特集 2012年8月8日

築地市場で闇バーベキュー

築地市場のすぐ近くで、フリースタイルバーベキュー。
築地市場のすぐ近くで、フリースタイルバーベキュー。
魚好きにとってのワンダーランド、日本一の規模を誇る魚の卸売市場を擁する築地を舞台にして、「食べたいものを市場で買ってきてバーベキューする」という、夢のようなイベントが盛大におこなわれた。

とかいって、公式なイベントとかではなく、ただバーベキューをやったという話である。
趣味は食材採取とそれを使った冒険スペクタクル料理。週に一度はなにかを捕まえて食べるようにしている。最近は製麺機を使った麺作りが趣味。(動画インタビュー)

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築地の食材でバーベキューがしたい

築地市場には場内と場外があり、場内は基本的にプロ向けなのだが、一般人立ち入り禁止という訳ではなく、料理人などの仕入れが終わる朝の9時過ぎ以降であれば、お店の人も相手をしてくれる場合が多い。

場外市場は一種の観光地のようになっており、プロ向けの店ももちろんあるが、一般客向けの店が多く、変に緊張せず買い物ができる場所となっている。
魚好きのパワースポット、築地場内市場。早朝に観光気分で行くと、轢かれたり怒られたりするプロの仕事場。
魚好きのパワースポット、築地場内市場。早朝に観光気分で行くと、轢かれたり怒られたりするプロの仕事場。
貝の店とか、エビの店とか、狭い範囲の専門店がたくさんある。
貝の店とか、エビの店とか、狭い範囲の専門店がたくさんある。
そんな築地で、自分の食べたいものを各自が買い求め、持ち寄りでバーベキューをしたら、さぞかし楽しいだろうなと前々から思っていたのだが、それに最適な場所が築地にあった。

築地川公園デイキャンプ場である。その名の通り、築地にあるデイキャンプ場だ。
一見すると普通の公園なのだが、こう見えてバーベキュー場なのである。
一見すると普通の公園なのだが、こう見えてバーベキュー場なのである。

中央区民しか借りられないバーベキュー場

このデイキャンプ場は、予約をすると無料でかまどを使うことができ、鉄板や金網も借りることができるという、私の夢をかなえてくれる場所。

ただ欠点が二つあって、一つは当然人気が高いので、予約がなかなかとれないこと。もう一つは、中央区の施設なので、中央区民か中央区に勤務している人しか借りられないということだ。
花壇をどかすとかまどが現れるという、「実は私…」的なキャンプ場。
花壇をどかすとかまどが現れるという、「実は私…」的なキャンプ場。
本日の幹事は、都合により中央区在住のライター西村さん。
本日の幹事は、都合により中央区在住のライター西村さん。
私は埼玉生まれ埼玉育ち埼玉在住埼玉勤務なので、この素敵な場所を借りることができない。悔しい。

一瞬、本気で中央区に引っ越してやろうかと思ったが、借りる人が中央区民であれば、埼玉県民でも千葉県民でも、一緒に利用することは大丈夫ということなので、無理をいって中央区在住のライター西村さんに幹事をしていただくことにした。
金網や鉄板も借りられるのが助かる。
金網や鉄板も借りられるのが助かる。
西村さんのアウトドア魂と炭に火を付けることが私の仕事。
西村さんのアウトドア魂と炭に火を付けることが私の仕事。
西村さんは今までアウトドアと縁のない生活をしていたそうだが、この日のためにテントやクーラーボックスを揃えたり、消耗品や飲み物の買い出しをしたり、facebookで参加者を集めたりと、準備万端整えてくれた。いい人だ。ナイス幹事。

今日から西村さんのことを、敬意を込めて西村幹事長と呼ぼうと思う。
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人任せの食材選び

キャンプ場での準備を西村さんと私でやることにして、築地での食材の買い出しは、すべて参加者に依存してみることにした。自分で買いに行くと、きっと生きたウナギとか買ってきてしまう。

西村幹事長の用意したルールは、築地市場(場内でも場外でも)でバーベキューで食べたいと思う食材を1000円~2000円分くらい購入してくるというもの。築地で買ってこなくても、ハナマサで買ってきた肉とか、自宅にあるものでもOKという注釈が付く。

誰が何を買ってくるのかが一切わからない闇バーベキューだ。最初に登場したのは、ライター伊藤さんだった。
この日が初対面の伊藤さん。なにやら怪しいビニール袋を持って登場。
この日が初対面の伊藤さん。なにやら怪しいビニール袋を持って登場。
ここが築地じゃなかったら、職務質問で即アウトっぽい中身。
ここが築地じゃなかったら、職務質問で即アウトっぽい中身。
伊藤さんがぶら下げてきたビニール袋の中身は、溶けかけた氷に浮かぶマグロの目玉。ちょっとした真昼の怪談だ。

マグロ屋のおじさんが、外国人観光客に見せて驚かせていたのを買ったらしい。まぐろのカブト焼きをやろうか迷っていた西村さんにとってもうれしい、なかなか築地らしいチョイスである。
他にもクジラベーコン、のどぐろの干物、サトイモという自由なお買い物。
他にもクジラベーコン、のどぐろの干物、サトイモという自由なお買い物。
サトイモはアルミホイルでかわいく包んで焼くそうです。
サトイモはアルミホイルでかわいく包んで焼くそうです。

築地らしく、そしてバーベキューらしい食材達

続いてやってきたのは、ライターの田村さんと小堺さん。二人で築地場内までいって買い出しをしてきたそうだ。

さっき電話で「魚とか捌けますか?」と聞かれたので、鮭一匹とか買ってくるのかとドキドキしていたのだが、袋の中身はその辺のスーパーでは売っていないクラスの立派なホタテやらエビやらイカやら貝やらだった。ゴージャズ。
買ってきてもらった袋の中身を見せてもらうのが楽しい。
買ってきてもらった袋の中身を見せてもらうのが楽しい。
恵比寿顔でエビを差し出す小堺さん。でかいな。
恵比寿顔でエビを差し出す小堺さん。でかいな。
ホタテにエビにイカに貝。海鮮バーベキューの王道といえるセレクトですね。
ホタテにエビにイカに貝。海鮮バーベキューの王道といえるセレクトですね。
写真データをもらったら、1キロ3500円の伊勢海老が写っていた。本当はこのエビが欲しかったらしい。
写真データをもらったら、1キロ3500円の伊勢海老が写っていた。本当はこのエビが欲しかったらしい。
ところでこのバーベキューは7月28日におこなわれたのだが、全国で熱中症患者がでる見事な晴天。夏が暑いことくらいは知っていたのだが、4月にバーベキューの計画をして、予約がとれたのがこの日だったのだから仕方がない。

他のグループは自前の「日影」を用意していたが、我がグループにあるのは西村幹事長が用意してくれたテントのみ。こりゃ一人くらい倒れるかもなと心配したが、西村さんが「太陽の動きからいって、ここが日陰になります!」と、ベンチを移動して事なきを得た。
同じ公園でバーベキューをやっていた2グループは、どちらも日影を持ち込んでいた。
同じ公園でバーベキューをやっていた2グループは、どちらも日影を持ち込んでいた。
道具を持たない我々は天然の日影へ。「日影って涼しいね」と、誰もが知っていることを確認し合う。
道具を持たない我々は天然の日影へ。「日影って涼しいね」と、誰もが知っていることを確認し合う。

ホタテがうまかったので成功でいい

炭火がいい感じで燃えてきたところで、最初に網に置かれたのは、一番迷いなく調理ができるホタテだ。迷いなくとかいって、どっちを上にして焼くべきか迷ったんだけど。

開いた蓋をはずし、バターと醤油でいただいたのだが、これからバーベキュー界にホタテの時代がくるなと思わせる味だった。
バーベキューでホタテは初めてだけど、これはありですね。「築地に逆輸入で売ろう!」という案がでるほどの味。
バーベキューでホタテは初めてだけど、これはありですね。「築地に逆輸入で売ろう!」という案がでるほどの味。
見た目以上に美味しいホタテに、手を叩いて喜ぶ田村さん。
見た目以上に美味しいホタテに、手を叩いて喜ぶ田村さん。
うまいホタテを食べて本日の目的を一通り達成したところで、ある意味で一番築地らしい食材の、マグロの目玉焼きに挑む。

たぶん、私が買い物に行っていても、これは見かけたら買っていたと思う。
目玉だけで子供の拳くらいあるぞ。
目玉だけで子供の拳くらいあるぞ。
巨大な目玉に、ガクガクと震える参加者。なにで覚えたポーズなんだろう。
巨大な目玉に、ガクガクと震える参加者。なにで覚えたポーズなんだろう。
マグロの目玉はアルミホイルで包んで焼くといいそうです。脂の乗ったノドグロがうまかった。
マグロの目玉はアルミホイルで包んで焼くといいそうです。脂の乗ったノドグロがうまかった。
隣の人達が、カクヤスからビールサーバ一式を出前していた。そんな技があるのか。
隣の人達が、カクヤスからビールサーバ一式を出前していた。そんな技があるのか。
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食材のかぶりを避けるとこうなる

マグロの目玉が焼けるまでの間に、一人二人と参加者が増えてきた。

ただ、すでに12時を回っているので、築地と関係のないところでの買ってきた人が多く、純然たる闇バーベキューと突き進んでいく。

この時間帯に来る人は、みんなが「他の人とかぶらないように」と選んできたようで、集まった食材が想像以上にバラバラだ。
「肉とか魚だとかぶるから」と、スイカを2玉持ってきたライターの北村さん。
「肉とか魚だとかぶるから」と、スイカを2玉持ってきたライターの北村さん。
「家だと丸ごと焼けないのよー」と、巨大なイカを持ってきた編集部の古賀さん。
「家だと丸ごと焼けないのよー」と、巨大なイカを持ってきた編集部の古賀さん。
さらに牛肉と冷凍枝豆。ここにきて初の肉登場にテンションが上がる。本音はやはり肉も食べたい。
さらに牛肉と冷凍枝豆。ここにきて初の肉登場にテンションが上がる。本音はやはり肉も食べたい。
トマトはマヨネーズを掛けるかどうかで熱弁が繰り広げられていた。
トマトはマヨネーズを掛けるかどうかで熱弁が繰り広げられていた。
汚れてもいい格好のTシャツだ)でやってきたという、ライターのさくらいさん。まさかの餃子とマンゴーパイ。
汚れてもいい格好(うちのバンドのTシャツだ)でやってきたという、ライターのさくらいさん。まさかの餃子とマンゴーパイ。
築地場外でナスとシシトウを買ってきたライターの馬場さん。「オリーブオイルはありますか?」って電話があったけれど、なにを作る気なんだろう。
築地場外でナスとシシトウを買ってきたライターの馬場さん。「オリーブオイルはありますか?」って電話があったけれど、なにを作る気なんだろう。
みんなが持ち込んだ食材を取りだすたびに、、「なるほど!」とか、「それいいね!」という声が上がる中、「なぜ?」という感想を集めたのが、さくらいさんの冷凍マンゴーパイ。

「でも、絶対甘いものも欲しくなりますよ!」と、本人は至って真面目である。

なにを食べても未知の味

もはや築地市場で購入したものを焼いて食べるという初期のコンセプトはどこかへ行きつつあるが、自分だったらまず買わないようなものが集まってきて、さらにそれを思いつきの味付けで調理していくので、バーベキューに対する己の幅が広がっていくのがおもしろい。

よし次はあれを買ってこようと、次回を予感させるということは、きっと成功なのだろう。
ようやくマグロの目玉が焼けた。目の裏側にトロトロの肉がたっぷりと付いていてうまい。
ようやくマグロの目玉が焼けた。目の裏側にトロトロの肉がたっぷりと付いていてうまい。
マグロの目玉は塩とごま油で食べるとおいしいそうです。たぶんなんでもおいしい。
マグロの目玉は塩とごま油で食べるとおいしいそうです。たぶんなんでもおいしい。
巨大なエビはそのまま丸焼き。正月みたいだ。エビってわかりやすい豪華さがあるね。
巨大なエビはそのまま丸焼き。正月みたいだ。エビってわかりやすい豪華さがあるね。
やっぱり恵比寿顔でエビを食べる小堺さん。
やっぱり恵比寿顔でエビを食べる小堺さん。
イカはホタテの殻に乗せて、取っておいたホタテバター汁で焼くという贅沢。
イカはホタテの殻に乗せて、取っておいたホタテバター汁で焼くという贅沢。
そしてマシュマロを焼く子供達。
そしてマシュマロを焼く子供達。
ここで金網から鉄板にメンバーチェンジ。イカがでかい。
ここで金網から鉄板にメンバーチェンジ。イカがでかい。
焼いたクジラベーコンは、「味がない!」「無(む)だ!」と、食べた人から表情を奪っていった。
焼いたクジラベーコンは、「味がない!」「無(む)だ!」と、食べた人から表情を奪っていった。
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バーベキューから屋台村へ

金網から鉄板に切り替わったことで、このあたりから闇バーベキューですらなく、気のきいたツマミを出す屋台村みたいになってきた。

オリーブオイルでシシトウとナスを炒め、魚介に少し飽きてきた舌を喜ばせてくれた、小料理屋をやっているライターの馬場さんに対し、「お店やったらいいんじゃないですか!」って3回くらい絡んだと思う。もうやっている。
シシトウは、最後にたっぷりと鰹節を加えるのがポイントらしいぞ。
シシトウは、最後にたっぷりと鰹節を加えるのがポイントらしいぞ。
ナスはミョウガとシソでさっぱりと。もう店をやればいいのに(まだいう)。
ナスはミョウガとシソでさっぱりと。もう店をやればいいのに(まだいう)。
ここでようやく古賀さん持参の肉が登場。
ここでようやく古賀さん持参の肉が登場。
東南アジアの屋台にでも来たような気分になってきた。昼ビールに合うツマミ達。
東南アジアの屋台にでも来たような気分になってきた。昼ビールに合うツマミ達。
スーパーの袋をぶら下げて、ライターの三土さんが登場。「そろそろこういうのもいいでしょう」と、トンガリコーンを出してきた。facebook だったら「いいね!」を押したい。
スーパーの袋をぶら下げて、ライターの三土さんが登場。「そろそろこういうのもいいでしょう」と、トンガリコーンを出してきた。facebook だったら「いいね!」を押したい。
さらにバーベキューというよりも、奥さんに買い物を頼まれた感のある食材が出てきた。
さらにバーベキューというよりも、奥さんに買い物を頼まれた感のある食材が出てきた。

よく晴れた一日でした

ここで汚れてきた鉄板から金網に戻し、バーべキュー再開。集まったメンバーと食材の自由っぷりが比例しているのか、見事なまでの闇バーベキューである。

ここでいう闇バーベキューとは、暗闇でやるバーベキューという意味ではなく、むやみやたらなバーベキューの略だ。
オオアサリとソーセージとマンゴーパイがまさかの共演。どこの国だこれ。
オオアサリとソーセージとマンゴーパイがまさかの共演。どこの国だこれ。
一番最初に炭の横に並べたサトイモがようやく焼けた。バターで食べると最高。
一番最初に炭の横に並べたサトイモがようやく焼けた。バターで食べると最高。
「パイ、おいしいですよ!」
「パイ、おいしいですよ!」
「パイよりカイのほうがおいしいよ!」
「パイよりカイのほうがおいしいよ!」
焼いたソーセージのうまさに今更ながら目覚める。定番って正しいね。
焼いたソーセージのうまさに今更ながら目覚める。定番って正しいね。
餃子に「羽の素」がついていたのだが、全然蒸発しないので、無理矢理上からガスバーナーであぶったら、上は焼き餃子、下は水餃子みたいになった。素直に鉄板洗えっていう話だな。
餃子に「羽の素」がついていたのだが、全然蒸発しないので、無理矢理上からガスバーナーであぶったら、上は焼き餃子、下は水餃子みたいになった。素直に鉄板洗えっていう話だな。
ここで西村さんのご友人が差し入れしてくれたアイスが大好評。料理はタイミングだ。
ここで西村さんのご友人が差し入れしてくれたアイスが大好評。料理はタイミングだ。
慣れないアウトドアの仕切りに疲れ果てた西村さん。ありがとうございました。
慣れないアウトドアの仕切りに疲れ果てた西村さん。ありがとうございました。
バーベキューの後半は、記事の事とかほとんど忘れて、ただただこの日を楽しんだ。

トイレも水道もあるし、足りないものがあればコンビニだってすぐ近く。利便性ってすばらしい。

素材集の音みたいにはっきりとセミが鳴き、初対面の子供達がそこらで水を掛けあっている。

リアルに充実した、とてもいい一日でした。
それでは、接待スイカ割り(古賀さん命名)でさようなら。
それでは、接待スイカ割り(古賀さん命名)でさようなら。

バーベキューなんて、ただでさえ火があるだけで楽しいのに、それに築地市場での買い物が加わったら、どれだけ楽しいのだろうとやってみたこの企画。自分で買い物をした訳でもないのに、予想以上の満足度だった。

外で飲む酒がうまいとか、夏は日影の確保が大事だとか、コンビニって便利とか、いろいろな実体験を積むことができたことも収穫だ。当たり前って大事だ。
古い地図を取りだして、昔ここが川だったことを確認する三土さんと西村さん。本物だ。
古い地図を取りだして、昔ここが川だったことを確認する三土さんと西村さん。本物だ。
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