揚げパンについて教えてください
関東に越してきてから10年ちょっと。本当にびっくりするくらい、「ああ、食パンだったよね」という人に出会えない。
世の人々が食べてきた揚げパンを知りたくて、先日twitter上でも「あなたの食べた揚げパンはどんなのでしたか?」という質問を投げかけてみた。
(そのまとめは
こちら)
ご協力くださった皆様、ありがとうございました!
結論から言うと、食パン派はゼロ。
そもそも揚げパンなんて給食メニューはなかった、という意見もあったが、そうでないところではパンはコッペパンまたはねじりパンだったという声が多い。珍しいところではクリームパンだったという方も。
そしてやはり、その揚げたパンに砂糖やきな粉がまぶしてあったよ、という回答がほとんどだった。ココアやシナモン、アーモンドパウダーとかうぐいすきな粉とか。
基本的に揚げパンというのは、パンを揚げたものに何かしらパウダー的なものがまぶしてあるというのが一般的らしい。
というわけで頂いた回答を踏まえ、早速近所のスーパーに出かけてみる。これが一番揚げパンに近いのかな、というパンを見つけたので買ってきた。
商品名は「ツイストドーナツ」でした
コッペパンを揚げたものは残念ながら見つからなかったので、ねじりパンの方で。
きな粉も一緒に買ってきたので
まぶしてみます
うーん……
これを見て、懐かしい! と思う方もいらっしゃるのでしょうか。 普通に美味しそうかなとは思うけど、このビジュアルと懐かしさとは私の中では結びつきそうもない。
食べてみよう。そういえばtwitterで頂いた声の中に、「揚げパンは手が汚れる」というものもあった。
確かに汚れそうなので、フォークを使う
確かに汚れそうなので、フォークを使う
一口食べたところで予想通りの味というか、揚げたパンに砂糖ときな粉がかかってるなあ、という見たままの感想。
懐かしさというスパイスがないためだろうか、それ以上特に何の感情も起こらない。
うん。パンときな粉だね。うん。
別にまずいわけではないけどすごく好みの味だというわけでもなく、ましてやこれが給食の揚げパンだよねと言われると違和感しかない。
私の知ってる揚げパンは四角いやつなんです。
やっぱり揚げパンは食パンじゃないと!
ここで私が給食で食べていた揚げパンの特徴を挙げると、
・パンは食パン
・一枚まるごと揚げてある
・ちょっと甘めの衣がついている
・粉っぽいものは何もかかっていない
となる。
見た目は食パンの天ぷらをイメージしていただくと近いかもしれない。そんなに難しいものではないと思うので、どうにか再現してみたい。
素材となる食パンと、
衣はこれで大丈夫かな
衣には少し甘い味がついていて、衣単体でも十分美味しかった。確証はないけれど、多分ホットケーキの素で代用できる気がする。
普通にホットケーキのタネを作ります
衣にするので、少しだけゆるめに
そしてパンを浸す
両面よく浸したら
揚げる! ジュワッと!
この時点ではまだ恐る恐るというか、ほんとにこれでいいのかしらと思いながら作業していたのだけど、この後パンをひっくり返してみて思わず笑ってしまった。
あ、これ揚げパンだわ
ものすごく見覚えのあるこの姿。私の記憶にある揚げパン、そのままだ!大多数の方には「はあ?」と言われてしまうのかもしれないけど、私にとっては揚げパンはこういうものなんだから仕方ない。給食にはこれが出てきたんだもの!
懐かしすぎる!!
これです! これが私にとっての揚げパンです。なんだ意外とあっさり作れちゃったよ!
こんがりきつね色になった衣。懐かしくて嬉しい、この四角い形。大好きだった揚げパンが今再び目の前に!
うわー! うわー!
ほら! 揚げパン揚げパン!
嬉しすぎて、家族に写真を送ろうとしている図
懐かしさでニヤニヤが止まらない。あの頃とちっとも変わらない揚げパンの姿に、感動すら覚えている。
久しぶりだね揚げパン! 元気だったかい揚げパン! 私は地元を離れて東京とかいうところに来てしまったけど、どうにか元気にやっているよ!
今写真を見返していてもドキドキする
よし食べよう! お皿に移そう!
わくわくしながらお皿に移したものの、実は給食風景を正確に再現しようと思ったらこれだけではまだ足りない。
あの頃の給食では必ず、この揚げパンと普通の食パンが二枚重ねで出てきたのだ。
つまりこういうことです
そうそう、こうじゃないとね!
これだよこれ! ほんとにもう、懐かしくって仕方ない。これでお皿がクリーム色のプラスチック製(私の学校はそうだったのです)だったら完璧だったのに。
揚げパンにはやっぱり牛乳でしょう
では早速いただきます、とその前に、そういえば子供の頃は食べ方も決まっていた。
きな粉の揚げパンは手が汚れてしまうという話があったのと同じく、この揚げパンも見ての通り衣で覆われているので、どこを持っても指が油でベトベトになってしまう。でも大丈夫。ちゃんと解決策があったのです。
揚げられていない方のパンを折って、
はさむ!
そして食べる。
懐かしの味とスタイル。幸せだ。
こうすれば手が油で汚れない! 周りが皆この食べ方だったのか、それとも私のオリジナルだったかは忘れてしまったけれど、間違いなくこうやって食べていたことだけは覚えている。
久しぶりに食べた揚げパンはやっぱり美味しい。そう、香ばしくて甘い衣部分が特にお気に入りだった。 そしてこのまま食べ進むと、やや油っぽくなった食パンだけが残ってしまうので……。
揚げパンが小さくなってきたら
今度は食パン部分をちぎって食べる
交互に食べてバランスをとっていたあの頃
あまり綺麗なやり方ではないかもしれないけど、とにかくこうやって食べていた。
今回この食べ方をするのは随分久しぶりだったはずなのに、手が勝手に動いたのにも驚いた。三つ子の魂百までとはよく言ったものだと思う。小学生の揚げパン魂は今もまだ消えていなかったようだ。
久しぶりに揚げパンと再開できて嬉しいです
揚げパン、食パン、そして牛乳。この組み合わせはもう、どうしたって最高に決まってる。懐かしの味を堪能できてとても幸せ。
特にこの揚げパンに思い入れのある人でなくても、普通に美味しい上に作るのも簡単なのでぜひ食べてみてほしい。
そのまま食べるのはもちろん、フルーツなどと合わせても美味しいんじゃないかな。せっかくなので少しだけアレンジしてみよう。
揚げパン・アレンジ
食パンの揚げパンを更に美味しく食べるための一工夫。アレンジといってもフルーツやらクリームやらを添えるだけなのでお手軽。
揚げパンを4つに切って盛り付ける
ちなみに断面はこんな感じ
添えるのはオレンジと
ハチミツなんかもいいかもね!
揚げパンにホイップクリームを乗せて、カットしたオレンジを添えて、細く垂らしたハチミツをかければ完成!
給食の揚げパンが、あっという間にカフェメニュー風に!
バニラアイスでもよかったかな
揚げパン+クリームは当然美味しいのだけど少し油っこくて口の中がもったりする、そこに瑞々しいオレンジを合わせるとすごくさっぱりして爽やか。パンが進む!
おまけにハチミツの甘みが加わって、ちょっともう叫びたくなるくらい美味しい! 揚げパン最高!
これはナイフとフォークで食べたくなる
絶対紅茶が合う! と思って急いで用意。
牛乳も悪くないけど、こうなってくると紅茶との相性が抜群。ああ、写真を見ていたらもう一回作りたくなった。
ちなみに今更な情報ですが、作るなら食パンは8枚切りがベストかと思います。
あの頃を思い出す味
やっぱり私にとっての揚げパンは食パンだな、と確信した今回の取り組み。揚げパンが目の前に現れた時の感動は相当なものでした。とにかく懐かしくって!
でも出身地である石川県の給食が全てこうだったわけではないらしく、地元の友人(小学校は別)に聞いてみると「普通にコッペパンだったよ」とのこと。 もし私の学校のオリジナルだったのだとしたら、メニューを考案した人にありがとうと言いたい。だって大好物だったし!