食べ盛り大喜び
中学生の頃はいくら食べてもお腹がすいていた気がする。食べ盛りというやつだ。そんな食べ盛りにはたまらない食べ物が、福井県武生(たけふ)の名物「ボルガライス」だ。
武生に来たらボルガライスらしい
武生は、福井県中部に位置する街で、以前は武生市だったが、現在は今立町と合併して越前市となっている。漫画家の池上遼一や歌人の俵万智の出身地で、菊人形が全国的に有名らしい。そんな街の名物が「ボルガライス」なのである。
武生駅にやって来ました(跳ねているのは僕です)
ボルガライスとは簡単に言えば「オムライスの上にトンカツが乗っている食べ物」である。食べ盛りにはたまらない組み合わせ。中学生の夢である。武生駅周辺には、そのボルガライスを出しているお店が多々あるので食べ歩いてみようと思う。
現在の時間は11時32分
昔ながらのボルガライス
駅の目の前に「昔ながらのボルガライス始めました」という看板を出しているお店があった。僕は現在のボルガライスを知らないので、昔のボルガライスとの違いが分からないけれど、まずはこのお店に入ることにした。
大江戸(福井県越前市府中1-12-5)
ボルガライスは大食漢の僕には夢のような食べ物で、前日からワクワクしていた。ただ今回はスケジュールの関係で15時29分に出る電車に乗らなければならない。時間内にひとつでも多くのボルガライスを食べるのが目標だ。1店30分として6つくらいだろうか。
そんな計算をしている間にボルガライス登場!
運ばれて来たボルガライスを見て、テンションが嵐のコンサート会場にいるファンのようにうなぎ上った。大好きなオムライスに、愛しているトンカツが乗っている。一夫多妻制だ。こんな食べ物が許されていいのだろうか。
うまい!(興奮してブレる写真)
ドミグラスソースがその二つの美味しさをさらに引き出している。ジャンプなら見開き使う美味しさだ。より好きな方を選ぶのではなく、好きな物をいっぺんにいただく、幸せを具現化したような食べ物。スプーンは止まらず、中央線でいえば通勤特快のようなスピードで完食してしまった。
完食まで3分かかりませんでした
ボルガ天津丼
いいペースだ。これなら6店以上食べることができそうだ、と次に向かったのは中華のお店。ボルガライスと言っても、友達の家で食べる卵焼きにいろいろな味付けがあるように、お店によって様々な工夫がなされいる。
珍々飯店(福井県越前市国府1-6-8)
珍々飯店のボルガライスは、オムライスにカツ、そして天津丼の要素まで入っている。一夫多妻制に拍車がかかる。僕のテンションアップにも拍車がかかり、この日は曇っていたけれど、僕の心の天気は絶好の遠足日和となっていた。
ボルガ天津丼
輝いて見える。食べる前から美味しいと分かるオーラを放っているではないか。これが女子力だとすれば、次から次に男性が寄ってくることだろう。
実際に食べてみると予想をはるかに超えて美味しい。ananの表紙を飾ってもおかしくない。あんは甘くカツとの相性はバツグンで、シイタケやタケノコもいい仕事をしている。
しゃくれる美味しさ!
そもそもこのボルガライスは武生に30年以上前からあるそうだけれど、名前の由来などは不明だそうだ。これを考えた人は天才だと思う。決して高級な感じではないけれど間違いなく美味。銀座ではなく、国分寺的な美味しさだ。
4分弱で完食!
老舗のボルガライス
最初の意気込みでは6店舗、ということだったのだけれど、2店舗終わったところで、満腹という波がスタート直後のマラソンランナーの集団のように襲ってきた。考えてみればオムライスにカツ、満腹になる要素しかない。
と言いつつ次のお店へ! 「洋食のいし川(福井県越前市桂町8-15)」
どこまで続くのだろうという抜けが気持ちいい場所にある「洋食のいし川」。昭和のどこか遠くで時間が止まったようなこじんまりとした店内は、黒電話が現役だったりとタイムスリップしたような感覚に陥る。しかし、よく店内を見渡すとテレビが「ブラビア」で急に現代に引き戻された。
時間が止まった店内
そこで食べるはボルガライス
カツはサクサクで、ソースとの相性もバツグン。どこか懐かしい味で、ちろん美味しく、憧れていた幸せの島に辿り着けた気がした。もう2つもボルガライスを食べているのに、ペロリと食べれてしまう不思議。美味しいからだ。
笑顔ですよ
美味しくて一口ごとに笑顔になるので顔が疲れた。このお店は30年以上前に開店して、ボルガライスはここ10年以内に始めたそうだ。店主に写真撮らせてくださいよ! とお願いしたら、恥かしいから代わりにこれ、と言ってタオルをくれた。
あたたかい雰囲気のお店でした
満腹だけれど8分で食べれてしまう美味しさ
うどんもボルガライス
ここまで、まるでボルガライスに乗ったカツのようにサクサク食べ歩いているように見えるが、お店とお店の間に、もしそれが遅刻なら絶対に怒られるくらいの休み時間を取っている。さすが中学生の夢。ボリュームが素晴らしすぎるのだ。
休憩しています
食べ盛りの中学生でもさすがにこの夢のような組み合わせ(オムライスとカツ)の食べ歩きはキツい。美味しいのだけれど、キツい。幸せな苦痛だ。しかし、電車の時間が迫っている。ということで4店舗目は、のれんにうどん・そばと書かれた「江戸屋」だ。
江戸屋(福井県越前市高瀬2-6-15)
現在2:45
すっかり電車のことを忘れていたのだけれど、電車は15時29分に発車してしまう。そして、このお店から駅までは20分弱。意外とドキドキしてしまう時間になっている。だったら食べなければいい気もするけれど、ボルガライスが僕を呼んでいるのだ。
満腹といいながら、ボルガライスとおろしそばを注文!
この街の名物は実はボルガライスだけではない。すりおろした大根をそばが見えないくらいに乗せた「おそしそば」もまた名物なのだ。武生に来たからには食べたい。たとえすでにボルガライスを3つ食べていたとしても食べたかったのだ。
驚くうまさ!
おろしそばはあっさりしていて、今までに食べたものがカツだったりしたこともあって、とても美味しく感じた。辛みのきいた大根がたまらない。
ボルガライスも素揚げしたうどんが具として入り、モチモチした食感が新鮮でペロリと食べてしまった。文句なしに美味しい。武生の時代が来る予感を感じた。
10分で完食!
予定していた6店舗を巡ることは叶いそうにないが、胃袋的にはもう限界、と駅を目指した。15時29分に出る電車に乗らなければならないのだ。しかし、足取りは今まで食べたボルガライスの分だけ重くなっているようで、駅はいつまでたっても見えてこなかった。
その結果、電車は出ていた
ボルガライスがヤバい!
ということで、今回は武生の名物ボルガライスを4つ食べた。それぞれのお店がいろいろな工夫を凝らしていて非常に楽しく、そして美味しかった。美味しすぎて困った。好きな食べ物が合体しているのだ。1万円もらえると嬉しいけれど、2万円だとさらに嬉しい。そういうことだ。ボルガライスが全国区になればいいのにと切に思った。