特集 2011年9月19日

1町目1番地グルメはうまいのか?

3週連続の食いしん坊企画である
3週連続の食いしん坊企画である
「1丁目1番地」という地名にはどこか輝かしいものを感じる。単に住所表示が若いというだけでなく、その街の顔、玄関口のような響きがある。「10丁目18番地」は普通な感じがするが、「1丁目1番地」だと思わず「ほう」となる。住所界の花形である。

そんな花形住所には、どんなお店があるんだろう? おそらくうまい店が集まっているに違いない。
1980年生まれ埼玉育ち。東京の「やじろべえ」という会社で編集者、ライターをしています。ニューヨーク出身という冗談みたいな経歴の持ち主ですが、英語は全く話せません。

前の記事:フリースタイルハンバーガー

> 個人サイト Twitter (@noriyukienami)

1丁目1番地グルメはうまい説

街の花形である「1丁目1番地」。そこにある飲食店といえばその街を代表するグルメといっても過言ではないだろう。

いや、ゴメン。それは言いすぎだ。しかし、いちおう自分なりの根拠はある。

●根拠①…なんだかんだいって立地がいいので家賃も高いはず→高い家賃を払えるくらい繁盛している。

●根拠②…1丁目1番地に店を構える店主→自信家→腕が立つ

以上。

書いてみたら思った以上に大した根拠じゃなかったが、話を進めよう。
まずやってきたのは浅草
まずやってきたのは浅草
地下鉄の駅を出てすぐの場所にある
地下鉄の駅を出てすぐの場所にある

「一丁目一番地」という名前の店

まずやってきたのは東京を代表するグルメの街「浅草」。地下鉄の田原町という駅を降りてすぐのところがさっそく1丁目1番地だった。ちなみにここは「西浅草1-1」

駅が近く、大通り沿いという好立地もあって、旨そうな店が並んでいる。さすが1丁目1番地。
そんな1丁目1番地には「一丁目一番地」という名前の店もあった
そんな1丁目1番地には「一丁目一番地」という名前の店もあった
あいにく営業時間外
あいにく営業時間外
店を物色してると「一丁目一番地」という名前の店があった。これはナイスアイデアだ。これなら店名も場所も一度に覚えられる。

調べてみると「一丁目一番地」という名前の店は他にもけっこうあるようだ。さすが1丁目1番地。2丁目3番地だったらこうはいかない。
などと自分を鼓舞しながら雷門までやってきた
などと自分を鼓舞しながら雷門までやってきた
台東区浅草1丁目1番地
台東区浅草1丁目1番地
大通りに面し、東京スカイツリーにも近い。飲食店としては最高の立地
大通りに面し、東京スカイツリーにも近い。飲食店としては最高の立地

本日最初の1丁目1番地グルメ

観光客で賑わう浅草の1丁目1番地。雷門に面した立地ということもあって、多くの飲食店がひしめいていた。どこも老舗の風格が漂っていて1丁目1番地の名に恥じない店構えである。
浅草では有名な老舗蕎麦屋「尾張屋」
浅草では有名な老舗蕎麦屋「尾張屋」
「浅草一丁目一番一号」の文字が勇ましい「神谷バー」
「浅草一丁目一番一号」の文字が勇ましい「神谷バー」

一丁目一番一号の風格

浅草一丁目一番地には創業130年の老舗蕎麦屋「尾張屋」(支店)と、日本初のバーとして知られる「神谷バー」があった。1丁目1番地グルメはうまい説が一気に現実味を帯びてきた。

神谷バーにいったっては1丁目1番地で、おまけに1号である。
「デンキブラン」というカクテルを生んだ老舗バー
「デンキブラン」というカクテルを生んだ老舗バー
1階がバー、2階がレストラン、3階が割烹
1階がバー、2階がレストラン、3階が割烹
2階レストランには豊富な洋食メニューが揃う
2階レストランには豊富な洋食メニューが揃う
ビールがでかい
ビールがでかい
本気の名店すぎて思わずたじろぐが、2階にある「レストラン カミヤ」に入ってみることにしよう。
明治創業の面影を残す店内
明治創業の面影を残す店内

うまいカニクリームコロッケとスチュワーデス

ハンバーグとカニクリームコロッケのセットをオーダー。僕の2大好物が一度に味わえるお得なセットだ。ハンバーグは外側をカリっと香ばしく焼き上げてあり、コロッケはカニクリームがたっぷりでとてもおいしかった。こんなにお上品な洋食は久しぶりに食べた。
ハンバーグとカニクリームコロッケのセット850円
ハンバーグとカニクリームコロッケのセット850円
おいしゅうございました
おいしゅうございました
ハンバーグに夢中になる僕の横では綺麗な女性2人組がワインを傾けつつ恋愛話に花を咲かせていた。一人はキャビンアテンダントで、有名人ややり手のビジネスマンとの出会いに事欠かないらしい。

彼女はこれまでの恋愛遍歴を振り返りつつ「私はそんじょそこらの女じゃない。だからもっと愛されるべき」と言っていた。さすが1丁目1番地である。
レストランでもデンキブランが飲める
レストランでもデンキブランが飲める
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台東区駒形1丁目1番地グルメ

続いてやってきたのは同じく台東区の「駒形1丁目1番地」。地下鉄の蔵前駅に程近く、国道に面している。やはり1丁目1番地は立地に恵まれているのかもしれない。
どじょう料理で有名な駒形の1丁目1番地
どじょう料理で有名な駒形の1丁目1番地
大通りに面した飲食店には有利な立地
大通りに面した飲食店には有利な立地

サラリーマンに人気のカフェ

1丁目1番地にあったのは「ピポット」というカフェ。懐かしい雰囲気の看板につられて地下に降りてみる。
名店の予感
名店の予感
こだわりのコーヒーが味わえる
こだわりのコーヒーが味わえる

絶品のオリジナルコーヒー

店内は昔ながらの洒落た喫茶店という感じで、とても落ちつける雰囲気だ。50名くらい入れそうな広さの店内は6割ほど埋まっていた。平日の15時なのにサラリーマンの姿がけっこう目立つ。僕も会社員時代にこんな店を知っていたら毎日サボリに来たに違いない。
そんな「ピポット」の名物は「カフェ ピポット」550円
そんな「ピポット」の名物は「カフェ ピポット」550円
「カフェピポット」はコーヒーの上にたっぷりのクリームをのせ、レモンのスライスを散りばめた名物メニューだ。当店のマスターが30年前に考案したものだという。スプーンがついていないので、生クリームが溶けるのを待ちながら少しずつ飲む。コーヒーとレモンが融合した香りにとても心が落ち着く一杯だ。

写真を撮り忘れてしまったが、ここには他にも「ピポット」の名を冠したパスタやサンドウィッチがあってそれも旨かった。
お腹いっぱい
お腹いっぱい
しかし、考えてみればここ最近やたら食べものの記事ばかり書いている。今回で3週連続の食いしん坊企画である。

料理上手なライターさんのグルメ記事は有意義だが、僕はただ食べ歩いているだけだ。ひとりだけ「食いしん坊万歳」みたいになってないだろうか?
続いてやってきた「雷門1丁目1番地」には
続いてやってきた「雷門1丁目1番地」には
イタリア料理の「モンテ・ビアンコ」と
イタリア料理の「モンテ・ビアンコ」と
「志乃多寿司」があった
「志乃多寿司」があった
「志乃多寿司」はテイクアウトのいなり寿司が人気
「志乃多寿司」はテイクアウトのいなり寿司が人気
「雷門1丁目1番地」は浅草通りに面したこれまた好立地。

こちらにはイタリアの三ツ星レストランで修業したシェフの店「モンテ・ビアンコ」と、地元で人気のテイクアウトいなりずし「志乃多寿司」があった。

さすがに今はこれ以上入らなそうだったので、いなりずしをテイクアウトして1時間後に家で食べた。
しっとりとしたお揚げから汁がしみだす絶妙のお味
しっとりとしたお揚げから汁がしみだす絶妙のお味
「1丁目1番地グルメ」なんてぶち上げた手前、おいしくないと困るのだが、そんな心配なんて不要だった。素直においしいと思える店ばかりだ。
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銀座1丁目には1番地がない

今回は色んな街の1丁目1番地を巡ってみたのだが、「1番地」がない1丁目というのもけっこうあった。例えば銀座一丁目がそうだ。
駅名になるほど有名な一丁目だが
駅名になるほど有名な一丁目だが
駅に降り立つも1丁目が見つからない
駅に降り立つも1丁目が見つからない
惜しい
惜しい
意外なことに銀座1丁目には1番地がない(2番地はある)。後で調べると銀座で1番地があるのは4丁目と5丁目だけらしいのだ(こちらのサイトに書いてあった)。
地図のどこを探しても1番地がない
地図のどこを探しても1番地がない
それ以外にも「青山一丁目」という駅は実際には北青山一丁目にあり、そもそも青山という地名はないという。この企画を通して一丁目にまつわる雑学が増えた。食いしん坊の巧妙である。
銀座1丁目2番地で見つけたうまそうなもの①
銀座1丁目2番地で見つけたうまそうなもの①
銀座1丁目2番地で見つけたうまそうなもの②
銀座1丁目2番地で見つけたうまそうなもの②

六本木1丁目1番地にはあのテレビ局のスタジオがあった

一方、こちらも全国区の1丁目「六本木一丁目」。ここにはちゃんと1番地がある。
かつて六本の松があったことが町名の由来という説も
かつて六本の松があったことが町名の由来という説も
六本木の1丁目1番地はアークヒルズという丘の上にあった
六本木の1丁目1番地はアークヒルズという丘の上にあった
テレビ朝日の放送センターもある
テレビ朝日の放送センターもある

お祭りやってた

六本木の1丁目1番地はアークヒルズという丘の上だった。六本木ヒルズで有名な森ビルが約20年前から手掛けてきた再開発エリアで、オフィスやホテル、住宅などが集まっている。ちなみに1丁目1番地1号にはテレビ朝日のスタジオ「アーク放送センター」がある。

このあたりは舌の肥えたテレビマンが通う店ばかりだろうから旨いに決まってる。食べなくても分かる。
なんだかそわそわした雰囲気
なんだかそわそわした雰囲気
お祭り開催中だった
お祭り開催中だった
この日、アークヒルズの「アーク・カラヤン広場」では毎年恒例の秋祭りが開催されていた。アークヒルズの中にあるレストランが屋台を出していて、有名シェフの料理が手軽に食べられるイベントらしい。まさに1丁目1番地グルメの祭典だ。
アークヒルズ内の人気店が集結
アークヒルズ内の人気店が集結
中華の有名シェフの店なども出店
中華の有名シェフの店なども出店
場所柄もあって、出ている食べ物がいちいち洒落ていた。普通の焼きそばや焼き鳥といったお祭りの定番メニューもどこか気品が漂っていて、神社のテキ屋のそれとはどこか違う。
お祭りの定番的な屋台もけっこう出ていた
お祭りの定番的な屋台もけっこう出ていた
射的で盛り上がるサラリーマン
射的で盛り上がるサラリーマン
猿回しのサルは眠そうだった
猿回しのサルは眠そうだった
六本木で綿菓子が食べられるとは思わなかった
六本木で綿菓子が食べられるとは思わなかった
お昼時ということもあり、食べ物コーナーには行列ができていた。都会のセレブたちもお祭りの雰囲気に興奮気味である。
「キノコのリゾット」など、普通のお祭りではあまり見かけないメニューや
「キノコのリゾット」など、普通のお祭りではあまり見かけないメニューや
焼きそばや焼き鳥など、お祭りの定番メニューもある
焼きそばや焼き鳥など、お祭りの定番メニューもある
ヒルズの焼きそばは野菜たっぷりであっさりした味付けだった。個人的には濃いソース味で油がギトギトした屋台焼きそばも大好きだが、それとはまた違ったおいしさだ。

しかし、六本木1丁目1番地のグルメは上品すぎて、食いしん坊的には若干の物足りなさもあった。

名店が集まりやすいのは本当っぽい

「1丁目1番地」にはおいしいグルメがあるという仮説はあながち間違いでもなさそうだ。やはり1丁目1番地は大通りに面していたり、駅から近いなどの地の利があり、そんな場所には名店が集まりやすいのだと思う。

僕の食いしん坊の嗅覚も捨てたもんじゃない。
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