それは羽田空港にあるらしい
その自販機は羽田空港にあるという。夏休み真っ盛りのこの時期、羽田空港は国内外への旅行者で大賑わいだ。
そういえば、ここ数年来、飛行機に乗って旅をしたという記憶がない。このままだとこの先一生羽田に行くことはないかもしれないと思っていたが、ジュースを飲むという目的で機会が訪れた。いつかはジュースを飲むだけじゃなく旅行もしたいものである。
羽田空港にやって来た
国内外への様々な便が出ているが、僕には関係ないことだ
関係あるのはこちら。件の自販機があるという「HOT DOG CAFE」
バカンス気分で浮かれる空港内を足早に抜け、目的の場所を目指す。
その自販機が置かれているのは羽田空港第二ターミナルB1階の「HOT DOG CAFE」。そしてこれがウワサの自販機「コカ・コーラ フリースタイル」である。
入口正面にドーンと置かれていた
100種類以上のジュースが味わえる、とある
丁寧な解説つきで初心者も安心
ベースドリンク+フレーバーの組み合わせは100種類以上とな
「コーラ」や「ファンタ」「ジンジャーエール」などのベースドリンクに「オレンジ味」「グレープ味」「チェリー味」といった様々なフレーバーをミックスして、オリジナルのジュースを作ることができるという。まさにフリースタイルだ。
レジで250円のカップを購入すれば、何杯でも飲み放題、幾通りの組み合わせを好きなだけ楽しめるという大盤振る舞いである。
まずは14種類の中からベースドリンクを選ぶ
ベースドリンクを選んだら、次はフレーバーを選択。なんでも、その組み合わせは100種類以上に上るとか。
組み合わせの多さにおののく
ファンタのオレンジ味やレモン味、ピーチ味などは味の想像もつくが(というか普通に売ってたりするが)、分からないのはコーラのチェリー味やアクエリアスのライム味、リアルゴールドのラズベリー味といったトリッキーな組み合わせ。ベースの「DASANI(ダサニ)」というドリンクにいたっては、そもそもの味すら知らない。
ここから100種類以上のジュースが出る
では、飲んでみよう
さっそく飲んでみよう
では、さっそくドリンクを作ってみよう。
ちなみに組み合わせの一覧は以下の通り。味の想像がつくものもあれば、まったく分からないものもある。
●コカ・コーラ
・オリジナル ・レモン ・オレンジ ・グレープ ・ピーチ ・チェリー ・ライム ・バニラ
●コカ・コーラ ゼロ
・オリジナル ・レモン ・オレンジ ・グレープ ・チェリー ・ライム ・ラズベリー ・バニラ
●ファンタ(ファンタ・ゼロ)
・レモン ・オレンジ ・グレープ ・ピーチ ・チェリー ・ライム ・ラズベリー ・フルーツパンチ
●カナダドライ(ジンジャーエール)
・オリジナル ・レモン ・オレンジ ・グレープ ・ピーチ ・チェリー ・ライム ・ラズベリー
●アクエリアス(アクエリアススパークリング)
・オリジナル ・レモン ・オレンジ ・グレープ ・ピーチ ・チェリー ・ライム ・フルーツパンチ
●スプライト(スプライト ゼロ)
・オリジナル ・オレンジ ・グレープ ・ピーチ ・チェリー ・ストロベリー ・ラズベリー ・フルーツパンチ
●リアルゴールド
・オリジナル ・レモン ・オレンジ ・グレープ ・チェリー ・ライム ・ラズベリー ・フルーツパンチ
●Hi-C(Hi-C ゼロ)
・レモン ・オレンジ ・グレープ ・ピーチ ・チェリー ・ライム ・ラズベリー ・フルーツパンチ
●DASANI(DASANIスパークリング)
・レモン ・オレンジ ・グレープ ・ピーチ ・チェリー ・ライム ・ラズベリー ・フルーツパンチ
1.カップを置く
2.ベースドリンクを選ぶ
3.フレーバーを選ぶ
4.PUSHボタンを押す
完成
と、操作はいたって簡単。写真5枚で説明するまでもないシンプルさである。
ファンタ×ピーチ味
まずは無難なところから攻めてみようと、ファンタ×ピーチの組み合わせを選んでみた。実際にファンタシリーズの限定商品として実際に発売されたこともあるジュースだ。こうした過去の人気シリーズが飲めるのも「コカ・コーラ フリースタイル」の魅力である。
味は、無難なだけに安定したうまさである。無難万歳!
一時期こればっかり飲んでたので、勝手知ったル味でした
ホットドッグもうまい
安藤さんは「ダサニ」×「レモン」に挑戦
今回はデイリーポータルZ編集部の安藤さんも同行してくれた。初めてのフリースタイルに安藤さんも興奮気味である。
編集部の安藤さん。好きなジュースはジンジャーエール
ベースドリンクに「ダサニ」をセレクト
フレーバーは「レモン」
安藤さんが選んだのは「ダサニ」。聞きなれない名前だが、アメリカやヨーロッパ、アフリカなど42カ国で愛されるウォーターブランドで、今年5月に日本でも発売がスタートしたらしい。
いきなり未知なるものに果敢に挑んでしまうあたりは、さすがの安藤さん。これまで流浪の人生を送ってきただけのことはある。
でも、おいしくなかったらしい
と、このように様々な組み合わせを試しつつ、友人同士でワイワイ楽しめるのがフリースタイルの魅力だ。
次ページからはもっと様々な味を探求していくとしよう。
目指せ!完全制覇
自販機の横には、いくつ飲んだかをチェックできるリストがあり、そこには「完全制覇をめざそう!!」と書いてあった。たった250円なのに、そんな挑発をしてしまってお店の経営は大丈夫なんだろうか?
コンプリート欲をくすぐるチェックリスト
ポケモンスタンプラリー並の大人気
おいしかったBEST3を紹介します
ここから2時間かけて様々な組み合わせを飲み比べてみた。おいしかったものもあれば、そうでもないものもあったわけだが、わざわざまずかったものを紹介しても悲しみを生むだけなので、おいしかったBEST3を紹介していこう。
【BEST1】/「コーラ」×「バニラ」
まずは、榎並、安藤さんともにぶっちぎりのBEST1に推すのがこれ。
「コーラ」×「バニラ」
見た目はいたってふつうのコーラ
バニラだ!
バニラだね!
まろやかな大人のコーラという感じです
ほんのりバニラの香りがするくらいかと思ったら、けっこうグイグイ主張してくる。でも、きちんとコーラの魅力を生かしつつ個性的な味わいに昇華させているのだ。
旦那の尻を叩いて上手に操縦する。デキる女房ってこんな感じかなと思ったが、そんな女房をもらったことがないのでよく分からなかった。
【BEST2】/「ダサニ」×「チェリー」
2位は「ダサニ」×「チェリー」。そもそもの味を知らない「ダサニ」だが、チェリーと合わさると知っている味になった。これはあれだ「アセロラドリンク」の味だ。こんなところで出合うとは。
見知らぬ旅行先で知人に出会ったような、嬉しくも少し恥ずかしい偶然。そんな状況を思い浮かべていただけると幸いである。
色は毒々しいほどのピンク
アセロラドリンクの薬っぽい苦さが好きです
【BEST3】/「スプライト」×「ストロベリー」
ストロベリー味のジュースってそういえばあまりないような気がするがこれはアリだ。一見ストロベリーが前に出すぎているような感もあるが、炭酸が入ることによってそこそこまとまった味に仕上がっている。
何より香りがいい。子供の頃に大好きだったストロベリー消しゴムの匂いだ。
ずっと嗅いでいたくなる
安藤さんの感想メモから
ちなみに安藤さんからも当日の感想メモをいただいたので紹介したい。
・コーラ+オレンジ
→ファンタみたいな味だけどコーラのコクがある。
・コーラ+バニラ
→まろやかな味。大人向け。
・カナダドライ+ピーチ
→薬っぽい甘さ。駄菓子にこういうのありそう
・リアルゴールド+フルーツパンチ
→予想通りのうまさ。こういう商品があったら買いたい
・スプライト+ラズベリー
→ふつうにうまい。炭酸がきつめでさわやか
・スプライト+ピーチ
→ピーチの甘さと香りがきついが、炭酸に救われて飲みやすい。桃缶の汁みたいな味
・カナダドライ+ラズベリー
→ジンジャーとラズベリーが調和。悪くない
・コーラ+チェリー
→チェリーコークってあるよね。甘いけどまずくはない。梅干とかシソみたいな味がする
・コーラ+ライム
ライムをほとんど感じない。なにしろコーラがうまい
・HI-Cゼロ+レモン
→炭酸がないのが甘さを強調している。カキ氷のシロップを水で溶かした感じ
・カナダドライ+グレープ
→甘さがすっきりしていてうまい。ジンジャーの感じはしないが、ファンタグレープより大人味
・スプライト+チェリー
→まず赤さにおののく。後味が薬っぽいけどうまい。癖になる
スプライトやカナダドライ、リアルゴールドなど炭酸が強いジュースが好みだという安藤さん。やはり炭酸をベースドリンクにした組み合わせの評価が高い。
こんなにジュースを飲んだのは初めてという安藤さん
補給も速やか
何度もおかわりをする人が多いので、人気のフレーバーはすぐにカラになる。でも大丈夫。そんな時はすぐにお店のお姉さんを呼ぼう。
バニラフレーバーがなくなった
補給係のお姉さん登場
見事な手さばきで
あっという間に
補給完了。この間20秒
たまに何カ月も売り切れで補充している気配のまったくない自動販売機を見かけるが、ここではそんな心配はない。万全の補給態勢で112種類を常に楽しむことができるのだ。
けっこういきました
そろそろ限界
「糖分の摂りすぎで体が震えてきた」と安藤さん
入店から2時間。ここまで2人で40杯以上のジュースを飲んでいるのでお腹がいっぱいだ。250円で粘るのもさすがに申し訳なくなってきた。
ナイターを観戦するおっさん
安藤さんは「焼酎混ぜたいですね」と何度も言ってきた。もう帰って酒を飲みたいのかもしれない。僕もビールが飲みたいのでこのへんで切り上げるとしよう。最後に、分かったことをいくつか。
・コーラ、スプライトは何を混ぜても安定してうまい
・というか、炭酸が入っていればある程度ハズレはない
・ライムやレモンのフレーバーはあくまでベースドリンクのサポート役。チェリーやラズベリーはベースを思いっきり自分色に染める
・チェリーのフレーバーはお花畑みたいな匂いがした。ベースによってはトイレの芳香剤
・子供はベースのドリンクも混ぜていた。チャレンジャーだ
・トイレに行きたくなるが店内に無いのがにくい
・飛行機に乗る前に飲むとおしっこしたくなってたいへん
安藤さんのふるえが止まらなくなってきたので、このへんで終わります
どんなジュースも思いのまま
「売ってないけど、このジュースの○○味が飲みたい」。そんな風に思ったらメーカーに掛け合う前に、羽田に行こう。日本初のフリースタイル自動販売機がその願望を叶えてくれるはずだ。
店内には様々なコカ・コーラグッズも売っている。写真はおっさん2人が本気でほしがった自販機ロボ「ベンディングマシンゼロ」
1カ月分くらいの糖分を摂って、もうしばらくジュースは飲みたくなくなるかと思ったが、気付けば帰りのコンビニでファンタを買っていた。どんだけジュース好きなんだ。