メダルゲームに捧げた青春
僕がメダルゲームでせこせこチロルチョコをゲットしている間、みんなはプリクラという夢の箱で今しか撮れない青春の思い出を切り取っていた。羨ましかった。
そうこうしているうちに、気づけばぼくは31歳になっていた。今さら女子中高生に混じって、あのファンシーな箱の中に足を踏み入れる勇気はない。自分がおっさんであるというコンプレックスが、プリクラという夢を遠ざける。
「証明写真機をプリクラとして使う」提案
世の中には、おそらく僕と同じように、プリクラを撮りたかったけど、モジモジしているうちにおっさんになってしまったという悲しい男も多いのではないだろうか?
しかし、そんな同志たちに朗報がある。おっさんでも遠慮なく思う存分プリクラが撮れる方法を、この程考案した。
それは「証明写真機をプリクラとして使う」という方法だ。
駅前やスーパーの脇などにある証明写真機。これをプリクラとして使う
最近の証明写真機にはこういうプリクラ的機能もあるので、これだけでも十分プリクラ欲は満たされそうだが
今回はあえてこちらのノーマルモードを使用する
見た目は再就職に挑むおじさん
傍からは履歴書用の証明写真を撮りに来た人にしか見えないだろう。「再就職、大変そうだな…」「スーツくらい着て撮れよ!」とは思われても、「おっさんのくせにプリクラ撮ってるよ、ヒソヒソ…」とはならないはずだ。
でも、僕はいま人生初のプリクラを撮っているのだ。
若者風ピース
3回シャッターが切られた中から好きな写真をセレクト
出た、おれのプリクラ
とりあえずポーズでプリクラ感を表現してみたが、残念ながらまだまだ証明写真感が強い。これをなんとかしてプリクラとして成立させたい。
ということで、いったん帰宅してプリクラを研究
プリクラの肝「デコ感」&「落書き感」
「プリクラ」を画像検索して研究してみたところ、プリクラをプリクラたらしめる要素がなんとなく見えてきた。特に大きいのは、キラキラ&ファンシーな「デコ感」、自由に文字を書き込める「落書き感」だ。
というわけで、こちらのおっさん9面相を
キラキラ&ファンシーなシールでデコっていきます
「LOVE」
ぜんぜんプリクラじゃない
とりあえず、プリクラ的装飾を施してみたが、まったくプリクラに見えないどころか、軽くイラっとする作品に仕上がってしまった。なにが「LOVE」だ。
「手作りフレーム」で勝負
デコ作戦は失敗したが、まだプリクラへの情熱は消えていない。次は「手作りフレーム作戦」で行くことにした。
100円ショップで手当たりしだいファンシーを買いあさってきた
透明のボードをかわいくデコっていく
そして、再びプリクラ(証明写真機)へ
3種類のフレームを用意
要するに証明写真機の画角に合わせたフレームを用意し、そのフレームの後ろに写り込むことでプリクラ風の写真を撮ろうというわけだ。
ちなみに、今回用意したフレームは3種類。総制作時間は3時間である。
ファンシーフレーム
2人用、仲良しフレーム
顔ハメ風ドッグフレーム
まず「パスポート用の写真撮りに来ました」みたいな顔で機会の中へ。カーテンさえ閉めてしまえばこっちのもの
フレームを画角に合わせて
顔の角度、ポーズを決定。上目使いがかわいく撮るコツ
お気に入りの一枚を選んで決定
ドキドキ
「てへぺろ」
プリクラだ!
これがかわいいか気持ち悪いかはそれぞれの主観に委ねるが、わりかし本物のプリクラに近い写真は撮れていると思う。信じれば夢は叶うのだ。
お次はこのドッグフレーム
おじさんとチワワの融合
顔の位置を合わせるのが難しい
いい感じである
普通の証明写真では味わえないワクワク感
そういえば人面犬が流行ったのもあの頃だった
プリクラが流行る少し前、当時の小学生を戦慄させた「人面犬」。そんな懐かしの都市伝説を彷彿とさせる仕上がりだ。人面犬の顔は中年のおっさんだったという説もあるから、ちょうどいい。
さて、最後は「仲良しフレーム」だ。
僕の仲良しといえばこの人。デイリーポータルZ編集部のアンディこと安藤昌教さん(36歳)
写真機の中は狭いのでなるべく寄りそう必要がある
今回の一枚はアンディに選んでもらった
友情の証
友情のプリクラをおすそ分け
安藤さんと僕の友情の証が形となった。これは嬉しい。
2人で撮ったプリクラは切って友達に分け与えるものだと聞く。安藤さんにも友情の証を持っていてもらおう。
ということで早速切り取りまして
髪を切る美容師、プリクラを切るおっさん
はい
女子中高生はプリクラ帳なるものを持っていて、そこに仲良しの友達と撮ったプリクラを貼るという。もし自分の写真だけ友達のプリクラ帳に貼られていなかったら相当ショックだ。
アンディは僕とのプリクラを手帳に貼ってくれているだろうか。
アンディ&エネミー。おれたちホーミー
当時の小学生を恐怖させた人面犬の再来
イッっちゃってる感がたまらない、渾身のてへぺろ
おじさんには経済力という武器がある
改めて見るとかなり本家のプリクラに近づけたと思う。証明写真でプリクラを撮ることは可能といっていいだろう。
ちなみに本家のプリクラは1回400円前後。証明写真は1回700円なので倍近くコストはかかるが、そこはおっさんならではの経済力でカバーしよう。むしろ高級なプリクラだと思い込んでしまえばいいと思う。
女子高生にも流行るんじゃないか
このやり方ならどんなオリジナルフレームも自由自在。既存のプリクラフレームにマンネリ化を感じている女子高生にも、もしかしたら流行るかもしれない。
そうして女子高生が証明写真機に殺到するようになったら、そのスキをついて本物のプリクラを体験してみたいと思います。