特集 2011年8月3日

自力カラー写真! 手彩色古写真を作る

白黒写真に色を塗る……という超アナログな手法でカラー写真を作ります
白黒写真に色を塗る……という超アナログな手法でカラー写真を作ります
江戸時代末期~明治時代などの古い写真をあさっていると、時々ビミョーに色がつけられた写真が見つかることがあります。当時はカラー写真なんてなかったハズだけど……!?

実はコレ、白黒写真に手で一枚一枚色を塗ったものなんだとか。この、妙に味のある手彩色古写真を自分で作ってみたいと思います。
1975年群馬生まれ。ライター&イラストレーター。
犯罪者からアイドルちゃんまで興味の幅は広範囲。仕事のジャンルも幅が広過ぎて、他人に何の仕事をしている人なのか説明するのが非常に苦痛です。変なスポット、変なおっちゃんなど、どーしてこんなことに……というようなものに関する記事をよく書きます。(動画インタビュー)

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味わい深~い手彩色古写真が好きなのだ

前回書いた「マイベストテープを作ろう」などからも分かるように、ボクは辛い現実から目をそらし、楽しかった過去ばっかり振り返りがちな人間なのですが、最近はそれがエスカレートして、もはや自分が生まれてもいない江戸末期~明治時代あたりの古い写真をながめてウットリする……というのがフェイバリットな時間となっています。
リアル・チョンマゲが写真で残ってるなんてスゴイよね
リアル・チョンマゲが写真で残ってるなんてスゴイよね
もちろん、そういう時代の写真なので白黒のものばかりなのですが、色あせた白黒写真というのがまたノスタルジー心をグイグイと刺激してくれて、ますますウットリしてしまうわけです。
懐かしがるような時代じゃないですけどね
懐かしがるような時代じゃないですけどね
ところが、そんな江戸・明治時代の写真をあさっていると、ときどき色がついている写真があるんですよ。

当時はカラー写真なんてまだ実用化されているハズないのですが……。でも日光江戸村や太秦映画村あたりを撮影した感じでもないし、妙にリアルなチョンマゲしているし。コレ、どうやって撮ったの? タイムカメラなの!?(藤子・F・不二雄『夢カメラ』より)
こういうビミョーに色味がある写真が時々見つかる
こういうビミョーに色味がある写真が時々見つかる
調べたところ、実はこの写真は「手彩色古写真」といって、名前の通り白黒写真に一枚一枚手作業で着色したものらしいのです。

当時、写真の普及によって仕事が激減してしまった浮世絵師や日本画家たちが、写真家に雇われて白黒写真に色をつけ、絵ハガキなどにして販売していたんだとか。
この気の抜けまくった写真……誰が買うんでしょ?
この気の抜けまくった写真……誰が買うんでしょ?
こちらもビミョーに色がついている写真。どーでもいいけどこの本、ホントに面白いよ!
こちらもビミョーに色がついている写真。どーでもいいけどこの本、ホントに面白いよ!
この手彩色古写真がまた、白黒でもカラーでもない、実に味わい深い雰囲気をプンプンかもし出していてタマランのです。

最近、手彩色古写真に心を完全に持ってかれてしまい「もっといっぱい手彩色古写真が見たい見たい!」……と悶絶していたのですが、考えてみたら自分で白黒写真に着色すればいくらでも作れるんじゃないかと。
こんな、わりとどーでもいい写真も
こんな、わりとどーでもいい写真も
Photoshopで白黒にして
Photoshopで白黒にして
プリントアウトして着色すれば手彩色古写真に!?
プリントアウトして着色すれば手彩色古写真に!?
いや、最近撮った写真だから手彩色“古”写真ではないか。

でもまあ、自分で色を塗って味わい深い写真を作ることができたら実に楽しそうなので、やってみたいと思います。

久々に絵の具を買う

さて、プリントアウトした白黒写真に着色するためには画材が必要なわけですが、ボク、イラストレーターっていってるわりに、ほとんどパソコン上でしか絵を描いてないので、絵の具とか持ってないんですよね……。
「アンドゥ」のショートカットキーを探しがち
「アンドゥ」のショートカットキーを探しがち
学生時代に使ってたアクリル絵の具が部屋のどこかにあるとは思うんですが、古くてカリカリになってそうなのと、白黒写真の地を生かして着色するには透明度の高い水彩絵の具の方がいいんじゃないかと予想し、水彩絵の具を買ってきました。
小学生の頃、使ってましたよね、ぺんてるの絵の具
小学生の頃、使ってましたよね、ぺんてるの絵の具
小学生時代、一般庶民のガキは12色入り(色数なんて混ぜればどーにでもなりますからね)、24色なんて使ってるのはブルジョワジーな家の子だけだったな……などと感慨にふけりながら24色を大人買い!
しかしこの「ぞうげいろ」ってなに?
しかしこの「ぞうげいろ」ってなに?
そういえばちょっと前に、こういう色を「はだいろ」と名付けてしまうのは国際化社会においてよろしくないのではないかってことで「はだいろ」という名称を使わなくなった……的なニュースかなにかを見た記憶があります。

その「はだいろ」から名称チェンジしたのが「ぞうげいろ」ってことなんですかね?
あんまイメージわかなくて分かりづらいような気もしますけどねえ。
ま、それは置いといて、早速色を塗ってみましょう
ま、それは置いといて、早速色を塗ってみましょう
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塗るぜ白黒写真

さて、とりあえずテキトーに塗ってみましょうか、……と思ったら、いきなり大問題が。
インクジェット・プリンタで印刷した紙に水彩絵の具で直接色を塗ったら、プリンタのインクが溶け出して、なんか気持ち悪い顔色になっちゃいました。

一昔前のインクジェットってちょっとした水分ですぐにじんじゃってましたが、最近のは水にも強いんじゃ……と思ってたんですけど、やっぱダメでしたね。

ただ単に、ウチのプリンタがしょぼいだけかもしれませんが。
トナーなら水に溶けないでしょ
トナーなら水に溶けないでしょ
仕方ないので、プリントアウトした紙を一回コンビニでコピーして、それに着色していくことにします。
予想通り、くっきりと写真部分を残しながら色を塗ることが出来ましたよ。

しかし、まだ一色しか塗ってませんが、はやくもなかなかいい雰囲気じゃない? アンディ・ウォーホルっぽいというか(すごく前向き)、ちょっとポップな感じがするじゃないですか!?

しかしここでまた、ちょっとした問題が……。
コピー機のトナーって水、はじくのね
コピー機のトナーって水、はじくのね
絵の具の分量を多めにすれば、塗って塗れないこともないんですが、あまり黒っぽいところ(トナーの密度が高いところ)には色を塗れないと思っておいたほうがよさそうです。
ま、そんなこんなで塗り進め
ま、そんなこんなで塗り進め
こういう、ポイントになるような派手めな色を塗ると、グッとそれっぽい雰囲気に。ああ、いいじゃないの、いいじゃないの。
しかし、ここで調子に乗って唇まで塗って大失敗。なんだよ、このショッピング・ピンクなルージュ……。
本物の手彩色古写真でも、妙に赤々と唇に色をつけているものが多いので、それを再現しようと思ったんですけどね。
ショッキング・ピンクをちょこっと吸い取って完成です!
この、黄色い発電ネズミちゃん、もしくは北村ヂンちゃんが好きな人以外にとっては面白くもなんともなかった写真が……。
ちょっと味わい深くなってますよね。ねっ、ねっ!?

コピー紙が水分を吸い込みまくってカピッカピになっているあたりもレトロ感を高めていてイイ感じです。
ここだけ見るとほぼ江戸時代である
ここだけ見るとほぼ江戸時代である
特に足下なんて、江戸時代のザ・農民という雰囲気をビンビンに放っているじゃないですか!

……いや、ただ単に雪駄&足が薄汚いからか。

テキトーに塗ってもそこそこイイ感じに

なかなか楽しい白黒写真への着色作業。イキオイにのってもっと色々な写真を手彩色にしてしまいましょう。
伊勢崎もんじゃのキャラクター・もじゃろーくんですね
伊勢崎もんじゃのキャラクター・もじゃろーくんですね
手持ちの写真で、なおかつ色塗って楽しそうなのってこんなのしかないですが、コイツに色を塗りますと……。
なんか右側だけ異世界
なんか右側だけ異世界
かなりピャピャーッとテキトーに塗っているものの、地の白黒写真のおかげで適度に陰影もつくし、バック部分の色を薄くおおざっぱに塗ることによって、前面の人物がグイッと浮き出して見えます。

手彩色古写真っぽいかどうかはビミョーなところですが、元の写真よりはだいぶ味のある写真になってるんじゃないでしょうか。

まあ、自分のツラばっかり塗っていても楽しくないので、次のページではもっと色んな写真に色を塗ってみたいと思います。
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竜馬をカラフルに

ここまではデジカメで撮った自前の写真に色をつけてきましたが、本当に古い写真に着色したらもっとリアルに手彩色古写真を作れるんじゃないかな……ということで、武田鉄矢→海援隊→坂本龍馬、という流れで好きになった歴史上の人物・坂本龍馬さんの写真に色を塗ってみたいと思います。
さあ塗るぜよ!
さあ塗るぜよ!
日本の夜明けは近いぜよ!
日本の夜明けは近いぜよ!
完全なる余談ですが、海を見つめながら「日本の夜明けは近いぜよ!」と叫んだ龍馬に対して、高杉晋作が「そっちは日本海側だから朝日は出ないよ」っていったという逸話、ホントなんですかね。いい話だよなぁ……。
さて完成!
さて完成!
あー、それっぽい! かなり手彩色古写真風になったんじゃないでしょうか。コレは飾っておきたいくらいだぞ(いや、いい過ぎた)。

ちなみにコレは『幕末青春グラフィティRONIN坂本龍馬』(武田鉄矢主演の映画ね)あたりの衣装を参考にカラーリングしたのですが、考えてみればせっかく自分で着色するんだから、なにもリアルな色じゃなくても、好き勝手に塗っちゃっていいんですよね。

たとえば……。
やたらアメリカンな龍馬とか……
やたらアメリカンな龍馬とか……
『ロッキー』に出てくるアポロ・クリードのアメリカンな衣装を参考に塗ったんですが、完成してみたらアメリカンというより、くいだおれ人形ですね。

カラーリングやり放題

さてさて、この勝手カラーリングの手法を使えば、日本人ならものすごく見慣れた鎌倉の大仏様も……。
アジア圏にありそうな仏像
アジア圏にありそうな仏像
色彩感覚がイカれてるとしか思えない、タイあたりの極彩色な仏像に変貌!
……となれば、スーパーで350円也なお魚を赤く塗れば。
高級な鯛に……ならないね。

どっちかというと、巨大な金魚といったルックスになってしまいました。手彩色古写真を作ってるとそんなこともあります。
つづいてはコチラ!

お茶の水あたりを走る、赤がイメージカラーの丸ノ内線が……。
国鉄時代の、丸い緑の山手線(E電)に!

この写真(絵?)、電車部分をちょっと濃く塗りすぎた感があって、その点はちょっとイマイチなんですが、
バックのこのあたりの淡く色がついている感じが、実に手彩色古写真っぽくて気に入っています。かなり雑にビャーッと塗っただけなんですけどね。

このように、相当テキトーに塗っても偶発的に雰囲気のいい写真になることがある手彩色古写真、楽しいですよ!

これは大人のぬり絵だ!

今回、色をつけた写真たちは、まあかなりおおざっぱに塗ったのもありますが、それぞれ5分程度で完成しています。あんまりチマチマ細かく塗っていくのはイヤになっちゃいそうだけど、5分くらいだったら楽しくサクサク作業できますよね。しかも、地に写真を敷いているので、完成するのはそこそこ雰囲気のあるものになってるし。

これは、絵をイチから描くのはめんどくさいし、かといって『ドラえもん』とかのぬり絵をやるのは恥ずかしい……という紳士淑女にピッタリなぬり絵なんじゃないでしょうか!?
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