唐揚げ日本一を決める「からあげGP」
近年「唐揚げ専門店」は急増していて、その数は推定500店舗に上るとか。その頂点を決める「からあげグランプリ」は今年で3回目を迎える年に一度のビッグイベントだ。
「塩ダレ部門」「しょうゆダレ部門」「手羽先部門」など8部門に全国134店舗の唐揚げ店がノミネート。ネット投票で各部門の最高金賞1店舗、金賞4店舗を決定する試みだ。投票は既に終了しており、この日は各賞に輝いた全40店舗の授賞式が行われるという。
授賞式会場は原宿のオシャレなイタリアンレストラン「トラットリア ベニーレベニーレ」
ん?
なんだキミは?
肉食で酒豪なゆるキャラ「ピヨからくん」がお出迎え
つぶらな瞳がたまらない彼の名は「ピヨからくん」。日本唐揚げ協会の公式マスコットキャラクターだ。4月下旬にはUFOキャッチャーデビューが決まっている。ピヨからくんの
フェイスブックからは唐揚げだけでなく肉全般が好きであること、かなりの酒豪であることが伺える。そんなワイルドなキャラなのに、語尾に「ピヨ」をつけて喋るところが萌えポイントである。
ちなみに彼がはいているブルマみたいなのは唐揚げの衣だそうだ。
授賞式を前に緊張感が走る会場
テレビ局も注目
いきなりのふるまい唐揚げ
会場はノミネート134店舗の店主と唐揚げ日本一の行方を見届けるため集まったマスコミ関係者の熱気で溢れている。なるほどブームだけあって注目度も高いようだ。
イベントに先立ち、来場者にはローソンからあげクンの新商品「北海道ザンギ(醤油味)」が配布される。配ってくれるのはオーディションで選ばれた「鳥マキガールズ」こと唐揚げ大好き女子のみなさん。「取り巻き」と「鳥マキ」。そう、駄洒落である。
バリエーション豊富なからあげクン
「鳥マキガールズ」のみなさんが配ってくれる
北海道では唐揚げのことを「ザンギ」と呼ぶらしいです
醤油ダレが染み込んでウマイ
おいしい唐揚げの登場で、張り詰めていた会場の空気も若干やわらぐ。唐揚げには人を無防備にしてしまう魔力があるのかもしれない。
そして授賞式の幕が開く
ノミネート店舗のスタッフも緊張の様子
唐揚げジョークも軽やかな主催者あいさつ
授賞式に先立ち、まずは日本唐揚協会の安久会長から挨拶があった。「本日は唐揚げのようにカラっとした天気で…」。いきなりの唐揚げジョークが飛び出すなど、会長の口は滑らかだ。
大の唐揚げ好きという会長。「一日一唐揚げ」をモットーとし毎日唐揚げを食べるというが、それにしてはスマートだ。なんでも会長、毎日唐揚げを食べても太らない「唐揚げボディケア」を研究、実践しているという。会長!それ教えてください!
安久会長
続いて副会長による軽妙な唐揚げトーク
続いて、同会・八木副会長による講演が始まった。
八木副会長は安久会長と対照的に恰幅がよく、唐揚げ好きが全身からにじみ出ている。それだけに彼が語る唐揚げトークはじつに説得力があるのだ。
他に「日本お座敷遊び協会理事」「日本美容食協会理事」なども兼任。何だか底が知れない人物である
最終目標は世界平和
日本唐揚げ協会は2008年に安久会長と八木副会長によって設立。庶民の食べ物である唐揚げを「KARAAGE」として世界に広めるべく、様々な啓蒙活動を行っている。
「唐揚げを食べれば自然と笑顔になり、争いごとがなくなる」という考えのもと、最終的には唐揚げを通じて戦争のない平和な世界を作ることが目的だという。新しいタイプの世界征服である。
腐った世の中を唐揚げで変えてほしい
日本の唐揚げから「世界のKARAAGE」へ
世界平和だけでなく唐揚げによる外貨獲得も狙っている
唐揚げで国力向上を!
正直、唐揚げ好きのおっちゃんたちが冗談で始めたものだろうと考えていたがとんでもない。協会設立の背景には、こんなに壮大な野望があったのだ。
スピーチは続く。
続いて話は「2012年の唐揚げトレンド」へ
スーパー・百貨店の唐揚げ戦略などをロジカルに解説
そして2012年は鶏肉以外の唐揚げに注目だとか…ん?
あ、揚げぽよ~??
「揚げぽよ~」だなんて、キミはそんなにチャラいやつだったのか。見損なったぞピヨからくん。
…と思ったら、「〝ぽよ″とはスペイン語でチキンを指します」と八木副会長。「揚げぽよ」=揚げチキン、つまり唐揚げだ。本日二度目の唐揚げジョークである。
それにしても誤解してゴメン、ピヨからくん。
「副会長、そろそろ…」
時間の都合でスピーチを打ち切られる副会長
いよいよ授賞式へ
時間の都合で副会長の唐揚げトークは残念ながらここまで。いよいよ授賞式へと移るようだ。
会場の空気も一気に引き締まる
いよいよ唐揚げ日本一が決定
プレゼンターが登壇し、いよいよ授賞式がスタート。投票総数は3万6279票。全国のカラアゲニストが選んだ今いちばん美味しい唐揚げが発表される。
プレゼンターはラリードライバーの田口勝彦選手
緊張の瞬間…
バーン!最高金賞は「金のとりから」
2年連続の戴冠
スタンダードな塩ダレや醤油ダレ以外の変わりダネ唐揚げを対象とする「味バラエティ部門」は、
「金のとりから」が見事2年連続の最高金賞に輝いた。
「金のとりから」は東京に3店舗、大阪に3店舗、京都・神戸に1店舗ずつを構えるチェーン店。
オリジナルスパイスに加え、スイートチリソースやチョコレートソース、黒酢ソース(関東店舗のみ)、カレー(関東店舗のみ)、柚子胡椒だれ(関西店舗のみ)など、バラエティ豊かなトッピングが楽しめるという。
田口選手も祝福
「名古屋にも進出します!」
最高金賞が発表されても「うおー」とか「よっしゃー」とかそういう声が上がらなかったので、もしかしたらそんなに嬉しくないのかなと思ったが、壇上で見せた笑顔からは確かな喜びが伝わってきた。
元阪神の掛布はホームランを打ってもピッチャーへの敬意から派手なガッツポーズをしなかったという。この店主も同じポリシーを持っているのかもしれない。
「素材バラエティ部門」。最高金賞は「表参道vegecate」
店主は可愛らしい女性
「ヘルシージャンクフード」という新境地
素材の創意工夫が問われる「素材バラエティ部門」の最高金賞は
「表参道vegecate」。
肉、魚、卵、乳製品、ハチミツをいっさい使わない完全菜食にこだわり、鶏肉の代わりに「ソイミート(大豆肉)」を使用したヘルシーな唐揚げを考案。ヘルシージャンクフードという新たなジャンルを提唱している。
今年2月にオープンしたばかりの新店ながら、最高の栄誉を手にする快挙となった。
「塩ダレ部門」。最高金賞は「中津からあげ もり山」
なんだかダンディーだ
「西日本しょうゆダレ部門」。最高金賞は「とりあん」
感無量といった面持
「中日本しょうゆダレ部門」。最高金賞は「ジョニーのからあげ」
Are you ジョニー?
やはり強い「大分勢」
「塩ダレ部門」はにんにくダレを使った大分名物・中津からあげの老舗
「中津からあげ もり山」が、「西日本しょうゆダレ部門」は同じく大分の
「とりあん」が、さらに「中日本しょうゆダレ部門」もこれまた大分の
「ジョニーのからあげ」が最高金賞を受賞。〝唐揚げの本場″大分の実力を見せつける結果となった。
ところで、ここまでの受賞者をみて気づいたことがある。なんというか、みんなシュっとしているのだ。唐揚げ店を生業としているのに太っていない。これはいよいよ安久会長が提唱する「太らない唐揚げボディケア」が真実味を帯びてきた。
「素揚げ・半身唐揚げ部門」。最高金賞は「鳥房」
ベストカラアゲニストは声優の下野紘さん
各部門の発表後、最も唐揚げを愛する人に贈られる「ベストカラアゲニスト2012」を受賞した声優の下野紘さんが登壇。下野さんは日本唐揚協会が認定する公式カラアゲニストのひとり。自身のラジオ番組で「唐揚げのコーナー」を立ち上げるなど、唐揚げの普及に大きく寄与したことが評価されての受賞となった。
認定カラアゲニスト約1万1000人の頂点
喜びを語る下野さん
これにて「からあげグランプリ」は閉幕。溢れんばかりの唐揚げ愛がひしひしと伝わる素晴らしい授賞式だった。
受賞者みんなで記念撮影
まだまだ終わらない
しかし、メインイベントはむしろこれからだった。唐揚げを応援するアイドル「からっと」のデビュー曲「みんなのからあげ」が披露されるというのだ。
アイドルが唐揚げソングを熱唱
授賞式が終わったので帰り支度をしていると、「ここで、からあげ親善大使、アイドルグループ『からっと』の登場です」とのアナウンスが。
ん? からあげ親善大使? アイドル?
あら、かわいい
見たところまだ中学生か小学生
「からっと☆」は今年2月に結成されたばかりのユニット。
「色々なヒト・モノ・コトを音楽で応援する」アイドルだそうで、今回は「からあげ親善大使」として唐揚げ応援ソングを歌うことになったようだ。
最年長のアリエル。唐揚げは「薄い衣のカリカリ派」
自己紹介もそこそこに、さっそく彼女たちのデビュー曲「みんなのからあげ」が披露される。先ほどまでとはまた違った種類の緊張感が会場を包む。
「みんなのからあげ」はAKB48なども手掛ける多田慎也さんが作詞・作曲
一生懸命!
スーツ姿の大人たちに囲まれたアウェーな状況の中、見事に歌いきったからっと☆
いい曲!
「みんなのからあげ」は、軽快なリズムに乗せたポップなナンバーだ。歌詞には「ちょっとブルーな時でもママの唐揚げを食べれば元気になれるよね。夢を信じて自分らしく頑張ろう」というポジティブなメッセージが込められている。
「デビュー曲はみんなのからあげだ!」そう告げられた時、彼女たちは何を思っただろう。もしかしたら、もっとかっこいい曲を歌いたいと思ったかもしれない。しかし、生き生きと楽しそうに歌い踊る彼女らを見てそんな心配は杞憂だと分かった。
何より「みんなのからあげ」はいい曲なのだ。家に帰るなり、すぐダウンロードしてしまったほどである(原稿書きながら何度もリピートしてます)。
これからも頑張ってほしい
「から~
あげ~♪」。無邪気!!
お土産は最高金賞の唐揚げ
こうして、わずか1時間半のイベントとは思えないほどの濃厚なイベントは幕を閉じたのである。
最高金賞の唐揚げがお土産に配られるなど、最後まで至れり尽くせり
にんにくがきいた「中津からあげ もり山」
にんにくの香りが食欲をそそる「もり山」の唐揚げ。冷めても驚くほどジューシー。いや、ジューシーどころの騒ぎじゃない、ジュウシィ~だ。これまで食べた唐揚げの概念を覆すウマさだった。
ちなみに会場には道場主こと石原たきびさんの姿も。『R25』の取材で来ていたらしい
いろいろお腹いっぱいです
唐揚げに携わる人々の思いの強さがひしひしと伝わってきた今回のイベント。彼らの情熱に比べれば自分の唐揚げ愛なんて屁みたいなもんだと反省した。いつか協会認定のカラアゲニストになれるよう、精進していきたい。
【唐揚げイベントのお知らせ】
来るGW、恵比寿三越など全国数カ所で日本唐揚協会主催の「からあげカーニバル2012」が行われる。最高金賞受賞の「鳥開」をはじめ、全国の名だたる唐揚げ店が登場するのでぜひ足を運んでみては?
●日本唐揚げ協会
http://karaage.ne.jp/