特集 2012年8月29日

店オリジナルの!変化球焼きそば

ラーメンやうどんそばに比べると一枚落ちた扱いのアイツ。
ラーメンやうどんそばに比べると一枚落ちた扱いのアイツ。
「焼きそば」とは不思議な食べ物だ。知らない人はいないけど、ラーメンほどはこだわって語られない。しかし地方の地名+名産を入れた「○○焼きそば」はやたらと多い。ただでもだいたいここ数年のB級グルメに乗っかって生まれただけだったりするんだよねえ。そんな地域レベルではなく、お店レベルで「他とは違う!」と言える変化球焼きそばをチェックしてみました。
1972年佐賀県生まれのオトナ向け仕事多数のフリーライター。世間の埋もれた在野武将的スゴ玉の話を聞くのが大好き。何事もほどほどに浅く広く、がモットー。

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ガッチリ片面焼き!両面焼き!

ラーメンだと店ごとに「濃厚トンコツ醤油!」「自家製麺!」など他と違う個性を売りにするけれど(実際食ってみての感想はともかく)、焼きそばで個性を売りにしてるところってあまり見ない。日本だとまず間違いなくソース焼きそばだ。あと中華なら五目焼きそば。その程度の違いしかないのがほとんどじゃないだろうか。

縁日やスナックコーナーにあったりすることからも、焼きそばってどっちかというとラーメンのような「食事」というより「駄菓子」寄りな印象がどこかあるのかもしれない。それであまり作り手の気合いが入らない、とか…。

そうか?そうなのか?いや、こんな老舗かつ有名な店オリジナル焼きそばもあるのだ。横浜中華街の刺客!
見た感じぜんぜん焼きそばじゃないですが、まごうことなき焼きそば。
見た感じぜんぜん焼きそばじゃないですが、まごうことなき焼きそば。
とりあえずこういうので勉強してみる。
とりあえずこういうので勉強してみる。
持ち上げると中華系の焼きそばが。
持ち上げると中華系の焼きそばが。

ガッチリ片面焼き!両面焼き!

横浜中華街でも有名な「梅蘭」の焼きそば、その名も「梅蘭やきそば」がこちら。見てのとおり、中華焼きそばの片面をカリッと焼いて、その中にあんかけの具を閉じこめたもの。食感×2倍ってやつですね。

またこういうスタイルなのもあって、中に閉じこめられた具にいろいろバリエーションがあるのもいい。ちなみに自分は季節限定の「海鮮辛口」てやつを。海鮮って中華やきそば感あるよね、ソース焼きそばであまりないだけに。
硬いところを掴んで食う!
硬いところを掴んで食う!
具によって値段が3倍以上に。
具によって値段が3倍以上に。
皿一枚でも具のバリエーションがあるのと食感の違いでなかなか飽きない。それに中に何が入ってるか知っててもオープンすればほかほかの具が!というサプライズ(ではないけど)感覚はやっぱ楽しい。

梅蘭は関東で10店以上あるチェーンで、本格中華が売りではあるんですが、店の看板はこの焼きそば。焼きそばだってメインイベンターになれる! 焼きそば界の超新星ですね。
最後は杏仁豆腐でさっぱりあまあま。
最後は杏仁豆腐でさっぱりあまあま。
渋谷109のすぐ横でも食べれます。
渋谷109のすぐ横でも食べれます。
梅蘭 渋谷店
東京都渋谷区道玄坂2-9-10 松本ビル1F
さて2軒目に来たのが板橋の焼きそば専門店「あぺたいと」。ここのオリジナル焼きそばが「両面焼きそば」。「カタ焼きそば」なんてのはありますが、あのカタは片面の「片」じゃなくて「硬」だ。我々が食べてるのは「片面焼きそば」だったのか?さっきの梅蘭は「ガッチリ片面焼き」か?

実際頼んでみると、見た感じは普通の焼きそばですが…。
焼きそばにしてもかなりシンプルな感じ。
焼きそばにしてもかなりシンプルな感じ。
食べてて合間合間にもやしと麺のぱりぱりした感じが。
食べてて合間合間にもやしと麺のぱりぱりした感じが。
ところどころカリカリな麺があるのがいい!
ところどころカリカリな麺があるのがいい!
普通のソース焼きそばより味はさっぱりしてる感じするんですが、食感が幅広い分あまり気にならない。この「他より焼けてるけど、焼けすぎてない」所が両面焼きなところなんでしょうか。中で1.5玉といってもそれにもやしとかで結構量あるのでけっこう腹いっぱい。
最大はばくはつ!
最大はばくはつ!
かっこむぜー、それでも終わらないぜー。
かっこむぜー、それでも終わらないぜー。
普通のソース焼きそばとは似て比なる、ちょっとクセになる感じは、さすが専門店!だなあ。しかしラーメン専門店(いわゆるラーメン屋)は全国何百、ヘタすれば何千店ありそうだけど、焼きそば専門店って何軒あるのだろう…。
専門店はやっぱり他と違いました。
専門店はやっぱり他と違いました。
あぺたいと
東京都板橋区板橋
1-45-6 大坂ビル 1F

幻でもないけど探すと見あたらない焼きそば

そして3軒目!その都内にもうひとつある焼きそば専門店に行こうと思ってたのだけど…行ったら閉店してた!うわー。
油そば屋になってました。ラーメンじゃダメなのか。
油そば屋になってました。ラーメンじゃダメなのか。
そこで食べようと思っていたのは「ミートソース焼きそば」。発祥などは不明ですが、特に新潟では喫茶「みかづき」、チェーン店「フレンド」あたりに定番メニューとあり知られていると聞きます。あと東京都立川市の百貨店でも定番だったとか、現在も地方の喫茶店なんかでも見られる、とかぽつりぽつり情報が。まあたしかにミートソースも焼きそばも喫茶店メニューだもんな。

いわゆるご当地メニューとは違う広がり方のミートソース焼きそば。うーん、食べたかった…って、それくらいなら自分で作れるよね?
ということでスーパーで買ってきたのと家にあった缶で。
ということでスーパーで買ってきたのと家にあった缶で。
この手の茶色オン茶色は初めてだ。
この手の茶色オン茶色は初めてだ。
焼きそばってソース味にしろ塩味にしろ、もともと味がついてるイメージあるから、さらにソースかけるって違和感あるなあ…。マヨネーズとかならわかるけど。しかしマヨなら許せるってその感覚もなんだ?とか考えつつ、とりあえず控えめにこんな感じで。
見た目、おしゃれカフェでは出ない感じのメニューです。
見た目、おしゃれカフェでは出ない感じのメニューです。
普通のミートソースと比べると「子供が好きそう感」ハンパない。
普通のミートソースと比べると「子供が好きそう感」ハンパない。
うーん、子供舌かつ茶色い食べ物(揚げ物&ソースたっぷり系)ハンターとして自信ある自分でも、ここまでどっぷり茶色はなかなか見ませんよ。正直味の想像がつかない…。ではいざっ。
ずるずるー。あれっ、意外と美味くない?
ずるずるー。あれっ、意外と美味くない?
トマトの甘味が予想以上にソースと合うなあ!と、よく考えてみたらソースの原材料って普通トマト入ってるもんなあ。そこの部分がパワーアップされたと思えば、合わないわけがない。普通の焼きそばにはないミートソースの「ソース感」もあってやたらジューシー。いいじゃない!

最初控えめに入れたクセに、どうせならもっとミートソース味わいたいぜ!と皿に追加する勢い。ただ、入れすぎるとしょっぱいので白ごはんも追加したいところだ。
ミートソース入れ放題バーとかあったら危険!
ミートソース入れ放題バーとかあったら危険!
なるほどなあ、見た目決してよくはないけどそれを越えてでも推したくなる理由はよくわかった!新潟ならずとも出したくなるわー。

しかし、あらためてラーメンに比べると少なすぎる「個性推し焼きそば」。トッピングも自在だし、ミートソース以外にもソースかける術って使えそうな気するし。「ジャズが流れて壁に偽相田みつをみたいなポエム書かれたラーメン屋」みたいなフォーマット作れば一儲け可能ですよ!きっと!

壁に芸能人写真。けっこうそういう店好きです。
壁に芸能人写真。けっこうそういう店好きです。

憧れるなあ、焼きそば余生。

最初の2店はサインや芸能人の写真なんかもいっぱいあって、やはり「焼きそばの店」て珍しいから取材がよく来るのかもしれない。ああ、余生はカップ焼きそばにお湯入れてトッピングするだけの店とか作って過ごしたいなあ…。
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