特集 2012年1月23日

マスクで凧揚げ

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マスクをしていて、ふとした時に外してどこかに掛けておいた。すると、その間すぐが風に煽られてはためいている、いや、これははためいているというレベルじゃ無い。

と、飛んでる…!

これ、マスクって凧揚げみたいに飛ばせるのではないか。
1983年三重県生まれ、大阪在住の司法書士。
手土産を持参する際は消費期限当日の赤福で受け取る側に過度のプレッシャーを与える。

前の記事:インスタント焼きそばは振らない方が湯切りが良いらしい

> 個人サイト owariyoshiaki.com

マスクは空だ

って言われるとそんな場面有ったかな?と思いつつ、確かに…。と思ってしまう位のパラシュート力だ(多分そんな場面ない)。
パラシュートを越えて、凧として。
パラシュートを越えて、凧として。
そんな確実なパラシュート力に加え、実は凧としての飛行能力も持っているのでは、隠しているのではと思い始めたのだ。

なんか最近のマスクって妙に立体だったり流線型だったりするしさ。

飛ばしましょう

と、いうことで飛ばしに来た。
と、いうことで飛ばしに来た。
飛ぶと思うので飛ばしに来た。紙にひもを付けて引っ張る、凧と構造は同じだ。たこ糸付けて引っ張れば飛ぶだろう。
まずはガーゼマスク。
まずはガーゼマスク。
昔のマスクってほとんどこれだったよね。
昔のマスクってほとんどこれだったよね。
まずはガーゼのマスク。子供の頃、風邪をひくとこれをさせられていたのだけれど、口元とマスクがゼロ距離で、しかも保湿性がやたら高いためにすぐべっちょべちょになって凄く嫌だった。

だが、そんなガーゼマスクも、凧として飛ぶなら話は違う。「またべっちょべちょになっちゃった…」って思ったら、たこ糸を付けて飛ばせばいいのだ。楽しく乾いて一挙両得。

凄く飛ばない

俺の方がまだ飛んでると言えるレベル。
俺の方がまだ飛んでると言えるレベル。
飛んだら写真どうやって撮ろうかなぁ。そんな事を考えながら走り出したが、マスクは飛ばない。ビックリするほど飛ばない。
常にこの位の角度。
常にこの位の角度。
凄い、ビックリした。まさかこんなに飛ばないとは思わなかった。飛ばないにしても、もうちょっと、なんか、フワッと、あっ、ヒューン…くらいは有るかと思ってた。

指にひっかけてクルクルしてた方がまだ飛んでるって言える。

ことごとく

超立体だからいけるのでは。
超立体だからいけるのでは。
超立体だなぁ。
超立体だなぁ。
まさかこんなに飛ばないとは思わなかったが、まだこっちには手がある。
ほら、仮面だこれ。
ほら、仮面だこれ。
次は超立体マスクが現れた。コイツならいけそうな気がするんだ。あと、マスクって言うか仮面っぽい。
が、もちろん飛ばず。
が、もちろん飛ばず。
また飛ばない。飛ばない飛ばない。飛ぶ気配もない。

これはまずい、出し惜しみしている場合ではない。
コイツが一番飛ぶと思うんだ。可能性があると思うんだ。
コイツが一番飛ぶと思うんだ。可能性があると思うんだ。
早くも一番飛びそうだと思っていたマスクが登場。何と言ったら良いのか分からないけれど、プリーツの付いているヤツ。

コイツは空気を良く包む。飛ぶぞ!
引っ張って遊ぶタイプの車のおもちゃとかでも、もうちょっとは飛ぶぞ。
引っ張って遊ぶタイプの車のおもちゃとかでも、もうちょっとは飛ぶぞ。
が、まぁ、予想通り飛ばない。飛ばないにもほどがある。マスクと蛸だったらどっちが飛ぶかって話になったら今なら蛸って言うと思う。
可愛いのが飛べば嬉しいと思ったのにな。
可愛いのが飛べば嬉しいと思ったのにな。
今はもうその浮かれ具合がちょっと悔しくもある。
今はもうその浮かれ具合がちょっと悔しくもある。
あまりにも飛ばなくて、折角持ってきたキャラもののマスクも悲しくなる。必殺技のゴムゴムの耳掛けも効果が見られなかった。
ゴムゴムの~、耳掛けー!
ゴムゴムの~、耳掛けー!

改善版

いろいろ試してどこが駄目か見えてきた。まず骨だ。鼻の所に針金みたいなのが入っているがそれでは風は捕らえられない。

あとは、小さい。風が全然集まっていないような気がする。
じゃあ、これならどうだろうか。
じゃあ、これならどうだろうか。
このマスクなら飛ぶのでは。
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マスクはきっと飛ぶはずなんだ

マスクは飛ばなかった。飛ばなかったのはマスクが小さいからだ。じゃあ、大きなマスクを作ろう。
このくらいでいいかな。
このくらいでいいかな。
そう思ってマスクをいっぱい買ってきた。

が、考えてみたら大きなマスクを作るのにマスクをいっぱい買ってくる必要は無い。似たような素材を買ってくればいいんだ。

僕の頭の中では大きなもの=小さなものがいっぱい合体しているというドラゴンクエストのキングスライム的な考え方をしているようだ。ならば、相撲取りなどはどういう認識なのか。

マスク内部に見知った顔が

まぁ、買ってきたのだからこれを使って大きなマスクを作ろう。
バラした。
バラした。
とりあえず、これらは邪魔だろうと思って左右のゴムのついている部分と、鼻当ての部分は取った。
鼻当て、ビニールのカシャカシャした袋止めるやつだ!
鼻当て、ビニールのカシャカシャした袋止めるやつだ!
それで取り出すと見覚えのあるものが。鼻当ての中身って、あの、お楽しみ会とかで貰えるお菓子の詰め合わせの袋を留めてた針金と一緒なのか!

まぁ、そりゃそうだろう、という感じだが、ビニール袋と人間がほぼ同じ方法で扱われることってなかなか無いよなって感動した。針金にとってみれば袋留めるのと人間の鼻にフィットするのは同じようなものなのだ。

さて合体

解体したので、合体させよう。浮かんだ方法は三つ。

1.糊
2.ホッチキス
3.両面テープ

お手軽にやろうという魂胆。
久しぶりのミシン。
久しぶりのミシン。
が、選んだ方法はミシン。おそらく上の方法でも出来ただろう。けど、いざ飛ぶぞ!って時にバラバラバラ~!ってなる光景が目に浮かんだ。うむ、浮かぶ。

でも、壊れたら直せばいいでしょ。と思ったが、今までの経験から、その壊れたときの「えっ、どうしようどうしよう、えっ、これ、駄目じゃない!?ネタが…締め切りが…」という胃が締め付けられる感覚すらも蘇ってきた。
ながーい、お付き合い。
ながーい、お付き合い。
あぁ、それは嫌だ。その感覚味わうのならば面倒でもミシンで縫うわ。と思ってミシンを引っ張り出した。

傷ついた経験が多い人ほど優しい。みたいな理論で、失敗が多い人ほど失敗後がよく想像出来て必死。みたいな感じでマスクを縫った。

マスク=折り目

左のマスクと右の布、生地の縦横の比率一緒なんだぜ。
左のマスクと右の布、生地の縦横の比率一緒なんだぜ。
一応縫えたがなんともまぁマスクに見えない。縦横同じ数のマスクを縫ったらこんなに縦長な生地が出来上がった。マスクは横長じゃなく縦長な生地を折りたたんでいたって知っていたかい。
マスクっぽい。
マスクっぽい。
微妙な知識を得たがマスクに見えなければ縫った意味が無い。折りたたんで横の部分を留めてみたら何とかマスクに見えてきた。

マスクに見えるポイントはプリーツだ。

詰めが甘い

これで飛ぶと思う。
これで飛ぶと思う。
うほほ、何とか形にはなってきたな。と仕上げにかかる。ビッグマスクのサイドに骨組みとしてプラスティックの棒を入れる。これで空気をつかむはずだ。
ゴムゴムの耳掛け。
ゴムゴムの耳掛け。
最後にアクセサリとしてゴムをつけた。するとやはりすごくマスク感が高まった。よし!いいぞ!

これ、ついてる折り目を伸ばして、プリーツをきれいにすればもっともっとマスクっぽくなるんじゃないだろうか。
ぎぃやぁぁぁぁ!!
ぎぃやぁぁぁぁ!!
そう思って少し浮かれてアイロンを当てたら、ベトッとした感覚。んっ?アイロンが滑らない。と思って持ち上げたら、ぎゃっ!!

溶けた!溶けた!!なに、そうなの!?マスクって溶けるの!?
最終的に糊のお世話になりました。
最終的に糊のお世話になりました。
びっくりした、知らなかった。糊で補修して何とか事なきを得たが、まさか最後の最後に罠があるとは思わなかった。余計なことはしないほうがいいね。
ビッグマスク着用画像
ビッグマスク着用画像
と、いうことで完成したので飛ばしてみましょう(そういえば飛ばすんだった)。
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ビッグ飛ばない

ついにマスクが空を制するときが来た。大空へ、羽ばたくのだ!
さっきもこんな写真見た。
さっきもこんな写真見た。
が、飛ばない。大きくても飛ばない。
空気の掴みは良くなっている。
空気の掴みは良くなっている。
大きくなってしっかりと空気は掴んでいるのに、飛ぶ方面へはつながらない。マスクはパラシュートになる。っていう企画のほうが良かったな。

飛んでもらわないと困るんですよね

さて困った。手ごたえ的にこれを続けても飛ばない。努力云々じゃなく、才能を超えて性質レベルで無理。

僕が今からがんばってプロサッカー選手になる。位の無理さ加減じゃなく、今からエラ呼吸になります。位の無理さ。
エラに呼吸用の穴あけますね。
エラに呼吸用の穴あけますね。
それでもマスクにはどうにか飛んでもらわなければならない。過程でめんどくさい事していると、どうにか結果を出そうとする意識になりますね。

と、いうことでエラ呼吸になるために手術を施した。
エラが出来た。
エラが出来た。
マスクの真ん中やや下位に穴を開けた。走ってマスクの中に集まった空気がこの排出口から斜め下に噴出して上昇する力を生むのだ。

これによってマスクとしての機能は失われたがマスクは翼を得た。ゆけっ、エラジェット(マスクの名前)
同じ写真なのでは、と思うのばかり。
同じ写真なのでは、と思うのばかり。

もうマスクとか関係ない

実は今のは自信があった。本当に飛ぶと思っていた。だから飛ばなかったことにショックだったし、今写真を見返してこれで飛ぶと思っていた当時(2日位前)の自分にもショックを受けた。
最後の手段
最後の手段
こうなったら背に腹は代えられない。エラ穴では空気が全然抜けていなかった、もっと下に向かって勢い良く空気を流さねば。と思い、はさみを入れた。
パックマンの敵みたい(良い様に言えば)
パックマンの敵みたい(良い様に言えば)
下のほうを切り開き、空気を下に流せるようにした。イメージは、凧だ。マスクは凧のように飛ぶのではないかと言って、マスクで凧をマネし始める。

それなら凧を飛ばせば。と思ったら、実は数年前、当サイトwebマスターの林さんもゴミ袋は飛ぶのではないかと言いながらゴミ袋で凧を作っていた。本末転倒どころか、輪廻転生だ(注:輪廻転生ではない)。

ついに浮いた

もうなりふり構っていないマスク凧、これでどうにもならなければどうにもならないぞ。
浮いたッ!!
浮いたッ!!
そう思って走り出すと今までとは様子が違う。グイッと引っ張る手ごたえがある。ああっ、浮いたッ!!
凧を目指してイカみたいなものが出来た。
凧を目指してイカみたいなものが出来た。
上空高く舞い上がって飛ぶ、という程にはいかないけれど、頑張って走ったり、強く風が吹けば、浮く。やっと揚力が発生した。

可能性が見えてきたけれども、これを飛ばすほどの速度で走る、もしくは強風が吹くというのは少し無理がある。

変な技術を習得した

それでもどうにかこうにか。と思っていろいろ試していると変な技術を習得した。
動画を見るのが面倒な人用にgifアニメ版も作ってみた。クリックで無限マスク浮かせ。あと、左上にスペースがあったから百人一首も入れておいた。
風が吹くと少し浮く、そこで紐をグイッと引っ張ればまた浮く。バランス崩して落下しそうになったらまた引っ張ってグイッと浮かせる。

マスクを空中に浮遊させる技術を習得した。これが少し難しくて、楽しい。風、バランス、などをみて操作する。マスク、飛びはしなかったけれど浮くことは出来た。
ふ、複雑骨折…。
ふ、複雑骨折…。
と、思っていたら急にマスクが浮かなくなった。変だな、と思って触ってみると、骨として入れたプラスティックの棒が折れていた。
か、開放骨折…。
か、開放骨折…。
更に、逆側はマスクを突き破って骨が出てしまっていた。気軽に飛ばそうとしていたが、マスクにかなりの負担をかけてしまっていたようだ。空を飛ぶのって、ものすごく大変なことなんだな。

と、いう事で結論、マスクは飛びません。

マスクは全く飛ばなかった。そりゃもう、全く。ちょっと飛ぼうとする方向にいくと近づく、目指すのは凧になる。昔から有るものの完成度の高さというのを思い知る。

空は厳しい。物飛ばそうとしても難しいのに、自ら飛ぼうとして飛んじゃった鳥って凄いな。文中で書いた今から僕がエラ呼吸になるクラスの難題を達成したという事だろう。

そう考えると無理な事なんてないんじゃないかと思えてくる。なので僕も頑張ってみようと思う、エラ呼吸になれるように。
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