階段が豪華だ
私は建築に詳しくない。でも建築ガイドに載っているような有名なビルは、けっこう観に行ったことがある。なぜかというと、「いいエスカレーターないかな」と思って観に行くからだ。しかし、最新のオシャレビルにはいいエスカレーターがついてることが多いが、ちょっと「レトロ」と呼ばれるタイプのビルには、たいていがっかりするはめになる。エスカレーターじゃなくて階段がついてるのだ。しかも、めっぽう格好いい階段が。
どういうビルかというと、たとえばこういうやつ。
建築好きの間では有名らしい、大阪の「味園」ビル。宴会場とビジネスホテルとスナック街が入る。看板や柱や照明など、要所要所どこをとっても、建築でレトロといったらこれだろという貫禄。
こういう建物はだいたい、階段がこれでもかというほど格好いい。ずるい(これは螺旋スロープでさらにずるい感じ)。
そして銀座のこちらのビル。ぎらぎらしている。攻めてる。
この階段なんかはもう、前をとおるたびに気になっていたらしくて、日付の違う同じ写真がたくさんあった。くやしい。
ぐるんぐるんである。ぴっかぴかである。
階段にこんなに気軽にぐるんぐるんされてはエスカレーターの立つ瀬がないではないか。
五反田では二重にぐるんぐるん。ずるい。
エスカレーターが地味だ
私はエスカレーターのことをとてもラグジュアリーな乗り物だと思っている。なんたって、階段のステップが回転して動くのだ。箱に乗ってロープでひっぱる原始的な乗り物(エレベーター)なんかとは大違いだ(実際に発明された年代に1900年くらいの開きがあります)。がしかし、こういう繁華街にくると、「エスカレーターって、地味よね」と思ってしまうことも、稀にある。
こういう豪華なぐるぐる階段がありそうっぽいビル
しかし、正面にまわったら地味なエスカレーター。
雑居ビルについてるエスカレーターは、狭いスペースで邪魔にならないようにこじんまりとしていることが多く(私はそのいじらしさに心うたれるのだが)、なにせ地味である。
うっかりすると「なんだ、エスカレーターか」と、がっかりしてしまったりする。がっかりした自分にがっかりだ。がんばれエスカレーター。
過剰になりがちな豪華
片や階段は自由である。
簡単にぐるんぐるんになったうえに、ついでに豪華に拍車がかかる場合が多い。
角を利用した豪華ぐるぐる
内部ではホッピーまつり
昼間に撮ったのでアレだが、このホッピー提灯はもちろん光るし、この螺旋のへそ部分の謎の柱ももちろん光るのだ。過剰である。
ミニマム豪華
階段はせまいスペースでも気軽にぐるぐるしてくる。
今回見つけたいちばんミニマムなぐるぐる。
すらっとしたボディーで半回転。憧れる。
エスカレーターがぐるんぐるんするまでには、それが発明されてから(1900年)、じつに1世紀近い年月(1985年)が必要だったのだ。それが階段ときたらもう…ぐるんぐるんしたい放題ではないか。ずるい。
豪華階段の街、小倉
エスカレーター親愛派として、これまで豪華な階段のことは気になっていてもあまり意識しないよう努めてきたが、今回ついに記事にしてしまったのにはわけがある。昨年末に訪れた小倉の豪華階段ポテンシャルがはんぱなかったのだ。
そんな小倉の豪華階段コレクションをご覧いただきたい。
馬刺 小料理の肥後っ子も気になるが、この階段のイイ感じの装飾具合は何だ。
小倉の駅前からずぅっとつづく飲み屋街がアーケードになっていて、2階の店舗へと続く階段が、豪華階段オンパレードなのである。
ぐるんぐるんにプラスしての過剰装飾手すり。エリザベス!(名前をつけてみた)
かと思いきや、スタイリッシュな手すりと柱で構造を粋に支えるタイプも。東京でいうと青山の裏路地の美容院ってところだ。
で、実際に小倉の美容院が入っているビルも超スタイリッシュなわけよ。階段が。
ゆるやかに曲がりつつのぼっていって、二階でさらにぐるん!ダルビッシュ!(いや、なんとなく)
エスカレーターだって、光ったり、ぐるぐるしたりできます!
ぐるぐるして光る階段は格好いい。だけどエスカレーターだって光ったりぐるぐるしたりできる。三菱電機が技術の粋を結集して開発したスパイラルエスカレーター(
この記事で少し紹介しました)はだがしかし、それなりのスペースが必要かつメンテナンスも大変で、ぐるぐる階段を置き換えるまでには至っていない。ううむ、新たな戦略が必要か。これらの豪華階段の隆盛をみるにつけ、ついスパイラルエスカレーターの営業のひとの気持になってしまうのである。
これは六本木のホテル。真ん中がエレベーターでそのまわりを階段がぐるんぐるんと取り囲む。しかも光る。思う存分格好いい。なにかのいやがらせか。