特集 2011年7月5日

立ち食いそばの長さくらべ

そばの長さに違いはあるのか
そばの長さに違いはあるのか
サラリーマンのお供である立ち食いそば。
東京にもいろんなチェーンの立ち食いそば屋がある。
それぞれ店の雰囲気や味に特徴があり、それぞれがうまい。

ところで、そばといえば、年越しに長寿を願って食べるくらいに、「長い食べ物」の定番である。
そのそばの長さに、店ごとの違いはあるのだろうか。
1973年北海道生まれ。物心ついた頃から飽きっぽい。そろそろ自分自身にも飽きてきたので、神様にでもなってみたい今日この頃。

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品川駅ホーム 常盤軒

ということで、そばの長さをくらべてみようと思う。
まあ普通の考え方として、こういうのは規格のようなものがあるだろうし、製麺機の種類なんかである程度長さは決まっているのではないか、と予想していた。
そんな中でもきっとチェーンごとに多少の差があったら面白いだろうし、逆にまったく差がなかったら、それはそれですごい発見だ、と思いながら、食べくらべに挑んだ。
品川駅ホームの立ち食いそば
品川駅ホームの立ち食いそば
まず最初に向かったのは品川駅ホームの立ち食いそば屋だ。
細かい話で恐縮だが、東京の駅そばはほとんどがJR東日本系列の会社が運営しているのだが、この品川駅ホームにある常盤軒はめずらしく、JR系列の企業の経営ではない。
そして僕は圧倒的にこっちが好きだ。
こういう比較記事では、メジャーどころを選ぶべきなんだろうけど、好きな方を食べる。

かけそばを

券売機で躊躇せずかけそばボタンをプッシュして食券をキャッチ。
今日も暑いが男は黙ってかけそばだ。
町の中にある座って食べるそば屋に入った時は季節を問わず冷たいそばを食べるのだが、立ち食いそばは真夏でも温かいそばを食べることにしている。
そのほうがうまい気がするのだ。
店員さんに食券を手渡して「おそばで」と伝えると、手早く麺を湯にほぐし入れ、シャッシャッと湯を切ってどんぶりによそってくれる。
この手際の良さに敬意を払う意味で、僕は食券をできるだけ手際よく買うように心がけている。
これぞ ザ・立ち食いそば
これぞ ザ・立ち食いそば
濃いめのつゆにつかったそばをずるずるっと食べて、ほんの少し麺をのこして持ち帰った。
さすがに混み合う店内でそなの長さを測るのはどうかと思うので、お店の外で測ろう。
ジップロックでお持ち帰り
ジップロックでお持ち帰り

箱根そば

つづいてやってきたのは、小田急線新宿駅の改札外にある立ち食いそば「箱根そば本陣」だ。
ここは小田急レストランシステムという小田急グループの会社が運営している。
昼時で混雑している箱根そば
昼時で混雑している箱根そば
ここのそばも好きだ。
乗り換えの時にわざわざ改札を出て食べにきたくなるくらいである。
ただ、いつ来ても券売機のボタンに「かけそば」を見つけることができない。
たぶんメニューにないのだと思うが、券売機の前でじっくりと探しているのは僕の信念に反するので、ピッとたぬきそばのボタンを押した。
たぬきそばを選択
たぬきそばを選択

あいかわらずうまい

つゆに天かすが入るとうまいのか、天かすがつゆを吸うとうまいのか、どちらがどうなのかは難しすぎてわからないけど、たぬきそばはうまい。
たいへん満足だ。
幸せな気分でつぎの店に向かう。
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高幡そば

新宿から京王線に乗って明大前という駅にやってきた。
立ち食いそばを食べに来るにしては僕の家から結構遠いところだが、何年か前に一度食べたらすごくおいしかったのでやってきた。
明大前駅までやってきた
明大前駅までやってきた
高幡そばは京王電鉄系の立ち食いそば屋で、いまは2店舗しかないらしい。
ちなみに「高幡」というのは日野金剛寺の高幡不動駅からとっているのだろう。
小田急の箱根そばにしろ、今回は食べなかったが西武系の狭山そばやJR東日本の「あずみ」にしろ、鉄道会社は自分の路線の都心から遠いところにある地名をそば屋の店名にするケースが多いようだ。
なんとなく遠くの地名の方がうまそうな気がするのは不思議だ。
高幡そばは京王系
高幡そばは京王系

ここもやっぱりおいしい

久しぶりに食べたけれど、高幡そばもおいしい。
これが三杯目のそばだが、おいしいので一気に食べた。
細麺でうまそう
細麺でうまそう

ちゃぽんちゃぽん

また電車に乗って新宿に戻った。
さすがに三杯も食べてしまったので、お腹がふくれている。
そばを食べながら水をたくさん飲んだので(立ち食いそば屋の水は何であんなにうまいのか)、胃の中がちゃぽんちゃぽんだ。
すこし腹ごなしをしようかと東急ハンズを徘徊したり散歩したりしていたら、突然ものすごい雨が降り出してびしょびしょになってしまった。
体中、腹の中もふくめて水浸しである。
東急ハンズとかではらごなし
東急ハンズとかではらごなし
どしゃ降り
どしゃ降り

富士そば

東京で立ち食いそばといえば、富士そばだろう。
東京に引っ越す前、旅行などでこちらへきた時にやたらと「富士そば」の看板を目にし、僕の中では東京名物という印象を持っていた。
上京の折、これからはいつでも富士そばが食べられるんだな、と思った記憶がある。
立ち食いそばの王 富士そば
立ち食いそばの王 富士そば
何年か前に外国産ほうれん草の残留農薬が問題になって以来、かけそばの付け合わせがほうれん草からわかめになってしまったことを憂えている。
しばらくしてほうれん草は復活したのだが、「ほうれん草そば」という別メニューになってしまった。
わかめじゃなくてほうれん草だった頃がなつかしい
わかめじゃなくてほうれん草だった頃がなつかしい

そして富士そばもうまい

新宿西口にあるこの富士そばは、どういうわけか外国人観光客がいることが多く、そばを食べた時の反応を見るのがなかなか面白い。
この日も一組いて、おそらく勘で適当な食券ボタンを押していた。
以前住んでいたところの近くに富士そばがあり、頻繁に食べているので、もううまいとかまずいとかそういう感覚ではないところに行ってしまっている気がしていたのだが、久しぶりに食べるとやっぱりうまい。
今日四杯目のそばなのでお腹の中は充実しているのだが、食べ終わって食器を返す時、最後にもうひと口だけつゆを飲みたくなってしまう、あのかけそば特有の幸せはまだ続いている。
でも、もう今日は充分な感じなので、食べたそばの長さを測ろう。
やっぱうまいっす
やっぱうまいっす
スタッフがおいしくいただきました(俺一人だけど)
スタッフがおいしくいただきました(俺一人だけど)
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長さ計測

4店分のそばサンプル
4店分のそばサンプル
それぞれのお店で集めたそばを、新宿の高層ビルにある広場で測ることにした。
雨は止んでじりじりとまた太陽が
雨は止んでじりじりとまた太陽が

まずは品川常盤軒

ジップロックに入れたそばをまっすぐに伸ばす。
この作業がなかなかたいへんだった。
切れてしまわないように気をつけなければいけない。
なんだか同じようなことをこの近くでやった事があるなと思ったら、この記事で絡まった糸をほどいていた。
思ったより長い
思ったより長い

そばってけっこう長い

長さ計測用に、30cmの定規を持ってきたのだが、それでは足りなかった。
そばというのはけっこう長い。
そりゃ寿命も延びるというもんだ。

なので撮影用の台のつもりで持ってきたカッター用のマットについた目盛りを利用してそばの長さを測ることにした。
このマットはグレーで、そばの色と似ているので見にくくなってしまうのだが(白い紙を敷いて測ろうと思っていた)、黙っていればだれも気づかないだろう。
マットの方眼を使う
マットの方眼を使う

常盤軒 34cm

品川駅ホームの立ち食いそば、常盤軒の麺は34cmであった。
これが長いのか短いのか、最初なので判断しかねるが、まあきっとこんなものなんじゃないだろうか。
34cm
34cm

箱根そば 39cm

箱根そばを測る
箱根そばを測る
箱根そばは常盤軒よりも5cm長く39cmだ。
カッティングマットの目盛りよりもさらに長い。
チェーンによってそばの長さが違うということがこれで判明した。
しかし、5cmくらいの長さは食べていて気がつかないものだ。
これもけっこう長い
これもけっこう長い
39cm
39cm

高幡そば

明大前まで出向いて食べた高幡そば。
細めの麺だった印象があるが、長さはどうだろうか。
遠くまで出かけた高幡そば
遠くまで出かけた高幡そば
ジップロックから麺を出して驚いた。
長い。
かなり長い。
この長さも驚きだが、食べていてそのことにまったく気づかなかったのにも驚いた。
うっ、長っ!
うっ、長っ!

なんと58cm

人間の感覚というのはあまりあてにならないものだ。
他のそばより1.5倍も長いのに、食べても気づかないなんて。
しかも、それなりに気をつけて食べていたにもかかわらずである。
恐れ入りました、という心境だ。
立ち食いそばにこんなに長さの違いがあったなんて。
いままで気づかなかった自分が不甲斐ない。
二つ折りにして計測
二つ折りにして計測
58cm びっくり日本新記録!
58cm びっくり日本新記録!

富士そば 38.5cm

がんばれ富士そば
がんばれ富士そば
立ち食いそばの世界は深いな、としみじみ感じつつ、富士そばを測る。
富士そばは38.5cmと最初の二軒と同レベルだ。
38.5cm
38.5cm

明日も食べよう

そばの長さに大幅な違いがあり、四店舗では結論を出し切れないため、明日もそばを測ることにしよう。
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いつものそば屋

同じなのか違うのか、くらいの感覚ではじめた調査だけれど、麺の長さに大幅な違いがあることを知り、がぜん調査欲が高ぶってきた。
僕がいつも行っている会社の近くにある立ち食いそば屋も調査しよう。
二日目のトップバッターは大森の商店街にある「江戸そば」だ。
城南地区の雄 江戸そば
城南地区の雄 江戸そば
江戸そばは大森と大井町と蒲田に店舗がある。
新宿にもあるらしいけど、僕の生活エリアに店舗が集中しているので、なんとなく「ホームグラウンド」という感じがする。
ここは最近ぼくが一番行っている立ち食いそば屋だ。
いか天そばをいただきました
いか天そばをいただきました
ここのいか天が好きだ。
消しゴムを噛んだみたいなニュカッという、立ち食いそばのいか天特有の歯ごたえがいい。
弾力と歯切れのバランスが素晴らしいのだ。
高級ないか天ぷらではこうはいかない。
そして今日も暑いけれどもちろん温かいそばだ。
汗をかきながら食うのがうまいよね
汗をかきながら食うのがうまいよね
うん、うまいよ
うん、うまいよ

立ち食いそばの二大看板 ゆで太郎

続いてやってきたのはゆで太郎。
東京の立ち食いそば界では富士そばと双璧をなすチェーンだ。
他にも梅もととか小諸そばとか笠置そばとかせんねんそばとかがあるけれど、僕の生活範囲内には富士そばとゆで太郎が多い。
富士そばとの二大勢力
富士そばとの二大勢力

あ、長い

出されたそばをずるっとすすってすぐに気づいた。
これは長い。
これはいままで感じたことのない感覚だ。
このそばは長い。
昨日高幡そばを食べた時は感じることができなかったが、今日はわかる。
たしかに長い。
僕はそばの長さがわかるようになったのだ。
違いがわかる男である。
もうすっかりダバダ、だ。
月見にしちゃった
月見にしちゃった

計測

お昼休みに二軒の立ち食いそばをハシゴしたのは初めてだが、なかなかいいものだ。
充実感がある。
この二軒のそばの長さを測ってみよう。
計測二日目
計測二日目

江戸そば 34cm

江戸そばの長さは34cmで、立ち食いそばのスタンダードといっていい長さだった。
なじみの店が平均的で少し安堵した。
これが極端に短かったりしたら、僕の趣向はねじ曲がっていることになる。
僕は変態ではないようだ。
ミドルレングス
ミドルレングス
34cm
34cm

ゆで太郎 54cm

そして感づいたとおり、ゆで太郎は長かった。
54cmと、高幡そばには少し及ばないものの、かなりの長さである。
やっぱり長い!
やっぱり長い!
これだけの長さのそば屋が近くにあったとは、いままで気づかずに暮らしていた。
まさに青い鳥はここにいたのだ。
これまでの不明を恥じるとともに、身近にこのような長いそばがあることを誇りに思う。
驚異の54cm
驚異の54cm

結論 立ち食いそばの長さはけっこうちがう

というわけで、長さをくらべてみた結果、立ち食いそばの長さはけっこう違っていて、35cm前後のものと、50cmオーバーのものに大きく分けられるということがわかった。
他のチェーンがどうなっているのか、いずれ確かめてみたい。

ところで、そばは「のびる」というが、本当に伸びるのか。
食べたすぐあとの麺と、それを6時間ほどおいたものとを測ってみたが、そばの弾力はあきらかになくなっていてボソボソになってしまってはいたが、長さはほとんど変わっていなかったこともお伝えしておこう。
食べてすぐの江戸そば
食べてすぐの江戸そば
6時間後の江戸そば
6時間後の江戸そば
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