後姿がまる見え
仕事や趣味であちこちに出かけたとき、あると安心するのが公衆トイレ。外出先で催したときの心配がなくなってこそ、何事にも落ち着いて取り組めるというものだ。
でも、中にはコンフォータブルに用を足せないトイレも存在する。たとえばこんなトイレ。
ストレートなアクセスのせいでまる見え
いや、気にしなければごくふつうの公衆トイレだということは分かる。でも実際使うところを想像してほしい。入口から遮るものなく真っすぐセットポジションにアクセスできてしまうので、屹立している後姿が外からまる見えなのだ。
ここは東京の都心部で、こんな水門のほとりに建っている。
水門というのがややサジェスティブか
目の前はかなり通行量の多い道路。ほとんどの男性は気にしないと思うけど、いったん気づいてしまうと、自分のディフェンスレスな姿を道行く人々に晒すことになるのは躊躇うだろう。
そういう意味では、次の物件は九州の山奥なのでほとんど人目に触れることはないけど、それとまる見えなのとは関係ないと思う。
2人同時スタンディング可能
右上のダム管理所前の公園に存在する
いつ行ってもひっそりとしているけど、とは言え大の男ふたりが並んで後ろを向いている姿はレ・ミゼラブル。
ついたて1枚でいい。どうにか入口とスタンディングポイントを遮ってもらえませんかね。
しかし、ついたてがあってもまる見えのトイレは存在する。およそ全国で10,000ヶ所はあるんじゃないかと思うこのタイプだ。
ご覧の通り目の前の歩道からまる見え
アクセスがストレートにインならついたて1枚で解決する。しかし、このトイレは道路に対して平行にアサインされている。つまりワイドなアングルでアプローチすることになり、ついたてがついたての役を果たしていないのだ。
ついでに書くなら「手洗所」の看板もあまり役になっていない。トイレの芳香剤的ポジションで咲き誇る花に向けて出しても意味がないだろう。
植物といえば、垣根でトイレの周りを囲っている場所もある。でもあれも、アレンジが悪ければ目隠しの役目をまったく果たさないことになる。
いったい何のための垣根か
せっかく立派な垣根で囲っても、最終的にできた形が隙だらけだと一直線にロックオン。垣根は利用者を外部の目からではなく、トイレ自体を周囲の景観から隠す存在となる。
横からの姿もまる見え
でもまあ、世の中の男性は後姿なら問題ない、という人も多くいると思う。
では、横からまる見えなのはどうだろうか。たとえば九州の別のダムにあった公衆トイレはこんな形だ。
九州の某ダム
まわりの壁、あってもなくても同じな気がする
このトイレの入口は駐車場に向かって口を開けている。実際中に立ってみたけど、右向けば駐車場の車が数えられる状況だ。とうぜん駐車場からも利用者のスパークプラグがカウントできるだろう。
いったいどれだけジェネラスな人が半身見せながら用を足せるのだ!
そのすぐ近くにある別のダムでも、僕はアンビリーバブルなトイレを目の当たりにした。
妙にメルヘンな装飾のダム
どうして!そこで!目隠しを!絞るのか!
三角屋根を載せたメルヘンなダムにあった公衆トイレは、いままでになくオープン。いちおう目隠しが壁から出ているものの、なぜか下半分が切り落とされたかのように絞られていて、シャイでセルフィッシュな利用者のメルヘンがちょうどドリームライツという感じだ。
壁に「公園内火気厳禁」と張り紙があるけど、もっと厳禁しなければならないものがほかにもある。
あれも絶対厳禁だろう
しかし、最強のまる見えトイレはそこからおよそ2,000km離れた北海道にあった。車両基地を撮りに行ったときに通りがかった公園のトイレがこれ。
こんなかっこいい車両基地のそばに
ここまでイノベーティブなトイレがあっただろうか
積極的な情報公開が叫ばれる昨今、子供たちが遊ぶ公園でも個人情報の積極的な公開がレコメンドされているのだろうか。それはもう犯罪な気がするけど。
でも浅すぎる奥行き、そして便器と外壁がほぼツライチのこのトイレを見て、なぜか僕はとてもフリーダムな気分になった。これは無理。隠し事のない世の中は実現されているのだ。北海道で。
4年間の集大成だったが
今回集めた写真はおよそ4年間、全国を旅する間に集めたものだ。
自分でもなにしょうもないものを集めているのか、と思ったけど、男女平等と言われて久しい世の中で、これだけ男性が虐げられている場所もないだろうと思った。ぜひどうにかしていただきたい。
真面目に解釈すれば見通しがいいのは犯罪防止とかの理由なんだろうけど。
利用者がいて写真が撮れなかったり子供がたくさんいて写真が撮れなかったトイレも無数にあった