娯楽としてのシュレッダー復元
ザ・ぬか喜び
参加資格が「アメリカ在住の人」とは知らずに賞金5万ドルもらう気まんまん&シュレッダー復元やる気MANMAN!になってしまっていたので、参加できないっていわれても、気持ちがおさまらないボク。
そこで、とりあえず賞金のハナシは置いといて、純粋な娯楽として、パズル感覚でシュレッダーごみのサルベージをやってみようと思うのです。
こういうちまちました作業、好きですしね
さて、復元を行うにあたっては当然シュレッダーごみが必要になります。
当初は、デイリーポータルZ編集部にあるシュレッダーから出たごみを復元させてもらおうかなーとも思っていたんですけど、考えてみればシュレッダーごみと化した文書って、決して世に出してはいけないからこそシュレッダーにかけられているワケで……。
世の中、知らない方がいいことってありますよ
それに、ヘビーな文書が復元されちゃったとしたら受け止めきれないですしね。
……というワケで編集部の石川さんに頼んで、あたりさわりのない文書を新規に作成&シュレッダーしてもらうことに。内容も知らない方がパズル的には楽しいと思うので「こういう種類のを」というのだけ伝え、あとは自由に作ってもらいました。
内訳は下記の通り。
これらをシュレッダー&シャッフルした状態で渡してもらいます
さて、この文書をバラバラにするシュレッダーも用意しなきゃならないのですが……最近のシュレッダーってスゴイんですよ。
縦に横に、こんな細かく切れちゃうの
こ……コレはムリでしょ。ちょっとは復元する人の身になってくれよ!
こんなモンを復元してたらさすがにノイローゼになってしまいそうなので、昔ながらの縦一直線にしか切れないシュレッダーを買ってきました。
パズル難易度的にはコレで十分でしょう。
それでも……
A4の紙5枚をシュレッダーすると結構な量に
うわぁーっ、あふれかえるシュレッダーごみ
こ……コレを復元するのか
4ミリ幅に切れるシュレッダーなので、A4用紙の横幅210ミリ÷4ミリ=約52枚。これが5枚分ということで約260枚のシュレッダーごみ……。
ジグソーパズルだったら260ピースって大して難しくないけど、ジグソーと違ってほぼ同じ形をした細長い紙が260枚ですからね……コレを復元することはできるんでしょうか?
シュレッダーごみは顔が命
さて、いよいよこのシュレッダーごみを復元していくワケですけど、細かく切り刻まれている上にグッチャグチャに絡まってて、とてもここから復元できそうな気がしません。
この中には、文章×2種類、イラスト、写真、QRコードの計5枚分の紙が混ざっているのですが……。
これは文章ですね
イラスト……かな?
QRコード?
写真でしょうね、カラーだし
これらがシャッフルされたままの状態だと、さすがにどこから手をつければいいのやら見当もつかないので、とりあえず種類ごとに分けてみましょう。
約10分ほどかかって仕分けが終了。
まあ、わりと簡単に見分けることはできるので、慣れてくると熟練したカラーひよこ雌雄判別師のごとくズバズバ判別していけます。
しかしちょっと気になるのが……。
何も印刷されていない真っ白なパーツがやたら多いということ。
紙の全面に印刷できるわけではないので、端の方のパーツが真っ白になるのは予想していましたが、それにしても多すぎるような……。
ま、とりあえず細かいことは気にせずに復元作業を開始しましょうか。最初は、色もついてて復元しやすそうな「写真」から。
えーっと、コレとコレは色が似ているぞ。でもつながりそうにはないなぁ……
おっと、こちらはピッタリつながりそう!
それじゃテープで仮止めして……
確かに「写真」は色つきなので、パッと見で似た色のパーツなどは見つけやすいのですが、それがつながるかどうかはまた別のハナシ。
この調子でやってたら、一個一個総当たりで合わせてみるしかないわけで……。もうちょっと効率的に復元できる方法を考えないと、とてつもない時間がかかってしまいそうです。
そこで注目したのが“顔”が写り込んでいるパーツ。
細~く切られて、ほぼ模様としか判別できない写真の中でも、人の顔ってわりと見分けられるんですよ。
コレも顔ですね
で、顔が写り込んでいるパーツは数が限られてくるので、その中からつながりそうなものを選んでいけば比較的効率よく復元できるんじゃないかと。
……というかコレ、石川さんじゃないすか?
この人は随分と早い段階に発見していたのですが、コレにつながる顔半分が全く見つからなくて……
と思ったら、端っこに写り込んでる人だったんですね
このように、まずは人の顔をつなぎ合わせていって……。
つづいて、その間を補間するようなパーツを探していきます。
顔の他にも、手元など左右の位置関係が分かりやすいものに注目して探していくのがよさそうです
あとは、紙をのばして貼り付けていけば
ほい、完成!
ここまでの所要時間、約120分……。結構かかりましたな。
はじめ、なぜかA4の紙を横に使った写真なんだと思い込んで作業していたのが敗因です。
セロファンテープで止めただけなので、わりとガッタガタで汚くなってしまった写真ですが、完成させた充実感はかなりのもの。なんか、すごくいい写真に見えてきましたよ!
しかし、コレはただ単に石川さんが自分の楽しい旅行写真を見せつけたかっただけのセレクトなんじゃ……という気も。
ま、ホントに地味ではあるんですが、120分間わりと夢中になってやってしまいました。シュレッダー復元、パズルとしても楽しめそうですよ。
シュレッダー復元の裏技や!
さあ、つづいて「イラスト」の復元に挑戦!
このパーツには文字らしきものも見受けられます。……漫画?
う……うーん……
なんだかやたらとゴチャゴチャした模様(?)が多いんですけど、コレ、どーも見覚えがあるんですよね……。
あ、そうだ! @niftyのメールマガジン「
お楽しみマガジン」でボクが描かせてもらってる漫画だ!
毎週連載なのですが、バックナンバーを探して行けば元画像が見つかるハズです。
で、探し出したのが
2011年4月4日に配信された号。
おそらくコレが元画像なんだと思います。それにしても、随分と前のものを引っ張り出してきましたねぇ……。
……というわけで、ちょっとズルですが、完成形を見ながら作業することに。
一番分かりやすそうなので、このコマに注目して復元
やはり、パーツの位置関係が分かった上で作業するとメチャクチャ効率がいいです! チートってヤツですね、チート!(←あんまり意味分かってない)
大きな一枚の写真よりも、細かくコマで区切られた漫画の方がシュレッダー復元はしやすいような気がします
中段の2コマにポイントを合わせて復元していった結果、このような状態まで完成しました。
あとは左右のページを連結すれば……
ほい、完成! 所要時間は約50分。
やはり元画像がどんなものなのか分かっていると、かなり楽に作業が進められますね。
文章の復元は意外とサクサク
残るは「文章×2種類」と「QRコード」ですが……まあ、「文章」の方が簡単そうかな。
単純にこれまでの2倍の量
「QRコード」よりはマシとはいえ、2種類の文章が混ざっているため、なかなか手強そうではあります。ご丁寧に、2種類とも同じフォント、サイズになっているみたいですし。
まずはそれぞれの文章を分別したいのですが、何を手がかりにしたらいいのやら。
そこで注目したのがコレ。
細かく見ていくと、やたらと記号を多用しているパーツが目につくんですよ。
ほら、こんな感じで
一方、半分くらいのパーツは純粋に文字のみが使用されているようです。……とりあえず、その辺を手がかりにして分けてみましょうか。
記号があるものとないものとに分けてみました
なんとなく2種類には分けられたものの、それぞれどんな文章なのかが全く分からないため、ここから先どうしたらいいのか行き詰まってしまいました。
そんな時、記号ありグループの方で不思議な形をしたパーツを発見。
こういう特徴的な形をしたパーツだと、そこにつながるパーツも見つけやすいワケで……。
このくらいは集めることができました
しかし、なんだこの暗号のような文章。……もしかしてURLか?
さらに重要なヒントとなりそうなパーツを発見! これは……斉藤「充博」、高瀬「克子」って書いてあるのでは!?
そう、当サイト・デイリーポータルZのライターの名前ですね。
さらにこんなパーツも。「うっかり」……?
これらの手がかりを総合して考えると、隠された文章が浮かび上がってきましたよ。デイリーポータルZをいつも読んでくれている人ならもうお分かりでしょう!
こういうことでしょ!? そーでしょ!
コレは、デイリーポータルZのメールマガジン「
うっかりニフティ」をプリントアウトしたものなんじゃないかと思われます。
文字が細かいだけに難航しそうだった「文章」ですが、内容が予想できると、そこに対応する文字を順番に探し出せばいいだけなので、がぜんサクサク進むように。
そして、ここまで完成!
元の紙がA4サイズだと考えると、まだまだ足りないのですが……。
おそらく全ての文章がここで改行しちゃっているので、この先のパーツは真っ白になってると思います。
真っ白パーツがやたらと多かったのはここの分か……。
ま、文章はちゃんと読み取れる状態となったので、コレで完成ってことでいいかな。約50分で終了!
かなり苦労しそうだった「文章」ですが、内容が予想できるようになってからは、かなりサクッと復元させることができました。
あの名作文学が……
つづいて、残った記号ナシの「文章」です。
こちらはメルマガのように目印となる記号などがないのですが、ボクは発見してしまいました! かなり重大なヒントとなりそうなパーツを……。
コレはおそらく
吾輩は猫である
夏目漱石
って書いてあるんでしょ!? そうでしょ!
先ほどと同じく、やはり文章が予想できると簡単に復元していけます。とはいえ、タイトル部分はすぐに終わってしまいました。この先はどうやって探して行けば……。
いやいや、『吾輩は猫である』には超・有名な書き出しがあるじゃないですか「吾輩は猫である。名前はまだ無い」っていうヤツが!
「名前“はま”だ無い」だよね、きっと
パーツが徐々にそろってくると気持ちいいんだ
ほい、「名前はまだ無い」まで完成!
しかしこの先の文章は全く覚えていません。あとは地道に探して行くしかないか……?
コレは「ニャーニャー」かな? とか……
断片的につながるパーツは見つかったものの、まだ1/3くらいは手つかずです……どうしようか?
そこで、残りもそんなに多くはないので、とりあえず全てのパーツの一行目の文字を書き出してみることに。
この書き出した文字から作れそうな文章を予想していくことによって、若干作業がスピードアップするのでは……?
……というワケで、なんとなく意味がつながりそうな文字をくっつけていった結果
ほい、完成!
完成まで約60分。
やはり、わずかな手がかりからでも内容や言葉が予想できるため「文章」は意外と復元しやすいようです。
社外秘文章の処分、シュレッダーだけじゃ不十分かもしれませんよ!?
やはり最難関でした……
携帯電話などで読み込む、こんな感じの複雑な模様ですね。
ゴチャゴチャしている上に、位置関係も予想できない模様なので、かなり難しいパズルになるであろうことは容易に想像できますが……。
……
…………
う、ううーん……
い、いやあ……一応、1時間くらいがんばってはみたんですが、さすがにコレはムリ!
メチャクチャ時間をかけて、一個一個総当たりで合わせていくという方式を取れば完成させられないこともないとは思うのですが、全然楽しくなさそうだし、なによりこの記事の掲載が一ヶ月後とかになっちゃいそうなのでここでギブアップさせて下さいっ!
ということで、事前に石川さんからもらっていた「正解」を封筒から出しまして……
コレが正解のQRコード! 正解を見ながらやったとしてもムリな気がします
一応、どこにリンクされていたのか見てみましょうか
あ……ボクが書いた記事か……
ちょっとしたパズルとして十分楽しめます!
シュレッダーごみの復元をパズルとして楽しめないか? ということで試した企画だったのですが、わりと夢中になってやってしまいました。
特に、有名な文学作品などを素材にすると「この先の文章、どんなだったっけ……?」などと予想する楽しさもあってジグソーパズルなどとはまた違った遊び方ができるのではないかと。
実際にやるとしたら、元の文書は他の人に用意してもらった方が楽しいと思いますよ!