特集 2011年12月19日

お好み焼きとおでんのミックス料理にくてんが美味い

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兵庫県の高砂市に「にくてん」というご当地グルメがある。肉の天ぷら的な物かなと思ったらジャガイモとすじ肉、こんにゃくの入ったお好み焼きで、今のお好み焼きの元になったと言われている物らしい。

それを食べてきたんだれど、凄く美味しかった。
1983年三重県生まれ、大阪在住の司法書士。
手土産を持参する際は消費期限当日の赤福で受け取る側に過度のプレッシャーを与える。

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> 個人サイト owariyoshiaki.com

広島風お好み焼き風

美味しいにくてん、どんな物かまずは見ていただこう。
クレープのように生地を薄くのばして
クレープのように生地を薄くのばして
そこにキャベツ、すじ肉とこんにゃくを乗せる
そこにキャベツ、すじ肉とこんにゃくを乗せる
更に、ジャガイモ丸々一個登場。刻んで乗せる。
更に、ジャガイモ丸々一個登場。刻んで乗せる。
ひっくり返してペッタン、ジュー。
ひっくり返してペッタン、ジュー。
で、たっぷりソースを塗って
で、たっぷりソースを塗って
はい、完成。
はい、完成。
作り方はほぼ広島風のお好み焼き。具にジャガイモとすじ肉、こんにゃくを入れるのが特徴のよう。美味しそうでしょう、これが予想を超えて美味しかった。
中の方はトロトロでもんじゃみたい。
中の方はトロトロでもんじゃみたい。
生地がモッチモチで中のキャベツがとろけてトロトロ、そこにしっかりと味の染み込んだジャガイモ、すじ肉、こんにゃくが絡む。

まずはソースの味がガツンと来て、その後にじんわりと出汁の甘み、旨味が広がり、ホクホク、モチモチ、プリプリ、トロトロと多彩な食感が合わさる。

おぉ、ただお好み焼きの具材が変わっているだけかと思ったが、全然違って凄く美味しいぞ、にくてん。

にくてん関ヶ原説

上のにくてんのにしきさん。
上のにくてんのにしきさん。
関西では珍しい広島風の焼き方で作るにくてん。もしやここが広島風と大阪風の境なのでは。お好み焼きの天下分け目、関ヶ原的な場所なのかも。そう思って聞いてみると
実際にあった方が2倍可愛いおかあさん(本人談)
実際にあった方が2倍可愛いおかあさん(本人談)
「普通のお好み焼きは普通の焼き方やで、なんでやろうなぁ、にくてんだけはこないして焼くねん」との事。

全くそんな事は無く、にくてん以外で広島風の焼き方をするお店はほとんど無いという。

にくてんの影に姫路おでんあり

焼き方については分からないままだが、具材についてはお母さんと話しているウチにぼんやりと理由が見えてきた。

「これはにくてんちゃうねんけどな、お好み焼き一枚じゃ足らんけど、二枚は食べられへん、って時有るやろ?そんな時にな、横で炊いてるおでんの具入れてーって言うて入れてもろててん」
ボリュームたっぷり
ボリュームたっぷり
あぁ、量を増やすためのジャガイモとかだったのか。でもおでんとしてちゃんと出来ているのだから、両方食べれば同じなのでは…。

「それがな、ちゃうねん、全部の味変わっておいしなんねんで。そやな、ジャガイモとごぼてんがオススメや」
おでんにかかってるのはウスターソース。
おでんにかかってるのはウスターソース。
それを聞いて思い出した、この辺りのおでんと言えば姫路おでんで、生姜醤油で食べるし、人によってはウスターソースで食べるんだった。(姫路おでんを食べた時の記事

おでんに対する考え方というか文化が違う。にくてん具材の理由はそこだろう、姫路おでんあってのにくてん。
これはおでんとラーメンを合体させたもの。この地方の人のおでん組み合わせ力がもの凄い。
これはおでんとラーメンを合体させたもの。この地方の人のおでん組み合わせ力がもの凄い。
あぁ、そうか「にくてんはジャガイモの入ったお好み焼き」と言うよりも「おでんが入ったお好み焼き」と言う方が内容的にも味的にもしっくり来る。

文化は単体で存在するのでは無く、色んなものに影響を与えあっていて、それが地域の特色となっているのが見えて面白い。

美味しい面白いにくてん、もっと色々食べてみよう。
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にくてんは町の顔

駅近のお好み焼き屋さん
駅近のお好み焼き屋さん
次にきたのは駅から近いというお店、駅を出て、どこかなと探してみたら、駅近というか、駅そのものくらいの感じだった。
にくてん駅と言って良い。
にくてん駅と言って良い。
駅はその町を表わす顔と言って良い、なのでこの町はにくてんだと言っても過言ではないと思う。
駅の時計が実家の時計っぽかった。
駅の時計が実家の時計っぽかった。

もちろんビールにもバッチリ

お店に入りにくてんを注文、待っていると他のお客さんが飲んでいるものがチラチラと目に入る。
たまらんね。
たまらんね。
なので頼んだ、生ビール。
出汁の味が凄く強い系だった。
出汁の味が凄く強い系だった。
一軒目で大体の感じを掴み、合うなとは思っていたが、やっぱり生ビールに凄く合う。

こちらはソース甘め、出汁の味強めで和食っぽい。お好み焼き自体和食なんだろうけれど、それとは違う和食感。感覚としては肉じゃな的な感じ。
デザート付いてきたの嬉しい。
デザート付いてきたの嬉しい。
肉じゃがにソースかけるっていうと合わなさそうだけれど、これについてはバッチリマッチ。それを取り持っているのはなんなのか。不思議で美味い。

肉天の個性が楽しい

入り口が二つあって、右側が喫茶店、左側がお好み焼き屋さんだった。
入り口が二つあって、右側が喫茶店、左側がお好み焼き屋さんだった。
にくてんの種類が多い。
にくてんの種類が多い。
今回初のにくてん変わり種が登場。どんなものかと聞いてみると、ジャガイモの代わりに豚肉と卵が入っているそう。

それは広島風お好み焼きと一体どう違うんだ…。という事は気になったが、ジャガイモ入ってて欲しいので高砂にくてんを注文した。
折りたたまれたバージョン。ポテッとした感じ。
折りたたまれたバージョン。ポテッとした感じ。
今回は折りたたまれた状態で出てきた。そのふくらみから具が一杯詰まっているのが分かり胸が躍る。食べる前から宝石箱やぁ~。っていいたい。
やはりぎっしり詰まっている。
やはりぎっしり詰まっている。
こちらのものはキャベツがシャキシャキしていて食感が全く違う。ほう、そうきたか、という感じ。これも美味しい。

記事を書く際、食べ比べを良くするんだけれど単品で食べていると気付かなかった違いや特徴が際立って感じられる。

単純に食べ比べって楽しいので何か気になる食べ物が合ったら食べ比べしてみるの凄くオススメ。
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にくてんのハマる場所

かたくなにイオンじゃなくてジャスコって呼ぶよね。
かたくなにイオンじゃなくてジャスコって呼ぶよね。
最後にきたのはショッピングセンター。こんな所にもあるのか、にくてん。
メジャーに囲まれたローカルが輝いて見える。
メジャーに囲まれたローカルが輝いて見える。
どこだろうと探してみると見つけたのはフードコートの中。それを見て、あぁ、これは良い。と思った。
フードコートと言えばフローズン。
フードコートと言えばフローズン。
マクドナルドやミスタードーナツと肩を並べてにくてん。

買い物の際に子供の面倒を任せられ、子供にはマクドナルドを与えておいて、大人はにくてん。
フロ(メロン)。こういう略称って面白い。家の近所のうどん屋のチクワ天ぶっかけうどんの略称は「チクB」
フロ(メロン)。こういう略称って面白い。家の近所のうどん屋のチクワ天ぶっかけうどんの略称は「チクB」
子供の頃はなんでわざわざここでお好み焼き的な物を…と思っていたが、今ならその選択が分かる。超同意する。お好み焼き屋的な存在こそフードコートだと言い切ろう。
この組み合わせをTHEフードコートと呼んで良い。
この組み合わせをTHEフードコートと呼んで良い。
フードコートで食べるにくてんは何故か懐かしい。地方に住んでいた人ならば分かるであろう、味、雰囲気。

日本各地地域差はあるけれど、場所に関わらぬ共通体験。趣味娯楽などが多様化しているが、日本人はフードコートで繋がれるのではないか。
外さぬ美味さ。
外さぬ美味さ。
食べてみてもやはり良い。にくてんはフードコートで輝く。あと、高速道路のサービスエリアでも有ると凄く嬉しい。そんな感じだ、にくてんは。

にくてんのお土産力の高さ

更にショッピングセンター内ににくてんを持ち帰り出来る店があったのでお持ち帰り。
家の近くに欲しい。
家の近くに欲しい。
こういう所って、一緒に買い物に付いて来れなくて昼飯食べそびれた弟とかに昼飯として買って帰ったよね。
お持ち帰りって食べたい気持ちを募らせるから、食べる時の喜びがひとしお。
お持ち帰りって食べたい気持ちを募らせるから、食べる時の喜びがひとしお。

にくてん、お手軽自作できるのでは

にくてんを持ち帰っている時に何かに似ていると思っていた事にやっと気がついた。
キャベツ焼きだ!
キャベツ焼きだ!
キャベツ焼きとは、にくてんとほぼ同じ手順で作られて、具材がキャベツと玉子のお好み焼きのようなものでそれがなんと130円。

大阪では何店舗も展開しているお店で、みんなカジュアルに歩きながら食べていたりする。どんだけお好み焼き好きなのか。香川県民でも歩きながらうどんは食べないだろう。
それがこれ。
それがこれ。
そのキャベツ焼き、見てみるとやっぱり凄く似ている。ほう、これは。と、一枚持って帰った。
見た目じゃ分からないレベル。
見た目じゃ分からないレベル。
並べてみてもやはり似ている。食べても生地の感じが似ている。違いはほぼ具、と言っても良いくらいの感じだ。

ちゅっーことは
これでにくてんに出来るのでは。
これでにくてんに出来るのでは。
コンビニでおでんを買ってきた。これを組み合わせればにくてんが出来るのでは、いつでも手軽ににくてんにが食べられる。
にくてん=キャベツ焼き+おでん説
にくてん=キャベツ焼き+おでん説
一軒目のにくてん屋のお母さんにおでんはおでんで別々に食べれば良いのでは、と言っておきながらのこの行動。

ちゃうねん、別に食べるんじゃなくて一緒になってるのがエエねん。というお母さんの言っていた事をにくてんを食べて自然と理解した。
あれっ、全然ダメだわ。
あれっ、全然ダメだわ。
よし、これでっ!と思って組み合わせてみたら、全然包めず一体感無し。

一緒に食べてみても上手く合わさっていない感じ。やはり一緒に焼く事でそれぞれの旨味が混ざり合うんだろうなという感じ。

やはり美味しいにくてん食べたい時は高砂市まで行くべきか…。と思わされた。

ちょっと具材変えただけのお好み焼きかな?と思いつつ行ってみたらば結構独特で美味しい食べ物だった。

最近は色んな所でご当地グルメなるものがあるけれど、作られた物ではなく、こういう何でか分からんけど昔から有るよ。みたいなものって素敵だ。また食べに行きたい。
複数の虫かご(中にちょっとだけ草入り)
複数の虫かご(中にちょっとだけ草入り)
謎の棒
謎の棒
帰る途中に道に迷って子供の秘密基地みたいな所に辿り着いて凄くテンション上がった。
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