日食とうるう秒で作ってきました
5月の金環日食は日食グラスに「日食」の文字を貼り付けてのぞんだ。日食が楽しみすぎたのでただのグラスではなく細工したかったのだ。あと、これでちょっと目立たないかなという考えも正直あった。
これでも太陽は見えます
そして写真を撮られて新聞社のサイトに載ってテレビにもうつった。
口の開け方がデイリーポータルZ
さんざん自分でウェブサイトを作っているのに人のサイトに載るとなんでこんなに面白いんだろう。自問しながらうかれて帰りに伊勢丹で蝶ネクタイを買った。よっぽどうれしかったのだろう。
そして7月1日のうるう秒はライター西村さんも加わり、うるう秒メガネでのぞんだ。
ばかが3人に増えた
3社に取材された
誤解のないように言っておくとただ目立ちたいのではなく、まず僕らは純粋にうるう秒に対して興味があったのだ。あった上で、なにか記念になにかしたいというよけいな思いが間違った方向に噴出しただけだ。目立ちたいは2番目だ(テレビに出たいが3番目)。
テレビの取材がありそうな場所にうかれメガネをかけて登場すると取材される、という世間ハッキングでもある。
しかし問題はクオリティだ
僕らが作るうかれメガネは紙かスチロールである。ペラペラしてて安っぽい。三匹の子豚でいえば吹き飛ばされる系の家だ。うかれメガネといえばデイリーポータルZと言われるようになるには(なりたいのだ)もっとクオリティを上げる必要があるだろう。
結論から言うと、今回こうなります
アクリルでうかれメガネを作ったのだ。
いかにして我々がアクリルのうかれメガネを作ることができたか、その道のりである。
人に頼った
レーザーカッターという工具がおいてあるカフェの噂は聞いていた。いつか行こうと思っていたが、うかれメガネマイブームと結びついた。そうかここでアクリル製のうかれメガネを作ればいいのか。
渋谷 FabCafe
アイスクリームを入れる冷蔵庫のようなふりしてレーザーカッター
レーザーカッターってなんだ
レーザーカッターとは、刃の代わりにレーザーを使って切る装置である。説明したつもりが言葉を分けて言っただけだ。
アクリル板のようなほぼ手で曲線を切るのが不可能な素材もすいすい切ることができる。
打ち合わせのときに切ってもらったアクリル板
正直、この林雄司のプレートだけで満足して帰ろうかと思ったほどだ。厚みのあるアクリル板がこんな複雑な形に切り抜けるなんて魔法だ。
アクリルは専用のカッターでなんども傷をつけて割るしかなく(だから直線しか切れない)、これまで僕が工作記事でアクリルを使ったときも長さの調節ぐらいしかしていない。
ただの見えない(見えにくい)板として利用
アクリルの棒をひもで結んだだけ。
右の工作に至っては素材がアクリルなだけで加工方法としては石器時代である。ひもで結ぶ。
それがあんな精密な加工ができるなんて一気に2500年ぐらい進化した気分だ。高層ビルの前で「たーかいな、たーかいな」と驚いてもおかしくない。
木も切れる。ドット絵の木材ははじめて見る風流さである
加工中の映像。延々と撮ってるので適当に早回ししてください。3分08秒あたりから切抜きはじめます
動画の最中、うぉー、おーと言っているのは編集部 林、石川、安藤である。
メガネを作る
レーザーカッターに興奮した我々はFabCafeを2時間使わせてもらい、メガネを製作することにした。思う存分うかれたメガネが作れる。
ばかが4人に増えました
マイクを持っているのはこの製作のようすをUSTで中継したからである(
そのときの録画データはこちら)。もってきたイラストレーターのデータが読めない・そもそもイラストレーターの操作方法がわからないなどのトラブルを乗り越えて作ったのはこの5点。
ばかが作ったばかメガネ
上の3点はメガネだというのにまったく鼻あてのことを考えてない。これが後々問題になるのだ(後々と言っても次のページだけど)。
西村まさゆき作・地図記号工場メガネ
工場の記号で固定できるが、痛い
べつやくれい作 どくろメガネ
べつやくメガネ。ただし黒目がよく見えず
林雄司作 金星食観察メガネ
石川大樹作 コンタクトレンズメガネ
メガネなのにコンタクトレンズと書くウイットにおどろく
工場メガネを作ったライター西村氏はこれで工場見学に行くと息巻いていた。僕はこれで金星食を見る。
次のうかれイベントは金星食か
8月14日に金星食があるのだ。金星の前を月が通り過ぎる天文現象である(
国立天文台の説明ページ)。
メガネの黄色も金星にちなんだ(イメージで)。むかし見た宇宙人百科で金星人は金髪だった。
日食に比べて地味なので果たしてどこまで話題になるのか不安なところではある。そして金星食は夜なのでメガネがまったく必要ないのも気になる。さらに言うなら「金星食」と堂々と書くとどこか香港映画のタイトルのようでもある。
メガネとしてつるもつけた
つるもアクリルにしたので全体に透明感が出た。厚紙の日食グラスとは格段の差である。2ヶ月で工作スキルがここまで上がるとは(ほぼFabCafeのおかげだが)。
つるのまっすぐさ、貼り付けかたの雑さは日食グラスに似たテイストを感じるが作っている人間が同じなのでしかたあるまい。人間は2ヶ月でそうそう上達しない。
痛い
本番の前にちょっとかけ心地を試してみたいので外に出た。
電車に乗る金星食
大江戸線を待つ金星食
表情が硬い。
ずっとかけていたのではなく、写真を撮るときだけかけてすぐに外していたのだ。なぜなら、痛い。
アクリルのフチのとんがったところが鼻にあたる
メガネの鼻あては重要だ。惑星を見るつもりがものすごく身近なことを知った。身の回り1㎜のできごとである。ミクロとマクロはつながってるんですね。
ばんそうこう必須
鼻あてはつけず、ばんそうこうで解決した。次回からはうかれつつも鼻の存在を忘れないようにしたい。鼻の存在を忘れる、なんて文章はじめて書いた。
自動販売機もうかれる
うかれメガネをかけるとおすすめも変わるのだ。
顔でおすすめ商品を選ぶという自動販売機。素顔だと
缶コーヒーだが
うかれメガネだと
ミルクティである
やや派手なチョイスになった。iPhone5発売、北陸新幹線開通など世間の関心事にはアクリルうかれメガネをかけて馳せ参じたい(そしてちょっと目立ちたい)。
ビジネスチャンス
日食は年に1回は世界のどこかで必ず起きるのだそうだ。ということは eclipse(日食)という日食観察グラスを作って輸出したらずっと日食がある国のうかれた人たちに売れ続けるのではないだろうか。
ビッグうかれビジネスチャンスだ。
FabCafeはばかなメガネだけじゃなくてiPhoneケースやアクセサリーなどいろいろ作れます
協力:
FabCafe
東京都渋谷区道玄坂 1-22-7 道玄坂ピア1F
レーザーカッターの使用料金などはFabCafeのサイトをご覧ください。