空港付近の紅いトラス、それは、誘導灯です。
まず最初に答えを書くと、この紅い橋は、飛行機に滑走路の位置を知らせるための、誘導灯とか進入灯とか呼ばれるものだ。夜間などの離着陸時、滑走路上に並んで点滅するライトの列、それを陸上からまっすぐ伸ばしたものである。広島空港は山の中にあり、誘導灯のあるべき位置が谷にかかるため、巨大な橋梁になっているらしいのだ。
進入灯はこの滑走路の西側に向かって伸びていると聞き、地図を拡大して航空写真にしたらトラス映ってるんじゃないかな~と気軽にやってみたら、ものすごいスケールで映り込んでいてびっくりした。
紅い橋までの道のり
このトラス橋、ネットの情報では「広島駅から空港へ向かうバスの中から見える」ということだったので、広島駅まで新幹線で向かい、駅前からバスに乗った。さすがにこのためだけに東京からわざわざ来たわけではないが、午前中は京都にいたので広島にはこのためだけに来たことになる。我ながら酔狂なことである。
あ!!見えた!!!
緑の中にいきなりにゅっとあらわれる紅い物体、強烈なインパクトだがいかんせん一瞬である。よし空港に着いたら歩いて行ってみよう。
と気軽に考えた結果、なんにもないし、誰もいない道を炎天下30分歩くことになった。
しばらくべつの空港の誘導灯の写真でもご覧ください。
羽田D滑走路の誘導灯は海の上
誘導灯の紅いトラス橋だが、なにも広島だから紅いわけじゃない。ほかの空港でも同じ理由でにゅいっと伸びてるところがある。まずは羽田空港。
大きな地図で見る
旧来のA, C滑走路から南側に2本伸びているのがわかるだろうか。新しくできたD滑走路は東側だが、あ、これまだ工事中の写真だな(2012/7/26現在)。
2010年に運用開始した羽田D滑走路は出来る前も出来てからも何度も見学に行ったので、そのたびにこのトラス、映り込んでいた。
これは2009年、D滑走路の見学施設から。富士山と、飛行機を撮った写真に映り込んでいるA滑走路の誘導灯(まだその存在に気づいてないので写真がわかりづらい。
鮮明な写真は大山さんのこちらを)
これは完成直前のD滑走路陸上見学会にて。ぽつぽつと、トラスの橋脚だけできている。Googleマップの航空写真に映っているのもこの状態だ。
なんとトラスをくぐることができて大興奮。
いっぽう広島空港を出発10分後の私は、山の中、突如犬の吠える声がきこえてきてすわ野犬か、と身の危険を案じているところである。麻薬探知犬の管理センターだった。
成田空港の誘導灯は高速道路を横切る
山の中の広島空港、海の上の羽田空港とちがって、平地どまんなかの成田空港はどうなっているかというと、こんなふうになっている。
海の上もいいが、よく見慣れた高速道路の光景の中に真っ赤で巨大な橋がぬっとあらわれる異物感もすごい。やばい。
大きな地図で見る
地図で見るとこの中央の部分。高速道路を超えてかなり北まで伸びている。
この高速道路上のインパクトある写真が記憶に残っていたので、今回写真をお借りする連絡をしたところ、実際に近くまで観に行ったのもあるよとさらに教えていただいたのがこれだ。
やっぱり、これは観に行っちゃうよね!!たとえ30分歩こうとも!!
空港を出発して20分後、ようやくそれらしきものが見えてきて失いかけたやる気を取り戻す。
よかった、あれだー!でもまだ遠いなー!
走る車と比較してください。
でけえ!
滑走路の端から飛び出して
ずっと先まで。長え!!
近くでみるとほとんどこれがどういう大きさなのか見失うでかさである。羽田空港や成田空港の誘導灯トラスは、あくまで水平に伸びる部分の紅いトラス構造、そのでかさと異物感に興奮していたのだったが、そんなのはもう、はるか上空だ。目の前にはひたすらそびえ立つ紅い塔。
そしてまたこの紅がいい色なのよ!
滑走路のはしっこの部分もメカメカしくって素敵。空港の構造物っていつでもなんだかピカピカしてるし好き。
しばらく待ったら、飛行機が離発着するところを撮れるかな、と思ったが、つぎに離陸する飛行機、それはわたしが乗る飛行機だ。帰ろうか。
広島に行った際はぜひお立寄りを。
帰りの道は、空港までの高さ、つまりこの橋脚と同じだけの高さをのぼっていかねばならないことになる。いろいろと覚悟していたが、このトラス橋脚のすぐ横に民営パーキングがあって、パーキングやレンタカーの客を空港まで5分程度で送迎してくれているのだった。じつは行きの道すがら、何度もそのマイクロバスに追い越されていたので、事務所のおじちゃんおばちゃんにダメ元で帰り乗せてもらえるか伺ったところ、「ここまで歩いてきたの!? なんで!? え、この橋を観に来たの!?」とびっくりされつつ、「最近はそういうひと、いるのよ」「女性でめずらしいね~」「そういう趣味に女性とか関係ないのよ~」と酔狂な趣味も理解いただいて大変助かった。しかしバスがくるまでの間、広島のどこがよかったのかをきかれて答えに窮し、さすがにこれだけしか観ていないとも言えずにいままでの人生の広島観光の思い出を総動員することになるのである。いや、これだけのためでも行くべきだ広島。
一定の長さでぷつっと切れるところもすごい。異空間にのみこまれたかのよう。