特集 2012年7月30日

洋食店のレアメニュー「ビクトリアカツ」とは何か

おなじみメニューの中、なんか一つ荘厳なのが混じってる
おなじみメニューの中、なんか一つ荘厳なのが混じってる
トンカツ・チキンカツに代表される、カツレツ系というジャンルの料理がある。他にもヒレカツ・メンチカツあたりはメジャーだろうし、ハムカツやエビカツも一般的だろう。

では「ビクトリアカツ」はご存じだろうか。名前からして気になるこの料理を探ってみた。
1973年東京生まれ。今は埼玉県暮らし。写真は勝手にキャベツ太郎になったときのもので、こういう髪型というわけではなく、脳がむき出しになってるわけでもありません。→「俺がキャベツ太郎だ!」

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厳かな響きのカツ料理「ビクトリアカツ」とは

トンカツなど親しみやすい響きの名前が多いカツ料理だが、「ビクトリアカツ」にはそれらと一線を画す存在感がある。果たして実体はどんなものだろうか。
こちらの店にあるらしい
こちらの店にあるらしい
「チリカツ」も気になるけどな
「チリカツ」も気になるけどな
まずやってきたのは、横浜スタジアムの近くにある「グリル サクライ」というお店。店頭に掲げてあるメニューにも、ハンバーグなどの中に混ざって載っているのを確認。

この店の表記は「ヴィクトリアカツ」。本格的な発音を意識した書き方で、厳粛ムードがさらに高まる。
訪れづらい営業時間設定
訪れづらい営業時間設定
サラリーマンの栄養補給拠点
サラリーマンの栄養補給拠点
営業時間は11:30から14:30までの3時間のみ。さらに土・日・祝日は休業なので、近くに住まいや職場がないと、かなり行きづらい店ということになる。

今回はたまたま平日の昼間に訪れることができた。そういう意味でもビクトリアカツへの期待が高まる。やってきたのはこれだ。
立派!
立派!
かなり大振りで存在感のあるカツが登場。なんとも言えない色合いのソースがかかっているのも、よくわからないままにビクトリアっぽいか。
厚さ的にも迫力あり
厚さ的にも迫力あり
いよいよ中身と対面
いよいよ中身と対面
厚みは3cmほどあるだろうか。切り分けられた断面を確かめてみると、メインはひき肉のようだ。

ということは、メンチカツということになるのだろうか。メンチカツ、嫌いじゃないけど独特の臭みがある場合も多いよな。そう思いながら食べたが、そうしたものはまるでない。

デミグラスとはまた違ったやさしい味わいのソースと絡むのもおいしい。ワンランク上のメンチカツ、ということだろうか。名前の意味はよくわからないままだが、存在感とおいしさは確かだ。

ビクトリアカツは聞き慣れないゆえに、特定のお店のオリジナル料理のようにも思えるが、そういうわけではないようだ。しかしかなり珍しいメニューではあるようで、レストランの口コミサイトで調べたところ、「ビクトリアカツ」「ヴィクトリアカツ」で検索して出てくるのは全国で5店舗のみ。全て関東で、うち2軒が横浜市内にある。

続いて訪れたのは、その横浜市内にあるもう1店「レストラン テル」。
ここ、ほんとにそうかな
ここ、ほんとにそうかな
よく見たら看板あった
よく見たら看板あった
調べた所在地に来たのだが、一瞬店だとわからないたたずまい。バイクの陰になっていた看板を発見してやはりそうだと確認できた。
Aランチが微妙に気になる
Aランチが微妙に気になる
歴史を感じさせる雰囲気の店内
歴史を感じさせる雰囲気の店内
店頭にはランチメニューがかかっていて、中でもAランチである「ポークカツ(ひき肉入り)」というのが気になる。ポークカツ部分には疑問はないが、「(ひき肉入り)」ってなんだろう。

ライス・スープ・サラダつきで400円というのもすごい。ビクトリアカツと合わせてこちらも注文してみよう。
「ビクトリィカツ」にも読めてかっこいい
「ビクトリィカツ」にも読めてかっこいい
ビクトリアカツは「ア」が小さくゴニョッと書いてあるのが味わい深い。これら400円メニューは本来14時からランチメニューと交代になるものだそうだが、今回訪れたのが偶然14時まであと5分というタイミングだったため、お店の方にお願いしたところランチメニューと合わせて注文できた。

そもそもランチタイムを過ぎても値段の変わらない400円メニューがあるというシステムがすごい。4番の「変りチキンカツ(チキンコロッケ入り)」というのも気になるが、さすがに3つは食べきれないのであきらめよう。
エクレアみたいなポークカツ(ひき肉入り)
エクレアみたいなポークカツ(ひき肉入り)
これは確かにそういう説明になるわ
これは確かにそういう説明になるわ
まずはランチメニューの「ポークカツ(ひき肉入り)」を紹介しよう。細長い形はなんだか珍しい。

切ってみると内容がよくわかる。ひき肉を薄切り肉で巻き、衣を付けて揚げてある。これはまさに「ポークカツ(ひき肉入り)」という説明にぴったり合ったもの。初体験の組み合わせだが、食感の違うお肉が同時に楽しめておいしい。
深まるビクトリアの謎
深まるビクトリアの謎
そしてやってきたビクトリアカツは、1店舗目とはまた違った存在感。でかい揚げ物というのは共通だが、雰囲気は異なる。
このセットで400円という安さ
このセットで400円という安さ
納得できる薄さ
納得できる薄さ
存在感の違いは、切ってみてよくわかった。かなりの薄さなのだ。

中身はひき肉ベースというのは共通だが、ちょっと別物の料理とも感じられる実体の差。ただ、個人的には揚げ物は衣もしっかり好きなので、このペラペラ感はウェルカムだ。

1店舗目はライスやスープなどとセットで900円だったのに対し、こちらは似たような構成で400円。両者それぞれの方針は納得できると思う。チョコレートのようなソースはかすかに苦みがあって、衣の油と調和があった。

2つ食べたものの、ビクトリアカツという名前についてはわからないまま最後にやってきたのは、二子玉川にある「愛菜厨房 リヴィエール」。店頭のメニューでビクトリアを確認できた。
洋食居酒屋といった感じのお店
洋食居酒屋といった感じのお店
いい位置につけてるビクトリアカツ
いい位置につけてるビクトリアカツ
店頭のメニューボードにも、ハンバーグ系に続いてラインナップされているビクトリアカツ。マイナーメニューだからと言って隅っこで小さくならず、なかなかのポジションにつけている。

ボードに加えてブックタイプのメニューも店頭にあったので、そちらもめくってみよう。
切実な訴えがそこにある
切実な訴えがそこにある
写真入りでもあいつとは違うことを訴求
写真入りでもあいつとは違うことを訴求
ビクトリアカツの部分に、今回初めて料理についての説明書きを見ることができた。「ハンバーグをあげたカツ」と書いてある。

そうか、ビクトリアカツとはハンバーグを揚げたものなのか。

そう納得しそうになったところで、やっぱりそれってメンチカツじゃない?と疑問が頭をもたげてくる。「メンチとよばないで」とも書いてあるのは、誤解を先読みしているからだろう。
食事もお酒も楽しめる雰囲気
食事もお酒も楽しめる雰囲気
メニューの表紙にもしっかり載ってる
メニューの表紙にもしっかり載ってる
店内にあったメニューブックでは、表紙の「当店のおすすめ」にビクトリアカツもセレクトされている。これは期待が高まるではないか。

店員さんによると、ビクトリアカツは名前の由来こそ正確にわからないそうだが、オリジナルメニューというわけではなく、全国に出す店が数店舗あるとのこと。メンチカツとの違いについて尋ねると「メンチカツとは…」と少しためた上で、「違うんですよ(ニヤリ)」との答え。これは「食べればわかる」ということだと解釈して注文してみた。
ビクトリアはわかんないけど、とにかくうまそう
ビクトリアはわかんないけど、とにかくうまそう
やってきたのはやはり、ザ・でかい揚げ物。大きさも厚さも立派なのは1店舗目と似ているが、衣のパン粉がきめ細かいのが洋食屋さんのフライ料理といった雰囲気を漂わせる。
メンチカツとの違いを探りたい
メンチカツとの違いを探りたい
衣と中身の食感の対比も魅力
衣と中身の食感の対比も魅力
メンチカツではなく、ハンバーグを揚げたものだというこのビクトリアカツ。食べてみてわかったのは、「ははーん、なるほどなるほど、うーん、そういうことかねー」というもの。

つまりはあんまりわかってない。だが、メンチカツにありがちな臭みは全くないという点はメンチを超えているとも言えるだろう。

これまでと違ってサラッとしたソースがかかっているのも、衣の食感を変化させて楽しい。きめ細かい中身に材料の味が閉じこめられていて、しっかりおいしい料理だ。

2店舗目のメニュー、気になるのいろいろ
2店舗目のメニュー、気になるのいろいろ
ビクトリアカツの実体は「でかくてうまいメンチカツの上位版」という感じになるだろうか。結局最後までビクトリア感についてはよくわからなかったが、どの店でも満足度の高い料理ではありました。
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