しない手はない。
ジョシャアアアアアーーー
ジョシャアアアアアーーー
アアアアーーーーー
アアアアーーーーー
パッカー!
パッカー!
やばい。
やばい。

やばい。

一度F1マシンが走り抜けるのを間近で見たことがあるのだが、あの時も確かこんな感じだった。

音というより衝撃なのだ。バチン!というかバコン!というか、そんな感じの波が体にぶつかってくる感じ。

実際に頭上を走り抜けた時間は5秒とかそのくらいだろうか。その間中、場の空気は暴れ、高架全体がビリビリと震えた。その震えがダイレクトに伝わってくる。さすが真下。

ところで裏、撮れた?

大興奮だったのはわかった。では撮れた写真はどうだったのだろう。もう一度見てみよう。
ほぼ筋。
ほぼ筋。
写っていたのは筋だけではあるが、確かに新幹線の裏側が見えていたのがわかる。裏鉄、ここに始まる、である。



次のページはおまけです。
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ジャンクション、橋脚、ダム

新幹線の裏を見た興奮冷めやらぬまま、近くをうろつき回っていたのだが、そうしたらなんだか大変なことになっているのに気づいた。

このあたり、よく当サイトで取り上げられているような建造物がいくつもあるのだ。
ジャンクション。
ジャンクション。
ダム情報(放流による増水注意の表示)
ダム情報(放流による増水注意の表示)
橋脚。
橋脚。

草むらをかきわけて

デイリー土木記事総集編のようなラインナップである。

ここまで選りすぐられた物が一気に見られる場所もそうそうないのではないか。場所的には神奈川県の相模川沿い、厚木インター付近です。

せっかくなので中でも近くまで行けそうな橋脚のふもとまで行ってみることにした。

これがすごい草むらなのだ。かゆい。
これがすごい草むらなのだ。かゆい。
草をかきわけて進むとそれは静かに立っていた。
わー。
わー。
正直僕はいわゆる土木建造物に対して、機能を評価する以上の感情を抱いていたわけではなかった。「橋脚、ちょうほしい」なんていう記事を読んでも、そんなのどこに置くんだよ、とちょっと思っていた。

しかし実物を間近で見ると人は変わる。
ちょうかわいい。
ちょうかわいい。
でかいのにキメも細かい(なでながら)。
でかいのにキメも細かい(なでながら)。
持って帰りたい(真横から見ています)。
持って帰りたい(真横から見ています)。
橋脚やばい。

同じコンクリートの塊でもビルなんかにはさほど興奮しないのだが、なんだろうこの心が揺さぶられる感じは。橋脚のずらりと並ぶ様は、新しく作っているものであるにもかかわらず、遺跡のような風格があった。
遺跡か。
遺跡か。
建設中のジャンクション、鉄塔、橋脚のコラボレーション。
建設中のジャンクション、鉄塔、橋脚のコラボレーション。
草むらにはテトラポッドがいくつも置かれていた。
草むらにはテトラポッドがいくつも置かれていた。
余計な話ついでにもう少し。

台風までの限定取材


実はこの日、関東地方に大型の台風が近づいていて、このあと直撃する予報となっていた。15時から大雨と強風が吹く予報となっている。
一通り写真を撮り終えたのが14時過ぎである。
一通り写真を撮り終えたのが14時過ぎである。
一通り写真を撮り終えて急いで岐路についたのだが、すでに雲が広がり風が吹き始めていた。
すでにすごい風だ。
すでにすごい風だ。
ジャンクション好きで知られる大山さんもいつか言っていたのだが、ジャンクションとか橋脚とかって郊外にあることが多く、しかも特にそれが観光名所にはなっていないので交通手段がないのだ。この日も最寄の駅から30分以上歩いている。

台風がひたひたと近づきつつある中、帰りの30分は長かった。
ぐんぐんと黒い雲が広がってくる。
ぐんぐんと黒い雲が広がってくる。
結果から言うと家に帰り着くまでに暴風雨に追いつかれてたいへんなことになったのだが、それはまた別の話なので今日はこのくらいで終わります。

来るよ、裏鉄!

少し前に日本を空から見るという番組が流行っていたのだが、やはり目線を変えると新しい発見があるものなのだろう。

新幹線を裏から見てみると、それがどれだけ速いのかを五感で感じることができた。一度これを感じてしまったらもうファンにならないわけにはいかないほどの衝撃である。僕はいま新幹線に夢中です(主に裏からですが)。
しばらくして見に行ったら親子連れが来ていました。裏好き、確実にいますね。
しばらくして見に行ったら親子連れが来ていました。裏好き、確実にいますね。
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