小さなわらの家を作ります
本物のサイズのわらの家を吹き飛ばすことはまず僕にはできないだろう。でも、小さなわらの家を工作して吹き飛ばしてみたらどうか。オオカミのすごさがわかるかもしれない。近所のホームセンターに材料を買いに行く。
子豚はどうやってわらを調達したのだろう。ホームセンターでバイトでもしていたのか
見つかったのは「わら縄」
数軒のホームセンターに電話して「わらありますよ」と言ってくれたのはここだけ。しかし現地に行ってみると、あったのはわらで縄を編んだ「わら縄」だった。
この時点でわらの家の作り方に関しては、全くのノープランだったので、とりあえずこれを買った。
ペットコーナーには「小鳥のワラ巣」という商品も売っていた。これも本物のわらの家だ
家が出来ない
買ってきたのはわら縄、竹ひご、ヒモ。ノープランながらも、竹のひごで骨組みを作り、そこにほどいたわらをヒモで括り付けて、家にしようというざっくりとした考えは湧いてきた。
家の中に入れると突然でかくなるタイプのわら縄だった(どおりで持って帰るのが重たいと思ったよ!)
それではさっそく作ってみましょう。
しかし、次の瞬間、僕は子豚のDIY能力にひれ伏すこととなる。
わらをほどいて…
ひご?
「わらをほどいてひごにヒモに括り付ける」という、この文章自体にみんな違和感はないと思う。僕も工作を文章で考えるタイプなので、自分が考えた文章通りに進めた。
ああ?なんだ?これ?
しかし、矛盾のない一つの文章通りにやっているのに、ぜんぜんどうしたらいいのかわからない。人間は文章でものごとを考えるわけで、その文章にそってやっているのに全く頭が働かない。
目前のぐちゃぐちゃになったわらと縄は、僕の頭の中そのものだ。
こんなこと考えてるからうまくいかない
そしてフリーズ
やりかたを変えるが出来ない
「オオカミはわらの家を吹き飛ばしてすごい」ということ以前に「子豚はサッとわらの家を作れてすごい」ということがわかってきた。あれは、素朴な話のように見せかけてずいぶん技術的に高度なことをやっていたんだなあ。
やってゆくうちに、当初の計画の中で「竹ひごにわらを括り付ける」部分がとくに難しい…ということが、ほんのりとわかってきた。もうこの案は捨てだ。
すこしズルだが画用紙で枠組みを作り、そこにほどいたわらを隙間な糊でつけて行くのはどうだろう。
これに大量のわらを貼付けて行けば…
うん、なんとなくの形が出来たところが一歩前進だと思う。ここにワラを貼って行く。
あらヤダ、全然貼れてないじゃないのっ!
ついおネエ言葉になってしまう衝撃である。なんだろう、これ。幼稚園でもなかなか見ないレベルのゴミだ。腋にびっしょりと汗をかいた。
こんなものを一時的にでも作った自分が恐い
わら縄という素材を生かして
思うに、わら縄をほどくという作業が良くない。わら縄はそれ自体で頑丈に出来ている。立体を作るのにこれは生かした方が良いはずだ。
その辺りを考慮に入れた図がこれ。
家というより、ログハウス風東屋って感じですが
縄同士をうまく平面的に束ねる方法は試行錯誤で
少し上手くいったりいかなかったり
…
僕は工作が苦手だ。不器用にも色々あると思うが、僕はたぶんバカだから不器用なんだと思う。一回は上手く束ねられた縛り方を、次の瞬間には忘れてしまっている。そうするとまた最初から試行錯誤の繰り返しになる。
暗い気分になってきたが、各種SNSに暗い愚痴を書き連ねることでなんとか作業のモチベーションを保った。あとで見たらその愚痴に「いいね!」や「お気に入り」がついていた。
それでもなんとか平面的にそろってきつつあるような…
お!ここまでそろえば…
ほぼ想像通りのものが…
できた!
公園でゲートボールやっている人がいなくて良かった
吹き飛ばす
わらの家が出来上がったのは夜だったので、次の日の朝早くに公園に来た。
ここまで長かった。やっと僕はこれからオオカミになれます。さっきまでは子豚以下だった。
「オオカミはわらの家を吹き飛ばし…」
あら。ぜんぜん吹き飛ばない。わら縄は、ぎっしりとわらが詰まっていてなかなか重たい。わらの家を作った子豚も大変なら、吹き飛ばす方のオオカミもやっぱり大変だった。ましてやそれが僕なら、なおさらである。
何本かわら縄を抜いて家を軽量化する
そしたら、いくらか動いた…
動いたんだが、とても「吹き飛んだ」というのは無理がある。しかしこれ以上軽量化すると、構造そのものが危ない(苦労して作ったので構造には愛着がある)。
小鳥の巣なら
そこで前ページ冒頭に出てきた「小鳥のワラ巣」である。あれを買ってきた。せめて小鳥の巣くらいはなんとかならないか。
もう一度言うが、これもわらの家である
鳥の巣なんだが、ハトは全然興味なさそう
行きます
ちょっとだけ吹き飛んだ!
あえて無機質にまとめましたが、吹き飛んだときは興奮しましたね
重要なのは吹き付ける角度
自分ではそこそこ「三匹の子豚」に近いことをやっていたつもりだったのだが、最後に表にまとめたらなんだかわからなくなってきた。
でも、一つだけわかったことがある。物を吹き飛ばすには息を吹きかける角度が重要だ。いくらか動いたわらの家も、吹き飛んだ小鳥の巣も、効率よく吹きかけられる角度は同じ。物体の上方にやや斜め上の方向で吹くと良い。