特集 2011年10月13日

羽田空港に船着場ができた

楽しい空港クルーズ
楽しい空港クルーズ
今年7月、羽田空港に船着場ができた。
空港に、船が着けられる、ですと!
なんだかおもしろいことになりそうなのはまず間違いない。偵察に行かなければ。
1984年うまれ、石川県金沢市出身。邪道と言われることの多い人生です。東京とエスカレーターと高架橋脚を愛しています。

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空港のまわりをクルーズすると、このように最高に楽しいです

まずは、羽田空港のまわりをクルーズすると、どういうふうに楽しいことになるかということからご説明したい。
メインデッシュとなるのは、2010年の1月から運用開始している我らがD滑走路。多摩川河口に突き出す形で位置するこれを、ぐるっとひとまわりすることになる。

より大きな地図で 羽田D滑走路見学会 を表示
運用開始前に運良く参加できた陸上での見学会のときの地図がこちら
我らが、と書いたのは、私が会長を務める高架橋脚ファンクラブでは、D滑走路は「橋脚たちの聖地」に認定されているからだ。それはどういうことか。順番にご覧いただこう。
まずはD滑走路東側の埋め立て構造部分。だだーん。
まずはD滑走路東側の埋め立て構造部分。だだーん。
飛行機が近い。轟音。
飛行機が近い。轟音。
D滑走路は、世界でも稀にみるハイブリッド構造になっている。東側はこのように真っ平の埋め立て構造。そして西側は、桟橋構造。東側に伸びすぎると東京湾の航路をふさぎ、かといって西側に伸びると多摩川の流れを遮ってしまう、そこで多摩川にはみ出した部分だけ、桟橋にしてしまおうという、超アクロバティック計画だったのだ。
ここで注目したいのは飛行機誘導灯の赤いトラス。え、これくぐっていいのか!
ここで注目したいのは飛行機誘導灯の赤いトラス。え、これくぐっていいのか!
いいみたい。ちゃんと桁下高の表示もあった。
いいみたい。ちゃんと桁下高の表示もあった。
テトラだらけの角を曲がると…
テトラだらけの角を曲がると…
みえてくるのは西側桟橋構造部。
みえてくるのは西側桟橋構造部。
これが、橋脚たちの聖地である。桟橋の脚、なので、やや無理矢理だが橋脚に間違いない。この立ち並びっぷり。すばらしい。
これが、橋脚たちの聖地である。桟橋の脚、なので、やや無理矢理だが橋脚に間違いない。この立ち並びっぷり。すばらしい。
だだーん。
だだーん。
どどーん。は、入りたい…
どどーん。は、入りたい…
ちなみに、工事中は警戒船が出ていたが、いま近くにいる船は釣り船ばかりである。平和万歳。
ちなみに、工事中は警戒船が出ていたが、いま近くにいる船は釣り船ばかりである。平和万歳。
この黄色い標識の内側に立ち入らなければ大丈夫。
この黄色い標識の内側に立ち入らなければ大丈夫。
角からも素敵
角からも素敵
ひいても素敵
ひいても素敵
で、なんの話だったっけ。ああそうだ、船着場の話だ。大丈夫、ちゃんと船を着けてきた。
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まずは陸路で偵察に

船着場は、新国際線ターミナルから歩いて10分くらいの距離にある。なるほど、けっこう便利だな、船を着けて桟橋が利用できる30分の間に、ちょっとだけターミナルまで遊びに行ったりできるかな、と、まずは陸路で偵察に出かけた。
国際線ターミナル入り口。8月下旬だが雨が降り出してめちゃくちゃ寒い。
国際線ターミナル入り口。8月下旬だが雨が降り出してめちゃくちゃ寒い。
徒歩10分、徒歩10分、と念じながら、雨の中をちゃちな折り畳み傘と短パンとビーチサンダルで進む。歩いているひとはまったく見ない。徒歩で空港に来るひとはあまりいないから当たり前だ。帰りたい。
徒歩10分、徒歩10分、と念じながら、雨の中をちゃちな折り畳み傘と短パンとビーチサンダルで進む。歩いているひとはまったく見ない。徒歩で空港に来るひとはあまりいないから当たり前だ。帰りたい。
体感20分くらい、ようやくモノレールの橋脚がみえてきて
体感20分くらい、ようやくモノレールの橋脚がみえてきて
このへんが船着場のはずだがただの空き地…いや、奥にうっすら看板がみえる
このへんが船着場のはずだがただの空き地…いや、奥にうっすら看板がみえる
着いた!し、閉まってる!
着いた!し、閉まってる!
未練がましく隙間から写真を撮っていたところ警備員さんが出てきたのでそそくさとカメラをしまっていると、「船着場の利用の方ですか?」と、とても親切に説明をしてくださった。ここは待合所などほとんどが工事中で船が着くときしか開けないこと、自分は警備だけの担当なので、詳しくは船着場を管理しているビッグウィングに聞いてほしいということ。さらには「雨の中ご苦労様です」とねぎらわれて、偵察を終える。

うむ、船着場、まだなにもないとは聞いていたが本当になにもないのだな。これは、いま船を着けても特になにもできなさそうだが、しかし船が着くときしか船着場に近づけないということは、「船着場が見たい」それ自体が目的で利用しても、いいのではないか。いいよね。
というわけで、許可証をとりつけた。
というわけで、許可証をとりつけた。
歓待してくださる船着場のみなさん
歓待してくださる船着場のみなさん
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船着場上陸成功までの道のり

船を船着場に着ける、ものすごく当たり前のことのようだが、じつはけっこう大変だ。
川は道路と同じで、免許をもって航行ルールを守るかぎり航行は自由だが、船を着けるためには駐車場のように決められた場所にしか着けられない。そしてその船着場の数が限られているため、利用は許可制なのだ。

今回利用した羽田空港船着場の場合、申請の順序はこのようになる。
1.申請書をFAXで船着場管理会社のビッグウィングに提出
2.ビッグウィングが港湾局に利用について確認
3. 許可がおりる
4.桟橋利用料を振り込む
5.許可証が発行される


まず1の申請の段階で大変だ。書かなきゃいけないのは船の全幅とか喫水(どれだけ船が沈むか、という基準)とか知らないことだらけの申請書で、まず今回船をチャーターする船宿さんと相談しながら記入。次に、運行計画書。これは船宿さんも「って、なんですかね?」と言っていたのでわからないなりにグーグルマップでおおまかなルートを印刷、それっぽく運行理由などを書き上げ、ダメ元でFAX。

するとビッグウィングのとても親切な担当の方からさっそくお電話で連絡をいただき、ここでも「船着場、まだなにもないですけどいいですか…? 利用料もかかりますよ…?」と確認されながら、不足していた項目を補完。

これで晴れて許可がおりると思いきや、3の時点で問題が生じた。なにかというと、クルーズ予定の前の週、台風がやってきたのだ。「通り過ぎてくれてラッキー」と思っていたのだが、多摩川にたくさんのゴミが漂着し、船着場も安全に利用できるかどうかわからないらしい。ここで港湾局や地元の漁師組合とビッグウィングが話し合って、3日前までの状況を確認して判断してくれることになった。

てっきり、船着場の利用許可って、「そんな不埒な目的のためには許可できません」とかそういう審査があるんだと思っていたら、我々の安全を考えてくれている(しかもものすごく大勢のひとが)わけで、ありがたいやら申し訳ないやらである。

ちなみに利用料は30人乗りの船でたったの2,100円。ひとり100円にも満たない。いいのか。
台風問題も解決、無事に許可が降り、当日は晴天。高架橋脚ファンクラブ会員総勢30名を乗せ、船長さんが時間ぴったりに船着場に着けてくださった。
台風問題も解決、無事に許可が降り、当日は晴天。高架橋脚ファンクラブ会員総勢30名を乗せ、船長さんが時間ぴったりに船着場に着けてくださった。
「当日は2名の職員が対応します」と言われていたので、「たった30分、2,000円の利用なのに申し訳ないなぁ」と思っていたら、制服を着ている2名の方以外にあわせて5,6人の皆さんが迎えてくださって恐縮の極み。
「当日は2名の職員が対応します」と言われていたので、「たった30分、2,000円の利用なのに申し訳ないなぁ」と思っていたら、制服を着ている2名の方以外にあわせて5,6人の皆さんが迎えてくださって恐縮の極み。
ついに上陸。うおお。
ついに上陸。うおお。
船、着いた。
船、着いた。
海からみる船着場はものすごく立派で、非常に高い位置に桟橋があり、「あれ、どうやって船着けるの…」と思っていたら、小さい船用の階段もちゃんとあるのだった。しかし全部で5隻くらいの大型フェリーが同時につけられそうである。

職員の皆さんも、休日にちょっと船が着くらしいので見物にきた、というくらいのテンションだったので(ちがっていたらごめんなさい)、「もしかして、桟橋利用するのって私たちが初めてですか?(わくわく)」ときいてみたら、「いや、もうたくさん着いてるよ、もっと大きなフェリーばかりだけどね、ここから出発して工場夜景のクルーズとかね、人気がありますよ」ということであった。なるほど、失礼しました。
!
陸から見たとおり、まだ仮設トイレ以外なにもない(それでも長時間クルーズにはトイレがあるだけありがたいが)船着場だが、国際線ターミナルができたことにより、このあたりはホテルなどの開発が予定されているらしく、その一環としていちはやく船着場ができたというわけらしい。

偵察のとき説明してくださった警備員さんがまたいらっしゃって、「あのときはどうも」と覚えていてくださった。こちらこそ、こちらこそとご挨拶していると、なんと、「せっかくだからこっちも開けましょうか」と、桟橋先端側の扉を開けようとしている。えっいいの!
群がる高架橋脚ファンクラブ会員たち
群がる高架橋脚ファンクラブ会員たち
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桟橋自体がたのしい

ダッシュで桟橋先端へむかう会員たち。あぶない、あぶないから。
ダッシュで桟橋先端へむかう会員たち。あぶない、あぶないから。
私も先端へ。気持ちいい!
私も先端へ。気持ちいい!
ぞくぞくとやってくる会員たち。全員笑顔。
ぞくぞくとやってくる会員たち。全員笑顔。
そしてぜんぜん誰も戻ってこない。船、出しちゃうぞ。
そしてぜんぜん誰も戻ってこない。船、出しちゃうぞ。
船宿さんにもビッグウィングさんにも「まだ、なにもないですよ…?」といわれた羽田空港船着場であったが、じつに楽しかった。桟橋自体が、水面の上にはりだしていて、とても高い位置にあるので、景色もいいし楽しいのだ(今回担当してくださった皆さんが全員ものすごく親切だったせいでもあるが)。これは、完成が楽しみだ。

羽田空港発船の旅 モデルコース

さて、今回は品川の船宿さんから出発して、また品川に戻る(船だけ戻るのはもったいないから…)長時間クルーズでここまでやってきたのだが、船着場を利用することで、羽田空港発着の船旅が企画できることになる。
私がオススメするモデルコースは、これだ。

その1.東京ゲートブリッジと中央防波堤の旅

ついにつながった東京ゲートブリッジ。まだ開通はしていないが下をくぐりぬけるのは自由。
ついにつながった東京ゲートブリッジ。まだ開通はしていないが下をくぐりぬけるのは自由。
船で
船で
くぐりぬければ
くぐりぬければ
喜びもひとしお。
喜びもひとしお。
そして埋め立て造成中の中央防波堤もかっこいい。
そして埋め立て造成中の中央防波堤もかっこいい。

その2.羽田可動橋と東京モノレール橋脚の旅

かつてぐるぐるまわっていた橋
かつてぐるぐるまわっていた橋
羽田可動橋の真ん中を抜けて
羽田可動橋の真ん中を抜けて
東京モノレールの橋脚三昧
東京モノレールの橋脚三昧
京浜運河クルーズへ
京浜運河クルーズへ

その3.川崎工場クルーズ

今回は行けなかったが、川崎の工場へのアクセスもとても便利である。
今回は行けなかったが、川崎の工場へのアクセスもとても便利である。
こちらはビッグウィングさん主催のクルーズもあるようなので調べてみてほしい。
こちらはビッグウィングさん主催のクルーズもあるようなので調べてみてほしい。
そして全部のコースにもれなくD滑走路がついてきます。
そして全部のコースにもれなくD滑走路がついてきます。

地図はこちら


より大きな地図で 9/11 羽田クルーズ を表示

今回、自分で船を借りるのも船着場の申請をするのも初めての試みであったが、とても親切な皆さんのおかげで楽しい旅ができた。空港に船がつけられれば、さらにそこからちょっと海外まで、と旅立ったりもできる。品川から京急なら26分のところを片道1時間半かけているわけだけど。夢がひろがる。
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