わくわくワニ肉
アマゾンでワニは100グラム540円だった。
「ボンレス」というハムみたいな表記
食材としては少々割高な気もする。しかし「アマゾン」で「ワニ」という言葉が僕の中に響いてしまっている。大した問題ではない。
私なりにジャングル
「アマゾン」で「ワニ」は少年の夢なのだ。夢が…叶う…形としてはだじゃれなのだが…いや、それでも!僕はワニ肉をカートに入れた。マラリア熱に浮かされたようなたかぶりの中だった…と言ったら言い過ぎだろうか。
ラクダも買った
このアマゾンに出品している「ぶっちゃー」というお店、他にも色々と珍しい肉を小さいロットで販売してくれている。ウサギやらトッケイヤモリやらが並ぶ中で、僕が気になったのは「ラクダ」である。
これは肉らしい肉、という見た目
ウサギやトカゲを食べる文化というのは聞いたことがあるが、(ウサギといえばフランス料理だし、トカゲなんていかにもタイあたりのアジアの屋台で売っていそうだ)ラクダというのは聞いたことがない。
「アマゾン」と「ラクダ」という言葉は何の脈絡もないが、これはこれで逆に響いて来るものがある。値段は100グラム340円。スーパーでたまに買うコンビーフのカンヅメとほどんど同じ値段だ。近いんだか遠いんだか全然わからない。
アマゾンのブッチャーからワニとラクダが来た
なんの滞りもなく品物は届いた。
出品者の評価☆☆☆☆☆(非常に良い)
改めて見るとこの「ぶっちゃー」って店名もそのまんますぎるな
これが少年の夢か…
「アマゾン」「ぶっちゃー」「ワニ」「ラクダ」言葉のややこしさが、この梱包のシンプルさを浮き彫りにする。まじまじとクール宅急便の箱を見つめてしまった。
わがままな話だが、僕はここで少し落胆したんだと思う。アマゾンなんだから…ワニなんだから…単に通販するにしてもなにかしかの困難が少しでもあれば…。
しかしどの程度の困難が欲しいのか自分でもわからない
焼きラクダ
今日の晩ご飯はワニとラクダ
素材そのものの味を確かめてみるべく、フライパンで炒めて、軽く塩を振るだけにした。
ワニは無臭だが、ラクダからは獣らしい臭いが漂ってくる。今までかいだことのない臭いだ。これ、冒険の臭いと考えることもできないだろうか。
一人で食べるのもなんなので、妹も呼んでみよう。「ワニ」「ラクダ」の件は伏せておいて「たまにはうちで晩ご飯でも喰わないか」と兄貴らしい誘い方をした。
妹は「寒いから温かいスープが飲みたい」と返信してきた。発想が平和で笑える。僕の部屋は冒険の匂い(ラクダ)でプンプンしているというのに。
呼んだら偶然同じような服を着ていた。血だな
こうしてみると全く面白みのない献立だが
ワニである
ラクダである
妹に今日の献立が「ワニ」「ラクダ」であることを告げると、黙って少し落胆の様子を見せた。しかし一応食べてはみたいそうである。よかった。
そういえば、この辺の騙し討ちと罪悪感のバランスは、小さい頃から何度も繰り返しているな。
いただきます
うまい
ワニは見た目も味も鶏肉そっくりだ。食感はすこし弾力があって、胸肉と砂肝の中間のような感じ。川にいる動物なので泥臭さを覚悟していたが、一切なかった。ご飯が進む。
こんなニワトリがいたら、それはワニなのです
ラクダはかなり脂っこい。牛肉に近い味がするが、そこに例の冒険っぽい匂いが加わる。といっても、いやな感じではなくて、風味として楽しい。
なんでラクダの肉の説明にいもしない大蛇が出てきてしまったんだろう
塩だけの味付けだったが、両者ともおいしかった。エスニック料理店でこういう食べ物が串焼きにでもなっていたら、面白がって僕はたくさん食べると思う。
「念のために聞くけれど、この豚汁は『豚』なんだよね…」と聞いてから豚汁に箸をつける妹
妹は「ラクダは牛肉よりも少し安くて、ワニはトリモモと同じくらいの値段なら、食事のローテーションに入れても良い」と言っていた。なるほど、うまいことを言うなこいつ。
会話
ワニ肉もラクダ肉も意外とうまいね。こんな珍しい食べ物が簡単に通販できてしまってすごいよね。それから「アマゾン」っていうサイトの名称もよく考えたらヘンテコでおもしろいよね…
そんな話を妹としながら食事を終えた。最後にどれが一番うまかった?と聞いたら「豚汁」と言っていた。豚か…。人にご飯を作って期待通りの感想を貰うのは難しいな、と思った。
この後なんとなく「ビッグダディ」という大家族物を観た