こんなでかい飛行機に乗っても行くところ決まってない…
北海道上陸した。寒い。雪の反射で目がつぶれそう
困ったときはツイッターだ
僕は前日に不安な気持ちが高まっていて、思わずツイートしている。詳しい人からアドバイスがもらえるだろうか。
あせりが「!」の数にあらわれていますね
ランチはおいしいところを教えてもらえたけれど…
明日はどうしようか…
知らないところなのでとにかく不安である
ああ…
心配事があってもうまそうなものには目が行ってしまう。海産物の写真ばかり撮っていた。
夜になると、当サイトのライター、北村さんから返信をもらえた。札幌駅から少し離れたところにある霊園がおもしろそうだという。
広大な霊園の中に巨大なモアイがあるとのこと。北村さんが好きそうなB級スポットのにおいがプンプンする。
車でないと行けない場所だが、最寄り駅(真駒内駅)から日に3本、無料の送迎バスが出ているそうだ。
北海道まで来てB級スポットか…。しかも以前当サイトで、北海道在住ライターの加藤和美さんがとりあげているようだ(→『
雪中モアイ』)。しかし他にめぼしいところもない。明日はそこに行くことにした。
不安を乗せたバス
日に3本のバス。一つ逃すと後がない。僕は1時間前からバスの待ち合わせ場所にいた。
なにもないところ
待ち合わせ場所に何も目印がないのが不安だ。本当にここにバスが来て、モアイのところまで連れて行ってくれるのか?
…そんなことを考えていたら、出発時刻の5分前くらいには、地元の参拝の人たちが何人か集り出して…
定時きっかりにバスも来た
「え…?これは霊園行きのバスですよね。」
「いや。霊園っていっても広いから。どこまで行くの?」
「僕はモアイを観に来たんです。」
「あー(やっぱりモアイか、という表情)モアイのところで一度降りると、そこからもうどこにも行けないから。モアイで降りて20分後にもう一回迎えのバスを出すけれど、それで良い?」
「あ、ハイ。それでお願いします…ありがとうございます…」
バスはさらに郊外に向かって走る。どんどん雪が深くなる
あ、看板!やっぱりモアイなんだ!この霊園!
バスが霊園の入り口にさしかかった時、それは唐突に僕の目の前に現れた。
で!でかい!
モアイがでかすぎる
到着すると「それじゃ20分後にまた迎えのバス出すから~」と言い残してバスは去っていった。
ちょっとまってくれ。帰りの時刻確認も良いんだけれど、すこしこのモアイについても説明してくれないか。
あまりにでかすぎる。しかも、多い!
事前にwebで見ていたが、目の当たりにすると信じられない光景である
雪が深くなっていて、モアイのすぐそばまでは近寄れない
鹿の像が埋まっている
33体あるらしい
初めて使ったデジカメのパノラマ機能(クリックで大きい写真)
でかさが伝わっているだろうか
周りに何もないので、写真だと小さく見えるかもしれない。しかし本当にでかい。視界には雪と空とモアイしか映らないのだ。この世の果てみたいな気持ちになってきた。
実際の大きさと位置関係はこんな感じなのですが
モアイ以外に何も見えないんでこんな風に映る
なんとかでかさを表現しようとジャンプしているところ(3脚とセルフタイマーで撮ってます)
モアイの近くまで行こうとしたが、3歩目で雪に埋もれた
その痕跡
こんなところで動けなくなったら死ぬ!
「あんなにひとりで大騒ぎして。人間って本当におろかですね」
「本当だよねー」「ねー」「僕もそう思う」「おれもおれも」「動く必要ないですよ」
モアイのセリフは想像だが、この風景だと想像と現実が曖昧になる。後から、このモアイ自体がまぼろしだと言われても納得してしまいそう。
ちなみに、道を挟んでモアイの反対側にはこんなものがある。
もう絶句するしかない
直線的に注ぐ冬の日差し。日差しを引き立てるように浮いている雲。地上の雪は音を吸収し、光を反射する。
そして、この建造物の無国籍なありがたさ。もしも現実に天国があったら、きっとこんな風景なんじゃないだろうか。
きっかり20分後に来た
なんでこんなにモアイがあるのか
迎えの車が来て、少し現実に戻された気がした。
そもそもなんでこんなものが霊園の入り口にあるのか。車の運転手に話を振ってみる。
「いやー、初めて見たけれど、これ、すごいですね!」
僕はこんな応えが返ってくると思ったのだ。
「そうなんですよー、霊園の経営者がモアイが好きでね」
「でかいものを石で作ろうとしたんですよね。それでモアイ」
そういう、俗っぽくて僕を現実に戻してくれるような欲しかった。
しかし、予想と少し違う斜め上の会話だった。
まだ少し幻想を引きずっているような気がして、それ以上話をする気をなくした…
北海道の人には常識
帰って再度、過去記事を読んでみる(→『
雪中モアイ』)。良く読むと「札幌市民にはおなじみ(?)の場所」と書いてあってまたおどろいた。
さらに当サイトの北海道出身の編集部員、工藤さんに話しても「ああ、あれね」という反応だった。
なんといったらいいか、B級スポットに至っても北海道はスケールが違う。初めての北海道だったのだが僕の心には「札幌=モアイ」が深く刻み込まれた。