
千と千尋な銭湯世界
今回の銭湯フェスは銭湯好きのアートユニットなみまにさんかくさん主催の、1日で色んな銭湯を巡るというもの。
えっ、何それ楽しそう。色んなお風呂入りたい入りたーい。位の気持ちで参加したが、一軒目でガツンと心を持って行かれた。
何はともあれ、まずは写真で見ていただきましょう。
えっ、何それ楽しそう。色んなお風呂入りたい入りたーい。位の気持ちで参加したが、一軒目でガツンと心を持って行かれた。
何はともあれ、まずは写真で見ていただきましょう。


店構えで分かる雰囲気。


川沿いにすらりと伸びる煙突。

深田恭子のポスターが味わい深い。


こういう扇風機あるよね。どこに?って聞かれると無いけど。


洋服脱いで、さぁ入るぞって時にタイルがヒヤッとする感じが想像出来る入り口。

完全に日本にしか見えないヨーロッパ風のタイル絵と外国人の彫刻


モーツアルトみたいな髪型の鯉。


熱湯に強い鯉。

ここに来るまでは、どんなお風呂があるのかな。サウナ好きだからサウナが広いと良いな。とか思っていたが、店構えを見た瞬間、雰囲気に圧倒された。


ダカラ(DAKARA)が書いてあるので最低でも11年以内に書かれたハズなのにこの雰囲気よ。

どこを見ても感じる、懐かしい!見た事ないけど。という感情。これが郷愁、これが歴史か。


女は愛嬌


男は度胸

この感情は一体どこから来るのか、ここまで古い、雰囲気のある銭湯には来た事が無い。なのに懐かしい。遺伝子か、それともスタジオジブリの刷り込みか。


靴箱一つ取ってみても隙がない。

そう、まるで映画、千と千尋の舞台そのもののような銭湯。映画では良い雰囲気の所でもあぁ、良い雰囲気だね。でも、実際はないんでしょ?と受け流していた。
だがここには実際にあって、生きている。410円払えば誰でも入って、ひとっ風呂浴びられるのだ。その事実がまた力を持って迫ってくる。
ちょっとこれ、意識を改める必要があるかもしれないぞ。
だがここには実際にあって、生きている。410円払えば誰でも入って、ひとっ風呂浴びられるのだ。その事実がまた力を持って迫ってくる。
ちょっとこれ、意識を改める必要があるかもしれないぞ。

開店前なら夢叶う
あぁ凄い、いいな、いいなと見て写真を撮っていたが、写真を撮れるのは開店前に案内して貰っているから。という事は、こんな事も出来ちゃう。


へいらっしゃい。

漫画などでも定番のネタである男の夢、番台に座る。いとも簡単に達成する事が出来た。
番台の中は意外と広いのだけれど、スポッとはまる感じが心地よくて、なんだか何でも出来るような、何でも見える様な気がしてくる。
番台の中は意外と広いのだけれど、スポッとはまる感じが心地よくて、なんだか何でも出来るような、何でも見える様な気がしてくる。


他の参加者の方もやはり座る。

更にやはり、これもやっておかねばなるまい。


堂々と。

THE・女湯のぞき。何がTHEなのか分からないが、これがなんだか嬉しかった。もちろん開店前なので誰もいないし男湯と全く同じ。


女性の更衣室にだけこういう機械があるんだぜ。

「ここは昔墓地だった」って言われたらなんだか怖いような気がするけれど、「ここが女湯かぁ」思いながら見る浴室は誰もいなくてもとなんだか嬉しい。


あっ、これはやばい。まずい。

いやぁー、いいですねぇー。とか言っていたら「逆からも撮りましょうか?」と言ってくださったのでお願いしたのだけれど、その写真を見て愕然とした。超怖い。
凄い、怖い!なんでこの人ニヤニヤしてるの!!
今までのぞきについてはのぞく方視点からしか考えた事が無かったが(のぞいた事はありません)、こうやってのぞかれてる方視点で見ると凄く怖い。
あぁ、そうか、これはダメだわ。見られて恥ずかしいとかどうこうよりもこれは怖いわ。皆さんのぞきはやめましょう(のぞいた事はありません)。
と、十分に遊んで満足した後は風呂釜を見せていただける事に。
凄い、怖い!なんでこの人ニヤニヤしてるの!!
今までのぞきについてはのぞく方視点からしか考えた事が無かったが(のぞいた事はありません)、こうやってのぞかれてる方視点で見ると凄く怖い。
あぁ、そうか、これはダメだわ。見られて恥ずかしいとかどうこうよりもこれは怖いわ。皆さんのぞきはやめましょう(のぞいた事はありません)。
と、十分に遊んで満足した後は風呂釜を見せていただける事に。

いったん広告です
お湯は勝手には出てこない

この煙突の本体だ。

風呂釜、つまり煙突の根元。銭湯の象徴の煙突、その本体は一体どんな物なのか。

こんなの。

こっちですよ。と案内された薄暗い部屋は大きな鉄の塊から放たれる熱気と木の燃える香りが充満し、まるで工場の様。
先ほど見た表ののんびりとした雰囲気とは対極にある裏の姿。
先ほど見た表ののんびりとした雰囲気とは対極にある裏の姿。

銭湯のご主人

お話を伺うと、こちらでは薪でお湯を沸かしているらしい。薪!?
ひいおじいちゃんの家が薪で沸かすお風呂だったけれど凄く大変だった。それが、銭湯全部分!?
ひいおじいちゃんの家が薪で沸かすお風呂だったけれど凄く大変だった。それが、銭湯全部分!?

そういえば木がいっぱいあったな。

そう、ホントに全部分。初めに沸かすのに3時間くらいかかるし、1時間毎に薪を追加しなきゃいけないし、お客さんがお湯をいっぱい使ったらそれに合わせていっぱい沸かさなきゃいけないらしい。
あぁ、便利なことに慣れすぎて、その便利さは誰かが頑張って与えてくれている物だということに改めて気づかされた。
あぁ、便利なことに慣れすぎて、その便利さは誰かが頑張って与えてくれている物だということに改めて気づかされた。

京都の人は顔で繋ぐ
いやはや、凄いものだと感心しながら次の銭湯へ。

ロゴ可愛い。

少し歩くとまた先頭のマークが見えてきた。おっ、ここか、と写真を撮っていたら
「あっ、ここは違うんですよ。でもここもいいですよー。ご主人が下宿をやってて、下宿の男子学生が風呂掃除、女子学生が番台やってるんです」
と、主催のなみまにさんかくさつきさん。
「あっ、ここは違うんですよ。でもここもいいですよー。ご主人が下宿をやってて、下宿の男子学生が風呂掃除、女子学生が番台やってるんです」
と、主催のなみまにさんかくさつきさん。

学生さんがいっぱいの山城温泉さん

へぇー、それも面白そうだなぁ。と思いつつ、さっきのご主人に自宅にお風呂あるのか良かった。と思ったらば
さつきさん「あっ、おうちにはお風呂無いらしいですよ」
おぅっ、即答!?
さつきさん「大体、営業終わりでそのまま入る方が多くて、お休みの日は違うお風呂屋さんに行くみたいですね。」
お風呂屋さんのお風呂事情まで把握するその詳しさ。もしや、ご家族だったりするのだろうか。
さつきさん「いえいえ、全然そんな事はなくて、普通にお客さんとして通っててお話させていただいてって感じですね」
なんという体当たりっぷり。ということは、これから見学させていただく所も、企画を持ちかけたのではなく、お客さんとして仲良くなって?
さつきさん「あっ、おうちにはお風呂無いらしいですよ」
おぅっ、即答!?
さつきさん「大体、営業終わりでそのまま入る方が多くて、お休みの日は違うお風呂屋さんに行くみたいですね。」
お風呂屋さんのお風呂事情まで把握するその詳しさ。もしや、ご家族だったりするのだろうか。
さつきさん「いえいえ、全然そんな事はなくて、普通にお客さんとして通っててお話させていただいてって感じですね」
なんという体当たりっぷり。ということは、これから見学させていただく所も、企画を持ちかけたのではなく、お客さんとして仲良くなって?

銭湯好きアートユニットなみまにさんかくさん(左さつきさん右あいさん)と次の銭湯のご主人。

さつきさん「そうですね。京都で何かやろうとしたら何をやるかよりもまず誰がやるか。顔で繋がないと協力してもらえないですから」
話を聞けば聞くほどに深く広い顔のつながり、一体どのくらい銭湯に行っているのか・・・。
さつきさん「うーん、月に30回くらいですかね。ほとんど毎日だから、引越しする時、不動産屋さんにお風呂無くていいですって言ったら、風呂トイレ別…えっ、無し!?ってなってました」
なんという銭湯愛。これは、この後の銭湯さんへの期待も高まる。
話を聞けば聞くほどに深く広い顔のつながり、一体どのくらい銭湯に行っているのか・・・。
さつきさん「うーん、月に30回くらいですかね。ほとんど毎日だから、引越しする時、不動産屋さんにお風呂無くていいですって言ったら、風呂トイレ別…えっ、無し!?ってなってました」
なんという銭湯愛。これは、この後の銭湯さんへの期待も高まる。

いったん広告です
京都初のペンキ湯銭湯

マンションかと思ったら銭湯。おしゃれ。

次に到着したのは北野温泉さん。パッと見、銭湯に見えない建物。

京都初のペンキ絵銭湯らしい。

それが、京都初のペンキ絵銭湯らしい。初?さっきの絵が書いてたのに。と思ったらあれはタイル絵で、ペンキ絵はここが初。
しかも、なみまにさんかくのさつきさんと、一緒に案内してくれていた高木さん。そしてもう一人の知人が描いたものらしい。
しかも、なみまにさんかくのさつきさんと、一緒に案内してくれていた高木さん。そしてもう一人の知人が描いたものらしい。


で、その絵が飾ってある浴場がこちら。

スッキリとした壁面に強いインパクトを加えている。鴨川や大文字焼きなど京都らしさをふんだんに盛り込んだ絵。
写真のサイズ的に見づらいですが、これは現地で、お風呂に入りながら見てください。たぶんそうやって楽しむ物だから。
写真のサイズ的に見づらいですが、これは現地で、お風呂に入りながら見てください。たぶんそうやって楽しむ物だから。

男湯と女湯を繋ぐ禁断の扉。存在は知っていたが、こんなにあけっぴろげになってるなんて。

と、色々見て回っていたら、お昼にしましょうか。との声。お昼!

脱衣場でランチタイム

ご主人囲んでお昼ご飯(脱衣場で)

わっ、お昼ご飯だー。と向かったら、脱衣場に机とカレーが並べられていた。えっ、ここで!?そう、脱衣場でご主人囲んでランチタイムだ。
みんなでカレーを食べながら銭湯話に花が咲く。苦労話や人情話、色んな話が出るが、どうしてもこれが聞いてみたかった。
「のぞこうとする人とかいないんですか?」
さっき誰もいない浴場を見て、予想以上に簡単にのぞけるもんなんだなと思ったのだ。
みんなでカレーを食べながら銭湯話に花が咲く。苦労話や人情話、色んな話が出るが、どうしてもこれが聞いてみたかった。
「のぞこうとする人とかいないんですか?」
さっき誰もいない浴場を見て、予想以上に簡単にのぞけるもんなんだなと思ったのだ。

男湯と女湯をまたぐテレビ

ご主人「いやぁ、いませんよ。あっ、でも、中学生くらいの子がテレビのチャンネル変えるフリして妙な動きしてたことありまして『わかってんな?』って言ったら知らんフリしてどっか行ったりね」
あっ、やっぱりいるんだ。あるんだ、中学生。2011年も過ぎようというのに中学生はやっぱり中学生で、だからこそ中学生だよな。と思った。
あっ、やっぱりいるんだ。あるんだ、中学生。2011年も過ぎようというのに中学生はやっぱり中学生で、だからこそ中学生だよな。と思った。

最新の煙突からは煙は出ない
そんな話を経て、こちらでも風呂釜を見学に。

6月に入れ替えたばかりの最新型。メカメカしい。

これがまたさっきとは打って変わって小さくて熱くない。なのに沸かすスピードは断然早いという。しかも燃料がガスなので煙なども出ない。

煙の出ない煙突、お前は何突だ。熱を逃がしているのだとか。

スイッチ一つで稼動し、温度調整も自動。薪等の燃料と比べると手間が凄く少なくなったらしく、その時間をペンキ絵等、お客さんに喜んでもらえることに使おうと試行錯誤しているそうだ。

見学からの入湯

銭湯フェス入浴セットをいただいた。

同じお風呂屋さんでも全然違うんだなぁと思っていたらば、じゃあ、そろそろ入らせて頂きましょうか。という流れに。えっ、入っちゃっていいんですか!?

サービスショットでなくてすみません。

銭湯の裏側を見てからの入浴。アレで沸かしたお湯か…。とか思いつつ入ったけれども、
それ以上にさっき服を着て入った時よりも浴場が全体柔らかく、全く違う場所の様に感じた。入浴のリラックス効果か、なんなのか。
それ以上にさっき服を着て入った時よりも浴場が全体柔らかく、全く違う場所の様に感じた。入浴のリラックス効果か、なんなのか。

開店待ちのお客さんいっぱい。

気持ちよかったなぁと思いながら外でアイスを食べていると、ぞろぞろと人が集まってきている。開店待ちのお客さんのようだ。
銭湯ってこんなに楽しみにしている人がいっぱいいるんだ。
銭湯ってこんなに楽しみにしている人がいっぱいいるんだ。

いったん広告です
大開放風呂釜

11/26に咲いてる桜。

さてお散歩がてら先ほどの銭湯近くの秋に咲く桜という物を鑑賞してから最後の銭湯に向かった。

どーんと門前温泉。

こちらはもうすでに営業が始まっていたので店内の見学はなく、釜をバッチリと見せていただいた。

ふっ、風呂釜が、開いたっ。

ウチはね、薪と石油の両方なのよ。見る?と言いながらご主人が風呂釜の戸を開いた。
その瞬間色めきだつ銭湯ファン達。まさかっ、こんな物を拝めるとは!位の勢いで盛上がっている。
そ、そんなに凄い事なのか。ダム見に来たら放流しようか?って言われた位の感じだろうか。
その瞬間色めきだつ銭湯ファン達。まさかっ、こんな物を拝めるとは!位の勢いで盛上がっている。
そ、そんなに凄い事なのか。ダム見に来たら放流しようか?って言われた位の感じだろうか。

薪使用時

更にご主人は、じゃあ重油も見る?と言って何かのボタンを押した。するとシュゴッー!と音がした後急に火勢が強くなり、辺りの温度が一気に上がった。

重油ブースト発揮

それに伴いもちろん銭湯ファンのテンションもうなぎ登り。喜びに打ち震える。
何気なーく見せてくれるご主人と銭湯ファンの温度差が面白い。
何気なーく見せてくれるご主人と銭湯ファンの温度差が面白い。

水道メーターすっごい勢いで回ってないかな。と思って見せていただいたけれど。

ノロノロとしか回って無くて残念(主に地下水を使っているかららしい)。

ちなみに、重油と薪を併用しているのは、薪は安いけれど手間が掛かる、重油は簡単だけど費用が掛かる。そのバランスを取るためだそうだ。

銭湯凄いな
最後に向かったのは、銭湯を改修したというカフェ。これがまたお洒落だった。

えっ、ここっ!?ってなった。

軽い気持ちで参加した銭湯フェス、銭湯だけで1日もつのかなと思っていたが、とんでもない、むしろ時間が足りないくらいだった。

お風呂屋さん当時の内装のままらしい。この仕切り壁は男湯と女湯を仕切っていた物。

銭湯=広いお風呂くらいの認識だったのだけれど、今日で番台の人とやりとりし、建物や雰囲気を味わいながら広いお風呂につかる。というお風呂だけではない銭湯そのものの魅力が少し分かった気がする。

奥が高くなっているのは、下に浴槽があるから。

が、やはりどこのお家にもお風呂がある今は経営が厳しくなってきていたりするらしい。
良いよねー。と言いつつのほほんとしていたら無くなってしまうかも知れないこの文化(文化と言い切ります)もうちょっと積極的に楽しんでいこうと思う。
良いよねー。と言いつつのほほんとしていたら無くなってしまうかも知れないこの文化(文化と言い切ります)もうちょっと積極的に楽しんでいこうと思う。






御飯も美味しかった。豆腐とアボカドとトマトの丼、だったかな。



もちろん、スーパー銭湯でも同じ感じなのだけれど、チェーンの居酒屋も良いけれど、地元の定食屋や小料理屋もあって欲しいよね。という感じ。とりあえず、広いお風呂は気持ちいいよ!
