特集 2011年10月21日

八戸キャニオンはやっぱりすごかった!

でかすぎてもうなにがなんだか分からない!大きさ比較の限界!
でかすぎてもうなにがなんだか分からない!大きさ比較の限界!
「八戸キャニオン」をご存じだろうか。石灰石を掘り出す鉱山だ。

これがとてつもない鉱山なのだ!

いつか見に行きたい、と思っていたこの八戸キャニオン。このたび特別にご案内いただけることになった!生きててよかった!
もっぱら工場とか団地とかジャンクションを愛でています。著書に「工場萌え」「団地の見究」「ジャンクション」など。(動画インタビュー

前の記事:この駅での乗り換えが好き!なんでかわからないけど。

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"ドボク"好き、垂涎の地

まあ、なにはともあれそのすごいキャニオンっぷりをご覧いただこう。どーん!
うわーーーー!!!!【より大きな画像はこちら】
うわーーーー!!!!【より大きな画像はこちら
めまいがする…なにこのでかさ!【大きな画像はこちら】
めまいがする…なにこのでかさ!【大きな画像はこちら
ミニチュアのように見せる加工を施すこともなく、ミニチュアのよう。
ミニチュアのように見せる加工を施すこともなく、ミニチュアのよう。
航空写真で見ると、こんな。上の写真たちは、この敷地の北の端から見おろしたところ。(大きな地図で見る)
どうですかこのすごい風景は。人間が作ったものとは思えない大きさ。

ぼくらのあいだで「八戸」といったら「八戸キャニオン」っていうぐらい"ドボク"好きの間では伝説的な存在なのだ。なんだその歪んだ認識。

で、この「八戸キャニオン」という名前は通称で(地元の方がそう呼んで定着したものらしい)、正式名称は「八戸石灰鉱山」。住友鉱業株式会社が操業しているもの。コンクリートやセメントの材料、また製鉄の副材料としても使われる石灰石を掘っているのだ。

その大きさ、南北2km、東西1km。
なんとなく新宿西口を同縮尺で掘ったらこんなことに!でかい!
なんとなく新宿西口を同縮尺で掘ったらこんなことに!でかい!
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日本一低い!

そして一番のびっくりポイントは、最深部の海抜がマイナス160m(この原稿執筆現在。まだまだ掘ってます!)ということ。

160mだよ、160m!

このマイナス160mという数字は、人間が作った、空の見える場所としては日本一低い数字なのだ。



降りてみたいなあ…
わわわわ!
わわわわ!
おおおおお…!
おおおおお…!
うーわー!
うーわー!
!!!!!
!!!!!
どーーん!うひょー!【大きな画像はこちら】
どーーん!うひょー!【大きな画像はこちら
そうなのだ!今回、特別に一番下まで降ろしてもらったのだ!ありがとうありがとう!これでもう八戸に足を向けて眠ることができません!(北枕)。
360度パノラマ。【大きな画像はこちら】
360度パノラマ。【大きな画像はこちら
なんかね、この最深部にいるあいだ、ずっと笑ってたよ。人間って、ほんとに圧倒されたときって、笑っちゃうものなのねあはははははは。
あはははははははははは【大きな画像はこちら</a>】
あはははははははははは【大きな画像はこちら
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ただの浮かれたポーズじゃないんですほんとです
ただの浮かれたポーズじゃないんですほんとです

掘るってたいへん

興奮冷めやらぬぼくだが(こうやって記事書いているいまも、思い出して興奮している!)それでも、おや?と気がついたことがいくつかあった。まずは両側の石灰の壁の角度。この段々になっている壁は何度か決まっているんですか?

「70度ですね。石灰の壁が崩れない角度ということで、この数字になってます」
上から見たらすり鉢状に見えたけど、下から見上げると壁だ。
上から見たらすり鉢状に見えたけど、下から見上げると壁だ。
70度って、ほぼ壁だ。写真だと伝わりづらいが、上から見たときはすり鉢状に見えたものも、こうして下から見上げると壁だ。ちょう壁。

で、この角度に関してはもう一つ。上の写真で気がつくことはないだろうか。
斜めの筋が見える!
斜めの筋が見える!
そうなのだ。地層が斜めになっているのだ。中学校の理科かなにかで、隆起とか沈降とかで水平に堆積したものがこうやって曲がったり斜めになったりするとは習ったけど、こうやってダイナミックに目の当たりにすると感動する。体で覚える、とはこういうことか。いや、あんまり体使ってないけど。

「茶色に見えるのが粘土層ですね。ここでは、大まかにいって東から西(上の写真では左から右)に向かって45度で沈んでいます」
「ほほー!」
「あと気がつきませんか?東と西ではさっき言った壁の角度が違うんですよ」
「ええっ!」
ほんとだ!写真では分からないかもしれないけどほんとだ!
ほんとだ!写真では分からないかもしれないけどほんとだ!
展望台のところにもこの地層の斜めっぷりに関する説明があった。
展望台のところにもこの地層の斜めっぷりに関する説明があった。
説明の下には、その地層の再現が!なんだかキュート!
説明の下には、その地層の再現が!なんだかキュート!
これはすごく感動した。つまり、地層に沿っている左側は比較的崩れやすいので、角度が緩やかなのだ。

「刺さっている西側が70度なんですよ」

本ページ冒頭の写真はこの角度を体で表現したものなのだ。浮かれているわけではないのです本当です。

あと、この、地層が「刺さっている」という表現がかっこよかった。「地層が刺さる」。ぼくも使ってみたいけど使うシチュエーションがない。どこかに地層はねえかー。
「壁が段々になっているのは何か理由があるんですか?」
「これは万が一落石などがあった場合に途中で止まるように、ですね」
「なるほどー」
「1段で15mです。何段か数えると、上から何メートル下か分かりますよ」

いちに…と数えたら、最初にいたてっぺんからおよそ200mも下だということが分かった!200m!

「1m昇り降りするために必要な道のりはだいたい10mですから、ここまで降りてくるのに2km走ったことになりますね」
「ほー!ほあー!」

ずっと感心しっぱなしだった。
壁に見える縦の筋は壁を真っ直ぐなめらかにする(落石しないようになどの配慮)ための発破(火薬を仕掛けて爆発させること)の跡なんだそうだ!ただ掘ればいいってもんじゃないんだなー。たいへんだなー。
壁に見える縦の筋は壁を真っ直ぐなめらかにする(落石しないようになどの配慮)ための発破(火薬を仕掛けて爆発させること)の跡なんだそうだ!ただ掘ればいいってもんじゃないんだなー。たいへんだなー。
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原料と設備が一体ってすごいよね

前ページの壁の話を聞いていてふと気がついたのは、いわばここでは原料と設備が一体であるということだ。

石灰石を掘り出し、それを運ぶための道も石灰石でできていて、掘ることと整えることは切っても切り離せない。

そのことをさらに強烈に実感させられたのは、発破をかけ掘り出した石灰石を少し離れたプラントまで運ぶ仕組みを聞いたときだ。
100tトラックという、実物見ても数字聞いてもよくわからないでっかいトラックなどがいそがしく作業している。(「100tって何トン?」って感じ)
100tトラックという、実物見ても数字聞いてもよくわからないでっかいトラックなどがいそがしく作業している。(「100tって何トン?」って感じ)
そこに、なにやら穴がある!
そこに、なにやら穴がある!
なんとこの穴、「設備」なのだ!
なんとこの穴、「設備」なのだ!
なんと、地面に穴を開け、その下に横穴を接続してコンベアを配置。掘った石灰石を穴に落としていき、最終的にプラントまで運ぶという仕組みだったのだ。

「この穴は『立坑』といいます。いわば貯蔵庫、バッファですね」
斜面を這うようにいらっしゃるのが、ベルトコンベア。右上の先にプラントがある。
斜面を這うようにいらっしゃるのが、ベルトコンベア。右上の先にプラントがある。
いまもどんどん掘って広がり、かつ深くなり続けているこの八戸キャニオン。掘るということは「設備」の位置が変わるということだ。

「掘り進めるごとに壁の位置も変わり、立坑の位置もいずれ変わります」

これまでたくさんの工場や工事現場を見てきたぼくだが、鉱山って特殊だ。原料と現場が一体ってこういうことか。ふつう工場って原料は外からやってくるものだから、生産することで形が変わったりしないもんなあ。

で、「形が変わる」で極めつけはこれ!
なんと、この川も位置が変わるのだ!
なんと、この川も位置が変わるのだ!
最初のページの上から見た全体写真や航空写真を見ると分かるが、鉱山敷地のまわりを流れている川がある。あきらかに迂回させられている。

「かつては真ん中を流れていたんです。拡張するたびに位置を変えています」

すごい!こういう事情で、こういうふうに川の位置と形が変えられるってすごいな!ぼくが一番びっくりしたのは実はこの話だった。

コンクリートだって元生き物だぜ!

以前、ある人と建築の話をしていたときのこと。「コンクリートには生き物の暖かみがない。やっぱり木じゃないと」とその人が言ったとき、ぼくはかっとなった。あなたはコンクリートが何からできているのか知っているのか、と。まあ、言いたいことは分かるけど。
最深部へ向かう道の途中にある巨大な「0m」の文字。ここが海抜0mという意味だ。「この地点の地層で約2億年前だそうです」とのこと。
最深部へ向かう道の途中にある巨大な「0m」の文字。ここが海抜0mという意味だ。「この地点の地層で約2億年前だそうです」とのこと。
大昔のサンゴやフズリナ、ウミユリなどの生物が石灰石のもとのひとつだ。街中でビルを見ると、そこに山に埋まっていた2億年前の海の生物のことを思う。そういう想像をさせるよ、この八戸キャニオンは。

なんだかすごく良いこと言ってないか?ぼく。
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