特集 2011年12月6日

地元の人頼りの旅 in 京都

一つだけ強く願いながら渡ると叶うという橋。欲深な願いを一つにまとめて真剣な表情で渡った。
一つだけ強く願いながら渡ると叶うという橋。欲深な願いを一つにまとめて真剣な表情で渡った。
今年の初めに書いた記事「隣の駅を私は知らない」では、京成線八広駅周辺を舞台にして地元の人にお薦めの場所を聞いて周った。

ところが住宅街という事もあり派手な名所は少なく、さらに日曜日だった為せっかく教えてもらった所がやっていないというウッカリ企画に終わった。

今回は場所を変え、超メジャー観光スポットの京都に行き、同じように地元の人頼りの旅をしてみようと思う。
一体どんな所を紹介してくれるのだろうか。
東京葛飾生まれ。江戸っ子ぽいとよく言われますが、新潟と茨城のハーフです。
好物は酸っぱいもの全般とイクラ。ペットは犬2匹と睡魔。土日で40時間寝てしまったりするので日々の目標は「あまり寝過ぎない」

前の記事:じいちゃんマッチが誘う、優しいカレー屋さん

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人まかせの旅スタート

かつてご朱印帳が全部埋まるほど寺社仏閣めぐりが好きだった私は、毎年のようにガイドブックを片手に京都を観光していた。

しかし今回は何も目的を決めず、ガイドブックも持たない。地元の人の薦められるままに一日を過ごす事にしたのだ。
どこ行くか決めておまへんの?せっかく京都来はったのに?
どこ行くか決めておまへんの?せっかく京都来はったのに?
気合を入れ、4時半に起床し8時半には京都駅についた。会社に出社するよりもずいぶん早い到着だ。ノープランなのに。

一人目:ホテルのコンシェルジュに聞く

さっそく、荷物を置くために寄った宿泊先のコンシェルジュの女性に聞いてみることに。
今日私どこに行けばいいですかね?
「お姉さんのお薦めの所に行きたいんです」「うーん」
「お姉さんのお薦めの所に行きたいんです」「うーん」
じゃあこことここは?
じゃあこことここは?
最初は聞いた事があるような人気スポットを紹介しようとしてくれたお姉さん。しかし私が行きたいのはそういう所ではない。お姉さんお薦めの場所に行きたいのだ。

ちょっと悩んでから教えてくれたのは「出世稲荷」と「御金神社」という所。もしかして私の幸薄そうな顔を見て判断したのかもしれない。

コンパクトな出世稲荷神社

バス停「出世稲荷前」を降りてすぐにあった。
バス停「出世稲荷前」を降りてすぐにあった。
観光客ラッシュの秋の京都。バスの中はギュウギュウである。しかし「出世稲荷前」のバス停で降りたのは私と友人のみ。後ろの方に立っていたので出るのが一苦労であった。
両側に狐の像があるのだがおみくじで見えなくなっている
両側に狐の像があるのだがおみくじで見えなくなっている
賽銭箱の前の所にはたくさんの名刺が!
賽銭箱の前の所にはたくさんの名刺が!
私達が神社を見ている間に来た人は男性一人。非常に礼儀正しい感じでまじめに礼拝していた。この人なんとなく出世しそうだ。

私もちゃんとお参りしよう。
奮発していつもの10倍のお賽銭を用意
奮発していつもの10倍のお賽銭を用意
出世はピンと来ないので、「いい仕事できますように」
出世はピンと来ないので、「いい仕事できますように」
お参りをすませ、おみくじを引きに行く。そこには出世鈴という可愛らしい鈴が売られていた。でもなぜ2つの鈴がセットになっているのかと神社の方に聞いてみると「人という字を象っていて、神頼みだけじゃなくて自分も頑張るという意味もある」とのこと。金八先生の名言のようだ。
おみくじは吉。「日が天上に昇るような幸運」!
おみくじは吉。「日が天上に昇るような幸運」!
可愛い出世鈴。近くの民家の玄関にも飾られていた。
可愛い出世鈴。近くの民家の玄関にも飾られていた。
次にお薦めされた御金神社へも歩いて行けそうだ。視界に入る色づいた山の景色に癒されながら進んだ。

さっそく脱線

すると古民家の裏側に見えたネオンアートの文字
すると古民家の裏側に見えたネオンアートの文字
少し遠くに見えた古びた家の裏にARTの文字を見つけてしまった。ナニあれ、凄く気になる!ちょっと脱線して寄ってみよう。
民家だよなあ
民家だよなあ
たまたま隣の家から出てきたおばあちゃんに聞いてみる
たまたま隣の家から出てきたおばあちゃんに聞いてみる
表に回って覗いてみると、まさに古民家を利用したアートギャラリーのようだった。戸の作りや見た目が可愛らしくてぜひ入りたかったのだが残念ながら閉館時間。

と、引き返そうとした時隣の家からおばあちゃんが出てきて「電話して開けてもらう」と言う。
なぜかコーラまでいただきながら待つ。えーいいの?
なぜかコーラまでいただきながら待つ。えーいいの?
5分後くらいに事務所の方が駆けつけてきて、ネオンをつけてくれた
5分後くらいに事務所の方が駆けつけてきて、ネオンをつけてくれた
さまざまな色あいが楽しめるネオンアート。初めて。夜来たらもっと綺麗だろう
さまざまな色あいが楽しめるネオンアート。初めて。夜来たらもっと綺麗だろう
自分も負けじと光る
自分も負けじと光る
聞くと、これらはネオンアーティストで有名な安彦(あびこ)哲男さんという方の作品らしくこのスペースは今年の4月にオープンしたばかりとの事。

光り続けるものからボンヤリついたり消えたりする自由な現代アートと、やたらと落ち着く小ぶりな作りの民家の調和が新鮮で面白い。21時まで無料で見られるので二条城の近くに行った際はお薦めの場所。
あの看板に気づいたという人は1、2ヶ月前に来たハンガリー人以来だよ、と工藤さん。
あの看板に気づいたという人は1、2ヶ月前に来たハンガリー人以来だよ、と工藤さん。

2人目:ギャラリースタッフ工藤さんに聞く

本筋に戻り、その周辺のお薦めスポットと食事処を聞き、そこに向かう事にした。ちなみにコーラをくれた優しいおばあちゃんは、管理をしている会社社長のお母さんとの事だった。

小ぶりだけと綺麗な庭園、神泉苑

平安時代最古の庭園だそうです
平安時代最古の庭園だそうです
これが珍しかった!恵方社。その年の恵方に向かってお参りできるように回転するらしい。
これが珍しかった!恵方社。その年の恵方に向かってお参りできるように回転するらしい。
けして広くはないけれどとても綺麗な庭園だ
けして広くはないけれどとても綺麗な庭園だ
源義経と静御前が出会った場所といわれるこの神泉苑。珍しい恵方社が見れたのも嬉しかったのに、さらにこの朱色の橋、強く念じながら渡ると願い事が叶うと言われている。ただし願いは一つだけ。
「面白いことしながら健康で楽しくお金に困らず生きられますように」・・悪い例。
「面白いことしながら健康で楽しくお金に困らず生きられますように」・・悪い例。
ここは景色もよく歴史もあるのでまあまあ有名そうであったが他に三組くらいしかおらず、優雅な気分だった。
工藤さんお薦め喫茶「チロル」。
工藤さんお薦め喫茶「チロル」。
ヨーロッパ企画の「曲がれ!スプーン」の舞台だった。私はこの映画が好きだったので来れて嬉しい!
ヨーロッパ企画の「曲がれ!スプーン」の舞台だった。私はこの映画が好きだったので来れて嬉しい!
ボリューム満点!650円。会社の近くにあったら間違いなく通う。
ボリューム満点!650円。会社の近くにあったら間違いなく通う。
ちなみにドレッシング選び放題
ちなみにドレッシング選び放題
ちょうどお昼時間ということもあり、私達が入ってすぐに満杯になった。後で周りを見ているとカレーが人気の様子。私はサバの塩焼きを頼んだのだがこれがまた美味しいヘルシーリーズナブル。こりゃお薦めにあがるわあ。
オリジナルマッチをいただいた。
オリジナルマッチをいただいた。

龍馬にゆかりある武信稲荷神社へ

こちらも工藤さんお薦め
こちらも工藤さんお薦め
象やサイを彷彿とさせる樹齢850年の巨木が見ごたえあり
象やサイを彷彿とさせる樹齢850年の巨木が見ごたえあり

縁結びの神様への願い

さっきの神泉苑では義経と静御前が出会ったというが、こちらは坂本龍馬とおりょうゆかりの神社だそうだ。なんでも恋愛・縁結びの神様という。これは気合入れてお参りせねばとお賽銭をそっと投げ入れた。

・・でも変だ。お金が落ちた音がしないぞ。
願いが拒否されてる
願いが拒否されてる
なんと、願いを拒否するかのようにお賽銭が入らなかった。初めての経験だ。こんな事ってあるの?
別の角度
別の角度
あまり気にしないようにしよう・・。

10円玉をつまんで今度は確実に落としたあと、恋愛よりも金運だよね、ということで最初にホテルの人に聞いた御金神社に向かう事にした。
うわー・・いかにも!
うわー・・いかにも!
なんと派手な・・と遠目で見ているとタクシーや自転車で続々とやってくる参拝客。今日行った神社で間違いなく一番の盛況だ。まあ並ぶ程ではないけれど。

(後で調べて知ったが当サイトのコネタ城にも紹介されていた。)
お守り系が全部金色
お守り系が全部金色
鈴縄も金
鈴縄も金
大量にかかっている絵馬には大概「金」「LOTO」「宝くじ」といった文字が書かれている
大量にかかっている絵馬には大概「金」「LOTO」「宝くじ」といった文字が書かれている
これだけ多くの人が願っていたら自分が金持ちになる番はなかなか来ない気がする
これだけ多くの人が願っていたら自分が金持ちになる番はなかなか来ない気がする
慣れない派手さに圧倒されてしまったが、こういう何かに特化した神社というのは強烈に記憶に残るもの。ご利益の程はまだ分からないけど思い出に行ってみると面白いかも。

3人目:祇園出身の友人に聞く

これで今日紹介してもらった場所は一通り見た。次にどうしようと思った時に、祇園出身の友人に以前お薦めされたお団子やさんを思い出した。場所を聞き、祇園に向かった。
夜からしか開いていないようなので、気になっていた縁切り神社に寄った。詳しくは大塚さんの記事をどうぞ
夜からしか開いていないようなので、気になっていた縁切り神社に寄った。詳しくは大塚さんの記事をどうぞ
19時前に団子やさんへ。まだ準備中。待たせるねえ
19時前に団子やさんへ。まだ準備中。待たせるねえ
18時半~19時の間に開店というノンビリした団子やさん。お腹を空かせていったがまだ準備中という。

これは待ちきれないとどこか美味しいお店を探しにウロウロ。祇園の辺りはどこも高そうだな・・ あと、すごく寒い。

4人目:薬局の店員さんに聞く

カイロを買いに入ったついでに薬局屋さんに聞く。こちらの女性が凄く面白かった。イメージは女優の松井一代。
カイロを買いに入ったついでに薬局屋さんに聞く。こちらの女性が凄く面白かった。イメージは女優の松井一代。
食事処を探しながらも寒さに耐えられず入った薬局屋さん。

そこのお姉さんにお薦めの店を聞いたら、すかさず「下!ここの下のきたむらさん!もうね、ガイドとかに載っている様な所は高いでしょ。高いから美味しいって訳じゃないんだからね!しかも今日は観光客が酷く多いから高くてもどこも混んでるよ。下のきたむらさんは腕がいいしそんなに高くないから。やっぱり地元の人に聞くのが一番なのよー!」と私が今回のテーマで伝えようとした事を交えながら勢いよく話してくれた。
もちろん入店。薬局のお姉さんお薦めの炊き合わせ。こりゃ美味しいよね
もちろん入店。薬局のお姉さんお薦めの炊き合わせ。こりゃ美味しいよね
お店の人が時折笑顔で話しかけてくれる。薬局のお姉さんの事を話すと、彼女はこのあたりの名物だと言っていた。
お店の人が時折笑顔で話しかけてくれる。薬局のお姉さんの事を話すと、彼女はこのあたりの名物だと言っていた。
地元の常連らしきおじさん3人組が私達の隣に並び楽しそうにお酒を飲んでいた。忙しそうな大将に慣れた感じでちょっかいを出しながら。このお店、地元の人に好かれてるんだろうなという事が分かる。

私達もたった2杯でいい気分になった。しかしそろそろ団子屋に行かねば。ここまで待って売り切れてたら悲しい。
薬局のお姉さんに薦められたからには、とオリジナルの手ぬぐいとボールペンを帰りにくれた。
薬局のお姉さんに薦められたからには、とオリジナルの手ぬぐいとボールペンを帰りにくれた。
意外や可愛い
意外や可愛い
地上に上がり、薬局のお姉さんにお礼を言ったら今度はカイロをくれた
地上に上がり、薬局のお姉さんにお礼を言ったら今度はカイロをくれた
美味しかった旨を薬局のお姉さんに言うとホラね!といった感じの事をひとしきり喋り、カイロを1つずつくれた。さっき私たちが買ったカイロはセール品でしょ、こっちちょっといいやつだから、と。
カイロを貼り、団子や「みよしや」さんに約10分ほど並んだ。
カイロを貼り、団子や「みよしや」さんに約10分ほど並んだ。
みたらし団子そのままか、きなこ入りの二種類。タレが普通よりさらさらしていて甘み控えめ。
みたらし団子そのままか、きなこ入りの二種類。タレが普通よりさらさらしていて甘み控えめ。
これだけ並ぶ位だし有名なのだろう。しかし祇園出身の知人に聞いていなかったら、夜の数時間しか空いていないこのお店に出会える可能性は低かっただろう。

甘さ控えめのみたらし団子は今日の締めにちょうど良かった。気づけばもう21時。

お腹と背中に貼ったカイロがあったかくて気持ちよくて、ホテルについたら友人と2人でいつの間にか寝ていた。のんびり満足な旅だった。
お風呂に入らなきゃと思いつつ、睡眠欲に負けた二人
お風呂に入らなきゃと思いつつ、睡眠欲に負けた二人

風まかせより人まかせの旅がいい

この翌日はメジャースポットを周った。するとバスも道もお寺も食事処も混みこみで、あまり周れず、落ち着く事ができなかった。

一方、地元の人に聞いて周ったコースは、どこをお薦めされるのかというワクワク感から始まり、規模は小さいかもしれないけど何かしらの感動ポイントがあり良い思い出盛りだくさん。

メジャースポットもやっぱり抑えておきたいけど、旅行のうち1日くらいは地元の人に聞きながらブラブラするのがいいかもな、と思った。またどこかでやろう。
紹介しきれなかった一つ、パワーストーンのお店。店員さんがべつやくさんにちょっと似てた
紹介しきれなかった一つ、パワーストーンのお店。店員さんがべつやくさんにちょっと似てた
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