特集 2012年1月7日

本当に赤いきつねと緑のたぬき

本当に赤いきつねと緑のたぬきと黒い豚カレーと白い力もち。
本当に赤いきつねと緑のたぬきと黒い豚カレーと白い力もち。
誰もが一度は感じたことがある憤り。それは、「赤いきつねが赤くない!」だ。さらにいえば、「緑のたぬきも緑じゃない!」である。

パッケージこそ赤や緑でクリスマス気取りだが、その実態は茶色いきつねうどんとたぬきそば。狐と狸に化かされたっていうことか。

名前に偽りありだと振り上げたこの手で、本当に赤いきつねと緑のたぬきを作ってみようと思う。
趣味は食材採取とそれを使った冒険スペクタクル料理。週に一度はなにかを捕まえて食べるようにしている。最近は製麺機を使った麺作りが趣味。(動画インタビュー)

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> 個人サイト 私的標本 趣味の製麺

とりあえず海へやってきた

最初に言っておくが、狐と狸を赤や緑に染めるという、一風変わったペット自慢の話ではない。赤や緑の沸騰した液体で、本当に赤いきつねと緑のたぬきを作るという、お手軽クッキング記事である。

まず赤い液体といえば、トマトジュース、赤ワイン、イチゴジュース、ラー油あたりだろうか。緑だったら抹茶もいいが、やっぱり青汁か。緑なのに青汁とは信号方式だ。
美味しくカップラーメンを食べるなら寒いところということで、海で実験します。「イサキ釣りはね、タナが命なんだよ」と船長。
美味しくカップラーメンを食べるなら寒いところということで、海で実験します。「イサキ釣りはね、タナが命なんだよ」と船長。
まずいものを作って、「まずい、もう一杯!」と、八名信夫がやった青汁CMのモノマネをやりたいという話ではないので、簡単でおいしいものがいい。

海の上は寒い。寒いときには辛いもの。ということで、先行の赤組はキムチの素をセレクト。

対する後攻の緑組も、辛いをテーマにグリーンカレーの素にしてみた。初戦から予想外の異国情緒あふれる対決である。
赤コーナー、桃屋キムチの素ー! 二枚並べると、間違い探しみたいな写真ですね。
赤コーナー、桃屋キムチの素ー! 二枚並べると、間違い探しみたいな写真ですね。
もしもタイランドにタヌキがいたらー(『なるほど!ザ・ワールド』のエンディングテーマ風に ※音が出ます)
もしもタイランドにタヌキがいたらー(『なるほど!ザ・ワールド』のエンディングテーマ風に ※音が出ます)
船に乗ってやってきた太平洋上は、なかなか景気よく海がシケていて、風は冷たく、体は冷え冷え。絶好の辛いカップラーメン日和といえるのだが、波がすごくてさっきまで船酔いでダウンしていた。

だいぶ体が慣れて、もう大丈夫かなと思ったところで料理をはじめたのだが、写真を見るとまだ顔色が真っ青だ。
揺れる船のキャビンの中でお手軽クッキング。粉末スープとお湯を入れたら、キムチの素かグリーンカレーの素をトッピング。
揺れる船のキャビンの中でお手軽クッキング。粉末スープとお湯を入れたら、キムチの素かグリーンカレーの素をトッピング。
この蓋をあければ、本当に赤いきつねと緑のたぬきがそこに存在するはず。
この蓋をあければ、本当に赤いきつねと緑のたぬきがそこに存在するはず。

赤いきつねが本当に赤い!

まずは赤いきつねから。お湯を入れてから待つ時間を考えると、緑のたぬきから食べたほうがいいと思うかもしれないが、お湯を入れるタイミングをずらしたので、その心配は無用である。作りながら、俺って頭がいいなと思った。本気で。

赤いきつねの蓋をあけると、そこには真っ赤に血塗られた狐を連想させなくもないなきつね(おあげ)が横たわったうどん。

まさに『赤いきつね』である。
若干スプラッタなのは、おあげの上にキムチの素をかけたからですね。
若干スプラッタなのは、おあげの上にキムチの素をかけたからですね。
食べてみると、和風のダシにキムチの素の辛みがマッチしていて、冷え切った体が喜ぶ味。やはり赤くてこそ、赤いきつねだったのだ。

きつねうどんというか、キムチうどんだけど。
船酔いを忘れるうまさ。
船酔いを忘れるうまさ。
そういえば私が子供のころ、父親が毎日のように、サッポロ一番の味噌味にキムチの素を入れて作っていたのを思い出した。

子供のころは、なんでそんな辛いものを好んで食べるのだろうと思ったけれど、今だったらわかる気がする。

あまり緑ではない緑のたぬき

赤いきつねを二分で食べきり、三分前にグリーンカレーの素を入れて作った緑のたぬきが食べ頃となった。

満を持して蓋をあけると、それほど緑ではない、というか、ほとんど緑とはいえない、失敗した自家製くさや液みたいな微妙な色のそば。
いまさらだけど、緑のたぬきって、たぬきそばじゃなくて、天麩羅そばだと思う。
いまさらだけど、緑のたぬきって、たぬきそばじゃなくて、天麩羅そばだと思う。
グリーンカレーの素を見たときに、これ自体がほとんど緑じゃなかったので、まあこうなるとは思っていた。きっと緑の野菜を入れてこそのグリーンカレーなのだろう。

入れるのは素じゃなくて、レトルトが正解だったか。
食べてみると、同行していた岡田くんも「けっこう食えちゃうね!」と納得の味。
食べてみると、同行していた岡田くんも「けっこう食えちゃうね!」と納得の味。
見た目こそ微妙だが、その味はというと、タイと日本のいいとこどり、とまでいえないが、なかなか食わせる味である。

ムエタイ出身のタイ人ファイターと、角海老ジムのボクサーとの好勝負みたいなことを書こうと思ったが、一番大切なのは色がダメだ。

これでは『本当に緑のたぬき』と呼べないのである。
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畑できつねとたぬきの弐回戦

海上での赤いきつねと緑のたぬきは、一勝一敗の五分となったので、第弐試合でこそ雌雄を決したいと思う。

「弐」の文字は、変換したらそうでたので、かっこいいからそのままにした。あと、何と何が戦っているとかは気にしなくていい。こっちの問題だ。

決戦の舞台は我が家の家庭菜園。これぞ赤と緑の王道ともいえる野菜ジュース対決であるが、別にここで採れた野菜でジュースを作るという話ではない。トマトは季節外れなのだ!
伊藤園から熟トマトと緑の野菜がエントリー。
伊藤園から熟トマトと緑の野菜がエントリー。

トマトジュースで赤いきつね

赤い液体といえば、私がドラキュラでなくても、やはりトマトジュースは外せない。

トマトジュースといえば100%。お湯で割ったりせずに、ガスコンロで沸騰させたトマトジュースをそのままカップ内側の線まで注ぎ込む。
今度こそ赤いかな?と思って毎回開けるが、赤かったことは一度たりともない。それが赤いきつね。
今度こそ赤いかな?と思って毎回開けるが、赤かったことは一度たりともない。それが赤いきつね。
俺はトマトジュースを沸騰させる男なんだぜ。
俺はトマトジュースを沸騰させる男なんだぜ。
できあがった赤いきつねは、さすがはトマトジュース100%だけあって、それはもう見事に真っ赤である。文句なしの赤さだ。赤よりも紅の文字がふさわしいかもしれない。

これこそ『赤いきつねうどん』。いや、冠詞をつけて、『THE・赤いきつねうどん』といってもいいだろう。
付属の七味が黄色く見えるほどに赤い。
付属の七味が黄色く見えるほどに赤い。
見た目の赤さだけでなく、味もいい。さすがに100%のトマトジュースだと濃いかなとも思ったが、スープパスタだと思えばこの濃さもアリ。いっそ七味ではなく、タバスコ、おあげの代わりにチーズを載せたい。

「イターリアで流行っている食べ方ですよー」とクセのあるイントネーションでいわれたら、5人に2人は信じるはず。騙されてくれる人が私は好きだ。
待つ時間を測らなかったら、食べてみるとまだ固く、期せずしてアルデンテでイタリアーン。
待つ時間を測らなかったら、食べてみるとまだ固く、期せずしてアルデンテでイタリアーン。

緑の野菜ジュースで緑のたぬき

続いては、問題児である緑のたぬき。用意したのは伊藤園が誇る液体エメラルド、『緑の野菜 モロヘイヤ&フルーツミックス』である。

ここで豆知識、モロヘイヤの種には毒があるのだ。それを踏まえての挑戦であることを肝に銘じてほしい(緑の野菜にはモロヘイヤの種は入っていません)。
青のりの入った揚げ玉が、わずかに残った緑のたぬきのアイデンティティか。今助けるからな。
青のりの入った揚げ玉が、わずかに残った緑のたぬきのアイデンティティか。今助けるからな。
緑の野菜を温めると、とても甘ったるい、馴染みのある匂いがしてきた。
緑の野菜を温めると、とても甘ったるい、馴染みのある匂いがしてきた。
煮え立った緑の野菜から沸き上がる馴染みのある甘ったるい匂い。これ、リンゴだ。モロヘイヤ独特の青臭さはゼロ。

今が夏だったら虫が集まってきたかもしれないくらいに甘い。大丈夫か、これ。
気を紛らわせるため、三分待つ間にブロッコリーを収穫。
気を紛らわせるため、三分待つ間にブロッコリーを収穫。
三分後、蓋をあけると、ムワっと上がってきた甘いフルーティーな匂い。普通、フルーティーという単語は褒め言葉で使われるが、この場合のみ残念な意味として使われている。

緑といえば緑だが、粉末スープとホット緑の野菜が混ざりあい、三年洗っていない夜店ですくった金魚の水槽みたいな色のスープになってしまった。
ごめん、マルちゃん。
ごめん、マルちゃん。
どうにも箸が伸びないのだが、麺が延びては台無しだ。意を決して、悪い意味で緑のたぬきとなったそばをすすると、これが匂いそのままにリンゴの甘さ丸出し。

アポー(Apple)。

久しぶりにジャイアント馬場のモノマネをしてしまった。
緑のたぬきに緑の野菜、ダメ、絶対!
緑のたぬきに緑の野菜、ダメ、絶対!
「酢豚にパイナップルが許せない」という話を、食にこだわりのある人のお約束トークとして聞くけれど、そんなのどうでもいいじゃんといいたくなる強烈さ。これだったら素直に青汁で作った方が甘くないだけよかったか。

よくよく表示を見てみたら、モロヘイヤ&フルーツミックスとはいいつつも、野菜汁30%に対して、果汁70%。さらに果汁で一番多いのはリンゴのようなので、リンゴの味がして当然だ。
パッケージの絵はともかく、ちゃんと果汁70%と書いてありましたね。
パッケージの絵はともかく、ちゃんと果汁70%と書いてありましたね。
メキャベツの葉の味、したした!
メキャベツの葉の味、したした!
これをどうにか食べきったところで、なにか一つ壁を乗り越えられたような気がした。いまならどこの国の料理でも口に合うはずだ。

赤いきつねと緑のたぬきをからかうのはこれくらいにして、次のターゲットに移りたいと思う。

あー、甘かった。
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今こそ黒くなれ!豚カレー

続いてもマルちゃんに対する挑戦である。これこそ赤いきつねや緑のたぬき以上に一言いいたいという人も多いであろう、『黒い豚カレーうどん』だ。

これが黄色い豚カレーだったら誰もが納得したであろうに、あえて黒にした理由を、私の手で黒く染めることで、でっち上げたいと思う。
用意したのは、これだ。
用意したのは、これだ。
黒い食材といえば、やはりイカスミだろう。イタリアンとうどんの相性の良さは、トマトジュース版赤いきつねで実証済みだ。
これがスミイカ。本名はコウイカらしいです。スミイカのイカスミを使うということ。ややこしい。
これがスミイカ。本名はコウイカらしいです。スミイカのイカスミを使うということ。ややこしい。
油断すると、マンガみたいにプシューっと墨をふきかけられる。だからスミイカ。
油断すると、マンガみたいにプシューっと墨をふきかけられる。だからスミイカ。
黒くするために『ごはんですよ』を一瓶入れるという案もあったが、ちょうど釣ったスミイカが冷凍庫に眠っていたので、これを使わない手はない。

イカスミのパスタならぬ、イカスミのカレーうどん。伊・印・日、本日限定多国籍ユニットの誕生だ。
どこを探しても、黒の要素がまるっきりない。やはりお前にはイカスミが必要だ。
どこを探しても、黒の要素がまるっきりない。やはりお前にはイカスミが必要だ。
このイカ、何度さばいてもびっくりするくらい墨が多い。野外でやらなくて本当によかった。
このイカ、何度さばいてもびっくりするくらい墨が多い。野外でやらなくて本当によかった。
ところで今までの撮影で、海、陸を制覇したので、今回のテーマはもちろん空である。自宅のどの辺が空かというと、朝から何も食べていないあたりだ。そう、空腹なのだ。

真っ黒な豚カレーうどん、完成

スミイカから取り出した墨袋と墨がべったりついたゲソを水に入れ、それを煮立てて真っ黒なお湯を作り、豚カレーへと注ぎ込む。当然粉末スープも入れる。

出来上がったのは、『黒い豚カレー』というか、『魔女が作った気まぐれ暗黒豚カレーうどん』だった。
ギャー!イカスミで粘度が高くなったスープが泡立っていて怖い。
ギャー!イカスミで粘度が高くなったスープが泡立っていて怖い。
見た目でいえば、緑の野菜のたぬきの悪夢を思い出させる危なっかしさだが、匂いはカレー+魚介類で、決して嫌なものではない。空腹だということを差し引いても、十分食欲のそそられる匂いである。

一口すすってみれば、カレーうどんのコクに、スミイカが持つ魚介のうまみが加わって、ボーノ、ボーノ、アケボーノ。

イカスミで黒くしてほしいから黒カレーと名付けたんだというメーカー側の隠れた意図を勝手に読み取りたくなる味である。
見た目はひどいが、味はばっちり。口元に汁が飛んでホクロが増えてるけど。
見た目はひどいが、味はばっちり。口元に汁が飛んでホクロが増えてるけど。
さあ、これで残す敵はあと一人。もうここまでくればわかっていると思うが、次のチャレンジャーは白いアイツである。
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白い力もちうどんをもっと白くしたい!

最後のエントリーは、もちろん『白い力もちうどん』である。『力うどん』だと思ったら、『力もちうどん』だったというのは大きな発見だ。

ただこれに関しては、今までの赤・緑・黒に比べると、餅は白いし、うどんも白いので、正しいネーミングと言えるだろう。

しかし、そのつゆは茶色い。ここも白くてこそ、『純白の力もちうどん』となりえるのではないだろうか。ならなくてもいいんだけど。
ホワイトチョコで「白い恋人の力持ちうどん」にしようかとも思ったが、使うのはオーソドックスに牛乳です。
ホワイトチョコで「白い恋人の力持ちうどん」にしようかとも思ったが、使うのはオーソドックスに牛乳です。

クリーミー!本当に白い力もちうどん

作り方は、熱湯の代わりに沸騰した牛乳を使うだけなのだが、牛乳っていうやつは沸騰した瞬間にブワっと膨らんで溢れそうになるので、見かけによらず危険がいっぱいだ。
もう十分に白いんだけれど、君にはもっと白くあってほしい。
もう十分に白いんだけれど、君にはもっと白くあってほしい。
移り香注意って、どう注意すればいいんだろ。熱湯を使うなということか。いや、牛乳を使えということだな。
移り香注意って、どう注意すればいいんだろ。熱湯を使うなということか。いや、牛乳を使えということだな。
これまでの経験を踏まえて、この牛乳とうどんという組み合わせが、一番不安のない味だと確信はしていたのだが、できあがった白すぎる力もちうどんは、濃厚かつクリーミー。想像以上のマッチング。
青ネギが、雪解けの下から伸びてきた新芽のようで美しい。
青ネギが、雪解けの下から伸びてきた新芽のようで美しい。
ホワイトシチューをご飯にかけて食べる食文化の人だったら、これはきっと好きな味。

田中義剛あたりに、「北海道の大晦日は年越しそばでこれにバターを乗っけて食べるんですよ」と騙されたい気分である。
そりゃ餅も伸びるぜ。
そりゃ餅も伸びるぜ。
終わりよければすべてよしなので、この戦いは大勝利といえるだろう。

もう一度言うが、何と何が戦っているとかは気にしなくていい。

言いがかりから生まれた新しい味

マルちゃんが名前と違って赤くないとか緑じゃないとか、ほぼ言いがかりのような形でスタートした今回のお気軽レシピ特集だが、お湯を別のものに変えるだけで、普段の食事では味わえない緊張感と舌の驚きを得ることができたのは大収穫だった。

今調べたら『紺のきつねそば』という商品もあるらしいが、これはナス漬けの汁で試せばいいのだろうか。

退屈しない人生のヒントが、ここにあるような気がする。
牛乳+トマトジュース+アサリの茹で汁で「ピンクのアサリうどん」も作ってみたよ。ファンシー。
牛乳+トマトジュース+アサリの茹で汁で「ピンクのアサリうどん」も作ってみたよ。ファンシー。
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