特集 2011年9月21日

酔えば酔うほど楽しいスポーツ・ビアポン!

片づけ忘れたテーブルでふざけてるわけじゃありません。
片づけ忘れたテーブルでふざけてるわけじゃありません。
世の中にはまだまだ知られてない変わったスポーツがある。最近でこそメジャーになったカーリングも最初聞いた時には「なんじゃそれ?」と皆思ったはず。他にも「世界的にはまだ無名だが、ある国では楽しまれてるスポーツ」てのはけっこうある。そして突然オリンピック競技なんかに決まって知ることになったり。

今回自分が出会ったビアポンもまた、そういうスポーツのはず。「え、スポーツ?」という声が聞こえてきそうですが、いや、スポーツなのですよ!え、酔ってないすよ?酔ってないんだからあああ!
1972年佐賀県生まれのオトナ向け仕事多数のフリーライター。世間の埋もれた在野武将的スゴ玉の話を聞くのが大好き。何事もほどほどに浅く広く、がモットー。

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あなたも出れる!ビアポン世界大会

自分がビアポンという「スポーツらしきもの」の存在を知ったのは、この映画を見てからだ。
日本でもテレビで一時期盛り上がった大食い競争、あれも元を辿ればアメリカだったりする。それにも似た「やってる事はバカなんだけどスポーツとして整備化」「よくわからないハイテンション感」「酒飲めるし遊べるし細かい事はどうでもいいじゃないですか感」。ああ、こっちの方のアメリカ大好き!

でもこういうのって日本でやってる人いるのかなあ。セパタクローとかカバティやってる人もいるくらいだから、探せばいるのかな、と検索してみたら
「日本ビアポン協会」まで立ち上がってた。
日本ビアポン協会」まで立ち上がってた。
まさか、一般的に知られてないレベルで実は地下的に盛り上がってるのだろうか、ビアポン。来年くらいには「カーリング娘」みたいな感じで「ビアポン娘」がブレイクしたりするのだろうか。本橋麻里さんみたいな感じだといいよね、とかどうでもいい!

さっそくコンタクトを取り、指導していただける事になった。ビアポンとは何か、日本における実態とは!
取材場所に指定されたアイリッシュパブ ザ・モリガンズ。
取材場所に指定されたアイリッシュパブ ザ・モリガンズ。
ちゃんと専用テーブルがある!
ちゃんと専用テーブルがある!
副会長の北村さん、理事長の伊東さん。幹部自ら!
副会長の北村さん、理事長の伊東さん。幹部自ら!
アイリッシュパブに協会幹部ふたり。いただいた名刺を見ると、2年連続で世界大会参加だって!スゲエ!でもよく見ると‥。
いただいた協会の名刺、名前の下には‥。
いただいた協会の名刺、名前の下には‥。
ほぼ最下位クラスじゃないすか。
ほぼ最下位クラスじゃないすか。
まあ、「参加することに意義がある」とはオリンピックでも言われる言葉ですが‥。実際のところはお二人曰く

「一応日本予選もあって、優勝者は世界大会に公式に招待されるんですけど、実際はお金さえ出せば誰でも世界大会出れるんですよ。だから行った人は全員『日本代表』みたいな(笑)」

ゆるい!「協会のふたりは好きなんだけど、かなりヘタなんで。わははは」正月の忙しい時期にラスベガスで開催されるビアポン世界大会、たしかに好きじゃないとまあ行けない。ゆるいけど男だ!
世界大会のタペストリー。国旗には日本の日の丸も。
世界大会のタペストリー。国旗には日本の日の丸も。
日本ビアポンシーンのゆるい真実を知ったところで、ではさっそくゲームそのものを学ばせていただきたい!お店の奥には‥ありました、ビアポンテーブル。幅が小ぶりで奥行きがある卓球台という感じか。
意外と全長があるビアポンテーブル。もちろん公式テーブルです。
意外と全長があるビアポンテーブル。もちろん公式テーブルです。
NBA的なロゴ。スポーツですから!(デザインをパクるのはスポーツマン的にいいのか、はさておき)
NBA的なロゴ。スポーツですから!(デザインをパクるのはスポーツマン的にいいのか、はさておき)
並べられたカップ、どこかボーリングぽくも見える。
並べられたカップ、どこかボーリングぽくも見える。
本場アメリカでは1950年代には原型があったと言われれており、既に60年近くの歴史を持つというビアポン。アメリカでは「皆がやるというほどではないが、皆競技の存在は知っている」程度の知名度はあるのだとか。ザ・モリガンズでも近所に上智大学があるのもあって、帰国子女が「これ知ってる!」的な感じでやる人も多いそう。

なるほどなあ。予想以上の知名度、これは近年中に日本でブームが巻き起こってもおかしくない!ということで先取りして覚えておきたい。旅費さえあれば世界大会も出れるし!
飲んで鍛えるのはトレーニング‥とは関係ないです。
飲んで鍛えるのはトレーニング‥とは関係ないです。
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バラエティ番組ぽいけど緻密なルール

実際プレイする前に協会のおふたりにビアポンのルールについて教えていただいた。

「まずビアポンは2対2のダブルスで行われます。そしてボーリングのピンみたいな感じでカップが並べられて、本来はこの中にビールを入れて、2球ずつ交代で投げ合います。それで自分の陣地のコップに球を入れられたら、入ったコップのビールを飲まなきゃいけない」
テーブルの両端に2対2で別れ、相手のカップに向けてシュート!
テーブルの両端に2対2で別れ、相手のカップに向けてシュート!
ちなみにカップも球も「公式サイズ」があります。
ちなみにカップも球も「公式サイズ」があります。
日本ではカップの中にはビールではなく水を入れます。それは‥。
日本ではカップの中にはビールではなく水を入れます。それは‥。
「やっぱり衛生的な問題があるので、日本ではコップにビールじゃなくて水を入れて、負けたら脇に別に並べたビールを飲む、ってやり方にしてます。一応『ウォッシュカップ』って洗う用のカップもあるんですけど、それでも球は汚いんで(笑)」

確かに!アルコール的にもボール的に胃腸の強さが大事そうだ‥。しかし試合進むにつれどんどん飲んでくわけですよね?アルコール弱い人は不利だよなあ、そんな人はやらないだろうけど。

「いちおう飲酒は強制しないことになってるんですよ。アメリカだと対戦相手が飲むこともあるし、応援してる人が飲むこともあるし。あとカップに入る前から飲みながらプレイする人もいるし。『そういう文化がある』とい楽しみ方ですよね」

なるほど、ビール飲んだ方が「ビアポンという文化」は理解出来るけど、ないならないで楽しめると。酔った方がよく入る、なんて『酔拳』みたいな事は現実にはないだろうしな‥。
ということで、ビアポンテーブル脇に並べられたビール。
ということで、ビアポンテーブル脇に並べられたビール。
負けたらビール飲まされるのかあ。ヤだなあ。ウソだけど。はははは。とビール好きにとっては嬉しいやら早く負けたいやら。そして投げ方についてですが、これも基本的にはなんでもあり。
直接狙うでも、ワンバウンドでも。
直接狙うでも、ワンバウンドでも。
ただ、やってみるとこの難しさに気づくわけですが‥。その辺りはのちほど。

まあこのピンポン球を狙って投げるところだけ見れば、ダーツやボーリングにも近いものがあるわけですが、特徴的なのが狙われる側=防御側のターン。「ディストラクション」と呼ばれる攻撃側に対する邪魔は、自分の陣地内で声や動きでやる分なら何やってもいいのです。
「ピッチャービビってる!ヘイヘイヘイ!」とかが推奨される世界。
「ピッチャービビってる!ヘイヘイヘイ!」とかが推奨される世界。
「物理的に球を弾いたりしちゃダメ(カップに一回当たった球はOK)ですが、相手が投げるタイミングを大声で崩したり、ヤジ飛ばしたりするのはOKです。アメリカだと周りのギャラリーや応援団がすごい罵り方してくるから、かなり集中力削がれますね」

あとセクシー系の集中力落とす技を使ってくるチームもいるとか‥。うーむ、世界大会見てみたいな‥。
それ以外にも細かいルールありますが、今回は省略。
それ以外にも細かいルールありますが、今回は省略。
よし、ルールはだいたいわかった!球投げて負けたら罰ゲームでビール飲むってことでしょ?というとバラエティ番組みたいですが。ワサビ入りシュークリームかビールの違いか、ともいえる。ではレッツプレイ!
しかし、いざやると奥深さが見えてきた!
しかし、いざやると奥深さが見えてきた!
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作り込まれたゲーム、でも単純に楽しい!

ではまず協会のおふたりと対戦!自分は取材の話をしたら「やりたい!」とノッてきた友人のライターの菊池さんとのタッグ。先攻後攻のジャンケンから、レッツビアポンタイム!
世界ランカー(487位)の協会チーム。
世界ランカー(487位)の協会チーム。
手さえつけなければ前のめりで投げれるので、体格は大きい人が有利。
手さえつけなければ前のめりで投げれるので、体格は大きい人が有利。
説明は聞いてみたものの、実際投げてみるとこれが意外と難しい!まずダーツみたいな感じで直球で投げようとしても、ピンポン球なので若干ふわッと勢いが鈍る。しかもやってみるとわかるんですが、直球だと意外と球が入るスペースって小さいんですよね。
向かい側から見た感じ。斜めだとコップの口は広いようで狭い。
向かい側から見た感じ。斜めだとコップの口は広いようで狭い。
といって最初からふわッと、上から落ちるように投げると、今度は結構な率でコップの端にハジかれる!これがゴムボールとかなら重みでコップーに入りそうですが、ピンポン球は軽いから簡単にどっか飛んでっちゃう。100円ショップで売ってるのにプリントしたようにしか見えない公式カップですが、たしかに絶妙なサイズ!

そしてこっちが投げる時にはこんな邪魔、いやルールに則したプレイが相手から‥。
カップをじっと見つめて集中してる時に‥
カップをじっと見つめて集中してる時に‥
投げる瞬間を狙って「ワッ!」とか「ウェ~」とか!
投げる瞬間を狙って「ワッ!」とか「ウェ~」とか!
ちょうどカップ見てる位置でやられると、見事に集中力削がれますね!さすが協会コンビは違う‥。でもカップに入れられて飲んでるうちにむしろディストラクションの方がハイテンションに‥。

やってみると「難しいながらにそこそこ入る」のが面白い。ある程度上手い人と初心者でやっても、最初5カップ分くらいは初心者の方が先にリードすることもあるのだとか。ただ、ラスト3カップとか1カップになるとなかなか入らない。たまたまではなく、的確に狙ったカップに入れる技術がないと勝てない。
残り3つともなるとラッキーではなかなか入らない。
残り3つともなるとラッキーではなかなか入らない。
球が入るたびに「ナイスポン!」の声、そして一杯のビール。あー悔しい。でも美味しい。
一杯は量少なめとはいえ、そりゃ酔います。
一杯は量少なめとはいえ、そりゃ酔います。
負けても嬉しいのが妙な魅力です。
負けても嬉しいのが妙な魅力です。
ちなみに世界大会ではちょっとアルコールが弱いやつを使ってるのだとか。なんせ予選だけで12試合やらなきゃいけないそうだし‥。ちゃんと飲んでたらどうなっちゃうんだろ。
徐々に慣れてきた気がするけども
徐々に慣れてきた気がするけども
酒の力でプラマイゼロな気がしないでもない。
酒の力でプラマイゼロな気がしないでもない。
酒が入るとテンションも変わってくるもんで、相手の投げる邪魔もみょうに声デカくなっちゃうばかりか、パートナーにも「菊池さん!セクシー系でちょっと邪魔してみて!」という始末。セクハラかよ。

その菊池さんも自分のTシャツのイラスト見て「モナリザ!モナリザショットよ!」てなんかもうよくわかんない、だが楽しいわー。
そして入った時も超嬉しい!
そして入った時も超嬉しい!
運動量はほとんどいらないけど集中力は必要、と飲みながらやるのにピッタリのスポーツ。50年前に作られたそうだけど、よく出来てるなあ。アメリカ人、くだらないけどスゴイなあ‥。と感心しているところに協会タッグに続いて次の挑戦者が!しかも‥え、日本王者?
トロフィーを持ったこの男たちは!
トロフィーを持ったこの男たちは!
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ビアポン素人vs日本代表!

見るからにシュッとした(注:協会タッグと比較してるわけではございません)このふたり、今回取材場所としてお借りしたザ・モリガンズの歳谷店長とスタッフさん。実は店長は昨年のビアポン日本王者!いつもはもちろんお店を営業しているわけですが、夕方でお客さん少ない時間だったのもあってプレイしていただけることに。
自腹でなく世界大会に行ける人です。
自腹でなく世界大会に行ける人です。
まずは妙技を見ていただきましょうか。ちなみにここまで動画がぜんぜんなかったのは、撮ろうとするとぜんぜん入らないから!これが王者はさすがですよ、練習ですぐにこんなの。
すげえ、特に一球目とか入り方がカッコイイー!このビアポン、10個三角形のコップに全部入れれば勝ちなわけですが、やはり「理想的な入れる順番」があるそうでやはり上手いクラスになると狙って順番どおり入れていく勝負になるそう。
入ればラッキーですよ、こっちは。
入ればラッキーですよ、こっちは。
熟練者は腕のスナップが違う!
熟練者は腕のスナップが違う!
店長に何かスポーツやってました?と聞いてみると「バスケやってましたけど、あんまり関係ないですね。むしろダーツに近いかもしれない。ダーツやってる人はこれやっても上手いですね。でも軽いから感触はぜんぜん違いますけど」とのこと。
王者に一矢報いてハイタッチ!イエー!
王者に一矢報いてハイタッチ!イエー!
お互い2個残りまでは粘ったんですが‥。
お互い2個残りまでは粘ったんですが‥。
やはり最後は2カップ取られて負け。やはり確実度が違う!
やはり最後は2カップ取られて負け。やはり確実度が違う!
先に書いたとおり、ある程度までは素人の我々でもソコソコ入るのだけど、的が小さくなると30分投げ続けても入らない。しかしそれでもムキになって楽しめちゃう所がお酒効果込みでビアポンが良くできてるなあ、と思えるところ。

しかし見るからに上手い彼らでも世界大会では200位台だそうで、世界の壁は厚い‥。なんせアメリカでは賞金トーナメント専門で出続けるプロのビアポンプレイヤーもいるそう。たしかに世界大会ともなると賞金5万ドル、そりゃビールとか飲んでる場合じゃないわ‥。
闘い終わってノーサイド的な。て我々素人なのに偉そうに!
闘い終わってノーサイド的な。て我々素人なのに偉そうに!
やり続けてくと勝敗気にするようになるんでしょうが、今の時点では入ってワーキャー言ってるだけでも十分楽しい。こういうパブでやるには最適なスポーツだなあ。実際、協会のサイトを見るとそうしたパブやスポーツバーに徐々にテーブルが置かれつつあるよう。

ちなみに日本予選はこの秋、そして世界大会も年明け。ビール飲んでるうちに日本代表になれるかもしれない。自腹ならすぐなれる!そのノンキさが許される感じも含めてビアポン、魅力的スポーツです!
取材終わってからも30分くらい遊んで帰りました。これはハマるわー。
取材終わってからも30分くらい遊んで帰りました。これはハマるわー。

負けて飲むビールもいいけど、勝利の美酒も良し!
負けて飲むビールもいいけど、勝利の美酒も良し!

4人で出来る飲み会スポーツ

公式ルールはダブルスですが、練習がてら1対1でやるのも楽しかったですよ。このダブルスというのも2人でキャッキャ言いながらやる飲酒スポーツの楽しさを考えて作ってるんだったら作った人エライわ、ホント。
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