街はエコロケーションしている。
バットディテクターとは要するに、「超音波を探知する機械」である。
コウモリなんて興味ないよという方は「超音波ディテクター」と置き換えてみよう、我々が普段生活を営んでいる空間に、ひそかに飛び交っている超音波を顕在化させ、聴き取ることができるのだ。
ほら、これを持って街に出たくなってきたでしょう。きましたよね…
デジカメもエコロケーション
33kHzの超音波を探知。シャッターチャンスは同時にエコロケーションチャンスでもある。
ストリートでもエコロケーション
ビルの空調か何かだろうか、25kHzでパタパタと存在感を発揮。
ハトが出してるのかな(全然違うし逃げられた)
自転車もエコロケーション
26~30kHz。いちいちレンタサイクルを借りた。
完全に人間に乗りこなされ、その支配下にあるはずの自転車までもが我々の聴こえないところでメッセージを発していた。きっとものすごい陰口を叩かれているのだろうと思うと心中穏やかでない。
セミもエコロケーション
セミはただ交尾の為に鳴いているのではなく、何か人類に伝えたい事があってあんなに必死になっているに違いない。
というのが私の持説だが、この超音波に秘密が隠されているのではないだろうか。あとの解読はまかせた!
メガネの超音波洗浄機もエコロケーション
しかし、40kHz~100kHzまで均質の、いかにも人工的な周波数帯の分布(までグラフ参照)が味わえるのはディテクターならではだ。
エコロケーションといえばイルカ
他にエコロケーションを行う代表的な動物といえばイルカである。
彼らは主に水中でのコミュニケーションに様々な種類の超音波を活用している。
水族館では水槽はぶ厚い強化ガラスで作られており、泳ぐイルカ達のエコロケーションをキャッチするのは難しそうだが、彼らは常に水中にいるわけではない。
ジャンプをして空中に華麗に飛び上がった時に、気持ちよさのあまり「ひゃっほーい」とか「ラッセンだよーん」とか超音波で叫んだりしてるのではないか。私がイルカなら、叫ぶ。
反応なし…
残念ながら測定できなかった。私の想像などより遥かに彼らは寡黙で、理知的だった。
タッチプールでオオグソクムシには触れた(関係なし)
やはりコウモリがすごい。
ここまでコウモリをはじめ多種多様なエコロケーションを採取してきたがグラミー賞に最優秀エコロケーション賞があったら、私は迷わずこのコウモリにアワードを授けるだろう。
キクガシラコウモリである。
やはりかわいい。顔の真ん中のごちゃごちゃから怪音波を放つ。
前述のコキクガシラコウモリと類似種であり、エコロケーションの波長も似ているが身体が大きく、周波数も66~67kHzと低い。(コキクガシラは105kHz)
これだけ聞いたら完全にUMAですよ。ベストヒットUMA(すいません)
声量豊かで、力強い音声。それでいてこの世のものとは思えぬ浮遊感。
おそろしくてかっこいい。まさにキング・オブ・エコロケーション。
すばらしい音波をありがとう。
エコロケーションハンティングは続く
こうして夏の休日のほとんどをバットディテクターと一緒に山や街を
徘徊して費やした。きっと秋には秋の、冬には冬のエコロケーションが私を待っているに違いない。エコロケーションの国だもの。
今度はあなたの街に、エコロケーション・ハンターがやって来るかもしれない。
たぶん気付かないと思いますが。
オナガとコーディネートしてみた。いい色だ(超音波は出しません)
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