心理テストって変
心理テストというと、質問に答えると「それは本当はあなたのこういう気持ちをあらわしているのです」と、まるでひっかけ問題みたいに言われるのがちょっと苦手だったりするのだが、質問自体が突拍子もないことがあっておもしろい。
「それがあなたの本当の友達の数です!」
暗い部屋にろうそくが
例えばこんなヤツだ。
Q. あなたは暗い部屋にいます。その部屋の真ん中にはろうそくが灯っています。何本灯っていますか?
心理テスト的にろうそくは人をあらわしているのだろうか。いや、そもそもなぜ電気がないのだろう。‥‥貧乏?
よくわからないが、現実的に部屋で明かりを灯すにはろうそくが何本ならイケるのか。何本の明かりが僕の好みなのか。
ろうそくなんて明かりとして使ったことないけどな‥‥
日常的にろうそくを使うことはないものの、非常時や想像もつかない時(まさに今)のために家のどこかにあるはずだ。探してみよう。
あ、あと、ろうそく立ては‥‥? 家ではそんなものは見たことがない。アルミホイルでとりあえず間に合わせのものを作っておく。
こうなった。そう、これがリアル。
ろうそくの足元にしわしわのアルミホイル。この造形自体が心理テストのようだがそういうわけではない。
これらがぱたっと倒れてマイハウス炎上みたいなことにならないように気をつけながらろうそくに火を灯す。
自室でろうそく6本に同時に火をつけて、火災報知機とか大丈夫のなのだろうか
右利きの人は左奥から着火していかないと手が熱い(これは悪い例)
戴帽式か黒ミサか
火をつける順番を間違えたために軽く腕を炙るりつつ用意は完了。最後に蛍光灯をOFFにして、いよいよ心理テストの状況が完成だ。
厳かな気持ちになった
暗闇の中にゆらゆらと揺れる火が部屋の雰囲気を荘厳にする。その崇高な光はナースの戴帽式のようだ。私、立派なナースになります!(ならない)
とはいえ部屋の明かりにろうそく6本は多すぎる気もする。数を減らしてみよう。1本残して火を吹き消す。
一転、黒ミサ
影がぐっと濃くなり邪悪な雰囲気に包まれた。これはこれでかっこいい。
部屋の真中に置く限り、明るさ自体は1本だろうが6本だろうがあまり違わないようだ。
6本だと祝福するかのようなやわらかい光になるのに対して、1本だと光源が1点に集中するために影がビシっと決まる。かっこよさなら後者だろうか。
Q. あなたは暗い部屋にいます。その部屋の真ん中にはろうそくが灯っています。何本灯っていますか?
A. 1本(影がかっこいいので)
「1本‥‥ですかね」
なお、ここで断っておくと、問題はいい加減なのでどういう意味の心理テストなのかはこの際置いておいてもらいたい。
自分で塀を建てるのか
続いてよくあるのが家に関するこんな問題。
Q. あなたは3軒並んだ家の真ん中に住んでいます。そこで、あなたは間に塀を建てようと思いますが、何メートルの高さにしますか?
イラストまで描かれると、答えざるを得ない
どのくらいの高さの塀を立てますか?
たぶん他人との心の壁を象徴的に表しているのが塀なのだろう。窓の数が社交性などというのも聞いたことがある。
しかし、ふつう3件並んで家が建ってたら、塀なんていつの間にか挟まっているものだろう。高さにしても、プロに頼んだら適当な高さで作ってくれそうなものである。
と、ついつい考えてしまうのだが、いや、違う。高さをどうするか聞かれているわけだから、ちゃんと高さを考えよう。
リアルな高さを考える‥考える‥
これは154cmだな
こっちは159cm
近所の塀のリアルな高さを測ってみるとおおよそ160cm弱だった。高すぎると日光が当たらなくなる等のデメリットも増えてくると思われる。
また法律を調べてみると、コンクリート塀は2.2メートルの高さまでと決められているそうだ。ふざけて「塀は10メートル!」とかいうと大変なことになる。
つまりこの心理テストの答えは、1.5m~2mくらいにしておくのが自然主義派のあなた(と私)にとって正解だ。
Q. あなたは3軒並んだ家の真ん中に住んでいます。そこで、あなたは間に塀を建てようと思いますが、何メートルの高さにしますか?
A. 1.5~2m
これくらいですかねー
そして、よくあるパターン、森
よくあるパターンで、「あなたは森にいます」というのもある。いや、ぼくがいるのは森じゃなくて居酒屋だ。
「次は、あなたが森を歩いていると‥」
例えばこういうのがある。
Q. あなたは暗い森を歩いています。すると、向こうから誰かがやってくるのが見えます。それは、誰ですか?
一体、誰なのだろうか。そしてどこの森で。そもそも僕はどうして森を歩いているのだろうか。
「あなたが森を歩いていると‥」
森へ‥‥
というわけで、実際に鬱蒼とした木々に囲まれてみた。
囲まれてみた
と言っても、もちろん心理テストが軽々しく宣うようにこの場所へワープしてきたわけではない。家からはちゃんと交通機関を利用してきた。
逆に言うと、心理テストは以下の行程を省いているということだ。
ネットでよさそうな場所をチェックする
見たいテレビを録画予約して出かける
夜ご飯のことを考えながら電車を待つ
将来を考え、暗くなりながら電車に乗る
でかい鳥居をくぐる
お金を払う
で、ようやく到着する
「あなたは暗い森にいます」というワンフレーズの裏にはこれだけの行程が隠れていたのだ。料理番組ではじめから材料が全部食べやすい大きさに切ってあるのと同じトリックだ。
ちなみにこの場所は明治神宮にある明治神宮御苑。より深い森を求めて山の方へ向かうか迷ったが、山は素人なのでこちらにした。本当は森というか林なのだが大きな違いもあるまい。
東京都内の人、あなたがいる可能性が最も高い「暗い森」は明治神宮御苑だということを覚えておいてほしい。
暗い森で出会った人は?
実のところ、神宮御苑は「暗い森」というには全体的にやや明るい。イメージに適した場所を少し探してみる必要があった。木々がもっさり生えて暗く、人気のなさそうな場所を探してみることにする
順路に逆らって進んでみる
奥の方へ
御苑はまあまあ広いが歩ける道は限られているので、適当な場所を見つけるに時間はかからなかった。
いい木の欠片があったのでそこに腰掛けて誰か来るのを待つ‥‥が誰も来ない。
場所はいいのだが、誰も来ない
誰とも出会わないと心理テストに答えられないので、場所を移動しようとしたところ、ふつうにカップルとすれ違ってしまった。あっけないものだ。
カップルか夫婦ばっかりだった
ここはカップルの巣か
このカップルに対して「あなた誰ですか?」と尋ねるわけにもいかないので、この心理テストの答えは漠然とした形でこういうことになる。
Q. あなたは暗い森を歩いています。すると、向こうから誰かがやってくるのが見えます。それは、誰ですか?
A. カップル、夫婦
まあ知り合いがいたりするはずもない
心理テスト「暗い森」編を極める
設定に「暗い森」が出てくる心理テストはたくさん種類がある。それぞれの質問に備えて、チェックしておこう。
泉に映る顔
Q. あなたは暗い森を歩いていると、泉がありました。そして水面に映る顔を覗き込みます。しかし、顔の一部が見えません。どこが見えない?
泉ではないが池があった
鯉がビチビチ泳いでいた
明治神宮御苑の敷地内には池があった。覗き込んでみると、毎日ここで誰かエサをやっているのだろう、鯉が寄ってくる。もちろん、水面に自分の顔が映ったりはしない。
A. 全然見えない(鯉が泳いでいるから)
森のきのこ
Q. あなたは暗い森を歩いていると、きのこが生えていました。どのような色や形をしていますか?
これはイラスト問題だろうか。きのこか花か、そういった自然のモノを描かせるタイプもありそうだ。
しめじみたいなヤツと
ヒダが飛び出たヤツがありました
立て札にも注意
Q. あなたは暗い森を歩いています。すると、奥のほうに立て札があります。何と書いてありますか?
暗い森の中で注意を即す、あるいは何か情報を与えてくれる立て札。心理テスト的に考えても何かメッセージ性がありそうだ。
奥のほうにトイレを発見
ありがちな立て札
ありがちな立て札だったが、綺麗に手入れされていた。つい記念写真風の写真を撮ってしまった。
A. 「お手洗い」、「通行禁止」
飛び出てきた動物は?
Q. あなたは暗い森を歩いています。すると、目の前に動物があらわれました。一体どんな動物?
最もありがちな「森+動物」のパターンだが、これが今回のリアルな答えだ。
注意書きに気を取られるけど、ペットボトルの横に、いる。
A. ハチ
うさぎとかクマとかリスとか答えたくなってしまうが、森には虫がブンブン飛んでいるのを忘れがちだ。
素直に答えるとややこしくなる
森の中で心理テストをやると、ただの質問のようになってしまうことに気づく。なのに心理テスト的に答えを分析するのは難解になりそうだ。
「森を抜けてはじめに見えた建物は?」と聞かれて「明治神宮本殿!」と答える人の心理は一体どんな風に分析されるだろうか。そして答えを聞いた出題者の心理はいかに。