特集 2011年12月16日

浮かれておくれよ浮かれ電飾

「これはすごい」と感心しきりの安藤さん。思わず「きれい」って言っちゃったぼく。
「これはすごい」と感心しきりの安藤さん。思わず「きれい」って言っちゃったぼく。
晩秋から気になることがあった。それは「今年はいつも通り浮かれるのだろうか?」ということだ。

まさに「未曾有」という言葉がぴったりくる2011年。「どうか、こんな時だからこそ浮かれていただきたい」と思った。こんな感情を、この電飾に感じる時が来るとは思わなかったよ。

毎年この時期に必ず行っている「浮かれ電飾鑑賞」。今年はひと味違うものになりそうです。
もっぱら工場とか団地とかジャンクションを愛でています。著書に「工場萌え」「団地の見究」「ジャンクション」など。(動画インタビュー

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> 個人サイト 住宅都市整理公団

気になるあの街へ、おっさん3人で、夜。

今年ほどこの名称を言いづらい年はない。「浮かれ電飾」。名称、っていってもぼくがそう呼んでいるだけなんだけど。

これはクリスマスシーズンになると一般家庭の自宅が派手に電飾される、あの現象のことだ。ポイントはあくまで一般の住宅という点だ。商業施設などの電飾は「浮かれ電飾」とは呼ばない。あれは浮かれているのではなく「浮かれさせ電飾」だ。ビジネスだ。
2010年のハイライト。西鎌倉は浮かれ電飾界の巨人であった。
2010年のハイライト。西鎌倉は浮かれ電飾界の巨人であった。
これまで毎年12月はこの浮かれ電飾の記事を書いてきた。
2004年
2005年
2006年
2007年
2008年
2009年
昨年はちょうど12月24日だったこともあり、浮かれ電飾を求めて夜のイブの街をめぐり、リアルタイムにその模様をお届けした。【→2010年・リアルタイム更新

というか、いまさらっと「ちょうど12月24日だったこともあり」って書いたけど、なにがどう「こともあり」なんだろう?
ラジオでも西鎌倉からお届けしました。この3人で。
ラジオでも西鎌倉からお届けしました。この3人で。
その様子はラジオでもお届けした。【→デイリーポータルZラジオ『イブの住宅街をゆく』】メンバーは安藤さん、工藤さん、そしてぼく、の3人。イブの夜に。

で、今年もこのおっさん3人で見に行ってみようではないか、ということになったのだ。

場所は、舞浜だ。ここにはディズニーランドのほかにも、浮かれ電飾で有名な住宅街があり、ぼくが一連の記事を書くきっかけになった浮かれ電飾約束の地でもある

そして、なにより今年こそ浮かれて欲しい街でもある。

ぼくにとってはこっち側こそテーマパーク

そう、舞浜は首都圏の中でも液状化被害が大きかった浦安にあるのだ。ぼくにも何人か浦安在住の友人がいて、たいへんつらそうな話をたくさん聞いた。

はたして浮かれ電飾の名所であるこの街は、今年はどんななのか?「ぜひとも浮かれて欲しいですよね」という3人の共通見解のもと、確かめに行った次第だ。
いわゆる華やかな方の舞浜からスタート。二人の表情もここでは笑顔だ。
いわゆる華やかな方の舞浜からスタート。二人の表情もここでは笑顔だ。
駅の反対側へ回る。とたんに雰囲気が日常のものに。
駅の反対側へ回る。とたんに雰囲気が日常のものに。
だいたい、照明の色が華やかサイドとは違うし。工藤さんの表情も違うし。
だいたい、照明の色が華やかサイドとは違うし。工藤さんの表情も違うし。
長い陸橋を越えた、この左の緑地帯の向こうが、例年ならたいそうな浮かれ具合なのだが…
長い陸橋を越えた、この左の緑地帯の向こうが、例年ならたいそうな浮かれ具合なのだが…
ぼくからすれば、こっち側こそエンターテイメントゾーンであり、ディズニーランドより遙かに足繁く通っている場所である。

しかし、初体験の二人にはなかなか新鮮な光景だったようだ。「まさかあの舞浜の裏がこんなになっているとはねえ」と。【このときのラジオは→こちら
これは例年のこの住宅街の様子。おみごと。しかし、今年はどうか…
これは例年のこの住宅街の様子。おみごと。しかし、今年はどうか…
上は例年の、ここの様子である。そうなのだ。こんななのだ。エレクトリカルパレードなのだ。

さて、今年は…
暗い…
暗い…
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がっかりしている自分を発見

やはり、今年はそんなことをやっている場合ではないし、そういうムードではないのか。
例年充実した浮かれっぷりを魅せてくれるこのお宅も、今年は…
例年充実した浮かれっぷりを魅せてくれるこのお宅も、今年は…
ああ…たしかこのお家だって本来ならば…
ああ…たしかこのお家だって本来ならば…
何がびっくりしたかというと、ショックを受けている自分に、だ。

「けなさず、褒めず」をモットーにしてきたぼく(とはいえ2007年にはなんと浮かれ電飾をやっているというご夫妻に招かれて、そのときはさすがに恐縮したけど)。「べつにこの世から浮かれ電飾が消えてしまってもかまわない」と公言してはばからなかったぼくが、今年のこの状況に悲しみを感じているのだ!これが衝撃でなくて何であろう。
「なんか、さびしいっすねー」
「なんか、さびしいっすねー」
なんだろう。ぼくは彼らに、ほんとうは浮かれてほしかったのだろうか?いやいや、そんなはずはない。いやでもしかし。いやいや…

「というか、どの家が毎年どんな風に浮かれてるか特定できてるってことにびっくりですよ」って言われた。

そうか。言われてみれば確かに。とするとぼくはいつのまにか愛着を感じ始めていたのかもしれない。いやいや、そんなはずはない。いやでもしかし。いやいや…
しまいには、こういう室内の電飾に歓声ををあげてしまった。
しまいには、こういう室内の電飾に歓声ををあげてしまった。
「あれもきっとそうですよね!」と安藤さん。なんか気を遣われてる?今こうやって見返すと、ただの熱帯魚好きの可能性も捨てきれない。こういう色だよね、水槽。
「あれもきっとそうですよね!」と安藤さん。なんか気を遣われてる?今こうやって見返すと、ただの熱帯魚好きの可能性も捨てきれない。こういう色だよね、水槽。
例年通りのスタンスで臨みたいぼく。こんなウェットな心情にはなりたくない。

そうだ。ぼくにはまだ切り札があった。

「あそこの家ならやってるはずです!行ってみましょう!」
そうして向かった本住宅街随一のお宅は、さすがの貫禄!しかし…
そうして向かった本住宅街随一のお宅は、さすがの貫禄!しかし…
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まだ浮かれ途上であると信じたい

初見のみなさんにはかなりの物件に見えるだろうが…
初見のみなさんにはかなりの物件に見えるだろうが…
本来であればここまで浮かれているのだ!(2009年の浮かれ)
本来であればここまで浮かれているのだ!(2009年の浮かれ)
しかし「おおー!」と安藤さん。複雑な心境。
しかし「おおー!」と安藤さん。複雑な心境。
ここの住宅街の中でも特に有名なお宅。ここのはほんとうに見事なのだ。これを見るためにぼくのように外から訪ねてくる方々がたくさんいる(毎年何台かこのお宅の前にクルマが停まってる) 。

ぼくの心の平穏を保つための「切り札」としてここへ向かってみた。「(あいつなら…やってくれるはず!)」

で、確かに浮かれてた。安藤さんと工藤さんも「おおー!」って驚いていた。

しかし、だ。ちがうんだ。ほんとうはこんなもんじゃないんだ。
アイドルの最盛期を知っている古参ファンが、にわかファンにいだく複雑な気持ちとはこういうものだろうか。

ぼくとしては、これはまだ浮かれの途中だと信じたい。イブまでには例年通りまで持って行くのだ、と。

それでも気を吐く舞浜の巨人たち

「あ!あそこ!」
「あ!あそこ!」
なんだか「せっかく二人が来てくれたんだから、最高の浮かれを見てもらいたい」と思って焦る自分がいた。なんでだ。住民気取りか。

舞浜の横綱が控えめながらもしっかりと浮かれていたことに、少ないながらも手応えを感じたぼくは、ほかの巨人たちに向かった。彼らもきっと今年なりにがんばっているに違いない。
あきらかにひとりがんばるお宅が!
あきらかにひとりがんばるお宅が!
やった!信じてたよ、ぼくは!
やった!信じてたよ、ぼくは!
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もういいいや、今年は素直に喜んでしまおうではないか。

もう、なんだか、ふつうに嬉しい。
もう、なんだか、ふつうに嬉しい。
工藤さんも、この笑顔。
工藤さんも、この笑顔。
「大山さん、いま『きれい』って言ってましたよ!」

認めよう。嬉しかった。ぼくは、嬉しかったのだ。

どうだ、この浮かれっぷり。見事だ。今年の浮かれは、値千金。昨年までの浮かれとは、その重みが違う。もういいや、今年は喜んでしまおう。

いま「浮かれの重み」とか意味分からないこと書いたが、それぐらい嬉しかったのだ。
ほかにも、派手さではいまひとつ、といつもは思っていたこのお宅が普段通りに浮かれていたのには、見た目以上の価値を感じた。あっぱれである。
ほかにも、派手さではいまひとつ、といつもは思っていたこのお宅が普段通りに浮かれていたのには、見た目以上の価値を感じた。あっぱれである。
ほかにも何カ所かがんばって浮かれているお宅があった。特に上の方などは、土嚢とおぼしきものを置きつつの浮かれ電飾。もうこれは素直にあっぱれと言いたい。
ここも例年通り!
ここも例年通り!
まさかこれ見てほっとするとは思わなかった。
まさかこれ見てほっとするとは思わなかった。
「すげー!」
「すげー!」
特にこのお宅は、例年通りの意欲的なカラーリングそのままで今年も攻めてきた。すばらしい。

紫を基調とし、オレンジ、黄色、そしてグリーンをも織り交ぜてくる浮かれっぷり。なんだかほっとする。

まさかこんなカラーリングに安堵することになるとは思わなかった。

浦安のがんばり、ここにきわまれり

ここもがんばって浮かれてた。「ふつうにいい感じじゃないですかー」
ここもがんばって浮かれてた。「ふつうにいい感じじゃないですかー」
(いや、ふつうかなー。いや、でも今年はいいか…)
(いや、ふつうかなー。いや、でも今年はいいか…)
いつもだったらどこもかしこも、って感じの浮かれ電飾住宅街だが、この夜確認できたのは4カ所ほどだった。上の写真の場所などは、隣り合った2軒が励まし合うように浮かれていた。

で、このとき奇跡が起きる!
なんと、花火が!
なんと、花火が!
ディズニーランドの浮かれ平常心はさすがだ
ディズニーランドの浮かれ平常心はさすがだ
そう、このときちょうどディズニーランドの花火の時間だったのだ。

浮かれ電飾を目の前にして、その向こうに大輪の花。浦安のがんばり、ここにきわまれり、という感じだ。

考えてみたら、こうやっていつも通りの平常心の浮かれを提供するディズニーランドもあっぱれだ。

平和なればこそのぼくのスタンスです

なんというか、「安心して浮かれられる世の中あってこそのぼくらですよね」という結論におちついた3人であった。

来年はどうか例年通り浮かれプレイを見せてほしい。そしたら、そのときは容赦しないんだから!

【告知】冬コミにも出ます!

夏に「コミケ」に出店する顛末を記事にしましたが(→『写真集を自分で作ってみたらたいへんだった』)、この冬のコミケにも同じように写真集作って乗り込みます!今度はジャンクションの写真集!
これ表紙。自分でもにやにやしちゃう納得の出来。
これ表紙。自分でもにやにやしちゃう納得の出来。
どんなものか、全ページの画像公開しています【→『ジャンクションの写真集『ジャンクションO』全ページ公開!』】。


ジャンキー(ジャンクション好きのこと)の方はぜひお越しください!2011年12月30日の【東地区 ヒ-30a】というところでお待ちしております!

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