特集 2012年3月9日

北海道で巨大モアイに会いに行く旅

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北海道に行くことになった。今度僕が卒業する専門学校の修学旅行である。

北海道は初めてでまったく知らない。しかも国家試験のすぐ後に行くので下調べもろくにできていない。

さらに、旅行の日程表を見るとほとんどが「自由行動」なのだ。これは困った。
本業は指圧師です。自分で企画した「ふしぎ指圧」で施術しています。webで記事を書くことをどうしてもやめられない。(動画インタビュー)


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こんなでかい飛行機に乗っても行くところ決まってない…
こんなでかい飛行機に乗っても行くところ決まってない…
北海道上陸した。寒い。雪の反射で目がつぶれそう
北海道上陸した。寒い。雪の反射で目がつぶれそう

困ったときはツイッターだ

僕は前日に不安な気持ちが高まっていて、思わずツイートしている。詳しい人からアドバイスがもらえるだろうか。
あせりが「!」の数にあらわれていますね
あせりが「!」の数にあらわれていますね
ランチはおいしいところを教えてもらえたけれど…
ランチはおいしいところを教えてもらえたけれど…
明日はどうしようか…
明日はどうしようか…
知らないところなのでとにかく不安である
知らないところなのでとにかく不安である
ああ…
ああ…
心配事があってもうまそうなものには目が行ってしまう。海産物の写真ばかり撮っていた。

夜になると、当サイトのライター、北村さんから返信をもらえた。札幌駅から少し離れたところにある霊園がおもしろそうだという。
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広大な霊園の中に巨大なモアイがあるとのこと。北村さんが好きそうなB級スポットのにおいがプンプンする。

車でないと行けない場所だが、最寄り駅(真駒内駅)から日に3本、無料の送迎バスが出ているそうだ。

北海道まで来てB級スポットか…。しかも以前当サイトで、北海道在住ライターの加藤和美さんがとりあげているようだ(→『雪中モアイ』)。しかし他にめぼしいところもない。明日はそこに行くことにした。

不安を乗せたバス

日に3本のバス。一つ逃すと後がない。僕は1時間前からバスの待ち合わせ場所にいた。
なにもないところ
なにもないところ
待ち合わせ場所に何も目印がないのが不安だ。本当にここにバスが来て、モアイのところまで連れて行ってくれるのか?
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…そんなことを考えていたら、出発時刻の5分前くらいには、地元の参拝の人たちが何人か集り出して…
定時きっかりにバスも来た
定時きっかりにバスも来た
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「え…?これは霊園行きのバスですよね。」

「いや。霊園っていっても広いから。どこまで行くの?」

「僕はモアイを観に来たんです。」

「あー(やっぱりモアイか、という表情)モアイのところで一度降りると、そこからもうどこにも行けないから。モアイで降りて20分後にもう一回迎えのバスを出すけれど、それで良い?」

「あ、ハイ。それでお願いします…ありがとうございます…」
バスはさらに郊外に向かって走る。どんどん雪が深くなる
バスはさらに郊外に向かって走る。どんどん雪が深くなる
あ、看板!やっぱりモアイなんだ!この霊園!
あ、看板!やっぱりモアイなんだ!この霊園!
バスが霊園の入り口にさしかかった時、それは唐突に僕の目の前に現れた。
で!でかい!
で!でかい!
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モアイがでかすぎる

到着すると「それじゃ20分後にまた迎えのバス出すから~」と言い残してバスは去っていった。

ちょっとまってくれ。帰りの時刻確認も良いんだけれど、すこしこのモアイについても説明してくれないか。

あまりにでかすぎる。しかも、多い!
事前にwebで見ていたが、目の当たりにすると信じられない光景である
事前にwebで見ていたが、目の当たりにすると信じられない光景である
雪が深くなっていて、モアイのすぐそばまでは近寄れない
雪が深くなっていて、モアイのすぐそばまでは近寄れない
鹿の像が埋まっている
鹿の像が埋まっている
33体あるらしい
33体あるらしい
初めて使ったデジカメのパノラマ機能(クリックで大きい写真)
初めて使ったデジカメのパノラマ機能(クリックで大きい写真)

でかさが伝わっているだろうか

周りに何もないので、写真だと小さく見えるかもしれない。しかし本当にでかい。視界には雪と空とモアイしか映らないのだ。この世の果てみたいな気持ちになってきた。
実際の大きさと位置関係はこんな感じなのですが
実際の大きさと位置関係はこんな感じなのですが
モアイ以外に何も見えないんでこんな風に映る
モアイ以外に何も見えないんでこんな風に映る
なんとかでかさを表現しようとジャンプしているところ(3脚とセルフタイマーで撮ってます)
なんとかでかさを表現しようとジャンプしているところ(3脚とセルフタイマーで撮ってます)
モアイの近くまで行こうとしたが、3歩目で雪に埋もれた
モアイの近くまで行こうとしたが、3歩目で雪に埋もれた
その痕跡
その痕跡
こんなところで動けなくなったら死ぬ!
こんなところで動けなくなったら死ぬ!
「あんなにひとりで大騒ぎして。人間って本当におろかですね」
「あんなにひとりで大騒ぎして。人間って本当におろかですね」
「本当だよねー」「ねー」「僕もそう思う」「おれもおれも」「動く必要ないですよ」
「本当だよねー」「ねー」「僕もそう思う」「おれもおれも」「動く必要ないですよ」
モアイのセリフは想像だが、この風景だと想像と現実が曖昧になる。後から、このモアイ自体がまぼろしだと言われても納得してしまいそう。
ちなみに、道を挟んでモアイの反対側にはこんなものがある。
もう絶句するしかない
もう絶句するしかない
直線的に注ぐ冬の日差し。日差しを引き立てるように浮いている雲。地上の雪は音を吸収し、光を反射する。

そして、この建造物の無国籍なありがたさ。もしも現実に天国があったら、きっとこんな風景なんじゃないだろうか。
きっかり20分後に来た
きっかり20分後に来た

なんでこんなにモアイがあるのか

迎えの車が来て、少し現実に戻された気がした。

そもそもなんでこんなものが霊園の入り口にあるのか。車の運転手に話を振ってみる。

「いやー、初めて見たけれど、これ、すごいですね!」
僕はこんな応えが返ってくると思ったのだ。
「そうなんですよー、霊園の経営者がモアイが好きでね」
「でかいものを石で作ろうとしたんですよね。それでモアイ」
そういう、俗っぽくて僕を現実に戻してくれるような欲しかった。

しかし、予想と少し違う斜め上の会話だった。
まだ少し幻想を引きずっているような気がして、それ以上話をする気をなくした…
まだ少し幻想を引きずっているような気がして、それ以上話をする気をなくした…

北海道の人には常識

帰って再度、過去記事を読んでみる(→『雪中モアイ』)。良く読むと「札幌市民にはおなじみ(?)の場所」と書いてあってまたおどろいた。

さらに当サイトの北海道出身の編集部員、工藤さんに話しても「ああ、あれね」という反応だった。

なんといったらいいか、B級スポットに至っても北海道はスケールが違う。初めての北海道だったのだが僕の心には「札幌=モアイ」が深く刻み込まれた。
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