吐いてみたいぜ青息吐息
なぜ青息吐息が出ないのか。
僕の場合、困り果てた際は、正面から向き合わず、そのことから逃避して知らぬふりをしてしまうからだろうか。
「困ったことになったから忘れてしまおう」という問題解決方法をとることがもっぱらだ。
しかし、この先それでは解決できない問題が発生する場合も考えられる。
そのときに慌てぬよう、あらかじめ青息吐息を吐いて練習しておきたいと思う。
青息吐息の素 その一
青い液体で
まず試してみるのは、かき氷のシロップ「ブルーハワイ」だ。
これを口に含んで霧のように吐き出せば、青息吐息になるのではなかろうか。
口に含んでブワッとやります
周囲に迷惑がかかるといけないので、ひと気のない公園で挑戦してみよう。
風向きを確認し、少量のブルーハワイを口に入れる。
風向きを調べて
おーウ、甘い
飲んじゃった
当たり前だが、ブルーハワイは甘い。
甘いうえに、粘度があり、口内にまとわりつく。
吹き出そうと空気を吸った瞬間に、まとわりついた液体が口の奥に入ってきてしまった。
反射的にごくりと飲み込んでしまったところ、のどの奥に猛烈な甘さが。
僕は甘いものが苦手で、思わずむせてしまった。
そして気管に
むふぉー
息でません
気をとりなおしてもう一度ブルーハワイを口に含み、勢いよく吹きだしてみたが、青の色が薄すぎて「青息吐息」にはならなかった。
ぜんぜん出ていない
青い粉で青息吐息
青息吐息の素 その二
次に用意したのが青い食紅だ。
青なのに食紅とはこれ如何に、といったところだが、食品添加用の青色色素を粉に混ぜて、それをフッと吹いたら、青息吐息がでるのではないかと思うのだ。
コーンスターチに青い食紅をいれて
混ぜた
同じく先ほどの公園で、青い粉を口に含む。
こんどはむせてしまわないように、慎重に空気を吸いこもう。
粉を含み
水分が奪われる
青い食紅を混ぜた粉がコーンスターチだったからいけないのか、口の中の水分をどんどん吸っていく。
サラサラの粉を吹きだすつもりだったのが、あっという間に唾液まじりになってしまい、吹き出せない感じになってしまった。
そしてそこでまたむせた。
噴霧!
ゲフォッ
吐息ではなく自分が青くなった
写真撮影をお願いしていた編集部の安藤さんが僕を見て、「工藤さん、青いですよ」という。
「なにいってるんだいちがうよ、おれは蒼井優ではないよ」と答えようとして口元をぬぐった手を見たら真っ青だ。
先ほど口に含んだ粉に水分が加わって青い食紅が派手に発色しだしたのである。
青くなってしまった
口がこんなに青いとは
撮影してもらった写真を見たところ、口が青い。
ヘビメタの人みたいな青さだ。
この状態で青い色素を噴射したら事態はたいへんなことになってしまいそうなので、再び作戦変更だ。
だめだこりゃ
青い煙で青息吐息
もっとも確実な方法として最後に挑戦するのは、青い光で彩る青息吐息だ。
小型懐中電灯に
青いセロファンを
小型のLEDライトに青いセロファンをかぶせ、青い光をだす。
それを吐き出したタバコの煙に映せば、きっと青息吐息になろう。
吐息を青く照らす試み
薄暮の公園
薄暗くなった公園の、片隅にある喫煙スペースで青息吐息に挑むことにする。
まずはLEDライトを口に含む。
煙を吸い込み
プファー
しかし、これがなかなか難しい作業だ。
口にものを入れた状態でタバコを吸うのはコツがいるのだ。
うまくしないと、LEDライトを飲み込んでしまいそうになる。
もし飲み込んでしまったら、ライトがついた状態で明日の朝にコロンとお出まし、となってしまう。
ブルーレットがさらに青くライトアップされてしまうのは避けたい。
なかなかむずかしいのだ
煙を吸うのもたいへんなら、吐くのもたいへんで、煙と一緒にLEDライトがスポッと飛び出してしまいそうになる。
すこし青息吐息が吐けるようになっててきた
青息吐息、吐けました
そのへんを手加減しながら何度か試していたら、ついに青息吐息を吐くことができた。
青息吐息、吐けた!
これでいつでも青息吐息
というわけで、青息吐息を吐くことに成功した。
うまく青息吐息が出なくて、一時はどうなることかと困り果て、青息吐息であったが、最終的に青息吐息が吐けてとてもよかった。
ちなみに、セロファンの色をピンクにしたら、なんと桃色吐息を出すこともできるので、綺麗といわれる時が短すぎても、もう大丈夫なのである。