バターロールから菓子パンまで用意
今回用意したのは食パンの他、バターロール、フランスパン、クロワッサン、かにぱん、メロンパン、シュガーツイスト、マフィン、あんぱんの9種類。
スタンダードなパンから菓子パンまで、幅広いラインナップだ。
机の上がパン祭りと化した
だいこんおろし器で細かくカット
パン粉として使うにはややチャレンジングなパンも含まれているが、料理知識ゼロの筆者だからこそセオリーにとらわれないチョイスとなった。
では、さっそくパン粉にしていこう。
だいこんおろし器でカット。まずは食パンから
うむ、パン粉だ
パン屋で買ったちょっといい食パンを使っただけあって、きめの細かいおいしそうな生パン粉ができあがった。さすが食パン。「パン粉にしたいパン」暫定1位の肩書は伊達じゃない。
この調子でその他のパンもどんどんパン粉にしていこう。
バターロール
見た目と手触りは食パンに近い
フランスパン
若干粉っぽい。とにかく硬く、おろすのが大変
クロワッサン
自慢の香ばしさも形無しである
かにぱん
二匹分のカニを使用(と書くとなんとなく贅沢)。やわらかく、もっともカットしやすかった
さらに、味がついているパンもガリガリとパン粉化していく。表面に砂糖がまぶしてあるものが多く手がベタベタするが気にするな。
メロンパン(チョコチップ入り)
粉雪のような美しさ。チョコチップの痕跡も確認される(画面右上)
シュガーツイスト
なめてみたらほんのり甘かった。このままスプーンでかきこみたい
マフィン(紅茶味)
ダージリンの香り漂う優雅なパン粉に
あんぱん
アンコもろとも粉砕してやった。ある意味もっとも楽しみなパン粉
もはやパンだったころの面影はない
トンカツを作る
では、さっそくこれらのパン粉を使ってトンカツを作ってみよう。当方、揚げものは初挑戦なので上手に揚げられるか心配だ。
豚肉2枚を9等分にカットして9種類のパン粉をまぶす
ひと口サイズに揚げる
カラっと揚がった
まずは食パンからかにぱんまでパン粉としてはわりかしスタンダードと思われる5種類を揚げてみた。
揚げ色にムラがあるのは筆者の調理技術が未熟だからです
しっかり衣をまとってなかなか素敵な塩梅に仕上がった5種類のひと口カツ。色々な種類のカツが味わえてお得な感じもする。
若干粗めの衣をまとい、サクサクというよりは「ザクザク」という食感。いつも食べてるカツ本来の味である
驚いたことに、うまい! キメの細かい軽い衣にほんのりバターの香り。洋食の上品なカツレツを食べているようだ
これもバターロールに似た上品な衣だが、サクサク感がより強い。パンに合いそうなカツだ。ほんのりフランス(パン)の香りがするお洒落なカツである
クロワッサン特有の香ばしさと脂っこさがしっかり残っている。「吾輩はクロワッサンだぞ、パン粉なんかに使いおって」。そんなお洒落パンとしての矜持が感じられる一品だ。(※クロワッサンの口調は筆者の想像です)
今回唯一、コンビニパンからの参戦。食感はバターロールにそっくりだが、もうひとつ自己主張が足りない。でしゃばらず主役の肉にぴったり寄りそう、そんなおしとやかな衣だ。奥さんにするならこういうタイプの衣がいい
揚げ時間も温度も同じなのに、五者五様の香りと食感で存在感をみせるそれぞれの衣。衣を変えることでマンネリから脱却する。倦怠期の夫婦にも似たアプローチが、新たな食の歴史を切り開いた。
菓子パン粉でも揚げてみよう
ともあれ、食パンというスタンダードから一歩踏み出すだけで、こんなにカラフルな世界が広がっていようとは。この勢いで、もう2、3歩踏み出してみよう。
さらに、ジュワー
揚げの技術も上達。心配だったあんぱん粉もしっかり揚がった
「菓子パン出身」という華やかな過去を捨て、衣として肉に従事する菓子パン粉たち。そんなストーリーを想像するとうっかり泣けてくる。誰だっていつまでもやんちゃな自分ではいられないのだ(なんの話だ?)。
肉にしっかりまとわせた衣はほんのり甘く、わずかながらメロンパンの風味も残っている。さらに時折顔を出すチョコチップの存在感。コゲかと思ったらチョコチップ。そんなやさしいサプライズが嬉しい一品
メロンパンより甘味が強く、スナック感覚のカツ。まだ菓子パンとしての過去を捨て切れていない、そんな印象だ。食感はザクザクしており、食パンにもっとも近かった
紅茶マフィンを使ったマフィン粉カツ。英国紳士なカツを想像していたらぜんぜん違った。これは、アメリカンドッグだ。香りも味もアメリカンドッグに限りなく近いのである。気取ったいけすかない野郎かと思ったら意外にフランクなやつだった
アンコごと揚げたカツ。ミスマッチかと思いきやこれはこれでありだ。サクサク感とあんこのもっちゃり感が相まってうまい。こういう郷土料理だと言われたら納得してしまいそうなくらい違和感はない。まあ、アンコの天ぷらとかもあるしな
マフィン粉でつくるアメリカンドッグ
どれも新鮮な驚きをもたらしてくれた菓子パン粉たち。なかでも今回最大の発見は、マフィン粉を揚げるとアメリカンドッグに近くなるということだ。ならばマフィン粉で魚肉ソーセージを揚げたら、それはもうアメリカンドッグそのものになるのではないか?
魚肉ソーセージ+マフィンでアメリカンドッグ?
見た目は磯辺揚げっぽい
うまい!
見た目はちくわの磯辺揚げ、味はアメリカンドッグ、しかしその正体は紅茶マフィン。日本、アメリカ、イギリスが仲良く三位一体となった新しい料理が完成した。世界が平和でありますように。
ヒトもカツも衣が大事
食パン以外のパン粉でカツを揚げると、想像以上に衣が主張することが分かった。もともとのパンの風味が個性となって表れるのだ。カツも人間も衣が大事ということを改めて学んだ。そういえば、もう1年くらい新しい服を買っていない。この記事を書き上げたら、さっそくユニクロへ行こうと思う。