特集 2011年8月5日

スカイツリーを目印に業平の街を目指す

かつて、江戸・代々木の地には幹周り約10.8m、高さ50m以上の巨大な「樅(もみ)の木」があったそうだ。「東海道五十三次」で知られる安藤広重は「代々木村の代々木」としてこの大木の姿を描いている。

おもしろいのはかつての旅人が、この樅の大木を目印に江戸を目指したという逸話。200年くらい前の日本人がそんな原始的なことをしていたとは意外だ。

今回は、そんな先人の苦労を体験してみることにした。
1980年生まれ埼玉育ち。東京の「やじろべえ」という会社で編集者、ライターをしています。ニューヨーク出身という冗談みたいな経歴の持ち主ですが、英語は全く話せません。

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> 個人サイト Twitter (@noriyukienami)

もみの木は枯れたがスカイツリーはある

残念ながら代々木の樅の木は明治時代に枯れてしまったという。だが、現代の東京にはこれに代わる超ド級のランドマークがある。東京の新名所スカイツリーだ。ついこの前、高さ634mに達し、東京のはじっこにある我が家近辺からでもよく見えるようになった。今回はこのスカイツリーを樅の木に見立て、目印にしてその足元を目指すことにした。
浦安あたり(千葉県)からスカイツリーを目指す
あとから地図を見て分かったことだが、大きな道路を3回も曲がればスカイツリーに到着する簡単なルートがあったようだ。やっぱ地図って超便利。

ただ、この時はそんなルートがあるとは知る由もないので、スカイツリーの見える方向に本能のまま進むのみである。
スタート地点は江戸の隣の千葉県浦安市からにした
スタート地点は江戸の隣の千葉県浦安市からにした
真ん中にドーンと構えるのがスカイツリーです
真ん中にドーンと構えるのがスカイツリーです
体力ないので自転車使います
体力ないので自転車使います
さあスタートという時に三脚が壊れた
さあスタートという時に三脚が壊れた

いきなり消える目印

スタートして程なく。住宅街の家々に遮られ、いきなりスカイツリーを見失ってしまう。

樅の木は原野に立っていて遠くからでも丸見えだったようだが、もし現代のような住宅事情なら3000mくらいの高さがないと目印にならなかっただろう。

仕方がないので再びスカイツリーが現れるまで野生のカンを頼りに進むことにした。
スタートして5分、目印消える
スタートして5分、目印消える
でもなんとなく位置は分かってる
でもなんとなく位置は分かってる
細い路地を抜け
細い路地を抜け
住宅街を走り抜ける
住宅街を走り抜ける
広い道に出た
広い道に出た
高い場所から目印の位置を確認
高い場所から目印の位置を確認

スカイツリー現る

やがて広い道に出ると、何事もなかったかのように再びスカイツリーが姿を現した。
クイズ・スカイツリーを探せ(この写真のどこかにヤツがいます)
クイズ・スカイツリーを探せ(この写真のどこかにヤツがいます)
正解は写真のちょうど真ん中あたり
正解は写真のちょうど真ん中あたり
スカイツリーは形が特徴的で遠くからでも認識しやすいため、目印としての分かりやすさは半端じゃない。一方、かつての樅の木は、最長約54mにもおよぶ立派な枝ぶりが唯一無二の存在感を醸し出し、やはりかなり個性的な姿をしていたらしい。
さわやかな昼下がりのサイクリング
さわやかな昼下がりのサイクリング
川沿いの風が涼しい
川沿いの風が涼しい
先っぽだけでもそれと分かる
先っぽだけでもそれと分かる
引きで見ると蜃気楼っぽい
引きで見ると蜃気楼っぽい
スタートから30分。江戸川区の北葛西までやってきた。このペースならあと2時間くらいでつきそうだ。
1/5地点に到着。ここまでは順調な旅路
1/5地点に到着。ここまでは順調な旅路
と思ったら、再びツリーを見失う
と思ったら、再びツリーを見失う
雲行きも怪しくなってきた
雲行きも怪しくなってきた
デジカメの電池もなくなった
デジカメの電池もなくなった
デジカメの電源をうっかりオンにしたままだったらしく、ここで電池容量が無くなってしまった。というわけでこの日はこの場所で旅を中断。近くの有料駐輪場に自転車を止め、電車で帰って飯を食って寝た。つらくなったりアクシデントがあった時はすぐにあきらめていいのが江戸時代と違うところだ。

翌日、再スタート

翌日、同じ場所から再スタート。だが、スカイツリーの姿は見失ったままだ。まずはその姿を見つけ出さないといけない。
とりあえずウロウロして見晴らしのいい高い場所を探す
とりあえずウロウロして見晴らしのいい高い場所を探す
歩道橋からツリーの位置を確認
歩道橋からツリーの位置を確認
その際、標識をチラ見しカンニングしてしまったことはほんの出来心です
その際、標識をチラ見しカンニングしてしまったことはほんの出来心です
相変わらず姿は見えていないが位置はだいたい把握
相変わらず姿は見えていないが位置はだいたい把握

川を渡ると一気に江戸

しばらく走ると再びスカイツリーが見えてきた。その手前にかかる大きな橋を渡る。ちょうどここが中間地点だ。
高速道路の向こうにスカイツリー
高速道路の向こうにスカイツリー
川を渡ればそこはもう江戸の中枢
川を渡ればそこはもう江戸の中枢
かなり近づく。ここまで来ればそうそう見失うこともなくなった
かなり近づく。ここまで来ればそうそう見失うこともなくなった
休憩中
休憩中
先っぽだけでも見えてれば十分
先っぽだけでも見えてれば十分
川を渡ると一気に江戸の中心に近づいた感がある。
ラフな格好のお相撲さんを見て、さらに江戸を感じる
ラフな格好のお相撲さんを見て、さらに江戸を感じる
江戸は車通りが激しい
江戸は車通りが激しい
いよいよその全様がみえてきた。ゴールはもうすぐだ
いよいよその全様がみえてきた。ゴールはもうすぐだ
いよいよ、スカイツリーの全体像が見える場所まで近づいてきた。ここまでくればもうどの場所からでもスカイツリーが見える。まさにお膝元という感じだ。
スカイツリーが日常にとけこむ街
スカイツリーが日常にとけこむ街
曇り空で撮ると悪魔の塔みたいですね
曇り空で撮ると悪魔の塔みたいですね
このへんに住んだらスカイツリー見放題
このへんに住んだらスカイツリー見放題
「よく来たね」そんな声が聞こえる気がした
「よく来たね」そんな声が聞こえる気がした
スカイツリーのある街、業平
スカイツリーのある街、業平
そして感動の
そして感動の
ゴール
ゴール
トータル3時間。ようやくスカイツリーの足元にたどり着くことができた。達成感でいっぱいである(だがこの後すぐ、帰りは目印がないことに気付く)。

江戸時代の人は凄い

地図や標識に頼らず目印に向かっていくのは大変だ。他の建物などに遮られて目印を見失うと、向かうべき方向が分からなくなり途方にくれる。その度、高い場所からスカイツリーの位置を確認し、何度も方向を修正しながらの旅だった。634mのスカイツリーですらそうなのだから、樅の木を目印とした旅人の道のりはさぞかし困難だったろう。

僕が江戸時代に生まれてたら、江戸なんか目指さず田舎から一歩も動かないで一生を終えたと思う。
ツリー近くの売店で売ってるサイダーがうまかった
ツリー近くの売店で売ってるサイダーがうまかった
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