特集 2012年4月26日

油で揚げないとんかつモノマネ選手権

油で揚げず、これらの材料でどこまでホンモノに近づけるか試してみたい。
油で揚げず、これらの材料でどこまでホンモノに近づけるか試してみたい。
あれほど好きだった揚げ物を、最近とんと揚げてない。理由はいろいろだが、要は行程が面倒臭いということに尽きるだろう。

どうしても食べたくなったら出来合いのフライやカツを買ってくる生活を送っているが、どうにか工夫すれば揚げ物っぽい物が簡単にできるのではないだろうか…との思いから、あれこれ試してみた。

今回は無謀にも、揚げ物キングであらせられるところのとんかつ様に挑戦したいと思う。
1968年秋田県生まれ。食べたり飲んだりしていれば概ね幸せ。興味のあることも飲食関係が中心。もっとほかに目を向けるべきだと自覚はしています。

前の記事:ごぼうを50時間煮てみた


まずはミックス方式を

カツを揚げるうえで面倒なのは、小麦粉、卵、パン粉をそれぞれ用意しなければならないことだ。当然、それらを入れる容器も必要になる。

いくら注意深く扱ったところで、小麦粉やパン粉は必ずといっていいほど方々に飛散し、さらには手が卵まみれになる。作業の途中で宅配便業者に来られたりしたら、送り主を逆恨みしかねない煩雑さだ。

さらに揚げ油まで用意しなければならん。もちろん油の後始末もある。油が完全に冷え切ったら処理が面倒になるぞ! 急げ!

…嗚呼、揚げ物とはなんと面倒なことか!
というわけで、今回は従来の方式を完全無視。卵に小麦粉をダイレクトに投入。
というわけで、今回は従来の方式を完全無視。卵に小麦粉をダイレクトに投入。
そこに豚肉(しかも薄切り)を入れ、よーく絡ませたら、
そこに豚肉(しかも薄切り)を入れ、よーく絡ませたら、
さらにパン粉をバサーッと入れ、
さらにパン粉をバサーッと入れ、
そして混ぜる!
そして混ぜる!
カツの醍醐味の一つに衣の歯触りがあるのは承知の上だが、油で上手に焼けば、ある程度なら守られるのではないか…との思いから、少量の油で焼いてみた。
深めの鍋を使っているところが、未練たらしいと言えなくもない。
深めの鍋を使っているところが、未練たらしいと言えなくもない。
さて、どうなることやら…。
さて、どうなることやら…。
薄切りの肉には、あっというまに火が通った。箸先を通じて、肉と一体化したパン粉がカチカチになったのが分かる。
これは…なんという料理なんだろうか。
これは…なんという料理なんだろうか。
見た目はカツというより、唐揚げや天ぷらに近い。あの、まるで食べられることを拒否するかのようにこちらを威嚇する荒々しいパン粉が目立たないだけで、こうも柔和な見た目になってしまうのか。
ところどころ衣が取れて、肉が裸の状態になっている。なんということだろう。恥ずかしい思いをさせてしまって申し訳ない。
ところどころ衣が取れて、肉が裸の状態になっている。なんということだろう。恥ずかしい思いをさせてしまって申し訳ない。
そこを隠すようにソースをかける。とりあえず、カツといえばソースだ。当然だ。
そこを隠すようにソースをかける。とりあえず、カツといえばソースだ。当然だ。
これは…なんと言えばいいのであろうか。仮に、これをとんかつだと言われたら暴動が起きるレベルに違う。断じてとんかつではない。といって、そう無下にしたくもない味というか…。

強いて言えば、幼稚園児がやる小島よしおのモノマネのような、と言えばニュアンスが伝わるだろうか。決して似てはいないが、なぜか怒る気になれない、そんな一品になった。
「そんなの関係ねえ!」と言わんばかりの雑な味。
「そんなの関係ねえ!」と言わんばかりの雑な味。
やはり、カツっぽくさせるにはパン粉の扱いが肝になるようだ。小島よしおのモノマネをするなら、まずは服を脱いでもらおうか。話はそれからだ。

パン粉は乗せてみよう

パン粉はやはり卵と一緒にするべきではなかった。というわけで、上から振りかけてみることにした。
卵に浸した薄切り豚肉を、シートを敷いた天板に乗せてパン粉をパラリ。
卵に浸した薄切り豚肉を、シートを敷いた天板に乗せてパン粉をパラリ。
やっぱり油がないと寂しすぎるので、上から軽くタラリ。
やっぱり油がないと寂しすぎるので、上から軽くタラリ。
作りながら「こういう類の料理を、世の中では“パン粉焼き”と呼ぶのではなかったか」と思わないでもなかったが、構わずに作業を進めた。
いろんな声に耳を塞いだ結果、出来たのがこちら。
いろんな声に耳を塞いだ結果、出来たのがこちら。
シートのおかげで、全体がペローンと剥がれた。油が垂れた箇所が黒く焦げ、まるでアジフライのしっぽのような形になってしまっている。
これも当然のようにソースを。
これも当然のようにソースを。
しかし、なぜ薄切り肉を使ってしまったのか、今となっては全く理解できない。
しかし、なぜ薄切り肉を使ってしまったのか、今となっては全く理解できない。
味はさっきのミックス方式と大きな違いはない。幼稚園児が小学生(ただし海パン一丁)になっただけと言える。パン粉部分はある程度サクサクしていたが、底の部分がベチャーっとしてしまったのは失敗だった。さらには肉の薄さがどうにも残念すぎる。

となれば、次にやることはこれしかないだろう。
耐熱皿にパン粉を敷いて、
耐熱皿にパン粉を敷いて、
薄切り肉を丸めて置き、さらにパン粉を。
薄切り肉を丸めて置き、さらにパン粉を。
焼けた。
焼けた。
お、見た目がひとくちカツっぽくなったじゃないか。
お、見た目がひとくちカツっぽくなったじゃないか。
うん、だいぶ近い…んじゃないかな…と思う…けど…どうだろう。
うん、だいぶ近い…んじゃないかな…と思う…けど…どうだろう。
「あの幼稚園児が、もう高校生か…」と感慨深くなるカツもどきが出来た。

どうしても油を大量に用意できないなどの特別な理由がある時は、これで十分なのでは? と思える仕上がりに思えたが、やはりこれは、ただの「パン粉焼き」だろう。

パン粉に焦点を当てつつ、それでいてパン粉焼きじゃない物…。そんなもの、果たしてあるんだろうか。

いっそバラバラにしてみる

もっとシンプルに考えてみたい。要はパン粉が主役になればいいのだ。
鍋にパン粉のみを投入、
鍋にパン粉のみを投入、
こんがり色づくまで、ひたすら乾煎り。
こんがり色づくまで、ひたすら乾煎り。
ようやくロースカツ用の肉を買ってきた。
ようやくロースカツ用の肉を買ってきた。
小麦粉&卵をつけてピカタ風に焼きます。
小麦粉&卵をつけてピカタ風に焼きます。
それぞれを皿に盛りつけてみた。もちろんソースもきちんと別に用意してある。
セパレートとんかつ。パン粉に夢中で千切りキャベツの用意を忘れたのが悔やまれる。
セパレートとんかつ。パン粉に夢中で千切りキャベツの用意を忘れたのが悔やまれる。
これなら時間が経ってもパン粉がベチャっとせず、いつまでもカリカリのままだ。

さらには付けるパン粉の量も自由自在である。これは嬉しいじゃないか。オプションとして、別皿に接着剤の役目を果たす油を入れたいくらいだ。
肉をパン粉の皿にドブンと入れ、
肉をパン粉の皿にドブンと入れ、
パン粉をまんべんなく付けます。
パン粉をまんべんなく付けます。
うわ、もうこの時点で見た目がとんかつですよ! ついに現役大学生が海パン一丁で小島よしおのモノマネを始めちゃったよ!
これは興奮しますよ。
これは興奮しますよ。
いいぞいいぞ、これは高得点が期待できるレベルだぞ。
いいぞいいぞ、これは高得点が期待できるレベルだぞ。
夢中で食べていたら、あっというまになくなった。
夢中で食べていたら、あっというまになくなった。
パン粉がボロボロ落ちやすいのが難点だが、そのときは落ちたパン粉ごとソースに入れて一緒に食べてしまえば問題ない。

さらに調子に乗って、冷蔵庫から挽き肉を出してきた。メンチのモノマネにも手を出そうという試みだ。
勢いで、挽き肉を丸めて適当に焼いてみた。
勢いで、挽き肉を丸めて適当に焼いてみた。
焼き上がったら、さっきのパン粉にドブン。
焼き上がったら、さっきのパン粉にドブン。
あっちゅうまに似非メンチカツまで出来た。
あっちゅうまに似非メンチカツまで出来た。
見た目はほぼ満点なのだが、実際に食べてみたところ不満があった。

それというのもヘルシーすぎるのだ。絶望的なまでに油分が足りなすぎる。油が好きでたまらない私にとって、これは致命的といえよう。

「現役大学生かと思ってたら、実はムキムキに鍛えたおじいちゃんでした~」みたいな油っけのないメンチだが、これはこれでちょっと面白い。

モノマネって、完璧に似ればいいってもんじゃないですよね?
…と言いつつ「やっぱり油が欲しい。垂らしたい」と思いながら、最終的にはホットサンドにして完食。おいしかったです。
…と言いつつ「やっぱり油が欲しい。垂らしたい」と思いながら、最終的にはホットサンドにして完食。おいしかったです。

モノマネ総評(審査員より)

出場者はパン粉に着目したようだが、我々はソースこそが味の要であると言いたい。とんかつソースというのは、小島よしおのモノマネにおける「こんなの関係ねぇ!」というセリフである。それによって人々は、これが小島よしおのモノマネであることを知るのだ。

そこに豚肉(ムキムキの肉体)とパン粉(海パン一丁)があり、ソース(例のセリフ)があればこそ、我々は瞬時に「あ、これは本物とは全く違うけれども、小島よしお(とんかつ)の真似をしているんだな」ということを理解できるのである。

よって、小道具としてのパン粉は絶対的に必要であるが、今回の特別賞はソースに決定したい。
というわけで、パン粉の生みの親(食パン)に肉を挟んで焼いてみたところ、やはりソースのおかげでおいしく食べられたのでした。ソース万歳! はい、オッパッピー!
というわけで、パン粉の生みの親(食パン)に肉を挟んで焼いてみたところ、やはりソースのおかげでおいしく食べられたのでした。ソース万歳! はい、オッパッピー!
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