なんでも褒められるようにする
何かを感想を求められて素直に褒められるのは才能だ。芸能人は何でもないものにポジティブな感想を言えて凄い。自分があの場にいたら‥‥という気分でテレビを見ると、戦慄する。沈黙、圧倒的な沈黙が予想される。
しかし、おそらくそのレベルに達するまでには遠く長い道のりがありそうなので、まずは身近なものを褒める事でそのスキルを磨くことにしよう。
例えばこれ。
褒めづらさ代表。
‥‥。
いきなりレベルが高すぎただろうか。段ボールのゴミを褒めろと言われても、困ってしまうのが普通だ。だがバカみたいになんでも褒められるようになるには、これくらいでちょうどいいのだ。
(なお今回褒める対象は全て、このように厳選されたどうしようもない写真である。)
心から何かを褒めようとすると、これまでの自分の経験、考え方と絡めて‥‥と考えてしまうが、それは良くない。自我のスイッチをオフにして、褒めてみよう。直感が大事。これがビジネスの掟である。
じっと見れば、褒めるところは自ずと現れてくるはずだ。
褒めポイントが見えてきただろうか。
とりあえず全体をみる
褒める対象がモノだったら、とりあえず全体の印象を褒めてみよう。段ボールのゴミも例外ではない。
どういうことか。要するに、「まとまっている」かどうかだ。パッと見でわかる。このゴミはまとまっている。場当たり的だがそこが褒めポイントだ。
部分を褒める前に、何も考えず反射的に全体を褒めることで得られるメリットもある。少しでも時間が経過してしまうと、頭で感想をひねり出した感じが出てしまうのだ。
いい事を言おうとする心を捨て去ろう。繰り返すが、自我のスイッチは、オフだ。バカになろう。
褒めることでいいモノに見えてくる
まとまってさえいればゴミだって褒められるのだ。褒めるフレーズを画像の付けると、また違って見えるようである。
だが、まとまってないパターンならどうだろう。例えば散らばった焼き芋。これは全然まとまってない。まさにゴミだし、褒めようがないのだろうか?
そんなことはない。こういうときに使えるのはこのキーワードだ。
むしろこれが正しい形にも見えてくる
まとまってないものは、ダイナミックということで押し通そう。
だいたいのものは「まとまっている!」か「ダイナミック!」のどちらかなはずなので、つまり、だいたいのものを褒めることができるということになる。
「タイトにまとまってますね!」
「ダイナミックな像だと思います」
攻守にすぐれた褒めフレーズ
毎度毎度「まとまっている」「ダイナミック」だと、2択で褒めていることがバレてしまう。無理なシチュエーションも出てくるという不安もある。
そこで、「バランスがいい」と「情報(要素)が豊富」の対比も覚えておこう。モノや仕事を褒めるのには、だいたいこの4つのキーワードでいけるはずだ。
「バランスがいい!」(バルブの箱)
「情報が豊富なのに、まとまってますね!」(駅の張り紙)
どうだろう。このフレーズさえ知っておけば、普通なら感情ゼロで眺めるしかないバルブ的なモノも、変な張り紙も褒めることができるのである。
テーブルの上の杏のカクテルから哲学を始めることができるというのは現象学だが、それ以来の衝撃な気がしている。そういえば自我のスイッチをオフにするのも、言い換えるとエポケーだ。(話に説得力がなさそうなので、アカデミックな話題を混ぜてみた。)
褒められないものなんてない気もしてくるというものだ。
誰かがきっと喜ぶ
自分は好きじゃないから褒めづらい‥‥そんなときは「〇〇な人は喜びそうですね」と、架空の第三者を召喚して褒めよう。要するに「喜ぶ人は喜ぶ」というトートロジーなのだが。
具体的な第三者が思い浮かばなければ、これまた「好きな人にはたまらなそうですね」という感じで漠然と褒めるのもアリかもしれない。
僕自身、さっきから「この記事、好きな人はきっと好きだろう」という気持ちで原稿を書いている。
「そうめん好きは喜びそう」(そうめんだから)
「マジックハンド好きにはたまらない」(マジックハンドだから)
背景を褒める
無難な会話の切り出しとして一般的な天気の話題だが、屋外イベントや建築物、景色を褒めるときにも使える。
例えば運動会を褒める場合、快晴なら「まさに運動会日和という感じ」、曇天なら「むしろ運動しやすい気候に恵まれ」、雨なら中止なので褒める必要なし。無敵である。
建築物も景色もたいていバックに空があるので対比することができる。天気や空を褒めると、なんとなくそのものを褒めた感じになるのがポイントだ。
「青空にハトが羽ばたいているようです」
「夕日に映えますなあ」(何の建物かは忘れた)
漠然としたあこがれを利用
抽象的で褒める所がないので困った‥‥。そんなときは「ヨーロッパっぽい」というフレーズが状況を打破するかもしれない。
「ヨーロッパっぽい」が褒め言葉かどうかは疑問も残るが、世の中の多くのものはヨーロッパっぽさを備えている気がするので使える場面は多いとはずだ。明らかにアジア風だったりしない限り、大丈夫なフレーズだ。
「ヨーロッパを思わせるオブジェですなあ」
価値がなくても情報を加える
褒める対象に関する豆知識のような話を絡めてみてもいいだろう。ただし、上に示した「難しいことは言わない」のルールに反することのないように、簡単なものに限る。
つまり「ライオンは百獣の王と言われていますが」とか「月は太陽の光で輝いていますように」とかのレベルに留めておくべきだ。何も言っていないが、何か言った雰囲気を出すことができる。
人は知っていることを再確認したいものである。
「百獣の王たる威厳が見て取れるようです」
「ふく(福)と言われるようにめでたい感じがします」
バカ褒めキーワード8: ‥と言われるように(豆知識)
温泉を褒めるつもりで
ある程度褒めのパターンを習得すると、一つの壁にぶち当たる。そう、一フレーズくらいしか言うことがない問題である。あとは何を言ったらいいのか?
そういうときは「力が溢れてくるようです」等の、自分に対するプラスの影響を付け足すと間が持つ。
他にも「心があらわれるようだ」、「癒される」、「頑張らないといけない気分にさせられる」等いろいろあるはずだ。温泉に浸かったつもりで付け足そう。
「ここまでする力強い仕事には、意識を改めさせられますな」
率直こそが王道
もうどこを褒めていいのかわからない、ぼーっとしてたのに感想を求められた、というような緊急事態にはこう言おう。「いいと思います」と。
要するに褒めるということは「いいと思います」ということをどうアピールするかなのだ。困ったら率直に言ってしまうのもひとつの手ではある。
そういえばこの間、「いいですね」「すごいですね」「本当ですか?」だけで受け答えしている人を見たので、もしかしたら王道なのかもしれない。
「いいと思います」
「ああ、すごいですね」
褒めるのはタダ
こうしたトレーニングを重ねることによって、あらゆるものを褒めることができるようになってくる。そして褒めると、だんだんいいものが身の回りに溢れている気になってくる。そう、バカみたいに褒め続ける行為はあなた自身にもメリットをもたらすのです!
というわけで、この記事を最後まで読んでくださった奇特な方には、ぜひ身近なものを褒めるように意識してもらいたいと願う次第だ。この記事とか、僕のこととか。
さあ、褒めてみよう!(褒め方が全然思い浮かばなかった写真)